戦兎「ディオドラ達との戦いを終え、束の間の平和を味わっていた俺たち」
龍誠「しかしそれにしてもほんと最近の事件遭遇率やばすぎじゃね?」
ディオドラ「ほんと大変だね」
戦兎「お前も犯人の一人だけどな!?とまあそんな感じで第50話スタート」
「まぁ色々話したいことはあるけども……今日は何の遠慮も要らないわ!倒れるまで食べて食べて食べまくって!アザゼル先生を破産させるわよ!!!」
『おぉおおおおおお!』
「おぉおおおおおお!じゃねぇよ!?」
さて、ディオドラの一件から一週間。無事に皆帰還し、今日は体育祭も終えた。
アーシアと龍誠の二人三脚コンビは、ぶっちぎりで一位になったり、リアスと朱乃の徒競走が思いの外盛り上がったりと、楽しい行事になった。だが、
「はぁ……」
戦兎は一人どんよりと重たい空気を纏う。それはそうだろう。今日戦兎が参加したコスプレリレー。服は特に気にしていなかったのだが、それが失敗だった。なにせあの悪のりの化身みたいな藍華である。彼女が普通のコスプレなどさせる訳もなく、
「いやぁ、戦兎ちゃんはウケたな」
「やめろ」
「えぇ~。戦兎ちゃん凄い似合ってたよ?」
「その口縫い合わせるぞ」
龍誠とイリナがニヤニヤしながら言ってくるのを、戦兎はギロッと睨みながら牽制する。
そう、戦兎が今日着せられた衣装は何と、魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブのコスプレであった。
競技直前になって渡された衣装に、勿論抗議したが、今さら変更はできないと言われて着て出場。それはもう好評で、まぁ顔立ちは綺麗な戦兎の女装が似合わないわけがなく、男女ともに大歓声。その分戦兎は大ダメージであった。しかも決め台詞まで言わされて……
「もう学校いきたくない……」
「まぁまぁ、頑張りましょ?」
と小猫に慰められつつ、オカルト研究部の皆で、お祝いとご苦労様を兼ねて皆でアザゼルの奢りで焼き肉である。
まあ囮にされたお返しと言うことで、飯くらいは奢れと皆で詰め寄ったのだ。それをアザゼルは快諾……したのをちょっと後悔した。
「お前らなぁ……幾ら奢りだからって高級焼き肉店を遠慮なく予約するかぁ?」
何てぶつぶつ言う。所謂ここは食べ放題メニューがない、お高い店と言う奴だ。
まあ皆知らん顔で好き勝手頼んでいる。男性陣と一部の女子はとにかく肉派だが、女性陣はサイドメニューや、意外と高い店と言うのにデザートメニューも豊富な為かそっちに目がいっている。
なのでそれぞれ今日はスポンサーもいるし、何の心配もなく注文していた。そんな様子を見ながらアザゼルは、
「はぁ……せめて店くらいこっちで予約するべきだった」
何てため息を一つ。正直、今回のは仕方なかったなんて言い訳を、こいつらにするつもりはない。テロリストに対する対応として、自分は堕天使の総督と言う立場上当然の決断だった。そう思っている。
だがこいつらが無事に帰ってきたとき、心の底からホッとしたのも事実だ。自分で危険な目に遭わせといて、それでも安心した。我ながら勝手だが、こいつら無事で本当によかった。
それと皆には話したが、兵藤一誠と言う人間について、堕天使の情報網で調べたのだが、駒王町どころか日本には兵藤一誠という男がいないことが判明した。生まれたとかそう言った痕跡もない。まぁあれほど
まあ精々兵藤と言う中年の夫婦はいたが、何てことはない普通の夫婦だった。まあ奥さんが子供ができにくい体質だったらしく、子供はいないが睦まじく幸せそうな夫婦だ。きっと子供がいたら大切に育てるだろう。間違いなく幸せな子供だ。
何て思っていると、ふとアザゼルは外から気配を感じ、一声かけて外に出る。そこに、
「よう、ヴァーリ」
「元気そうで何よりだ。アザゼル」
立っていたのはヴァーリだ。暗闇の中、静かに立っていた。そしてアザゼルは、
「ありがとなヴァーリ」
「何の話だ?」
惚けてみせるヴァーリに、アザゼルは笑って答える。
「俺のためだろう?態々戦兎に警告したり、アーシアを助けてくれたのは」
「……」
アーシアになにかがあれば、あいつらは自分を絶対に許さない。いや、誰かが欠けても許さなかっただろう。それだけじゃない。他の勢力から相当突き上げられた筈だ。そう言うとヴァーリは、
「あいつらが許してもお前が自分を許さないだろう?昔からそうだ。背負わなくても良い他人のことまで背負い込んで勝手にヒィヒィ言っているのはな」
