ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「黒歌との激戦から数日。俺達は遂にレーティングゲームの日を迎えていた」
龍誠「しかしそれにしてもここ最近の事件遭遇率異常じゃね?」
戦兎「確かにな……まるでそうなることが決定していたレベルだ」
匙「ってちょっとまて!それより俺の秘策も遂に明かせれるぞ!って紹介だろ!?台本にはそう書いてあるぞ!」
戦兎「いやこのあらすじ紹介基本的に自由にやってて台本なんてあってないようなもんだからさ」
匙「マジかよ!?じゃあせめてこれだけは言わせてもらう!36話始まります」
戦兎「それ俺の台詞!」


2度目のレーティングゲーム

「失態ですね」

 

リアス達の帰還後、三大勢力の幹部達が集まり、シェムハザの小言が始まった。だがアザゼルは自分の部下の言葉を右から入れて左に流しつつ、

 

(想像以上に強くなってたな。あいつら……)

 

黒歌や美猴はSSクラスの相手だ。それを相手にして無事どころか戦兎は圧勝、龍誠も互角だったらしい。互角と言っても、向こうはボコボコで、龍誠は殆どダメージを喰らってないのだから、勝ったと言って良いだろう。

 

そう思っていると、

 

「何じゃ。若造どもは老体の出迎えも出来んのか?」

「あん?オーディンの爺じゃねぇか」

 

ドアが開かれ、入ってきた老人にアザゼルが呟く。

 

彼はオーディン。三大勢力とは別の、北欧の神話体系の主神で、今回の若手悪魔同士のレーティングゲームの観戦に来てほしいと、サーゼクス直々に要請したのだ。

 

勿論。ただ見てもらいに来た訳じゃない。禍の団(カオス・ブリゲード)の驚異は今や三大勢力の範囲だけじゃない。北欧神話の領域にも被害が出ている。

 

その為、北欧神話とも協力体勢をと言う事になったのだが、アザゼルはオーディンと言うのが苦手だ。いや悪い奴じゃないし、北欧の中では話が通じる奴だ。だが反面この口の減らなさと、自分がまだ堕転する前からの知り合いのなので、未だにこちらを子供扱いしてくる。

 

ようは苦手と言うよりは、頭が上がらないに近いのだ。そこに、

 

「お久し振りです。オーディン殿」

「おぉ、サーゼクスか。お主も大変じゃのう。本来のルシファーの子孫は今ではテロリスト。悪魔も前途多難じゃのう」

 

そう嫌みを言ったオーディンは、今度はセラフォルーを見る。

 

「しかしセラフォルーよ。お主のその服装はどうしたのじゃ?」

「最近の流行りの服ですわ」

 

そう言ってオーディンが見るセラフォルーの服装は、彼女お気に入りの魔女コスだ。

 

まあ公式的な場ではないので、何を着ても問題はないのだが、些か派手ではある。そう言う事を、オーディンは言うのかと思いきや、

 

「ふむ。これは悪くないのう」

 

思いっきり鼻の下を伸ばして、セラフォルーを見ていた。確かに今の彼女の格好は、スカートの丈は短めで、動くとチラホラと……

 

「オーディン様!卑猥な事は止めてください!」

 

そこに飛び込んできたのは、鎧に身を包んだ女性だ。その声を聞いたオーディンはやれやれと肩を竦めると、

 

「相変わらず堅いのう。ロスヴァイセよ。そんなんじゃから勇者の一人も出来んのだぞ?」

「そ、それは今関係ないことでしょう!」

 

オーディンの言葉に、ロスヴァイセと呼ばれた女性は吠えるが、私だって彼氏欲しいと、その後すっかり落ち込んでしまった。

 

それを尻目にオーディンは、

 

「しかし今回のレーティングゲームの対戦はサーゼクスとセラフォルーの妹か……これは面白いことになりそうじゃの。してお主達の予想はどっちが勝つんじゃ?」

 

どう答えるのか分かった上で、オーディンは意地の悪い質問をした。それに対してサーゼクスとセラフォルーは、

 

『うちの妹が勝つに決まってます(よ)(わ)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな上役達の話し合いから数日。遂にその日はやって来た。既に黒歌戦での疲れはない。

 

そう思いながら、戦兎達は待合室になっている部屋で思い思いに時間を潰していた。

 

そこに試合時間になった事を知らせるチャイムが鳴ると、

 

「さぁ、行くわよ皆!」

 

幼馴染みで親友のソーナとの戦いに、気合いを込めるリアス。それに応じるように戦兎達眷属も、気合いを込め直して、会場に行く為の、転移用の魔方陣に飛び込む。

 

