ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「ディオドラとの一戦や体育祭も終わり、ごく普通の生活を取り戻していた俺たち」
龍誠「しかしホント平和だなぁ……こんな生活がずっと続けば良いのにな」
戦兎「人はそれをフラグと言う……ってな感じの51話スタートです!」


第七章 放課後のラグナロク
約束


「ふははははは!その程度か!仮面ライダー!」

『くっ!』

 

テレビの画面の中には、戦兎に似た男と龍誠に似た男の二人が、黒い仮面をつけた男と対峙していた。

 

仮面の男に苦悶の表情を浮かべるが、二人は膝に力を込めて立ち上がる。

 

「まだだ、俺たちはまだ諦めない!」

「その通りだ!俺達は皆の明日の為に負けるわけにはいかねぇんだよ!」

 

そう言って二人はビルドドライバーを装着すると、

 

『変身!』

 

ビルドとクローズに変身した二人は、相手に走り出す。先程とは違い追い詰めていく二人に仮面の男は、

 

「くっ!なんだこの強さは!」

「言った筈だ!俺たちは皆の明日を守る!」

「ラブ&ピースを胸にな!」

 

そう言って二人はレバーを回し、腰を落とすと、

 

『勝利の法則は決まった!』

 

何て言うテレビを、戦兎達は龍誠達が住む豪邸にて見ていた。

 

「しかしそっくりな人をよく探したもんだなぁ……」

 

戦兎が呟くと、龍誠も頷く。この冥界でまだ始まったばかりだと言うのに、既に視聴率が50%オーバーの、大人から子供まで大人気の番組となった、【冥界ヒーロー・仮面ライダービルド】は戦兎達がモデルとなっており、その為ビルドやクローズに変身しているには本人ではない。いやまあこの間発表された際のPVは戦兎達が本人でやっているが。だが龍誠は少し不満があるようで、

 

「でもよう、何か戦兎って言うかビルド目立ってねぇか?俺だって最初から登場だぜ?」

「そりゃお前、クローズ関連よりビルド関連の方がアイテム多いだろう?」

 

そうだな、と龍誠はアザゼルに頷く。なにせクローズ単体のアイテムと言うと、クローズドラゴンとビートクローザー位なものだ。一応ドラゴンフルボトルとロックフルボトルも龍誠が持っているが、まぁあれは戦兎も使えるので除外。それに引き換え、

 

「フルボトルとドリルクラッシャーとホークガトリンガーと四コマ忍法刀とカイゾクハッシャーとスパークリング……こんだけビルドはあるんだ。関連グッズだけで売り上げがもう差が出るだろ?」

「大人の事情かよ!」

 

戦兎!俺にも強化アイテム作ってくれ!と泣きつく龍誠に戦兎は、

 

「お前が目立つと俺の主人公感が無くなるからやだ」

 

と一言言って画面を見る。既にエンディング曲が流れており、皆リラックス体勢。因みにこのエンディングやオープニングを歌ってるのは戦兎だったりする。

 

「それにしても意外な才能だったわね。戦兎が歌上手いなんて」

「そうっすかね?」

 

因みに戦兎はギターも上手い。まぁ何気に人気があるのは、オープニングでリアス達をモデルにしたキャラとジャンプしたりするシーンなのだが……

 

「せっかくだから龍誠君も歌えばよかったのにね」

「勘弁してくれ、歌うのは苦手なんだよ……」

 

と、自称音痴の龍誠は祐斗に答える。とは言え結構上手いのだが、人前で歌のには抵抗があるらしい。

 

その為戦兎一人で歌ってるのだが、結構こっちも好評だ。少ししたらCD化も予定されている。

 

そんな中、

 

「でも、まさか昔三人で見てたヒーロー物に戦兎君達が出るなんて感慨深いわね」

 

そう言ってきたのはイリナだ。それに戦兎は、

 

「そう言うけど、一番楽しんでたのはお前だった記憶があるぞ?」

「もう!そういうのは覚えてるんだから!」

 

と言ってペシペシ叩いてくるイリナに戦兎が笑うと龍誠も笑いながら、

 

「そうそう、あの頃イリナは男だと思ってたしな」

「ほんとひどい!」

 

するとそんなイリナに龍誠が、

 

「でもまあ、それが今じゃこんな美少女だってんだから世の中どうなるかわかんねぇよなぁ」

「……」

 

何て言うもんだからイリナの顔は耳まで真っ赤。そんな様子に龍誠は首を傾げる。

 

ホントそう言うところだぞ……と戦兎は、ため息一つ。空気だって一気にピリピリし始めた。

 

