ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「修行を終え、レーティングゲーム前のパーティーに参加していた俺たちあったが、そこに現れたのはなんと塔城のお姉さん!」
龍誠「そして俺達は更に美猴も入れて2対2の戦いになる!」
戦兎「しかし黒歌って塔城と全然違うよな」
???「例えば?」
戦兎「だってスタイル良いし大人っぽいし対極的って……ん?」
小猫「悪かったですね。色々小さくて」
戦兎「あいやぁ……そのぉ……」
龍誠「と言うわけで35話始まります」


ビルドの真価

「おおおおお!」

先に走り出したのは龍誠だ。それを迎え撃つのは美猴。

 

まずは龍誠はビートクローザーを、美猴は棒を構え、まずは美猴が先に出た。

 

「伸びろ棒よ!」

「あっぶね!」

 

殆どノーモーションで延びた棒の先は、龍誠の顔面に迫るが、それをギリギリで避けて間合いを詰める。

 

「喰らえ!」

「喰らうかぁ!」

 

ビートクローザーを龍誠は振り下ろすが、それを美猴は元の長さに戻した棒で受け止めた。

 

「鬱陶しい棒だな!」

「如意棒っていうんだ。便利だろ?」

 

ぐぎぎ!と押し合う。確かに伸び縮みする棒は厄介だが、ここまで至近距離になれば伸び縮みの意味はない。ので、

 

「おらぁ!」

「がっ!」

 

ガスッ!と美猴の頭と龍誠の頭がぶつかり合う。龍誠の頭突きをまともに喰らった美猴が、視界がチカチカするような感覚がしたが、龍誠は構わず頭突きを放つ。

 

「っ!」

 

流石に連続で喰らうのは嫌なのか横に跳んだが龍誠はそのまま追う。しかし、

 

「おらっ!」

「ごぇ!」

 

走り出したタイミングに合わせて美猴の蹴りが龍誠の胸に炸裂した。

 

「舐めんな!」

「この!」

 

美猴は更に追撃をかけようとして拳を握る。だが龍誠も拳を握ると、

 

『おらぁ!』

 

ミシィ!と互いの顔面にそれぞれの拳が刺さり、その衝撃でよろける。

 

「やるじゃねぇか」

「てめぇもな!」

 

龍誠は気合いを入れ直すように拳で掌を叩くと、全身から蒼炎を滾らせて身体能力を上げるブレイズアップモードになると右拳に炎を集め、美猴を狙う。

 

しかし美猴もやられるだけではない。龍誠と違い炎ではなく、気を集めることでまるで太陽のように輝かせると、

 

『もういっちょ!』

 

何度も何度も殴り合う。それを尻目に戦兎と黒歌は睨み合っていた。

 

「嫌ねぇ。ああいう野蛮なのって」

「そうかい!」

 

戦兎は修理したドリルクラッシャーをガンモードにし、黒歌を撃つ。それを黒歌は避けるどころか、腕を広げてわざと喰らうが、

 

「なに?」

 

ドリルクラッシャーの銃撃を受けて、黒歌の胸に大穴が空き、地面に落ちる。しかし黒歌はケラケラ笑いながら体がドロドロと溶け、地面に染み込むと、何体もの分身を作り出し、戦兎を取り囲む。

 

「ちっ!」

《忍者!コミック!ベストマッチ!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《忍びのエンターティナー!ニンニンコミック!イェーイ!》

 

戦兎は素早くボトルを入れ換えると、ニンニンコミックに姿を変え、

 

《分身の術!》

「はぁ!」

 

分身し、数を増やした戦兎は、同じく分身した黒歌を迎え撃つ。

 

「へぇ、そう言うのも出来るのね。でも!」

 

分身した戦兎達が四コマ忍法刀を手に黒歌に斬りかかった。その時!