そして着いたのは、

 

「あれ?」

 

皆は転移先の光景に首を傾げる。何故ならここは、戦兎達もよく利用する駒王学園の近くにあるデパートだ。

 

そしてそこに放送が入り、今回のステージはやはり近くのデパートを模していること、更に作戦タイムが三十分用意され、特別ルールとしてデパートの過度な破壊の禁止や、ギャスパーの停止世界の邪眼(フォービドウン・バロール・ビュー)の使用禁止などが伝えられた。

 

後者のギャスパーのは分かる。まだ制御が上手くいっていないようで、下手に使うと暴走の危険があるからだ。だが、デパートの過度な破壊と言うのはきつい。何せグレモリーチームはパワー特化過ぎる。振った衝撃波すら致命傷になりかねないゼノヴィアのデュランダルを筆頭に、リアスも朱乃も攻撃範囲が大きい。龍誠も格闘技メインとは言え、すぐ熱くなる悪癖がある。勢い余って余計なもんをぶっ壊してしまう……って言うのが冗談にならない。

 

精々周りに被害を出さずに戦えるのは祐斗か、ボトルによるが戦兎と小猫位である。まあ神器(セイクリットギア)無しならギャスパーも行けるだろう。

 

しかもこのデパート。ちゃんと商品の陳列なども再現されてる所為で視界が悪く、隠れやすい。これは罠の設置も容易だ。

 

正直、こちら側に相当不利な状況である。

 

とは言え、文句を言っても仕方ない。取り敢えず試合開始まで、相手チームのエリアにはいけない為、まずは自チームのエリアのどこに行くか作戦会議だ。

 

因みにエリアは、このデパートは二階建てで、一階がシトリーチーム。二階がグレモリーチームのエリアで、転送された場所が本陣。

 

自陣のキングが倒されるか、自陣を占拠されると敗けで、その逆をすれば勝てると言うわけだ。

 

「まず向こうがどう攻めて来るかよね……」

 

リアスがそう言うと、皆であーでもないこうでもないと話し合う。

 

ソーナ達は基本的に搦め手を得意とするテクニックタイプと言うこちらとは正反対のチームだ。

 

その為正面からは来ない……と思いたいが、それが狙いかもしれないと、考えれば考えるほど堂々巡りである。

 

それでも、取り敢えずはまずギャスパーに蝙蝠になってもらい索敵し、その後はと大まかな作戦を決め、試合開始までの時間それぞれで時間を潰す事になった。

 

このデパートは、先程も言ったように内装は本物とほぼ同じだ。

 

なのでフードコートにて簡単な食事も出来る。なのでリアスやアーシアとゼノヴィアはお茶をし、龍誠はゲームショップに来ている。

 

「ふむ……」

 

やはり今月は新作が多い。しかも中々面白そうだ。これ本物ならこっそりもらっていったら怒られるかなぁ、等と思っていると、

 

「面白そうなものはありましたか?」

「朱乃さん?」

 

背後から声を掛けられ、振り替えるとそこには朱乃がいた。

 

「えぇまあ……色々」

 

そう言って、龍誠は手に取っていたゲームを棚に戻すと、朱乃が突然抱きついて来て、龍誠は体を硬直させる。

 

「あ、あのどうしました?」

「勇気を……貰ってるんです」

 

その言葉に、龍誠は首を傾げた。それを見た朱乃は、

 

「この戦い。私は堕天使の力を使おうと思う。だから龍誠君。私が光を使うのを見てほしい。そしたら私は乗り越えられる気がするの」

 

そう願う朱乃の姿は弱々しく、儚げだ。そんな朱乃の姿に、龍誠はそっと抱き締め返しながら、

 

「分かりました。俺で勇気が出るなら見届けます」

 

そう言うと朱乃は、顔を綻ばせて龍誠を見て、

 

「嬉しい、私龍誠となら……何でも出来る気がする」

 

そう言って朱乃は目を瞑ったかと思うと、そのまま顔を近づけ、チュッと龍誠と唇を重ね合わせた。

 

「むぐっ!?」

「ん……」

 

朱乃の唇は、リアスのものとは全然違う。リアスの唇は温かく、包み込むような優しい感じだ。だが朱乃は、まるでマグマだ。脳をドロドロに溶かしてくるような……そんな感じだ。

 

「ふふ、少しだけ勇気の前借りしちゃった」

「っ!」

 

悪戯っぽい笑みを浮かべた朱乃に、龍誠は耳まで赤くして、口をパクパクさせている。

 

