ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

龍「アーシアを連れて教会に向かう最中、突如謎の堕天使に襲われ命を落とした俺だが何と悪魔に!もうただでさえ最強無敵の俺が悪魔になんかなったらマジ半端ないんじゃね!?」
戦「なぁにが最強無敵だよ。負けたから死んだんじゃねぇか」
龍「まぁまぁ。俺のために泣いてくれたことを俺は知ってるんだぜ?やっぱ戦兎は俺の親友だ」
戦「はぁ!?ななななな泣いてなんかねぇし!たまたま持ち歩いてたわさびの粉末目に入っただけだし!」
龍「どういう理由だよ!とまあそんなわけで今回も大活躍の俺が見れる第5話スタート!」
戦「それ俺の台詞!」


新たな発明品

「確かに教会の人間がいるみたいね」

 

現在すっかり日も暮れ、闇が支配する時間帯の中リアス先輩を筆頭に先日出会った面子と龍誠達は教会を影からこっそり覗いていた。そこには見張りと思わしき奴等が三人ほどいる。

 

「よぉし!いくぜ!いってぇ!」

 

一人で突貫しようとする龍誠を慌ててリアス先輩達が止めて、力付くで龍誠は物影に引っ張り戻された。

 

「待ちなさい!いきなり飛び出したって危ないだけよ!」

「そのアーシアさんって言う子を助けたいのは分かりますが落ち着きなさい」

「君が怪我したら元も子もないんだからね?」

「落ち着きがない……」

 

上から順にリアス先輩、朱乃先輩、祐斗、小猫に龍誠が突っ込まれいると、

 

「早速怒られてんな~」

 

その声に全員が振り替えり、そこにはヘルメットを外す戦兎が立っていた。

 

戦兎はそのままリアス達の元に行くと彼女の眼を見る。

 

「まさかホントに来るなんて……」

「来ないと思ってたんですか?」

 

そういう戦兎に彼女はこれは貴方に関係ないはずよ?と言うと戦兎は首を横に振る。

 

「俺だってアーシアとは知らない仲じゃありません。それを見捨てておくのはヒーローらしくない。つうか人としてどうよって感じじゃないですか。それに……」

「それに?」

 

戦兎は一旦言葉を区切ってから、言葉を続ける。

 

「龍誠が何かする時に付き合うのも俺の仕事なので」

「さっすが戦兎!やっぱ俺達は【一年大将】だな!」

『?』

 

肩を組みながらいう龍誠の言葉にリアス先輩達は首を傾げ、戦兎はため息を吐きながら、

 

「言いたいのは【一蓮托生】か?」

「それだ!」

 

龍誠がビシッと指を指してくる中、戦兎はまた大きくため息を吐いてしまう。このバカに効く薬はないのか……

 

すると、

 

「おやおや、悪魔風情がこんなところで何をしているのかな?」

 

突然聞こえたその声に全員が空を見ると、そこには三人の堕天使がいた。バレちまったらしい……何故だ?

 

「あぁ!お前ら俺を後ろから不意打ちでぶっ刺してきた奴等じゃねぇか!」

「貴様……何故生きている」

 

確実に始末したはずの人間が生きていることに三人はかなり驚いているようだ。

 

「悪魔にジョブチェンジしたのさ!」

 

だが龍誠ら堂々としたもので、殺された相手に対して余り気負った様子はない。案外落ち着いたものだ。

 

「それで?貴方達こんな教会の近くで何をしているのかしら?まさか堕天使がお祈りするわけでもないでしょうし」

「さぁ、どうっすかねぇ?」

 

そう言いながら堕天使トリオは光の槍を作り出し戦闘体勢に入る。それを見たリアス先輩は、

 

「朱乃!援護をお願い!他はこのまま教会に入りなさい!」

『了解!』

 

彼女の指示に皆が素早く驚く中、戦兎と龍誠がオロオロしていると小猫が二人をヒョイっと持ち上げて走り出す。

 

