ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「まあ特になにも話すことはないかな」
龍誠「おい!幾らお前が出番無かったからってそれはねぇだろ!」
戦兎「うるせぇ!まさか感想でもネタにされるとかこっちも予想外だったわ!」
龍誠「仕方ねぇだろ!とにかくとっととあらすじやれよ!」
戦兎「しゃあねぇな……えぇと、龍誠と姫島先輩がデートしてそしたらバラキエルさんと会って父娘の確執を見た。さてさてどうなるのかーって感じの53話スタート」
龍誠「やる気ねぇな!?」


悪神とドルオタ

「ほっほっほ!日本は楽しいのう!」

『そですか……』

 

さて、オーディンが来てから一週間。その間彼は遊園地行ったりキャバクラ行ったり、あっちこっち遊び回ってその護衛に引っ張り回され、オカルト研究部の面々は疲労していた。そりゃもうアレだけチヤホヤしてVIP待遇してもらえれば楽しいだろうさ。

 

現在もスレイブニルとか言うデカイ馬が引くこれまたデカイ馬車に乗っている。まあ今日は日本の神との会談に赴くためのなので、大分楽なのだが、

 

「すぅ……すぅ」

 

その為か皆かなりだらけてる。ギャスパー何て、さっきまでうつらうつらと船を漕いでいたかと思うと、いつの間にか戦兎の太腿を枕に寝ている。要は膝枕だ。

 

「ギャー君よく寝てますね」

「まあ最近引っ張り回されまくってるしなぁ……」

 

戦兎は、ギャスパーの頭をソッと撫でながら小猫と話す。のだが、

 

「なぁ、お前どこ見てんだ?」

「え?」

 

そう、さっきから小猫は自分の太腿を凝視しながら話してくる。割りと小猫は話すときはちゃんと相手の眼を見て、と言うのをするタイプなので、どうも気になった。すると小猫は、

 

「いえなんでも……」

 

ゴニョゴニョ言いながら、そっぽ向いてしまう。何か不満げと言うか、少し機嫌が悪い気がする。そう言えば小猫も引っ張り回されてるし、空いた時間に仙術の修行もしている。多分疲れてもいるだろう。そう思いながら戦兎は、

 

「塔城。まだ着くまで時間が掛かるだろうし、お前も寝たらどうだ?起こしてやるからさ」

「……そうですね」

 

と言って小猫はポフッと戦兎の空いてる方の太腿を枕にして、あっという間にスヤスヤと寝息を立て始めた。

 

(そういう意味ではなかったんだが……)

 

普通に寝ろと言う意味だったんだが、まさかこいつまでとは……まぁ自分の膝枕で寝てリラックス出来るなら良いのだが。

 

そう思いながら戦兎は小猫の寝顔を見る。

 

まぁ何時もチビチビ言っているが、こうして見ると睫毛は長いし、整った綺麗な顔立ちだ。性格だって無口で口も手も出るが、悪いやつじゃない。

 

(ったく、自分で言ってて悲しいけどこいつだってその気になれば男に不自由はしないだろうになんだってなぁ)

 

ポリポリ頭を掻きながら、我ながらキャラじゃないことを自覚する。そこに、

 

「両手に花だね」

「イリナ……塔城はともかくギャスパーは花ではないだろ」

 

そう言って戦兎は肩を竦めつつ、

 

「それに塔城に女を感じるほど餓えちゃいねいでででで!」

 

戦兎は突然飛び上がり、寝ていた塔城を睨み、

 

「お前起きてんだろ!内太腿つねりやがって!滅茶苦茶いてぇんだぞ!」

「スヤスヤ……」

 

わざとらしく寝息を立てる小猫に怒る戦兎。それを見ながらイリナはゼノヴィアの元に行き、

 

「あの二人って付き合ってる訳じゃないんだよね?」

「あぁ、だが結構仲は良いし小猫は確実に戦兎が好きだな」

 

後は戦兎君の気持ちよねぇ……とボソボソ言うのはイリナ。そしてボソボソ言いながら頷きながらゼノヴィアは、

 

「まあ戦兎も小猫の事は嫌いではないと思うんだ。だがいまいちアイツに小猫への好意を感じないし、気づいている様子もない」

「そうよね、普段の戦兎君の言動考えたら、後輩の女の子を惑わしてしまうとは罪作りな俺……とか言いそうだしね」

 

