戦兎「遂に冥界の入り、グレモリー家にて束の間のへいおんを味わう俺たちだったが……」
龍誠「待て待て!束の間の平和じゃねぇだろ!俺が胃を痛くしてたわ!」
戦兎「別にお前は良いだろ」
龍誠「良くねぇ!あぁ~。なんか少しずつ外堀を埋められていってる感が……」
戦兎「少しずつじゃなくてガンガン埋められてってるけどな。と言うわけでそんな感じの30話です!」
「ぐへぇ……」
ブスブスと龍誠は頭から湯気が出そうだった。悪魔文字や、冥界の歴史から始まり、その辺りまではアーシア等の新人転生悪魔の面々もいたが、特別授業がありますとか言われてグレモリー家の成り立ちや土地についてから始まり、他の上級悪魔の家や社交界について、その他諸々の事まで勉強させられた。
そして現在、これで終了と言われたものの魂が抜けた龍誠と、残っているのは龍誠の付き添いで戦兎。後は一緒に勉強していたミリキャスくらいである。そこに、
「頑張られたようですね」
「おばあさま!」
ミリキャスが笑みを浮かべながら駆け寄る姿を見て戦兎と龍誠は、
(見えねぇけど祖母に当たるんだよな……)
と、入ってきたヴェネラナを見て、内心呟く。そんな二人に笑みを向けながら彼女は、
「どうですか?」
「いやぁ、覚えることが多すぎて大変です」
頭を掻きながら、龍誠が答えるがヴェネラナは、
「ですが授業態度は大変真面目だったと聞きましたよ」
「全然覚えれないんですけどね……まあ根性で覚えます!」
いつも難しいこと等は全部戦兎に任せていたのだが、これに関してはそう言うわけにいかない。これはいつもテストの時に用いている戦兎お手製の強制勉強装置を使うしかあるまい……
そう固く決心した龍誠だが、そんな龍誠を見て、ヴェネラナはクスクスと笑い、龍誠は首を傾げる。
「結婚式の時も思いましたが、真っ直ぐな方ですね」
「バカなんで前しか見えないだけですよ」
何を!とヴェネラナから離れたミリキャスの相手をしていた戦兎の言葉に龍誠が怒るが、ヴェネラナは笑みを崩さず、
「まさかあの時は、悪魔になったばかりのリアスの眷属がライザー殿を倒すとは思いませんでしたが……」
「あはは~」
その件に関して龍誠は、ただ笑うしかない。だがそんな龍誠を見て、ヴェネラナは更に口を開く。
「あの子がライザー殿との結婚を嫌がった気持ちを分からない訳ではありませんでした」
「え?」
ヴェネラナの言葉に、龍誠はポカンとし、戦兎はそれとなくミリキャスを部屋から連れ出した。
それからヴェネラナは言葉を続け、
「ただライザー殿が将来有望な悪魔でしたし、結婚してから芽生える愛というのもあります。」
「す、すみません……」
龍誠が遠い目をしながら謝ると、ヴェネラナは責めてるわけじゃありませんと応えた。
「もちろん最初はどんな人かと思いました。でもリアスが手紙を書く時は勿論皆さんのことを書くのですが、長いのは必ず貴方のことを書いてありました。貴方が何をしたとか貴方と何をしたとか。毎日が楽しそうで、見ているこっちまで楽しくなりましたよ」
そういったヴェネラナは、龍誠をまっすぐ見ると、
「龍誠さん。リアスどうかよろしくお願いします」
「……はい」
龍誠は唾を飲み込んでから、しっかり頷く。だがヴェネラナはこっそりそっぽを向くと、
「まあ二人のペース任せてたら万年経っても進展しなさそうなのでこれからも後押ししますが……」
「なんか言いました?」
いいえ?とそしらぬ顔で返事したヴェネラナと龍誠は話が終わると、戦兎とミリキャスは?となり外に出た。すると、
「変身!」
『え?』
《鋼のムーンサルト!ラビット!タンク!イエーイ!》
なんだ?と二人が見てみると、ビルドに変身した戦兎が、ミリキャスの前でポーズを決めているところだ。
「なにしてんだ?お前」
「ん?あぁ、ミリキャス様にせがまれてな」
