戦「ヴァーリや
龍「まさか夏休みにもがもが!」
戦「バカ!それはまだ未来の話でしょうが!という訳でこれからもまだまだ気になる28話スタート!」
夏休みの予定
「ねぇねぇギャスパー君。学校はもう慣れた?」
「は、はひぃ。お陰様でぇ……」
会談から数週間。ギャスパーは一年のクラスに転入し、引きこもり時代にはなかった他人との交流に眼が回りそうだった。
当初こそ、ギャスパーの人見知りや性別の事で困惑はあったものの、同じクラスの小猫が面倒を見たりしてくれたお陰で、現在は上手くやっているらしい。寧ろ、ギャスパー君を守るわ同盟が女子の間で組まれたり、一部の男子生徒から熱が籠った視線を向けられてたり(ギャスパーは気づいていないが)している。
だが当のギャスパーはまだ慣れてないらしい。これでも学校に来て何とか会話するだけ大きな成長とも言えるが、それでも四苦八苦している。そんな彼(彼女?)の元に、
「おいギャスパー。行くぞ」
「あ、戦兎先輩!」
教室の入り口からヒョコっと顔を出した戦兎を見て、ギャスパーは顔をパアッと輝かせて荷物を取るとクラスメイトに声を掛けてからトテトテと駆けていく。
「あれ?塔城は?」
「小猫ちゃんは先生のところに提出物出しに行きました」
じゃあ俺達だけで行くかと戦兎はギャスパーを連れて歩き出す。元々はギャスパーが上手くやれてるのかを見に来るのが目的で放課後迎えに来ていたのだが、すっかり習慣になってしまった。まあギャスパーも嬉しそうだし良いだろう。
だが、そんな二人を見ていた一部の一年生達は集まり話す。
「や、やっぱりそう言う事なのかな!?」
「分からないわ!だって桐生先輩には万丈先輩が!」
「でも最近万丈先輩は女の子といる事も多いし木場先輩とも……」
「つまり寂しさを埋める為に!?」
「そうよ!傷ついた心を癒す為ギャスパー君を……」
キャー!っと黄色い声が上がる中、廊下を歩いていた戦兎とギャスパーは振り返る。
「なんかお前のクラス騒がしくねぇか?」
「ですよね……?」
噂されている方は、案外平和なのである。
「おーっすお前ら。今日も勉学に励んできたか?」
『……』
途中で小猫と合流した戦兎とギャスパーが部室に入ると、そこには既に龍誠達や、アザゼルがいた。大事なのでもう一度言うが、アザゼルがいた。
なぜ堕天使の総督がいるのか?それは
アザゼルが鍛えると言う事に関しては、異論はない。なにせアザゼルは純粋な強さこそ三大勢力の中では劣るが(それでも十分化け物)、戦略に関してはずば抜けているらしい。だからこそ数も強さも劣る堕天使が今まで生き残ってこれたとのこと。早速先日来た時からこちらの戦闘スタイルや強さについて調べているらしく、既にこれからどうしていくのかと言った基本的な教育方針は決まっているようだ。
しかし、
「明日から夏休みかぁ……」
戦兎はそう呟きながらソファーに腰掛ける。
明日から夏休み。勿論普通の学生であれば長期休業の計画を建てるのだろうが、残念ながらグレモリー眷属は明日からリアスの実家に向かい、若手悪魔の交流会等々に出席した後、修行の日々が待っている。
まあどうせそう言うのがなくても結局は龍誠と遊ぶ位しかしてない為、結構楽しみだったりする。そんな事を考えていると、
「皆集まったみたいね」
と言ってリアスが朱乃を連れてやってきた。そして彼女は、
「それじゃあ皆いるみたいだし、明日からの簡単な予定について話すわね」
そう言ってリアスは自作感溢れる旅のしおりを皆に配り話始める。それにしても、
(このリアス先輩の実家に行く時って龍誠大変だろうなぁ……)
戦兎は、リアスが話している間に朱乃が配ってくれたお茶を飲みながらそう思うと、丁度目の前に座っていた小猫が視界に入る。
どうも彼女は最近元気がない。気にはなるが、聞いても答えてくれない為どうするか考えてはいた。
(まぁ……コイツもコイツなりに色々あるだろうしなぁ)
戦兎はそう思いながらまたお茶を飲む。結局その日は、明日も早いと言う事で解散になったのだった。
「明日からは楽しみですね」
「あぁ、そうだな」
現在夕方、戦兎・龍誠・リアス・アーシア・朱乃・ゼノヴィアの面々はそれぞれ荷物を持って帰路についていた。
