ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「ディオドラをぶっ倒し、アーシアを救い出したかと思ったのもつかの間。そこに、現れたのはシャルバ・ベルゼブブ!そして突然の龍誠の暴走まで!……って今回俺一人しかいねぇし!あーもう!俺一人じゃ話すの限度が……そうだ!お気に入り登録が300突破しました!有難うございます!これからも頑張りますのでよろしくです!って感じの48話スタートだ!」


暴走VS暴走

「おぉおおおお!」

 

全身が黒いビルドに変身した戦兎は、ドリルクラッシャーを手に走る。

 

「ガァ!」

 

それを目視した龍誠は、腕を振るう。だが、

 

「くっ!」

 

戦兎はそれを飛び越え、ドリルクラッシャーで切る。まともにそれを喰らった龍誠は怯むが戦兎も、

 

「うぐっ!」

 

バチッと脳裏に火花が散るような感覚。何かが頭を侵食していくような、嫌な感覚だ。

 

「まだ……だ!」

 

戦兎は必死にそれを振り払うように頭を振るい、別のフルボトルと交換する。

 

《海賊!電車!スーパーベストマッチ!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Are you ready?》

「ビルド……アップ!」

《アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!》

 

今度は眼の色が薄緑と水色で、全身が真っ黒のビルドに姿を変えた戦兎は、カイゾクハッシャーを構える。

 

「うぉおおお!」

 

何度もエネルギー弾を放ちながら、戦兎は間合いを詰めてカイゾクハッシャーで切る。

 

「グォオオオオ!」

 

だが龍誠はそれを喰らいながらも、強引に殴り返して戦兎を吹き飛ばす。

 

「がはっ!」

 

だが戦兎は地面を転がりながらも、その反動で立ち上がった。その時!

 

「ぐぅ!」

 

バチバチとまた脳裏に火花が散るような感覚。

 

(ダメだ、まだ……)

 

意識が遠退く。自我が消えていく。必死に遠ざかっていく物をつかもうとする。だが、

 

「……」

 

ガクン!と戦兎は両手を下ろし、静かに龍誠を見ながら、ボトルを入れ換えた。

 

《ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Are you ready?アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!》

 

再度さっきの姿に戻った戦兎は、ハザードトリガーのスイッチをもう一度押す。

 

《マックスハザードオン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!》

 

レバーを回しながら戦兎は、龍誠との間合いを詰め、それにたいして龍誠は腕を振るって迎撃する。だが、

 

《オーバーフロー!》

「……」

 

それを紙一重で避けると、その動きを利用して喉に拳を叩き込む。

 

「グォ!」

 

流石にそこを殴られ、苦しげな声を漏らした龍誠に戦兎は、何度も攻撃を叩き込んでいきながら、渾身の一撃で叩き込む。

 

「ゴォオオオオ!」

 

龍誠は咆哮しながら転がり、立ち上がろうとするが、腕に力が入らないらしく、地面に突っ伏してしまう。そしてそこに戦兎は近づくと、無言で何度も踏みつける。

 

「つよい……」

 

それを見ていた祐斗が呟く。だが小猫は、

 

「違う」

「小猫?」

 

突然の呟きに、リアスが小猫を見た。

 

「戦兎先輩はあんな戦い方をしません。あんな急所を意図的に攻撃したり、倒れてる相手に必要以上の攻撃を加えたりしません」

「確かに幾らなんでもやりすぎですわ……」

 

朱乃も小猫に同意する。確かにいつも戦兎には見られない光景だ。まだ龍誠の暴走状態が続く中、油断できないだけと言う感じもしない。

 

「まさかアレ……暴走してるんじゃないか!?」

「えぇ!?」

 

ゼノヴィアの言葉に、ギャスパーは驚愕する。暴走とは、もっと派手に暴れまくる状態じゃないのかと。

 

「成程。あれがハザードトリガーの暴走か。感情を無くし、どれだけ効率よく相手を倒すかを重要視する戦闘マシーンに変える……確かに桐生戦兎が使いたがらないわけだ。あれはアイツが大切にしているラブ&ピースとは程遠い物だからな」

 

ヴァーリは、どこか皮肉った言い方をする。そんな中、戦兎はレバーを回して、

 

《ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready Go!》

 

戦兎は倒れている龍誠の肩を掴むと強引に立たせ、エネルギーを右足に溜めると、

 

《ハザードフィニッシュ!》

 

そのまま蹴りを叩き込み、龍誠を吹き飛ばした。大きく後方に吹き飛ばされた龍誠は、地面に落ちると土煙を上げる。すると、

 

「ごほっ!」

 

変身が解除され、先程まであった赤い鎧も解除された龍誠がいた。だが龍誠は今の戦兎を見ると、

 

「せんと?なんでハザードトリガーを?」

「……」

 

戦兎は龍誠の問いには答えずゆっくりと歩を進めていく。まるでトドメを刺そうとしているように。

 

「やめなさい!戦兎!」

「……」

 

それを見たリアスが咄嗟に叫ぶと、戦兎はこちらを向く。それを見たギャスパーは、

 

「僕今すごく嫌な予感がしますぅ」

「おいヴァーリ……俺ら逃げた方がよくね?」

 

ギャスパーが震える横で、美猴も口を開く。だがヴァーリは動じず。

 

「来るぞ」

 

その言葉と共に戦兎は標的を変更しリアスたちに向かって走り出す。

 

「くっ!」

 