「お節介焼きめ」
アザゼルが茶化すように言うと、ヴァーリも苦笑いしながら肩を竦め、
「そんなことはない。ただまぁ……
そんなことを言うヴァーリに、アザゼルは少し眼を細め、
「まだあの男を追うのか?」
「……」
そんな言葉に、ヴァーリは少し表情を曇らせながらも、
「当然だ。あの男がいる限り……俺の戦いは終わらない」
「見つけて殺して……そしたらどうすんだ?」
さてね、とヴァーリは少し遠くを見て、
「みーたんのライブを追い掛けるか……まぁあの男はしぶといからな。倒すにも骨が折れそうだし、死んでるかもな」
そう言いながら背を向ける。それに対して思わずアザゼルは、
「まだお前は引き返せる。
「……それも良いかもな」
無くなれば良い。何もかも……母を殺した父も、それを背後から唆してその姿を笑っていた祖父も、それから守れなかった弱い自分も……全て虚無になれば良い。そう言い残し、ヴァーリは消える。それを見送る事しか出来なかったアザゼルは、思わず壁をぶん殴る。
堕天使と言う種族は人間より遥かに力がある。そのため壁が拳の形に陥没するが、アザゼルは手に爪が刺さり血が出るほど強く握る。
「クソッタレ……」
結局、自分はなにもできてやしない。ヴァーリの復讐心は何処かで収まったんじゃないか、そう思う自分がいた。だが結局何も変えられてない。天才と言われようと、堕天使の総督だろうと、救いたいと思ったものを救えず、いかに自分が無力か思い知る。
今回だって戦兎達を囮に使わなければならなかった上に、犠牲にしないと思いながらもヴァーリがいなければアーシアは犠牲になっただろう。もしかしたら暴走した戦兎に他の誰かが犠牲になったかもしれない。結局、自分の見通しの甘さが招いた事だ。
昔からそうだ。何かして、それが裏目に出て被害が出る。今回は良い方だ。なにせ取り返しの付かない事態になったことだってあるのだから……
だが、これからもっと沢山の事態が起きるだろう。特にあの兵藤一誠……あれは何者なのかわからないがこちらの状況をよくわかっているらしい。今回の一件だってドタバタに乗じて姿を消した三大勢力のやつらが結構いる。恐らく内々に
どうにかしなければ……まずはアイツらの強化だろう。今も十分強い。だがこれからのことを考えれば強すぎると言うことはない。それにしても……とアザゼルは思い出す。
龍誠の変化。直接見た訳じゃないが、変な変化をしたらしい。戦兎いわく、兵藤一誠の
龍誠はただの人間だったはずだ。勿論何かしらの
(とにかく血液検査の結果を待つか)
そう思い、アザゼルは店に戻る。とにかく色々考えなければならないことが多いが、取りあえずはアイツらとの飯を楽しもう。それから警備案と
今度こそ間違えない。間違えるわけにいかない。そう覚悟を決めて席に戻ると、
「え?」
アザゼルがあんぐり口を開ける。そこにいたのは、
「あらアザゼル先生。お疲れ様です」
そう言ったのはソーナ。と言うかソーナだけではなく、匙以外のシトリー眷属も、普通にいた。何故?と首をかしげていると、
「私が呼んだのよ」
「呼ばれました」
と言うのはリアスとソーナ。匙君は?、家の用事で……とそのまま別の話題にシフトする二人を見ながら、アザゼルは周りを見回す。
グレモリーチームとシトリーチームが入り乱れ、次々注文する。それから皆でこっちを見て、
『ごちになりまーす!』
「……も、もう勝手にしろー!好きなだけ頼みやがれー!」
最早やけくそ。アザゼルが叫ぶと皆も遠慮なく(最初から無かったが)注文を再度再開。因みにその後、堕天使の本部に経費から払えないかと無心したが、副総督であり先日悪魔の女性と結婚したシェムハザにダメだと言われてしまうアザゼルの姿があったらしい。まあそれが本当かは謎である。
コメントで前々から貰ってたのですが、戦兎のヒロインは小猫だけの予定でした。ただ結構他のヒロインはいないのかって聞かれるので、皆さん的にはどっちが良いんですかね?ヒロイン追加するとしたら多分黒歌が一番書きやすいかなっては思いますが、アンケート機能で募集しますので、どうなのかお聞かせ願いたい。まあ本音を言うとついでにアンケート機能を使ってみたかったのですじゃ。期限はそうだね……明後日くらいまで様子見ながらって感じですかな。
もう一人くらい戦兎のヒロイン入れる?
-
ここは黒歌も加えて猫姉妹丼でいこうぜ
-
いや小猫一筋数千年でいくべき