「だ、大丈夫なのか!?置いてきちゃって!」

「大丈夫!部長は【紅髪の滅殺姫(ルインプリンセス)】って呼ばれてるからね!」

(物騒過ぎる……)

 

その木場 祐斗の言葉を聞きながら戦兎は冷や汗を垂らし、龍誠は英文の意味を理解してないのか疑問符を浮かべている。

 

そんな中、突っ込んでいく4人に、見張りで教会の前に立っていた三人の内一人は何処からともなく剣を取り出した祐斗に気絶させられ、もう一人は途中で戦兎と龍誠を落とし小猫が突っ込む。

 

「と、止まれ!」

 

そう言った相手の腹部に拳を叩き込むと、尋常じゃないパワーで空中に吹っ飛ばしそのまま地面に落下させた。

 

「よぉし今度こそ俺も!」

 

そう言って龍誠はドラゴンフルボトルを取り出すと、シャカシャカ振って最後の一人に飛び掛かる。

 

「あ、待って!今までの感覚でやると……」

 

ベキメキボキャ……と変な音が響きながら、龍誠にぶん殴られた相手は後方に吹っ飛んでいき、そのまま入り口の扉を破壊しながら消えていった。

 

『……へ?』

 

龍誠だけじゃない。戦兎すら目を点にして見ている。それを見た祐斗は、

 

「悪魔に転生すると身体能力も上がるんだ。ただでさえ人間離れした君が手加減間違えたら人間なんて簡単にはミンチだよ?」

 

やっべぇえええええ……と龍誠は改めて加減を覚えようと固く誓いながら、とりあえず奥に進むことにする。

 

「それにしても本当に桐生君も来るのかい?」

「あぁ、別に自分の身は自分で守るから心配すんな」

 

そう戦兎がいうと、祐斗もホント気を付けてねと言いつつ龍誠を見る。

 

「万丈君ってまだ駒の特性って知らないよね?」

「こまのとくせい?」

 

龍誠が首を傾げると祐斗は口を開く。

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)にはそれぞれ特性がある。例えば僕のナイトの駒は速度。小猫ちゃんはルークでパワーや頑丈さ。ここには居ないけどビジョップは魔力でクイーンは全て。んでポーンは基本的にはないんだけど……」

「ないの!?」

 

基本的にはだから落ち着いて、と祐斗に抑えられ龍誠は一先ず聞きの体勢に入ったのを確認して話を続ける。

 

「ポーンは敵地でキング、つまり部長の許可があれば昇格(プロモーション)出来る。それにより好きな駒の特性を使うことが出来るんだ。ナイトでもルークでもビジョップでもクイーンでもね」

「おぉ!マジ最強じゃん!」

 

勿論体に負担掛けるから気を付けてね?と祐斗が言ってるが聞いちゃいないな。こりゃ……

 

と思って進むと、開けた場所に出た。そこには、

 

「あれぇ?こいつはあの時のへんな神器(セイクリットギア)使い迄いるじゃありませんかぁ!?」

「白髪の神父にその他大勢ってとこか……」

 

戦兎がそう言うと前に祐斗と小猫が出る。

 

「ここは僕達が……」

「俺もやるよ」

 

そう言って戦兎もいれて三人が前に並ぶ。

 

「桐生くん。君は人間なんだ。ここは……」

「いいや、俺はあの白髪の神父に言っておかなきゃならんことがある」

 

はい?と彼が困惑する中、戦兎は白髪の神父と視線を交わす。

 

「お前、名前は?」

「は?」

「いちいち白髪の神父っていう方も書く方もめんどいんだよ」

「書く方って何の話だよ」

 

白髪の神父は思わずジト目で見てくるが、それでもフリード・セルゼンだと名乗る。

 

「よしフリード・セルゼン。てめぇには大きな借りができたからな。俺が直々に倒してやる」

「借り?」

「あぁ、てめぇ龍誠撃っただろ?」

 