すると、

 

「イリナちゃんばっかりズルいですわ」

「うぇ!?」

 

突然背後から抱き締められた龍誠は変な声を出しながら振り替えると、そこにいたのは朱乃だ。

 

「朱乃さん?何か用ですか?」

「えぇ、ねぇ龍誠君。約束は何時になったら果たしてくれるんですの?」

 

約束?と龍誠は疑問符を浮かべる。それを見た朱乃はプゥッと可愛らしく頬を膨らませると、

 

「で・え・と。ですわ」

「でぇと?」

 

次の瞬間、龍誠の脳裏にディオドラの時の一件がフラッシュバックし、

 

「あぁ!あのときの!?いやでもあれは……」

「嘘なの?」

 

あれは戦兎がと言おうとした龍誠だが、朱乃の問いかけに言葉を詰まらす。あれは戦兎が勝手に言ったことだ。だが、この悲しそうな顔は不味い。非常に不味い。全くもって逆らえない。といった感じで、

 

「じゃ、じゃあ次の土曜日に……」

「やったぁ!」

 

朱乃はそう言って龍誠を抱き締める。そして部屋の空気は氷点下に……

 

「はわわ」

「ほれギャスパー。俺達は違う部屋でゲームでもするか」

 

顔を青くしてガタガタ震えるギャスパーを、戦兎は連れ出しそれに小猫がついていく。

 

最早恒例となった流れであった。そんな光景を見ながらアザゼルは、

 

(最近禍の団(カオス・ブリゲード)の動きが静かすぎる)

 

と、思考を張り巡らせた。

 

前回のレーティングゲーム襲撃以降、何故かパタリと世界各国で起きていた禍の団(カオス・ブリゲード)のテロ行為は無くなった。

 

考えられるのは、あれは禍の団(カオス・ブリゲード)の構成員に対して決起を促す合図だったこと。だがそう考えると、無くなった理由がわからない。自分が禍の団(カオス・ブリゲード)を率いていたら、小さくてもテロ行為の手は止めない。

 

手を止めればそれだけ相手に準備をさせる暇を作るからだ。だがそれがない。となれば考えられるのは、

 

(でけぇ一発に向けて準備をしている……か)

 

となれば今のうちにこちらも準備を済ませたい。出来る限りの……と言う注釈は付くが、とにかく禍の団(カオス・ブリゲード)の……いや、兵藤一誠の驚異はデカイ。今の戦兎達では、変身していない状態でも勝負にならないし、変身すれば自分でも恐らく一対一では危険だ。相手の動きや戦略を研究するのは得意だが、それを簡単に吹き飛ばす圧倒的パワー……自分とアイツでは人間で言うと巨像と蟻ぐらいスペックに差が出てしまう。

 

それだけの差を埋める策略はかなり厳しい。となれば質も量も兼ね揃えた軍勢を作るしかない。

 

「となればまずは北欧だな」

 

そんな風にアザゼルが呟く一方では、

 

『はぁ……はぁ……』

 

多数の人間達が肩で息をする。それを見据えているのは一誠だ。一誠は自分の目の前に来た男の胸に手を当て、

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)

《Transfer!》

「ぐぁああああああ!」

 

力を流し込み男は地面を転がる。だがその男は、突如全身を黒い影が被い、鎧のように変わる。

 

「お疲れ様。お前も禁手(バランスブレイカー)に至ったな。まぁ、今んとこ全員至れてるけどさ」

 

そう言いながら少し一誠は伸びをする。この場に転がる者達は人間だ。人間といっても全員神器(セイクリットギア)を持つ者。神器(セイクリットギア)を持ってしまったゆえに歪んでしまった者達だ。それを一誠は集め、無限の才能と神器創造(セイクリットクリエイター)、そして赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)を合わせて使うことで強引に、だが安全に禁手(バランスブレイカー)に至らせていた。

 

「さてさて、これだけ禁手(バランスブレイカー)に至らせておけば良いだろう。あとは各自で禁手(バランスブレイカー)に慣れておけ」

『はい!』

 

そんな面子を見ながら一誠はその場を後にする。

 

(時期的に考えればあそこの辺りか……なら禍の団(カオス・ブリゲード)が関わる必要はないな。原作では禁手(バランスブレイカー)に無理矢理至らせるために戦わせてたがその必要はないし)

 

そう思いながら一誠は顎を撫でた。

 

(目指すは京都……かな?)




先日のアンケート……想像以上に反響があり、しかも想像を上回る差が付きましたね……驚きつつここまで差が出るなら書くしかないですね~。

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