なぜこの面々なのかって?確かに何時もは一緒なのは途中までだ。だがいる。因みに戦兎と龍誠は頭痛いとアーシアとゼノヴィアの会話を聞いていた。そして何故一緒なのかと言うと、
「見てえてきたな」
「あぁ」
戦兎と龍誠は見えてきた一件の家を……いや、家と言うか屋敷を見る。
その隣には戦兎の家があり、
「やっぱり夢じゃねぇよな」
「当たり前だろ」
このバカデカイ屋敷が、今日から龍誠の住む家なのである。
いや冗談とかではない。確かに昨日の夜までは普通の一軒家があった。だが今朝事件が起きた。
朝、新聞を取りに郵便受けがついている門まで出た戦兎だったが、突然隣から聞こえてきた龍誠の「なんじゃこりゃああああああ!」という言葉に驚きながら道路に出た。龍誠は昨日は久し振りに学生寮に戻っていたはずなのだがと思いつつ出ると、隣の家の方に龍誠が立っており、何事かと見に行くと、
「なんじゃこりゃああああああ!」
戦兎まで叫んだ。そりゃそうだろう。昨晩まであった家が消え、屋敷が建築されれば驚くしかない。しかもバカデカイ屋敷だ。正確には隣の家だけじゃなくて向こう数件なくなっている。
あんぐりと口を二人が開ける中、
「あら戦兎。おはよう」
リアスが普通に出てきたのは……逆に異様な光景だったのは言うまでもないが、彼女から事情を聴くと龍誠との時間を増やしたかった。
戦兎の家では戦兎やその家族がいるし、学生寮では手狭すぎる。しかも最近はアーシアや朱乃にゼノヴィアまで来ていよいよ学生寮では入りきらなくなり、皆で戦兎の家には行くわけにはいかないし(最近朝駆けしてないと思ったら皆でやらないようにという約束をしていたらしい)でじゃあ家を作っちゃおうとなったとの事。
どう考えてもぶっとんだ話なのだが、この屋敷はそれだけじゃない。三階建てのこの屋敷には超豪華な風呂が各階につき、オーディオルームやシアタールームに普通の(と言っても壁に嵌め込んである薄型テレビや天外ベッドと豪華な)部屋が多数。例えハルマゲドンが起きても平気な作りで、他にも色々あるがとにかく豪華だ。龍誠との為に用意するには余りにも過剰すぎる気がしなくもないが、彼女の実家が進めてきたとリアスから聞いて戦兎は納得していた。用はこれは二人のこれからの為にという意味もあるんだろう。二人が意識しあっているのは見てて分かる。リアスははっきりだが、龍誠も満更じゃない。だがいまいち進展していない。なら一つ屋根の下にしてしまおうと言う事か。進展してからもこれだけ立派なら使えるだろうし、この間見たリアスの父親の様子を見ても、祝福されているようだ。と言うかそうなって欲しいと切望している節があった。
そして時間を現在に戻すが、今日は新築祝いという事で住人の一人である朱乃が手料理を振る舞うという事で戦兎も今日はこっちでご飯を相伴しにきている。
因みに、朱乃達が住むのはリアス的には不満だったらしく、アーシアならまだしもと暫くブツブツ言っていた。
それでも部屋は用意してあるし(これは眷属同士で交流が図れるようにという気遣いらしい)、戦兎もこっちにも自室が用意されている。余談だが、戦兎の部屋には入り口の他にもドアがありそのドアを通ると、この屋敷から戦兎の自宅の地下研究室に直通できる。と言うか人が知らない間に、自宅と屋敷の行き来専用のどこでもドアを作るのは止めて欲しかったのだが、まあこれはこれで便利だし良いだろう。ただ美空とかに見つからないように、荷物とかであっちのドアは隠しておく必要があるが。
そんなことを思いつつ戦兎は、明日からの予定について考えていた。
アザゼルにはビルドについて説明してある。多分だが自分や龍誠の目的はハザードレベルの上昇。あと自分は残りのベストマッチの発見だろう。
個人でも探しているが、どうも運がないのか余り進んでいない。まあ一応少しずつは暇を見つけては探しているが……
「どうした戦兎?」
ムグムグと口に食べ物を放り込んでいた龍誠を見て、戦兎は一息吐きながら、
「いや明日から楽しみだなって」
「俺もだよ」
そう言い合って笑う二人を、女性陣は見つめる。そして、
「最大のライバルは戦兎よね」
『うんうん』
リアスの呟きに、他の女子は頷く。そうして、夜は更けていったのだった。