ホントはさっきの堕天使三人にも言っておきたかったが仕方ない。

 

「良いか?龍誠は俺の玩具……もとい、親友だ。こいつがいないと俺の発明品の生け贄……じゃない、感想を言ってくれるやつが居なくなんだよ!なのに殺すだぁ……?ふざけんな!」

「お前がふざけんな!俺を何だと思ってやがんだ!」

 

後ろで龍誠が叫んでるがまぁ無視しつつ、

 

「という訳でだ。お前には俺の新しい発明品の第一被検体になってもらうぜ」

 

そう言った戦兎はベルトを装着すると、二つのボトルを取り出した。

 

「あぁ、あれはこの間俺が第六感で見つけたベストマッチ!」

「あぁ!序でに専用武器も作ったんだぜ!」

 

シャカシャカボトルを振りながら戦兎は言い、ボトルをベルトに挿す。

 

《忍者!コミック!ベストマッチ》

 

レバーを回し、フレームが出てくると戦兎はポーズを決めて叫んだ!

 

《Are you ready?》

「変身!」

《忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イエーイ!》

「さぁ、実験を始めようか」

 

そうして戦兎が変身したのは紫と黄色の姿。紫の方は忍者をイメージし、黄色の方は胸に四コマ漫画があるなど漫画?をイメージした姿らしい。

 

「おぉぉぉ……」

 

眼を何時もの無表情から考えられない程輝かせて小猫

がいるが今はフリードだと戦兎はベルトから新装備を取り出す。

 

それは四コマ漫画のような装飾はある剣先がペンで出来ている剣だ。

 

「なんだそりゃ……」

「名付けて【四コマ忍法刀】!四つも技を持った武器だ。凄いでしょ?ヤバいでしょ?天才でしょおおおおおおお!」

 

テンションが上がりまくりの戦兎にフリードは躊躇いなく銃を発砲した。

 

「いっでぇえええ!」

 

ガン!と大きく火花を散らして戦兎は大きく後ずさる。それを見たフリードは、

 

「防御力はそこまででもねぇってことか!お前らもやっちまえ!」

 

フリードの号令で他の神父風の男達も武器を片手に襲いかかってきた。

 

「小猫ちゃん!」

「はい!」

 

それに祐斗や小猫も応戦するが数が多く、何人か戦兎に襲い掛かる。だが、

 

「ったく……人が喋ってる時に攻撃すんなっての」

 

そうブツブツ言いながら、戦兎は四コマ忍法刀の柄にあるスイッチを一回押した。

 

《分身の術!》

「なにぃ!?」

 

すると、突如戦兎はフリードが驚愕するほどの数に分身する。

 

『いくぜぇ!』

 

分身した戦兎は次々と襲い掛かってきた神父風の男達に襲い掛かり、本物はフリードに飛び掛かった。

 

それを彼は咄嗟にライトセイバーで止めながら、

 

「そ、そんなもんこの間使って……」

「あぁ、昨日完成させたばかりなもんでね」

 

そういう戦兎にチィ!とフリードは剣を弾いて銃を向ける。だが戦兎は素早くボタンを四回押して、

 

《隠れ身の術!ドロン!》

 

煙を出してフリードの目の前から姿を消してしまい、フリードは何処にいったと探し、

 

「こっちだよおバカさん」

「なにっ!?」

 

フリードが声の方に振り返ると奥にあった扉の前に龍誠を脇に抱えた戦兎が立っていた。そして龍誠を降ろしながら戦兎は言う。

 

「俺があいつを倒す。アーシア助けんのと連れ去ったレイナーレだったか?そいつを頼むぞ」

「任せろ!」

 

そう言いながら龍誠が地下に降りていき、戦兎は四コマ忍法刀を逆手に持ちながらフリードを見る。フリードの方も銃を向けながらタイミングを計り……

 

(今だ!)