そう言い合う女子二人を見てから、龍誠は朱乃を見る。彼女はここ最近心ここにあらずといった感じで、リアス共々心配していた。

 

とは言えおいそれと踏み込むのも……と思っていたとき、

 

『っ!?』

 

ドン!と突如馬車が爆発音と共に揺れ、全員が大慌てで立ち上がる。

 

「外か!?」

「ふにゃ……」

 

と寝ぼけ眼のギャスパーを起こしつつ、戦兎は馬車から飛び出しながら悪魔の翼で空を飛ぶ。正直未だにこっちでは慣れないのだが、様子見が一番なので、変身せず馬車の上に飛び上がる。馬車は人間の世界に影響を与えないように空を飛んで降り、馬車の大きさもあってさながら空中に浮かぶ足場だ。お陰で悪魔の羽で飛ぶのが苦手な戦兎や、龍誠は助かっているが……

 

そうして上に昇ると、そこには既にアザゼルがおり、その視線の先には悪そうな顔立ちをしたイケメンがいた。

 

「おいおい、おめぇ何しに来やがった?」

「ふん、知れたことを」

 

アザゼルは相手を知っているらしいが、戦兎は龍誠と誰だあいつ……と顔を見合わせる。するとそこに、

 

「全く、騒がしいと思ったらお主か。ロキよ」

「ろき?」

 

誰だそれ?と龍誠がますます首を傾げる中、リアスは表情を曇らせる。

 

「悪神・ロキ……北欧の神よ」

 

あいつも神なんですか!?とリアスの言葉に龍誠が驚く中、戦兎はオーディンを見て、

 

「なんであのロキって神様がここに来てるんですか?」

「大方今回の北欧と三大勢力の同盟が気に入らんのじゃろう」

 

そう言うオーディンに、ロキは頷きを返すと、

 

「なあ主神・オーディンよ。本当に三大勢力と同盟を結ぶ気か?」

「うむ、ロキよ。何度も言ったじゃろう?最早どこの神話がどうこう言っていられる時代じゃないんじゃよ。どこの宗教も今や信仰心が薄れ、信心が減っている。神は強大な力を持つ反面、信心がなければ生きていけぬ。互いが潰しあって力を減らしあっても無意味じゃよ」

 

その言葉には重みがあった。今まで見てきた好好爺でスケベ爺な姿はない。だがロキは突然笑い出すと、

 

「全く、自分が嫌になるよ。貴方のような弱腰の爺を主神と仰がなければならないのだから」

 

そう言ってロキはわざとらしく天を仰ぐ。そして手をこちらに向けると、

 

「なら仕方がない。ここで神々の黄昏(ラグナロク)を始めよう」

 

そう言ったロキの手から雷が降り注ぎ、戦兎達を襲う。

 

《タカ!ガトリング!ベストマッチ!Are you ready?》

《ウェイクアップ!クローズドラゴン!》

『変身!』

《天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ》

《Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!》

 

だがそれを転がって避けつつ二人は変身を完了すると、

 

「喰らえ!」

 

戦兎は飛び上がり、ホークガトリンガーでロキを撃つ。だがロキは、それを不可視の壁を作り出して止め、逆に跳ね返してきた。

 

「ぐっ!」

 

予想外の反撃に戦兎は、何発か当たりつつも何とか体を捻って避ける。その間に、

 

「俺も羽くらいあればぁ……」

 

とぼやいた龍誠は、レバーを回して腰を落とす。

 

《Ready Go!ドラゴニックフィニッシュ!》

「おらぁあああああ!」

 

右の拳に溜めた蒼炎を、龍誠はロキに放つ。しかしそれも片手で弾くと、雷を落としてくる。

 

「ちぃ!」

 

するとそこに、

 

「これ以上はさせません!」

「む?」

 

スーツ姿から鎧姿に変わったロスヴァイセは無数の魔方陣を作り出すと、一斉に光弾を放つ。更にそれに合わせるようにリアスや朱乃も魔力を撃ち援護。同じく護衛のアザゼルやバラキエルも加わって、耳イカれそうな程の轟音と、思わず目をつぶるほどの閃光。だがロキはと言うと、

