ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦「無事誤解も解きつつ悪魔という今までにない種族がいることを知ったこの俺桐生 戦兎は自宅にて新たな発明品に着手していた」
龍「とまあそんなつまらねぇもん見せてもしかたねぇから今回は俺が主役回だぜ!」
戦「こんな奴で大丈夫なのかねぇ……」
龍「アホか!俺だって主人公くらいやれるわ!」
戦「じゃあせめてズボンのチャック位は閉めてから行けよ」
龍「のわ!いつからだよ!」
戦「放課後に木場 祐斗達が来たときに気づいた」
龍「嘘だろ!?おれじゃあリアス先輩と話してるときも全開だったのか!?言ってくれよ!」
戦「あの状況で何時言うんだよ。自分で気づきなさいよ全く。と言うわけでこんなバカが主役の第4話スタート」
龍「バカの前に筋肉をつけろぉ!」


シスターと堕天使

「えぇとこれで買ってこなきゃいけないのは全部かな」

 

リアス・グレモリー先輩達との出会いがあった日の夕方。龍誠は一人で買い物に来ていた。

 

今日も戦兎の家にいた龍誠だったのだが、夕食の材料で足りないのがあったためお使いに来ている。

 

因みに戦兎はバイクと同時進行で作っていた発明品を完成させるっていって研究室に籠ってしまった(戦兎の自宅には地下に研究施設がある)ので龍誠が買い物籠片手に商店街を歩いていた。すると、

 

「ん?」

 

いきなり後ろから袖を引かれ、振り返るとそこには金髪の長い髪をキラキラと輝かせるシスター風の服装の外国人の美少女が自分の袖を引っ張っている。どうも今日はこういう女の子と出会うなと思いつつ、

 

「どうした?」

「っ!っ!っ!」

 

龍誠が聞くと少女は突如変な躍りを踊り出す。何かと思いつつ見ていると身ぶり手振りで何かを伝えようとしていることがわかった。

 

彼女は首からぶら下げた十字架をこちらに見せつつ必死に何か祈る動作をしたりするが、

 

「???」

 

と、龍誠は首をかしげるばかり。だが別に何も考えていない訳じゃない。この動きから推察されること……何かをお願いしているのはわかる。十字架を持ってるし服装的にはシスターっぽい……後デカいバックもある。

 

「そういうことか!」

 

そこでやっと龍誠は理解した。この子が言おうとしていることに。なので、

 

「こっちだ!」

 

そう龍誠が言うと通じたことが分かったのか彼女も笑顔を見せながらついてくる。

 

まさに今、人種と言語の壁を越えて意思の疎通を測れたと言うことだ。ただまぁ……正しく意思が通じあったかは別の話なので、

 

「あら、それでここに連れてきたの?龍誠君」

「はい!」

「???」

 

目を点にしながら金髪の少女は連れてこられた家の畳の上で冷や汗を垂らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまりお前はこの子が今夜の宿を探していたと思ったのか?」

「おう!」

 

と自信満々に語る龍誠に戦兎は頭を抱えた。

 

「まずな龍誠。お前が女だったとして……」

「俺は生まれてからずっと男だぞ?」

「んなこたぁ知ってるよ。仮定の話だ。見知らぬ男に宿を提供してもらえないか聞くか?そんな不用心なこと」

 

暫く龍誠は考え込みむ。そして、

 

「しねぇな」

「だろ?まずそこでおかしいと思えよな」

 

と戦兎は外国語の辞書を引きながら金髪の少女と会話していた。

 

「んで、取り敢えずわかったのは彼女が探してたのは宿じゃなくて教会だ。後名前はアーシア・アルジェント。元々はイタリアに住んでたみたいだな」

 

パタンと辞書を閉じて戦兎がいうと龍誠は成程な~と頷く。何が成程なじゃこのバカ。まぁ確かのアーシアも少々不用心ではあると思うが……何て思っていると、

 

「あ、いたいた」

 

と部屋に入ってきたのは戦兎の妹、桐生 美空である。現在中学生の彼女はその容姿を活かしてアイドル活動も行っっていてファンも多い。まぁその実体はかなりの暴君なのだが……

 

「お母さんがアーシアさんお風呂にいれてあげなさいって言ってたからつれてくよ」

「あぁ、気を付けろよ」

 

と戦兎は言い、さて発明の続きすっかなと立ち上がると龍誠もそれに着いていこうとする。すると美空が、

 