そんな光景を、

 

「ふむ……」

 

戦兎は暇だったため龍誠と話しでもするかとやってきたのだが、どうも取り込み中だったようだ。邪魔するわけにもいかないと、そこを離れて戦兎は本屋にやって来る。

 

本まで再現されているため、少し読んでみたかった本でも……何て歩いていると、

 

「あ……」

「ん?」

 

そこにいたのは小猫だ。なにやら一生懸命に本を読んでいたのだが、何を読んでいるのだろう?そう思って覗き込むと、

 

「気になるあの人に振り向いて貰える10の方法?」

「べ、別に良いじゃないですか……」

 

悪いとは言ってないぞと、戦兎は返しながら、

 

「しかし塔城も気になる相手がいるってことか。良いねぇ、皆恋してて」

 

戦兎がそう呟くと、小猫は本を戻してからこちらを見てきて、

 

「先輩」

「ん?」

 

少し瞳を潤ませ、下から覗き込むように見る。小柄で少しロリっけのある小猫がやるそれは、非常に保護欲にダイレクトアタックしてくる光景なのだが、

 

「どうした?」

「……いえなんでも」

 

戦兎には余り効果はないらしい。と小猫は思っているのだが実際は、

 

(あぶねぇ……頭撫でそうになった)

 

結構効いていたりする。元々面倒見が良いお兄ちゃん気質の戦兎は、こういう守ってあげたくなる系に弱い。ただだからといって、幾ら仲の良い後輩とは言え撫でたりするのはセクハラだろう。そういうのが許されるのはギャルゲーの主人公だけだ。

 

「それにしても向こうはどうくるだろうな」

「そうですね……一部の眷属は能力が分かっているのも居ますが分からないのも居ます。その反面こちらはほぼ全てバレてますし」

 

バレてて問題ないのは戦兎のビルドくらいだ。そのため恐らく向こうは、戦兎に対してはかなり注意を払ってくるだろう、と言うのはリアスの言葉。

 

実際まだ御披露目してないボトルもある。だがそれならそれで手を打つ方法はあるだろうし、油断はできない。それに、

 

「匙のやつが何か奥の手あるって言ってたしな……それも気を付けておかねぇと」

 

レーティングゲームはまだ二度目。大まかなルールはライザーの時と似ている。だが、前回よりも制約が多い。だがそれでも勝つしかない。

 

そう戦兎が言うと、

 

「戦兎先輩ってこういう時やっぱり頼りになりますね」

「それ普段は頼りねぇってことか?」

 

頼りない訳じゃないですけど、結構子供っぽいですね。小猫に言われて、戦兎はガックシ肩を落とす。すると戦兎はなにかに気づき、

 

「塔城。お前なんか顔赤くねぇか?」

「キノセイデス」

 

いや赤いだろ。と戦兎が顔を覗き込むと、更に赤くなる。

 

「お前体調悪いなら今からでも……」

「ダイジョーブデス」

 

困った、と小猫は内心呟く。ここ数日ずっとこうだ。戦兎のちょっとした動きや言動が、異様にカッコよく見える。

 

こうやって心配されるのも嬉しいし、心臓が早鐘を打つ。だが落ち着けと自分に言い聞かせる。これから戦いだ。冷静に落ち着いて、そして勝つ。

 

色ボケしてさっさとリタイアなんて情けなさ過ぎる。そう言い聞かせていると、

 

《それよりこれから試合開始となります。なお、今試合は3時間の制限時間付きとなっておりますのでお気をつけください》

「始まったか……行くぞ」

「はい!」

 

放送と共に、戦兎と小猫は指示されたポイントに向かう。途中で龍誠とも合流だ。

 

まず今回の作戦は、祐斗とゼノヴィアの機動力コンビは、屋上から遠回りして相手本陣へ、そして戦兎と龍誠に小猫のトリオは店内を通って本陣に向かう。勿論ポーンである戦兎と龍誠は昇格(プロモーション)を目的にだ。

 

機動力コンビには先に本陣に向かって貰い、昇格(プロモーション)を終えた戦兎体が更に押す。そして自陣を守りながら後方で様子を見て控えるリアスや朱乃が終盤でだめ押し、と言うのが流れ。その間邪魔が入るだろうが、極力戦闘を避けつつまっすぐ本陣にむかうべしだ。勿論その間ギャスパーが蝙蝠になって索敵は続けて異変を見つけたら教えてくれる。

 