 

戦兎は疾走。それに合わせてフリードも発砲した。だが、

 

「はぁああああ!」

 

それを四コマ忍法刀の刀身に当てて弾きながらフリードと間合いを詰めていく。

 

「はぁ!」

「舐めんな!」

 

間合いを詰めきると戦兎は四コマ忍法刀を振るい、フリードはライトセイバーで受ける。何度も火花と轟音を鳴らしながら受け手と攻め手を入れ換えながら次々剣撃を交わしていくが徐々にフリードが押されていく。

 

「てめ!なにもんだ!こっちはエクソシストの訓練も積んでんだぞ!」

「この間も言っただろ?仮面ライダービルド。造る、形成するって意味でビルドだって」

 

そう言いながら戦兎は一気にフリードを押し飛ばすと、四コマ忍法刀のボタンを三回押す。

 

《風遁の術!竜巻斬り!》

 

次の瞬間戦兎は高速でフリードの周りを回って連続で斬っていき、その途中でボタンを二回押した。

 

《火遁の術!火炎斬り!》

「勝利の法則は決まった!」

 

そのまま戦兎は飛び上がると四コマ忍法刀に炎を纏わせフリードを一刀両断する。

 

「あぢぃいいいいいいい!」

 

服が燃え上がり傷口も斬撃と火傷を同時に味わったフリードは床を転がるとそのまま炎が消えるのと共に意識を失う。

 

「凄いね」

 

と、いつの間にか他の全員を倒していた祐斗や小猫がやって来た。

 

「別にそうでもねぇよ。こいつの戦闘スタイルは戦ったばかりだから直ぐに分かったしな。それより龍誠の方にいこう」

「じゃあ僕と小猫ちゃんで縛り上げておくから行ってあげて」

良いのか?と言うと祐斗は頷いた。

 

「大丈夫なのは論より証拠で示してもらったからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しだけ時間を戻し、

 

「おっらぁ!」

 

扉を蹴り飛ばす勢いで開けながら中に侵入した龍誠は、また開けた場所に出るとそこにはアーシアとレイナーレがこっちを見ながら呆然としていた。

 

「龍誠……さん?」

「ようアーシア!ってあれ?言葉が分かる?」

 

何故じゃ?悪魔になると外国語が分かるのか?と思いつつ龍誠はレイナーレを見る。

 

「ギリギリセーフだったな」

「あんた……まさか!」

 

あぁ、悪魔になってお前を倒しに来たぜ!とビシッと決めて見せるが残念ながら反応がない。寂しいな……これ。

 

「ホントなんなのよ……あんた悪魔になってそれでもコイツを助けようっていうの!?」

「当然!男は一度言ったことを曲げないもんだ!」

 

そう言いながら龍誠はドラゴンフルボトルを取り出してシャカシャカ振っていると、

 

「なんで……」

「ん?」

 

すると、アーシアがこちらになにかを呟き、龍誠は首を傾げる。

 

「なんでそこまでしてレイナーレ様と戦うんですか?」

 

そっかなんでかってさっき言ったけどその時は言葉が通じなかったから……と思い龍誠は言う。

 

「昨日からの長い付き合いだからな!助けるの普通だろ?それにさっき言わなかったけどさ……もう誰か知ってる人間でも失うのは嫌なんだよ。だから今度こそ守ってみせる。お前が異端だろうがなんだろうが関係ない。アイツが俺の立場だって同じように助けるはずだ。アイツは良い歳してヒーローに憧れてるような奴だからな!だから俺もアイツの親友としてカッコつけさせてもらうぜ!」

 

そう言って龍誠は走り出す。レイナーレはそれに合わせて光の槍を作り出し龍誠に投げた。

 

光は悪魔にとっての弱点である。それは龍誠は知らないが直感で喰らうのは不味いと判断する。なら試してみよう!

 

昇格(プロモーション)!ルーク!」

 

確かパワーと頑丈さならルークだと試してみると明らかに力が漲ってきた。ならば行ける!