「覗いたら怒るからね?」

『あっはっはっは!中学生の裸なんかに興味ねぇよ』

 

と二人がゲラゲラ笑った次の瞬間二人の顔の横をハサミが飛んでいった。そして美空がにっこり笑うと、

 

「刻むよ?」

『すいませんでしたぁ!』

 

勿論土下座で許しを請うたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ教会っていうと町外れのあれかな?」

「だろうなぁ」

「……」

 

と言うわけでジャパニーズ土下座を披露する羽目になった次の日、戦兎と龍誠はアーシアを連れて近くの公園にいた。

 

昨晩は流石に夜も遅いと言うことで泊まらせたが彼女の本来の目的は教会だ。なので学校が終わると同時に全速力で帰宅し(美空は撮影、母はパートだった)縁側で行儀よく座っていた彼女を教会まで送る事にしたのだが町外れなのでのんびり向かっている。

 

公園にいるのだってその道中でアイス食べようという話になりじゃあまずは場所を確保してからというだけだ。そして……

 

『ジャンケンポイ!』

 

と戦兎と龍誠はじゃんけん。流石にアーシアには行かせられないし。

 

そして勝者はこういう時に妙に運が良い龍誠で、戦兎は仕方なく近くのコンビニまで走っていく。それを見送りながら龍誠とアーシアは二人で待つのだが、意外ときついことに気づいた。言葉が通じないのだから無言。これが意外ときついのだ。だがここで黙り込まないのが龍誠であった。龍誠はスマホを取り出しイタリア語を調べる。そしてアーシアを見ると、

 

「アーシア、かぺっり、べっら!」

 

と、龍誠はアーシアに言った。因みに日本語に直訳すると「アーシア、髪、綺麗」である。

 

前に美空が女子との会話に困ったときは綺麗なとこを誉めろと言っていたのを覚えていた龍誠は取り敢えず髪を誉めた。ただこれはお世辞や冗談ではなく本当に綺麗だと思っていた。それくらいアーシアのブロンドヘアは見事なのだ。

 

するとアーシアは突然そんなことを言われたので一瞬ポカンとしたが徐々に単語で龍誠の言おうとしていることを理解すると照れと恥ずかしさが混ざりあったような表情してちょっと困ったような態度をとる。

 

話題選択ミスったかなぁ……と龍誠はそんな様子のアーシアに頬を掻いていると、

 

「そんなところにいたのね?アーシア」

『っ!』

 

突然聞こえた腹の底まで冷える声音に龍誠は咄嗟に警戒体勢を取った。誰かに言われたことじゃないが、本能的に防衛本能が働いたのだ。そんな彼の前にバサリと一人の少女が空から降りてきた。

 

黒髪に黒いボンテージ風の服装。そして背中から黒いカラスのような羽根が生えている。明らかに人間じゃない。昨日リアス・グレモリー先輩達のを見てなかったら動揺してたかもしれない。

 

「全く……何時までたっても来ないから心配して来てみれば」

「なにもんだテメェ」

 

心配?コイツのどこにもそんな気配を感じない。ただ必要な道具がないから探していた程度の口調だ。

 

つうかアーシアが明らかに動揺した顔してる。これはただ事じゃねぇな。

 

「私はレイナーレ。コレの持ち主よ。さっさと返してもらえるかしら?」

「なんだと?」

 

今アーシアをコレと言ったのか?物扱いしてないか?と龍誠の中で怒りのマグマがグツグツと沸きだっていく。

 

「テメェも悪魔って奴か……」

「なんでこの美しい羽根をみて悪魔だと思えるわけ?私は【堕天使】よ!世界で一番崇高で気高き種族!」

 

そうレイナーレは叫ぶのを聞きながら龍誠はボトルを持ち構えをとる。

 

「はぁ?なにしてんの?」

「俺の第六感がビンビンにいってんだよ。お前にアーシア渡しちゃなんねぇってな!」

 

と龍誠が言うとアーシアが昨日のように袖を引くと首を横にフルフルと振る。それをみた龍誠は笑みを浮かべてそっと手を外す。

 

「大丈夫だって。鍛えてるからな」

 

と龍誠は言うとボトルを振りながらレイナーレに飛びかかる。

 

「おらぁ!」

「っ!」

 

想像以上の力と速さで振るわれる拳にレイナーレは咄嗟に横に飛んで避けた。

 

(こいつ……人間?)