かなり力押しにも見えるが、正直パワー特化しすぎなうちのチームは、邪魔に入ってきた奴等との戦闘にも注意を払わなくてはならないのだ。

 

注意を払いながらの戦闘は体力だけではなく精神力も削られるのだ。そもそも短期決戦だし、のんびりしていられないのもある。

 

しかし戦兎たちはゆっくり静かに店内を進む。幾ら短期決戦とはいえ、急ぎすぎれば敵の罠に嵌まる可能性がある。急ぎつつ速く、を心情に動いていると、

 

「待ってください」

「どうした?塔城」

 

小猫に止められ、戦兎と龍誠は足を止めると、

 

「誰か来ます」

 

小猫は耳が良い。そのためホンの僅かな物音にも気づく。

 

だがいっこうに現れない。小猫も可笑しいと眉を寄せる。音はすぐ近くなのに、と……だが小猫はハッと上を見た。

 

「上です!」

『っ!』

 

上からの突然の襲撃者に、三人は咄嗟に転がって避ける。

 

「流石に避けられるか」

「匙……」

 

成程。黒い龍脈(アブソーブション・ライン)でターザンしながら来たと言うことかと戦兎は納得する。これなら塔城が異音に気づいても反応が遅れるだろう。なにせ歩いてくる音を警戒してたんだからな。

 

その中、匙は背中に背負っていた同じチームの女の子を降ろしつつ、こちらを見据える。

 

それにしても何か匙の神器(セイクリットギア)の形状が変わったような……と戦兎が分析し始めたその時、

 

《リアス・グレモリー様のビジョップが一名リタイアです》

『っ!』

 

三人が突然の放送に驚くと、匙が笑みを浮かべた。

 

「多分やられたのはギャスパー君だな。こっちにも神器(セイクリットギア)が使用禁止なのは知らされてたからな。なら使ってくるのはヴァンパイア。しかも恐らく蝙蝠で索敵だろうって会長は読んでてな。だから少しうちの仲間がおかしい動きしたら釣れたんだろ。後は一階の食品エリアにつれてってニンニクぶつけるってのが作戦でな」

 

あいつニンニクにやられたのか……まあ半分とは言え、吸血鬼だもんな。と戦兎は肩を落とす。しかしここで気を落とす暇はない。しっかり仇は取らせて貰うよと戦兎は気を引き締める。

 

それは龍誠や小猫も同じようだ。だが匙は、

 

「悪いがお前らは俺がぶっ倒す」

 

そう言って匙が構えると、匙から下ろされた女の子が小猫を見ながら横に移動し、小猫もそれに応えて移動。

 

それから戦兎と龍誠はビルドドライバーを出し、

 

《ラビット!タンク!ベストマッチ!Are you ready?》

《ウェイクアップ!クローズドラゴン!》

『変身!』

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!》

《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!》

 

ビルトとクローズに変身した戦兎と龍誠。だがそれを見た匙は笑った。

 

「どうした?」

「いやさ、俺お前らが羨ましかったんだ。だって同じ時期に悪魔になって……戦闘的にだったら桐生より俺の方が神器(セイクリットギア)は戦闘向きだ。でも色んな事件に巻き込まれても、お前らはいつだって活躍してた。どんな時も、お前らはいつも輝いてた。ずっと俺は……お前らの背中見せられてた。でも漸く、俺はお前らに追い付いたんだ!」

 

そう言って匙も懐からなにかを出す。それを見た戦兎は驚愕した。

 

「スクラッシュドライバー!?」

 

匙は戦兎が驚くのを余所にスクラッシュドライバーを腰に装着し、ヴァーリも使っていたスクラッシュゼリーを出してスクラッシュドライバーに挿す。だがゼリーの形状は似ているが、色や模様が違う。

 

《ドラゴンゼリー!》

「ぐぁ!」

 

そしてヴァーリの時と決定的に違うのは、ゼリーを挿した瞬間匙の体を電流が走り、苦悶の表情を浮かべていることだ。

 

「やめろ匙!」

「やめねぇ。俺は……負けられないんだ!」

 

匙はそう叫び、スクラッシュドライバーのレバーを下ろす。

 

「へん……しん!」

《潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!》

 

匙の周りにビーカーが形成され、蒼い液体が満たされると、匙の姿が変わり、ビーカーが消えると共に頭上からゼリーが吹き出て仮面やアーマーとなった。そして左腕にツインブレイカーが付けられ、

 

「会長と俺達の夢の為に……俺はお前らを倒す!」

 

匙はそう宣言すると、戦兎と龍誠に向けて走り出したのだった。

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