 

『嘘だろっ!?』

 

一人は突然地面が沼に変わり腰まで沈み、別のものは地面から生えた枝が巻き付き動けなくされ、また別のは黒歌を斬った時に、黒歌の体がスライムのようになり、四コマ忍法刀から戦兎の体に巻き付く。

 

そして、

 

「ざぁんねん」

「っ!?」

 

分身が動けなくされる中、一人だけ自由だった戦兎は、黒歌の声を聞いて上を見る。するとそこには、既に魔力を溜め、巨大なエネルギーを作った黒歌がいた。

 

「ま、雑魚が何人いたって同じよね」

 

黒歌はそう吐き捨てると、それを地面に向けて発射。それと同時に爆発が起きる。

 

「先輩!」

 

小猫が声を上げた。しかし、

 

《不死身の兵器!フェニックスロボ!イェーイ!》

「え?」

 

空から様子を見ていた黒歌が、声を漏らすと同時に、地面を包んでいた煙が炎によって吹き飛ぶ。その中心に居たのは、赤と黒のボディに姿を変えた戦兎だ。

 

「その程度か?」

「っ!」

 

空中にいた黒歌は、戦兎の言葉に苛立ちを覚え、地面に降りるとどす黒いオーラを出しながら、

 

「嘗めるんじゃないわよ!」

 

そう言って地面に手を置くと、同時に木の枝が生え、戦兎に襲いかかる。

 

「はぁ!」

 

だがそれをフェニックスの力で産み出した炎で消し去ると、レバーを回す。

 

《Ready Go!ボルテックフィニッシュ!》

「おぉおおおおお!」

 

体を炎が包み込み、炎で作られた羽で空を飛ぶと、戦兎はそのまま黒歌に向けて突進。しかし黒歌も、

 

「させるかぁ!」

 

黒歌が力を込めると、地面が隆起し壁を造る。だが戦兎はそのままロボットのアームのようになっている方の腕を高速回転し、まるで削岩木のように黒歌の壁を削っていく。

 

「嘘でしょ!」

「はぁあああああ!」

 

そのまま壁を突き破った戦兎だったが、黒歌はギリギリで回避する。戦兎はそれを目で追いながら、新たにボトルを入れ換えた。

 

《ウルフ!スマホ!ベストマッチ!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《繋がる一匹狼!スマホウルフ!イェーイ!》

 

今度のベストマッチはスマホウルフ。鉤爪とスマホ型の盾を装備した姿で、そのまま戦兎が腕をかざすと、スマホのアプリのアイコンようなものが空中に浮かび上がり、黒歌を取り囲むと、

 

「行くぞ!」

 

戦兎は外からそのアイコンに飛び込むと、姿を消してしまう。

 

「成程。アイコンに入ることで姿を隠せるのね。ただ忘れてないかしら?仙術を使える者は……」

 

そう言いながら黒歌は背後を振り返る。するとそこには、戦兎が飛び出す瞬間で、

 

「気配に敏感なのよ!」

 

そう言って気弾を黒歌は放つ。だが戦兎と黒歌の間に、

 

「なっ!」

 

別のスマホアプリのアイコンが現れ、戦兎はそのまま飛び込み回避し、流れるように黒歌の背後に別のアイコンを出現させ爪の一撃を放つ。

 

「ちぃ!」

 

それをギリギリで避けた黒歌は、一気に飛び上がってアイコンの囲いから抜け出すと、またもや分身して今度は逆に戦兎を囲うと、そのまま先程のより強力な気弾を発射。だがその直前に、

《タートル!ウォッチ!ベストマッチ!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《時を駆ける甲冑!タートルウォッチ!イェーイ!》

 

新たに選択したのはタートルフルボトルと、ウォッチフルボトル。高い防御と、ウォッチフルボトルによる体感時間を伸ばすことが出来る。

 

その力により、戦兎の時間がゆっくりと動き始める。ゆっくりと迫る気弾。その中を戦兎もゆっくりと動く。周りの時間を遅くして自分はいつもと同じ速度で動けるなら良いのだが、流石にそこまで甘くはない。

 

だが戦兎は、慌てることはなく肩についている亀の甲羅型の防具を外して手に着けると、気弾に当てて逸らしていく。

 

全方位からの気弾とは言え、全く同じタイミングで発射された訳じゃない。微妙にずれがある。

 

そして先程のより強力なのを加味すれば幾ら防御寄りの力でも受けるのは得策じゃない。

 

だがこの防具を利用して、気弾を逸らすなら可能だ。なら順番に、一番速く近づいてきてるのから逸らしていけば、

 

『きゃあ!』

 

序でに逸らした気弾を黒歌の分身に当てて攻撃。本体の黒歌だけは避けたようだが、忌々しげに顔を歪めて、

 

「ならこれはならどう!」

 

そう言った黒歌の周りに石が集まり、先を尖らせて戦兎に向けて発射!