龍誠が声を掛けると、戦兎とミリキャスが気づき、振り替える。
「どうですか?」
「凄くかっこいいです!」
振り返った後、戦兎が聞くとミリキャスは眼をキラキラさせながら答える。すると、
「ぼ、僕も使えないんでしょうか!?」
『え!?』
突然のミリキャスの問いに、戦兎と龍誠が眼を見開いて驚く。まあ確かに好奇心をくすぐるだろうが多分無理だろう。そう伝えると、ミリキャスは素直に、
「そうですか……」
そう言って落ち込んでしまった。いや仕方ないとはいえ結構罪悪感がある。するとヴェネラナが、
「あの、それは危険なものなんですか?」
「いえ、変身出来なくても電流が流れるだけなので怪我もしないとは思いますが……」
精々電流が流れた時に驚いて転んで擦りむいたりする程度だろう。そう伝えると、ヴェネラナは申し訳なさそうに、
「それなら少しだけやらせてやって下さいませんか?あのくらいの子供は一回経験させないと諦められませんので……」
「い、良いんですか?」
戦兎は改めて確認を取ると、ヴェネラナは頷き、
「痛い目に遭うのも経験ですから」
意外とスパルタである。まあ怪我しないのを確認しているし、問題ないかと、戦兎はビルドドライバーを外して、
「ミリキャス様。一回やってみます?」
「良いんですか!?」
パアッと眼を輝かせてミリキャスは、戦兎からビルドドライバーを受けとると、腰に装着して一緒に受け取ったラビットフルボトルとタンクフルボトルを振って、
《ラビット!タンク!ベストマッチ!Are you ready?》
「へん……しん!」
《はが、ねの!ムー!ンサル!ト!ラビビビビビビ!》
『あ……』
「うわぁ!」
バチィ!とベルトから電流が走り、ミリキャスは途中までは変身できていたのだが、解除されてしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
「だ、だいじょうぶでぇす……」
ピヨピヨと頭に鳥が飛びそうな感じで眼を回すミリキャスに駆け寄りながら龍誠は、
「流石に無理だよなぁ」
「まあそもそもハザードレベルに適正があるか分からないし、レベル上げるには長い期間フルボトルに触れておく必要があるからな」
龍誠に戦兎はそう返しつつ、ミリキャスを見る。
変身はできなかったが、途中までは出来ていた。ハザードレベルに適正が無い場合、ボトルを挿して回し始めた時点で解除されてたはず。だが、フレームが出る所までは出来ていた。それはつまり……
(まさかな)
戦兎は頭を振るう。魔王の息子でハザードレベルに適正があるとかとんでもないじゃないか。これでは自分の影が薄くなってしまうと、戦兎はとっとと忘れることにしたのだった。
その後すぐに復活したミリキャスに、クローズも見せてやっていたところ、リアス達と共に戦兎と龍誠は冥界の都市の一つ、ルシファードというところに来ていた。
ここでは、これから若手悪魔の顔合わせがある為やって来たのだが、リアスは緊張した様子だ。そこに、
「リアス。お前も来たのか」
『ん?』
目の前からやって来た三人組に、戦兎と龍誠が首を傾げると、
「サイラオーグじゃない。久し振りね。フウとライも元気そうじゃない」
「お久し振りです、リアス様」
「ちぃっす。いっで!」
サイラオーグと呼ばれた男の左右にいた二人の男が挨拶を返し、軽いノリで返事した男がもう一人の男に拳骨された。
「何すんだよ兄貴!」
「何もあるか!なんだその挨拶は!お前はいい加減礼儀を覚えろ!」
「良いんだよ。そう言うの苦手だし兄貴に任せる。俺は肉体労働担当さ」
そういう問題ではない!と兄貴と呼ばれた男は怒鳴る。それを見ていたサイラオーグは、
「全く。喧嘩をするな」
『……はい』
決して怒った言い方ではない。普通の口調でいい、それの二人は従う。それからリアスは、
「彼はサイラオーグ・バアル。私の母方の従兄弟よ」