 

「ふむ、少し痛かったかな」

 

と余り効いた様子がない。それを見た戦兎は、

 

「アザゼル先生!こう言う時にはいざってときの救援ってなかったっけ?」

「さっきから連絡いれてんだが通じねぇんだよ!妨害されてる感じじゃなさそうだが……」

 

と言うアザゼルに、ロキは肩を震わせながら笑うと、

 

「くく、まさかアザゼル総督。俺が一人で事を起こしたと思っているのか?」

「……テメェまさか」

 

アザゼルが睨むとロキは頷き、

 

「私の理想を理解してくれる神は多いと言うことだよ。神は神らしく、そして何者よりも自由でなければならない。ましてや他の神話体系に媚を売るなど考えられんのだよ。真の誇りがある神はな」

「へっ……やってんのは結局禍の団(カオス・ブリゲード)の連中変わんねぇじゃねぇか」

 

ロキの言葉に、戦兎は思わず突っ込むが、ロキは余り気にした様子はなく、

 

「あれはただのテロ行為だ。だが私達のは違う。私達のは文字通り神の意思だ。私達がしたい=絶対にして唯一無二の何者にも犯されてはならない正義なのだよ」

「……」

 

余りにも自信満々答えるロキに、戦兎は開いた口が塞がらなくなってしまう。神様ってこう言うやつらばっかなのか?いや、オーディンを見ててもこう言う感じはしないので、多分一部なんだろう。

 

だが随分とまぁ好き勝手いってくれるものだ。神だからって何でもやって良い筈がない。

 

そう戦兎が思っていると、

 

「とは言え気をつけておけば良いのはオーディン殿だけとは言え、流石にこの数だ。どれ、少しこちらも頭数を増やすか」

 

そう言ってロキはパチンと指を鳴らすと、突如空間が歪み中から一匹の狼が現れる。

 

「まさかあれは!お前ら気を付けろあれはただの狼じゃねぇぞ!」

「そうだアザゼル総督。これは神喰狼(フェンリル)。爪は神の身を切り裂き、牙は神の命を噛み砕く。これくらいは用意しておかなければな」

 

そう言ったロキは、フェンリルを一撫でし、

 

「さぁ私の可愛いフェンリル。蹂躙の時間だ」

「ガゥ!」

 

ロキからのGOサインを貰ったフェンリルは、戦兎達目掛けて走り出す。それを戦兎はホークガトリンガーで迎え撃つが、

 

「なに!?」

 

目にも止まらぬ高速移動で、一瞬で横に回避して避けたフェンリルは戦兎目掛けて爪を掲げた。そこに、

 

「デュランダル!」

「いっけぇ!」

 

聖剣の剣圧と光の力を纏めてぶち当てたのはゼノヴィアとイリナ。流石にそれを喰らって少し怯んだ隙に、戦兎は距離を取る。

 

「サンキュー二人とも」

「いや、気にするな」

 

そう言ってデュランダルを構え直すゼノヴィアと、そうそうと頷いて光の輪を作るイリナ。だがフェンリルもすぐさま体勢を建て直すと、牙を剥いて此方を威嚇した。

 

「さっきの早さはやべぇな……」

 

戦兎はそう言ってどのボトルを使うか思案する。だが正直いって、あのフェンリルの速度と、この空中で足場がないと言う状況。更にゼノヴィアとイリナの二人の攻撃を喰らっても無傷で済む防御力……この全てをクリアできる組み合わせとなるとかなり難しい。だが、

 

「がぅ!」

「来るぞ!」

 

フェンリルは待ってくれない。当然のようにこちらに突っ込んできた。それを見たゼノヴィアが叫び、戦兎達は横に跳んで避け、

 

「ならこれだ!」

《フェニックス!ロケット!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

 

戦兎はボトルを変え、姿を変えた戦兎は、更にレバーを回すと、

 

《Ready Go!ボルテックアタック!》

「はぁああああ!」

 

炎を身に纏った戦兎は、ロケットの勢いでフェンリルに突進し、そのまま鼻っ面をぶん殴って仰け反らせる。

 

鼻と言うのは、神経が集中している部位だ。そこにダメージが入れば幾ら一般的な動物ではないとは言え、少し堪えるかと思ったが、案外予想通りだ。と思ったのだが、

 