 

《ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェーイ!》

 

黒歌に合わせてと茶色と水色のビルドに姿を変えた戦兎は、素早くレバーを回し、

 

《Ready Go!ボルテックフィニッシュ!》

 

戦兎が手をかざすと、巨大なダイヤモンドが形成され、もう一方の巨大なゴリラのような腕を構え、それをぶん殴るとダイヤモンドは砕けながら黒歌の石礫とぶつかり合う。

 

「くそ!くそ!」

 

黒歌は悪態をつきながら次の手を考える。何をしても次々手を変え品を変えて攻略してくる。

 

いったいどれだけ能力を持っている?どれだけ手数を増やせばこいつを上回れる?何をしても意味がない戦兎に、黒歌は今までにない焦りを感じていた。

 

(あれがビルド本来の戦い方……)

 

それを見ながらリアスも息を飲む。龍誠と戦兎……純粋なパワーなら、昇格(プロモーション)せずとも変身状態で既にルークに匹敵する龍誠に、あれほどの手数を見せてもボトルの数を考えればまだまだ余裕がある戦兎。

 

(既に上級悪魔……いや、自分の得意分野でならその上に届きかねないほど)

 

自分の眷属の規格外さに、改めて戦慄する中、戦兎は更に動く。

 

《スパイダー!冷蔵庫!ベストマッチ!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《冷却のトラップマスター!スパイダークーラー!イェーイ!Ready Go!》

 

戦兎は姿を変え、そのままレバーを回してから、蜘蛛の糸を射出。

 

「くっ!」

 

その糸で黒歌を捉えると、自分の方に引き寄せ、そこに冷気を噴出して黒歌を凍りつかせて動きを封じる。

 

「う、動けない……」

 

必死に逃げようと黒歌は動こうとするが、蜘蛛の糸で絡めとられてる上に、凍らされてるのだ。動けるはずもない。まるでそれは、クモの巣に捉えられた蝶のようで、

 

《ボルテックフィニッシュ!》

 

そして戦兎の背中から蜘蛛の足のようなものが生え、一斉に黒歌に襲い掛かる。

 

「きゃああああああ!」

 

蜘蛛の糸は千切れ、氷は砕けるが黒歌も吹っ飛んで地面を転がった。

 

「く……がはっ!」

「もう諦めろ黒歌。分かっただろ。お前じゃ俺には勝てない」

 

戦兎はそう言う。だが実際今の時点でも戦兎に勝とうと思えば、戦兎以上の手数を持つか、戦兎がどんな手でも関係ないパワーが必要だ。

 

だが前者は殆ど不可能だろう。そして後者だが、パワータイプにこそああいった手数の多さが有効なことも多い。中途半端なパワータイプでは突破できないだろう。

 

(ボトルの力を熟知するだけであそこまでになるなんて……)

 

リアスは改めて息を呑む。そしてその間に黒歌は立ち上がり、

 

「舐めんじゃないわよ……まだまだ元気だっつうの!」

 

あながち空元気ではなさそうだ。その証拠に黒歌の体から溢れるオーラは減るどころか寧ろ増えてる。

 

「ぶっとべぇ!」

 

そのオーラを一点に収束させ、黒歌は全力全開の気弾を放つ。それはまさに乾坤一擲の一撃だ。だがそれを戦兎は上に飛んで回避しつつ、

 

《ラビットタンクスパークリング!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング!イエイ! イエーイ!》

 

ラビットタンクスパークリングに姿を変えた戦兎は、黒歌を見据えると静かにレバーを回す。

 

「勝利の法則は決まった!」

《Ready Go!》

 

そしてそのまま蹴りの体勢に入ると、そのまま一気に黒歌に向けて蹴りを放った。

 

《スパークリングフィニッシュ!》

(不味い!避けきれない!)