「え?確かバアルって大王家の……」
と戦兎が言う。大王家とは冥界の格付けで言うと、魔王に並ぶ立ち位置の家柄だ。しかも母方のということはヴェネラナはバアル家の人だったということか。
「そして後ろの二人はフウとライ。悪魔としては珍しい双子の悪魔でね。サイラオーグのポーンとして活躍してるわ」
「あれ?でもライザーのところにもいませんでしたっけ?」
「あの子達は転生前は別の種族だもの。でも二人は純血よ」
そうリアスが紹介すると、純血の悪魔も眷属悪魔になれるんだと感心していた戦兎と龍誠の前に、まずは緑色のスカーフを首に巻いた男が前に出る。
「私はフウ。サイラオーグ様のポーンです。駒の数は二つです。噂は聞いてますよ」
そう言って握手を求められ、戦兎と龍誠は握手に応じる。それから次は白いスカーフを巻いた方が来て、
「俺はライだ。よろしくな」
と同じく握手。すると、
「っ!」
最初に握手に応じた戦兎が苦悶の表情を浮かべる。何故か?それはこのライがバカみたいな握力で手を握ってきたのだ。なので慌てて離して手を振る。
そして今度は龍誠だが、
『っ!』
ミキィ!と今度は互いの手が軋む。表情は変えていないが、手が赤くなるほど力を込め、歯を噛み締める。暫くそうして、どちらともなく手を離すと互いに手を振る。
「結構握力には自信があったんだがな」
「これでも鍛えてんだよ」
苦笑いを浮かべるライと、ふふーんと鼻をならす龍誠という構図だが、二人は意気投合したらしく仲良く談笑しだした。そんな二人の様子を見ていた戦兎のところに、フウが来る。
「申し訳ない。アイツは悪い奴ではないんですが少々考え無しな所があるというか……」
「お互い苦労するな」
とこっちの二人まで意気投合したらしい。そんな様子を見たリアスはサイラオーグを見て、
「それにしてもなんで貴方がココに?まだ会場に入ってなかったの?」
「下らん喧嘩を見たくないだけだ」
ため息を吐きつつ、そう吐き捨てたサイラオーグに、リアスが首を傾げた次の瞬間。
『っ!』
サイラオーグの後方のドアが突然爆発し、吹き飛んだ。
「なに!?」
「ゼファードルとシーグヴァイラが言い合いになってな。全く。だからこんな場は不要だと進言したんだ」
そう言いながらサイラオーグ達と共に吹っ飛ばされたドアから入ると、
「ゼファードル。余程死にたいようね。上に咎められないなら私が殺してあげるのだけれど」
「はっ!そんなんだから処女やってんだろうが。俺が開通式してやろうか?」
なんだあの下品な奴は……と戦兎が呟くとフウが、
「彼方の男性はゼファードル・グラシャラボラス。現アスモデウス様の出であるグラシャラボラス家の次期当主様でございます。元々は次期当主とされていなかったのですがその方が急遽亡くなられた為、その座についたそうです。そして彼方の女性はシーグヴァイラ・アガレス様ですね」
それと……とフウは別方向を見たので、戦兎はその方を見ると二人のやり取りを遠くで笑みを浮かべながら見ていた糸目の男がいた。
「あの方は現ベルゼブブ様の出であるアスタロト家の次期当主様の方です」
「詳しいな」
それほどでもとフウが返す中、サイラオーグが喧嘩している二人に近づく。
「そこまでだ二人とも。それ以上やるなら俺が相手になる」
「あ?」
サイラオーグの言葉に反応したのはゼファードルと呼ばれた男だ。
まさか本気でやる気かと戦兎が思った時、リアスが口を開く。
「戦兎。見ておきなさい。若手No.1悪魔の力をね」
「若手No.1悪魔?」
戦兎がポカンとしながら、サイラオーグを見ていると、
「なんだぁ?このバアル家のでき損なごげぇ!」
「忠告はしたぞ」