「まだまだぁ!」

 

だがそれを逃す龍誠じゃない。そのままもう一回距離を詰め直し拳を振るう。

 

「がはっ!」

 

ミキッとレイナーレは自らの腹部に叩き込まれた拳の破壊力に目を見張る。どう考えても人間が出すパワーではない。一体これはなんだと彼女は動揺しながら後ろに吹っ飛ぶ。

 

「おぉぉ……」

 

龍誠は吹っ飛ばしたレイナーレを追いかけて行こうとしたがその前に地面に転ぶ。見てみれば腹に光で出来たような槍が深々と刺さっていた。

 

「なんだこれ……」

 

龍誠はそれ強引に引き抜き噴出する血を手で抑えていると、アーシアが来た。

 

「え?」

 

するとアーシアが傷口に両手を当てると同時に光が漏れだし龍誠の傷口が塞がっていく。

 

「もしかして……神器(セイクリットギア)?」

「悪魔のことといい意外と知ってるようね。そうよ、それは神器(セイクリットギア)の一つ、聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)。その大怪我も治せるほどと言うのは想像以上ね」

 

傷口が塞がったのを確認した龍誠はアーシアに礼をいいながら立ち上がり再度構える。それを見たレイナーレはめんどくさそうな表情を浮かべた。

 

「あとねぇ人間?何を勘違いしてるか知らないけどソレは望んで私達のところに来ようとしているのよ?」

「なに?」

 

龍誠はどういうことだと言うとレイナーレは口を開く。

 

「元々彼女はその回復能力を買われて聖女と呼ばれてたのよ。でもある時彼女は異端者となった。理由はその回復能力は何と人間だけじゃなくて悪魔にも有効だった。ある時道端に倒れていた悪魔を彼女は治しちゃったのよねぇ。んで教会と敵対してる悪魔を治せる力なんか使える彼女は教会を追い出されて一人ぼっち。それを私が拾って有効活用してやろうって話だったのよ」

「有効活用?」

「えぇ、彼女の神器(セイクリットギア)を戴いて私が使うの。そしたらきっともっと活躍していつか幹部だって目じゃないわ」

 

神器(セイクリットギア)頂いたらアーシアはどうなるんだ?と龍誠は聞く。それを聞いたレイナーレは心底どうでも良さそうに、

 

「死ぬけど良いじゃない。どうせこのまま生きてたってソレには何もいいことはないでしょうし最後に少し位良いことして死ねば良いじゃない。それだってそれを了承した上で日本に来たのよ?ちょっと手違いはあったみたいだけど」

 

レイナーレのめんどくさいからさっさとこっちにアーシアを渡せという雰囲気に龍誠の怒りのマグマが噴火する。

 

「ふざけんな」

「ふざけてないわよ。あんただって気持ち悪いでしょ?誰振り構わず治しちゃう能力なんてさ」

 

レイナーレの言葉にアーシアは肩を震わせる。今思ったんだけどもしかしてアーシアってレイナーレの言葉通じてない?なんでかは分からないけど……まぁいいか。それよりだ。

 

「全然?最高に優しい能力じゃねぇか。俺は好きだぜ?そう底無しのお人好しみたいな能力」

 

そう言ってアーシアを守るように立ち上がりボトルを握り締め構えをとる。

 

「つうかあんたソレのなんだっていうの?あぁ、惚れた?まぁ顔はいいからねぇ!」

「そんなんじゃねぇよ。ただアーシアとは長い付き合いだからだ」

 

昨日からのな。と付け加えた龍誠はレイナーレに向けて走り出した。次の瞬間!

 

「ゴフッ」

 

ズシャッと龍誠はまた地面に倒れる。なんだ?と龍誠は背中を見ると背中にはレイナーレと同じ光で出来たような槍が三本も刺さっていた。

 

「おっそいすよ~。んでなにしてたんすか?後その人間ぶっ殺して良いんすよね?」

 

そういう黒い翼生やしたゴスロリ風の少女以外にもレイナーレと同じ羽根のが二人……

 

(仲間がいたのか)

「全くせっかく命くらいは見逃してやろうと思ってたのにバカな男ね」

 

クスクス笑うレイナーレを見た龍誠のハートにまた火が灯る。

 

「まだまだぁ!……がっ!」

 

と龍誠はせっかく立ち上がったが足に激痛が走りまた倒れてしまう。これは……銃弾か?