 

戦兎の蹴りを見ながら、黒歌は避けられないことを悟り咄嗟に防御体勢に入る。その時、

 

《スクラップフィニッシュ!》

「ぐぁ!」

 

戦兎は、突然の横からの衝撃に蹴りを中断させられ、地面を転がった。

 

「お前は……」

「ヴァーリ!」

 

戦兎と黒歌が声を漏らすが、離れて戦っていた龍誠や美猴、更にリアスや小猫も驚く中、

 

「なにやってんだお前らは」

「何しに来たのよ」

 

黒歌がヴァーリに詰め寄るとそこに、

 

「全く。勝手な判断は止めていただきたいものですね」

「あんたまで来たわけ……」

 

黒歌がため息を吐きながら見た先にいたのは、金髪の眼鏡を掛けたハンサムな男だ。腰に一本と手に一本。合わせて二本の剣を持っているが、突然戦兎達を激しい悪寒と頭痛が襲う。

 

「なんだ?」

「まさか聖剣?」

 

リアスが呟くと、眼鏡の男は腰の剣に手を掛け、

 

「気になりますか?こちらは支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)。そしてこれはコールブランドと言います」

「コールブランドって……聖王剣・コールブランド!?史上最強の聖剣なの!?」

 

リアスが驚く中、戦兎は周りを見回し作戦を建てる。

 

この場でヴァーリとあの眼鏡も増えれば今の戦況をひっくり返される可能性がある。

 

そう思っていると、

 

「まぁいい。とっとと引き上げるぞ」

「え!?何でよ!」

 

ヴァーリの撤退指示に、黒歌は怒るが、

 

「気を探ってみろ。頭に血が昇ってて気が着いていないようだが、来てるぞ」

「あ……」

 

黒歌は一旦冷静になり、何かを探るような仕草をし、

 

「まさか」

 

と呟いてからリアスを見た。

 

「恐らく戦ってる隙を見て援軍を呼んだんだろう。このままだと囲まれるぞ」

 

リアスもただ見ていた訳じゃない。隙を見て、使い魔を通じて会場にいる者達に援軍を頼んだのだ。

 

「つうわけだ。とっとと逃げるぞ」

《ディスチャージボトル!》

 

ヴァーリはそう言って消しゴムフルボトルをスクラッシュドライバーに挿入し、それに合わせて相手達はヴァーリの元に集まる。

 

「あ!逃げんのかよ!」

「うるせ!こっちだってそんな数の相手できっか!」

 

キーキー!と騒ぐ龍誠と美猴を尻目に、黒歌は小猫を見た。

 

「本当にそっちにいるつもり?」

「……はい」

 

小猫ははっきりと意志を示し、黒歌は肩を竦める。

 

「行くぞ」

《ツブレナーイ!ディスチャージクラッシュ!》

 

ヴァーリがレバーを下ろすと、そのまま全員姿を消してしまう。それを見届けてから戦兎と龍誠は変身を解除し、

 

「二人とも。お疲れ様」

「いやいやこの程度何てことないんですよ」

 

リアスの言葉に、龍誠が返すと小猫が、

 

「あの、戦兎先輩」

「ん?」

 

静かにやって来た小猫は、戦兎に話しかけると、

 

「その……ありがとうございました」

 

そう言って頭を下げる小猫に戦兎は、

 

「気にすんなよ」

 

戦兎はそう言って笑みを浮かべた。何時ものような、自信満々だったりカッコつけたような笑みではなく、自然に出た優しい笑みだ。

 

「っ!」

 

その笑みに、小猫の頬がカアッと熱くなる。いつもとは違う戦兎の顔。そして今回は喧嘩したばかりなのに助けてくれた。

 

言っておくが、戦兎は元々顔立ちは良い。加えて一番モテない原因なのは、常識よりも研究や、自分の欲求を優先しすぎる面があったのが理由で、そこさえなければ面倒見はよく、困ってるやつは見捨てないお人好しだ。

 

「どうした塔城?」

「い、いえ……」

 

まさか、そんな馬鹿なと小猫は自問自答する。もしかして自分って結構ちょろかった?だってあの戦兎だ。

 

性格悪いし口も悪いしすぐ人のことチビ扱いするし。

 

「嘘だ……」

「何が嘘だって?」

 

遠くからやって来る援軍の音を聴きながら、小猫はガックシと肩を落とす。

 

それを見ながら、戦兎はずっと首を傾げているのだった。

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