 

「うらぁああああああ!」

 

ドラゴンフルボトルを更に強く握った龍誠は思いっきり光の槍をぶん殴り、その槍はそのまま飛んできた方向に向かって投げられた速さより速く戻っていき、レイナーレの顔の真横を飛び去っていきそのまま背後の壁に突き刺さった。

 

「へ?」

「やっぱ行けたな」

 

と言いながら龍誠はレイナーレとの距離を詰める。

 

「ま、まって!分かったわ!私が悪かったから!」

 

と言って後ずさるが龍誠は歩みを止めず、拳の範囲まで来る。

 

「悪いが俺はお前を許さない。アーシアを物扱いして、俺を殺して戦兎を泣かせる要因を作ったお前をな」

「ひっ!」

 

と龍誠が言った次の瞬間、レイナーレの顎に龍誠のアッパーが入り、空中に吹っ飛び天井にぶつかると重力に従って落下してきた。そしてその間に龍誠はボトルを更にシャカシャカ振ると腰を捻って歯を食い縛ってボトルを握り……

 

「らぁ!!!」

 

ルークのパワー+悪魔の身体能力+人間時代からの積み上げた力+ボトルの力……ここまでの力が集約しレイナーレに纏めて叩き付けられ、彼女の体から文字では書き表せない破壊音が響き渡り、そのまま壁に叩き付けられた。

 

壁にめり込んでそのままになってるその姿は、奇しくもキリストの十字架に掛けられてるのに似ていたが、龍誠は気にせずアーシアの元に行き、彼女を縛っていたロープを解いていると、

 

「いっつ……」

「龍誠さん!」

 

自身を縛っていたロープが解かれるとアーシアは龍誠の手を見る。龍誠の手から光の槍を殴った反動か焼け爛れた上に血が出ており、指も本来曲がらない方に曲がっているし骨も露出しかかっている。

 

「何て無茶を……」

「あははは」

 

と龍誠が笑っていると、アーシアは手から緑色の光を出して龍誠の手の傷を治してくれる。実はものすごい痛かったのだがこの光のお陰か痛みが引いていき傷も塞がっていく。

 

そんな中、アーシアは今までの事を話してくれた。レイナーレが言っていた事と被るところもあったが、元々はイタリアの教会で慎ましく暮らしてたことや神器(セイクリットギア)が判明して聖女に祭り上げられたこと、悪魔を治療して異端者にされて追放されたこと、その後一人で生きてみようとしたが物心がついてから教会で暮らしてきた彼女が出来るはずもなく食べるものもなくなって死にかけたところを堕天使に拾われてここに来たことを。

 

「もう誰も助けてくれないと思ってました。教会を追放されてからずっとひとりぼっちで……だからもう全部どうでもよくなって」

 

とアーシアが言うと龍誠は黙って聞いていたが口を開き、

 

「俺も生まれてすぐ捨てられてさ。ずっと孤児院で育てられてた。孤児院の人達は好い人なんだけど何処か孤独でさ。そんなときだったけかなぁ。あいつに会ったの。小学校で教室の隅っこで静かにしてたらなにしてんだって言ってきてよ。皆揃って俺を可哀想な奴扱いだから誰も俺と話そうともしないでいたら一人だけいたんだよなぁ。ある意味空気読まない奴がさ。それが俺の今の親友。だから決めてんだよ。今度は俺が誰かのために手を出す番だってな」

 

そう言いながら龍誠はアーシアに向けて綺麗に治った手を差し出した。

 

「だからアーシア。俺が一緒にいるよ。もう孤独になんかさせない」

「っ!」

 

龍誠のまっすぐな言葉はアーシアの胸を打ち、ゆっくりと浸透していく。そして、

 

「はい」

 

とアーシアはその伸ばされた手を取ったのだった。

 

因みに、

 

(そろそろ出ても良いかな……)

 

戦兎が扉の向こう側で様子をうかがっていたのは余談である。


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