サイラオーグに向かって拳を握り殴りかかったゼファードルだったが、後から反撃したはずのサイラオーグの拳が先に刺さり、ゼファードルはそのまま後方に吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた。
たった一発。だがその一発でも重く、そして速い。変身しない状態で喰らったら無事で済む自信がない。と言うか変身してても喰らいたくない。
そう思わせるほどの破壊力が、今の拳にはあった。
「早速一悶着あったようですね」
そんな時、最後にやって来たのは匙達を引き連れたソーナが入ってくる。
「全く。こう言う場でくらい静かにできないのかしら」
「まあ仕方ないわよ」
ソーナのため息とリアスの苦笑いが交わされる中、奥から別の人が出てきて、
「それでは皆さん。全員集まられたようですのでこちらにどうぞ」
そう言われそれぞれの主が奥の部屋に通され、眷属達は元々待たされていた部屋に残される。
「取り敢えずお茶でも飲んでるか」
「そうだな」
一応この部屋にもお茶位は用意してあるので、戦兎と龍誠はお茶を飲みながら待つことにした。
その頃奥の部屋では、リアス達が一列に並ぶ。
目の前には、サーゼクスやセラフォルーに、年老いた悪魔達が座っていた。
「よく集まってくれた」
そう口を開いたのは、魔王モードのサーゼクスだ。
「今冥界には危機が迫っている。君達も
サーゼクスの言葉に、リアス達若手悪魔は顔を少し見合わせ、
「それはレーティングゲームを行うと言う事でしょうか?」
「あぁ、若手悪魔同士でエキシビションと言う形で行う。その際は天界や堕天使界の識者を呼び、レーティングゲームの有用性を示すが、君達は気にせず全力を尽くして欲しい」
シーグヴァイラの問いに、サーゼクスは答える。そして言葉を続け、
「さて、次は君達の今後の目的について聞かせて欲しい」
それに最初に名乗りを挙げたのは、サイラオーグだ。
「俺の目標は魔王になる事です」
「ほぅ?」
老いた悪魔の誰かが息を漏らす。大王家から魔王になった者はいない。もしなれたなら前例の無い事である。だがサイラオーグは、
「冥界の民が俺が魔王になるしかないと感じれば自然となれるでしょう」
(凄い自信だわ)
リアスは息を飲み、続いて名乗りを挙げた。
「私は各種レーティングゲームの大会で優勝することが近い将来の目標です」
リアスの言葉に、サーゼクス達は頷く。そして二人が言うと、他の若手悪魔達も少し緊張が抜けたのか目標を口にして行き、最後はソーナに回ってきた。だが、
「私は冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」
「既に冥界にはいくつかある筈だが?」
「あれは上級悪魔や一部の悪魔にしか通うことが許されていません。ですが私は下級悪魔なども上も下も関係なくどんな身分の悪魔でも通える学校を作りたいのです」
ソーナの目は真剣そのもので、本気でそう思っている。だがそれを聞いた老いた悪魔達は、
「はっはっは!面白い冗談を言われる」
「全くですな。ソーナ・シトリー殿?貴女も知っての通り下級悪魔は上級悪魔に見出だされて初めて価値を得るのです。転生悪魔が幅を利かせ始めている中、そのような有象無象の存在に人手も時間も割けない。と言うか下級悪魔に授業をする教員などおりませんよ」
そう言って腹を抱えて笑うものもいる中、ソーナは涼しい顔だ。いや、付き合いの長いリアスは分かる。今ソーナは滅茶苦茶機嫌が悪い。必死にあれは怒りを我慢している顔だと。
だが我慢できないのもおり、
「通してください!真羅副会長!あの爺ども一回文句いってやる!」
「やめなさい!」
主を待つ部屋にてブチキレているのは匙だ。そしてそれを止めるのは、生徒会副会長にして、ソーナのクイーンである真羅 椿姫である。そこに、
「おい匙。落ち着け!」
と、戦兎の指示で龍誠が後ろから羽交い締めにして止めた。