 

「おおっと。アンタはこっちだぜぇ?」

 

そう言ってアーシアを羽交い締めしてるのは先日会った白髪の神父だ。コイツもグルだったのかと龍誠は力が段々入らなくなっていく体に力を込め直す。

 

「まだこいつ動こうとしてるわ気持ち悪い……」

 

と言ってレイナーレは光の槍を作り出すと龍誠の前に立つ。

 

「ホントとっとと死になさいよね。人間ごときが」

 

そう言ってレイナーレは迷いなく龍誠の心臓に光の槍を突き刺すと背を向ける。

 

「ごふっ」

 

びちゃっと血の塊が龍誠の口から溢れ、力が完全に入らなくなっていく。

 

(まだ……)

 

それでも龍誠は立とうと頭では考えていた。

 

(今度こそ、守るんだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく。なんだって今日に限ってレジで店から溢れそうなほど客が並ぶかなぁ」

 

と戦兎は両手にアイスを抱えながら龍誠達が待っている場所に向かっていた。

 

「俺はこのチョコ、アーシアには基本のバニラ、龍誠にはこのシュールストレミング味でいいか」

 

寧ろどこで売っていたのか聞きたいような味のアイスだが戦兎は気にした様子もなく歩いていく。だが、

 

「え?」

 

ボトっと持っていたアイスを地面に落とすが気にならない。戦兎は目の前の光景に脳が処理出来ていない。なんで……

 

「龍誠!!!」

 

目の前には体に光の槍を何本も刺された上に銃弾で撃たれたような傷跡まである龍誠が転がっていた。

 

「龍誠!大丈夫か!?」

 

大丈夫なわけがない。だがそれでも戦兎は龍誠を揺すって起こそうとする。

 

「くそ!くそ!くそ!」

 

だが反応はない。完全に冷たくなって動かなくなった龍誠の姿に頭をガシガシ掻きながら戦兎は考える。どうする?誰がやった?何か手は?そんなものあるわけがない。戦兎のボトルにも死んだやつを生き返らすような奴はない。それでも諦められない。なのに頭の中がどんどんグチャグチャしてきて息ができず、視界がグニャリと歪んでくる。

 

(頼むから神様……神様が見てないなら他の何でもなんでもいい!コイツを、俺の親友を助けてくれ!!!!)

 

戦兎が泣きながらそう祈った瞬間。戦兎のポケットが中から強い光を発し彼の横に魔方陣を作り出しそこから現れたのは、

 

「リアス・グレモリー先輩……?」

「願いは決まったのかしら?ってこれは」

 

リアス・グレモリー先輩は倒れている龍誠をみて顔色を変えた。

 

「これは堕天使や天使が使う光」

「そんなことはどうでもいい!なぁ、どんな願いでも叶えるんだろ!?なら龍誠を助けてくれ!」

 

戦兎はリアス・グレモリー先輩に掴み掛かる勢いで言葉を捲し立てる。

 

「頼むから、こいつが助かるならなんでもするから、だから……お願いします」

「……」

 

先日見たふざけているようで冷静さを持った人間とは思えない程の姿に彼女は少し驚いていた。そして彼にとって万丈 龍誠と言うのがどういう存在か少しだけわかった気がした。そして、

 

「方法はあるわ。まだ死んで時間が経ってないから出来る裏技みたいなものだけど」

「え?」

 

そう言ってリアス・グレモリー先輩がだしたのは先日も見た悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だ。

 

「悪魔に転生すればその際に傷も治せるし失った命も取り戻せるわ。でも昨日いってたように人間じゃなくなるし一度転生したら勿論もう人間には戻れなくなるわよ」

「そんなのいってる場合じゃない!後で納得させますから!」

 

そうね。とリアス・グレモリー先輩は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を手にして立ち上がる。

 

(使う駒は……ルーク、ナイト、ビジョップ、ポーン。昨日の身体能力を考えればルークが適してるわね)

 

とリアス・グレモリー先輩はチェスの駒のルークの形をした駒を手にして龍誠に触るが……

 

(使えない!?どういうこと!?)