それを止めるべく祐斗が前に出るが、戦兎への遠慮もあってどうしても踏み込みが浅くなる。だが戦兎は容赦なく祐斗の首を掴むと、そのまま地面に叩きつけた。

 

「木場!」

「……」

 

次に飛び掛かったのはゼノヴィアだ。彼女も戦兎への遠慮があるが、祐斗ほど加減できる性格じゃないのもあって割りと遠慮なくデュランダルを振り下ろそうとした……が、

 

「なっ!」

 

何と戦兎は、祐斗をそのまま持ち上げてゼノヴィアに向かって投げつける。流石にソレには怯んで気を緩めた間に、戦兎は走り出す。

 

「しまった!」

「ゼノヴィア!」

 

戦兎の突進に、ゼノヴィアは避けられないと覚悟し、リアスもそう思った。だが、

 

《ロボットイングリス!ブラァ!》

『え?』

 

走っていた戦兎に横から飛び蹴りを叩き込んだのは、何とヴァーリだ。

 

「ヴァーリ?なんで……」

「俺はとっとと帰ってみーたんのライブ映像を見たいんでな。ただ偶々その帰り道のど真ん中に邪魔をするやつがいるなら……心火を燃やしてぶっ潰す!」

 

そう言ってヴァーリは戦兎を押し返すと、ツインブレイカーをアタックモードにして、戦兎をぶん殴る。

 

(軽い!?)

 

だが、ヴァーリは気づいた。余りにも殴った際軽すぎたことに。恐らく殴られる瞬間自分から後ろに飛んだのだろう。暴走している癖にこういった判断能力があると言うのは厄介だ。すると、

 

「伸びろ棒よ!」

「……」

 

横から美猴の如意棒が戦兎を狙う。だがそれを戦兎はキャッチし、止めた。そこを狙い、

 

「はっ!」

「……」

 

アーサーがコールブランドを抜き、戦兎に容赦なく振り下ろす。しかし、

 

「む?」

 

如意棒を離し、バックステップでそれを避けた。

 

「何してるんだお前らは」

「そっちこそ俺達がいねぇとなぁ」

 

等と軽口を叩き合うヴァーリと美猴。それにしても、想像以上に厄介だ。なにも考えず暴れるだけならまだ良いのだが、高度な判断能力を保持したままとは。そうヴぁーりが思っていると、

 

「ヴァーリ!」

「ん?」

 

龍誠の声にヴァーリが反応すると、龍誠はクローズドラゴンをヴァーリに投げ渡す。

 

「そいつはこの間戦兎がツインブレイカーとも互換性を持たせたっていってた!使え!」

「成程」

 

そいつは好都合だ。とヴァーリはクローズドラゴンをツインブレイカーにセット。

 

《Ready Go!》

 

そして更にヴァーリはベルトのレバーを下ろし、素早くツインブレイカーのボタンを押す。

 

《レッツブレイク!》

《スクラップフィニッシュ!》

「おぉおおおおらぁああああ!」

 

ヴァーリは咆哮と共に、蒼い龍型のエネルギー波を放ち、戦兎を狙う。それを戦兎は避けようと動こうとした。その時、

 

「隙!」

「ありです!」

 

美猴とアーサーの二人が飛びかかり、ベルトに手を伸ばす。だが戦兎はその腕をつかみ、捻り上げた。

 

「いででででで!」

「くっ!」

 

すると、

 

「はぁ!」

「……っ!」

 

戦兎のベルトにと言うか、ピンポイントでハザードトリガーを撃ち抜き、ビルドドライバーから外させた。その人物は、

 

「リアス・グレモリーか」

「ふぅ……」

 

リアスも魔力の細かい操作が若干苦手なので、ハザードトリガーのみを撃ち抜くと言うのは、かなり神経をすり減らしたが、うまくいったようだ。

 

「……あれ?俺はたしか」

 

そんな中、変身が解除された戦兎は、強い疲労感に襲われて、そのままその場にヘタリこみながら周りを見回す。そんな様子を見ながら、ヴァーリはやれやれと変身を解除する。

 

「お前、暴走してたぞ」

「マジか……」

 

初めて使ったときよりは耐えれたが、結局時間はそこまで伸びてないようだ。そこに、

 

「せんと~」

「ん?」

 

地面に倒れている龍誠が呼んでくる。そこには既に皆も集まり始めているようで、

 

「きいてくれせんと……あーしあが……」

「知ってるから落ち着け」

 

精も根も尽き果てたらしく、呂律も回ってない龍誠に戦兎は答えながら、ヴァーリを見る。

 

「ありがとな……他の皆を傷つけずにすんだ」

「お前のためじゃない。帰るときに邪魔だっただけだ」

 

なんて返されて、戦兎はビキビキと言う効果音が付き添うな気分の体で、頑張って立ち上がりながら思わず苦笑いを浮かべ、これで戦いは終わりだろう。そう皆が思った。だがその時、

 

「おっかしいなぁ。万丈 龍誠が目覚めたみたいだから来たんだけど戻ってるなぁ……」

『っ!』

 

突然の上空からの声に、その場の全員が顔を上げる。そしてそこにいたのは……

 

「龍誠?」

 

リアスの言葉通り、そこにいたのは、龍誠?だ。だが、戦兎だけは知っていた。

 

「おいおい、ヴァーリ達までそんな顔するなよ。まあ実際顔合わせたのは初めてだけどさ。それでもお前たちが今いる組織の長だぜ?」

 

そう言って笑う男。戦兎はその男の名前を呼んだ。

 

「兵藤 一誠……」


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