「ここでお前が行っても事態が悪化しても好転することはねぇよ」
「っ!」
最後に戦兎から言われ、匙は悔しそうに噛み締める。すると、
「ま、ああいう手合いには何言っても無駄だろ」
「ライ?」
少し離れていたライがやって来るとそう言い、戦兎が首を傾げる。
「あの手はこちらが何を言っても堪えません。スルーするのが得策ですよ」
フウもライに同調し、それを聞いた面々は顔を見合わせ、
「なんか説得力あるな」
そう戦兎は言った。それにたいしてフウが、
「一応皆様とは違い生まれた時から悪魔でしたので色々」
フウはいう。純血とは言え両親が下級悪魔で、流行り病で死別。貧しい家柄だった為親戚がおらず、長いこと二人だけで生きていたらしい。その後、サイラオーグに拾われポーンになったとのこと。
つまりサイラオーグは二人にとっては恩人ということらしい。
「サーゼクス様を筆頭とした現魔王様方のお陰で私達のような悪魔は今や極少数です。ですがゼロじゃない。どんなに手を尽くしても、あのような年配の悪魔の方々はケチをつけ足を引っ張る。と言うかそもそもあの方々にとって悪魔は自分や上級悪魔のことを差すのでしょうし、私達のような下級の更に下のような悪魔は道に転がってる石ころのようなもの。それを救済しようと言うサーゼクス様達や、ソーナ様のような考えとは永遠に相容れないものなのでしょう」
「じゃあ好きに言われて黙ってろって言うのかよ……」
匙が呟くと、フウは頷く。
「えぇ、先程言ったようにスルーするのが一番です。ああいうのは言わせておけば良い。私達は
そう締めくくったフウを見て、匙はそうかと力を抜く。
戦兎や龍誠も、まあそれしかねぇわなと肩竦めた。あの爺共が何を思おうと関係ないのだ。
戦兎と龍誠にはリアスが、フウとライにはサイラオーグが、そして匙にはソーナがいる。なら自分達下僕がやらなきゃならないのは主の夢を叶えることなんだから。それに、
「それに、今バカにされたってそれをバネに頑張ってあの爺共を見返せば良いじゃねぇか」
というのはライだ。そして更に言葉を続け、
「悪魔は実力でのし上がることだって出来る。俺達がのし上がってそれを従えてる主はすげぇって思わせれば向こうの態度だって変わるぜ?俺たちの活躍は引いては主の活躍なんだからな」
「お前意外と頭良いな!」
ライに向かってサラッと失礼なのは龍誠だ。だがライは気にした様子はなく胸を張ってるくらいだ。ある意味大物なのかもしれない。
すると、そんなやり取りをしていたところに、
「あら、すっかり仲良くなったみたいね」
『部長?』
奥の部屋から退室してきた主達が
それぞれの眷属の元に戻ってくる。
「それではなリアス」
「えぇ、貴方もね」
次に戻ってきたサイラオーグはフウとライを連れて行く。
「では失礼します」
「じゃあな~」
一礼するフウと、手を降って去っていくライという対称的な後ろ姿を見ながら、
「ではいきますよ匙」
「あ、はい!」
匙も戻ってきたソーナと共に行き、途中でソーナは足を止めた。
「リアス。負けませんからね」
「こっちもよ」
ソーナの呟きにリアスは返すと、ソーナは去ってしまう。
「負けないって何かあったんですか?」
「若手悪魔同士でレーティングゲームを行うって事になったんだけどね。最初の相手はソーナになったのよ」
初っ端から強敵ね。とぼやくリアスに、戦兎は苦笑いを浮かべながら、
「大丈夫ですよ。誰が相手だろうと俺達は負けませんから」
「そうね」
戦兎の言葉に、リアスは頷く。そして、
「さぁ、帰ったら早速修行が始まるわ。まずはソーナ戦に向けて励みましょう」
『はい!』
リアスの檄に、戦兎と龍誠は返事をし歩き出す。だがまさか修行があんなだとは……この時の二人は思いもしなかったのだった。
今作では珍しいオリキャラのフウとライですが……名前でなんとなくモデルは分かるかな……