 

この転生。彼女は説明していなかったが勿論何の制約もない訳じゃない。それは転生させる相手の才能や強さ、種族の格によって左右される。例えば普通の人間であればポーンの駒一つだが、魔獣とかみたいなやつであればポーンの駒4~5個みたいなのも聞かない話じゃない。あとは神器(セイクリットギア)持ちなどもそうだ。

 

そしてポーンの駒を基準とした場合ルークの駒はポーンの駒5個分に相当する。つまり龍誠はポーンの駒6個以上使わねば転生できないということだ。

 

(ならポーンを複数使うしかないわね)

 

使う個数が分からないためリアス・グレモリー先輩はポーンの駒八個全て並べると呪文を口にする。

 

「我 リアス・グレモリーの名において命ず 汝 万丈 龍誠 よ。我の下僕となるため今再びこの地へ魂を帰還させ悪魔と成れ。汝 我がポーンとして新たな生に歓喜せよ!」

 

その呪文と共に彼女の足元に巨大な魔方陣が出現しポーンの駒が浮かび上がった。だが、

 

(どういうこと!?ポーンの駒が4つしか反応してない!?ルークの駒で反応しなかったのに!?いや違う、あれは!!)

 

彼女が驚愕する中、龍誠に反応を示した4つの駒はバチバチと発光しその形状を変化させると、そのまま龍誠の体の中に入っていく。そして、

 

「ぷはぁ!」

 

ガバッと龍誠は体を起こすとペタペタ自分の体を触り、首をかしげている。

 

「あれ?俺は確か……ってあれ?戦兎とリアス・グレモリー先輩?つうか戦兎。なに泣いてんだ?」

「な、泣いてねぇよバカ」

「誰がバカだ!筋肉をつけろ筋肉を!ってそうだアーシア!」

 

龍誠は大急ぎで立ち上がると駆け出そうとし、戦兎とリアス・グレモリー先輩が後ろ首をつかんで止める。

 

「ぐぇ!」

「落ち着きなさい。まずあなたに何があったの?それとアーシアって誰?」

 

彼女に聞かれ、龍誠は自分に何があったのか、そしてアーシアとは何者なのかは戦兎も一緒に説明した。

 

「成程。追放されたシスターが堕天使に……」

「とにかくアーシアを助けに行かないと!」

 

龍誠が言うと、ダメよ。とリアス・グレモリー先輩は言う。

 

「向こうにどれだけの人員がいるのかもわかってない上に相手は堕天使よ?貴方は知らないだろうけど悪魔と堕天使は組織単位で敵対しててギリギリで戦争にならないようにバランスを保ってるの。貴方が一人で突っ込んで暴れたとこでそのバランスを崩しかねないわ」

「じゃあ見捨てろっていうんですか!?」

 

と興奮する龍誠の肩を掴んだのは戦兎だ。そのまま戦兎は少し落ち着けと言いながら、

 

「龍誠一人でダメって事は他になら何かあるんですか?」

「えぇ、さっき言ってたわよね?町外れの教会を目指してたって。もしあそこが隠れ家なら私の管理してる範囲内よ。そこで何かやっているならこちらとしてもきちんと確認及び被害が出そうなら相応に対応するわ」

 

と彼女は笑うと、龍誠を見る。

 

「良い?貴方が一人で突っ込めば先日会った悪魔みたくはぐれ扱いとして処罰されかねないわ。でも私と一緒ならこちらの管理下に土足で踏み込んできた奴らにルールに則った上で戦うことができる。どちらが良いかなんて聞くまでもないでしょ?」

「そ、そうですね」

 

と龍誠が言うとリアス・グレモリー先輩はにっこり笑う。

 

「ならこっちにいらっしゃい」

 

そう言うとリアス・グレモリー先輩は足元に魔方陣を作り出すと手招きする。

 

「いちいち走ってたりしてられないわ。これで学園にテレポートして教会を目指すわよ」

『はい!』

 

と、龍誠と()()は魔方陣に入り、

 

「って桐生 戦兎君?あなたも来るの?」

「ダメなんですか?」

 

いや危険だとか色々言いたいことはあるけど……とリアス・グレモリー先輩はいうと、

 

「これ悪魔用だから人間の貴方は使えないのよ」

「え゛?」

 

と言われてしまったので街中をバイクで走る戦兎の姿があったのは余談である。

 

因みに、

 

「あれ?悪魔用だったら俺も使えませんよね?」

「貴方は悪魔に転生させたから平気よ」

「え!?いつの間に!?」

 

しまったその辺りの説明してなかった……とコメカミを抑えるリアス・グレモリー先輩の姿があったのも余談だろう。

 


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