「がふっ!」

 

そのままベシャっと落下し、

 

「がはっ!げほっ!」

 

全身を襲う痛みに、戦兎は悶絶する。

 

「戦兎!」

 

龍誠は叫ぶ。見てみれば、胸の部分のビルドのアーマーが切り裂かれ、戦兎の血だろうが、真っ赤に染まっていた。

 

「てんめぇえええええ!」

「龍誠!」

 

リアスの制止を振り切った龍誠は、一気にフェンリルと間合いを詰めてそのまま顎に向けてアッパー!そのままでは足場がないところに出ていたのだが、

 

「おぉおおおお!」

 

バキバキとクローズのアーマーの背中の部分が砕け、背中から翼が生える。

 

「ブッとべぇ!」

「っ!」

 

バキィ!とフェンリルの横っ面に叩き込まれた龍誠の拳に、フェンリルは先程は見せなかった苦悶の表情を浮かべながら後方に吹っ飛ばされる。

 

『先輩!』

「うぅ……」

 

その光景を見ながら、駆け寄ってきた小猫とギャスパーの方を見る戦兎。それと同時にアーシアも前線は危険なため、後方から回復の光を飛ばしてくれた。少し軽くなった体に安堵しつつ、戦兎は立ち上がる。すると龍誠は、

 

「何じゃこりゃあ!は、羽!?でもこれ悪魔の羽とは違うよな……ってかクローズのアーマーの背中の部分がぶっ壊れてる!?」

 

とまあ大騒ぎだ。だが確かにあれはディオドラの時に暴走したときに見せた、赤い鎧についていた羽に見えた。しかし戦兎は、

 

「龍誠!そんなことよりロキだ!」

「む?うぉ!」

 

戦兎の指示に我に返った龍誠の所に、ロキの雷が降り注ぐ。それを避けて距離を取ると、

 

「おい悪魔、なんだそれは。純粋な力だけに限定すれば神にも匹敵、いや下手すればそれ以上だぞ?」

「何かよくわかんねぇけど……負ける気がしねぇ!」

 

龍誠は拳をパン!と掌で合わせると、そのままロキに殴りかかる。

 

「まぁその程度の早さでは当たりはしな……」

《シングルフィニッシュ!》

 

そう言って余裕の表情で構えていたロキの背中に光弾が放たれた。

 

「なにっ!?」

 

勿論リアス達に注意を払っていなかった訳じゃない。この場の誰が龍誠を援護したとしても対応できた。だがロキは完全に失念していたのだ。他の神も味方につけ、同時に襲撃を掛けることでオーディン達に援軍を出す余裕を無くした。それ故に、第三者の横槍を計算し忘れていたのだ。そしてその一瞬の隙は、

 

「おらぁああああああああああ!」

「ぐぼぁ!」

 

腹にメリメリと音を立ててめり込むほど強烈なボディブローに、ロキは血反吐を吐きながら後方に吹っ飛ばされた。

 

「ごほっ!貴様は……」

「初めまして悪神・ロキ殿。俺はヴァーリ。ヴァーリ・ルシファーだ」

 

そう言って立っていたのはヴァーリだけじゃない。アーサーに美猴に黒歌……つまりヴァーリチーム勢揃いだ。

 

「あははは。仙術で気配消したら全然気づいてないし」

「ま、おいら達の登場は予想外だろうしなぁ」

 

ケラケラ笑う黒歌と美猴。それを見ながらロキは苛立ちの空気を纏う。だが、

 

「ちっ、時間切れか」

 

魔方陣越しに通信が入ったらしいロキは、フェンリルを異空間に戻すと、そのまま自分も魔方陣に入っていく。

 

「取り敢えずはここまでのようだが、またいずれ……次は真の神の裁きをお見せしよう」

 

そう言い残し姿を消していくロキを見送り、龍誠が足場に戻るとそのまま羽が消えてそれと同時に、変身も解除された。

 

「ぷはぁ……なんだ?すげぇ疲れた」

 

力が全身に入らない感覚に苛まれる中、アザゼルはヴァーリの元に行く。

 

「どういうつもりだ?」

「なに、少しアイツに用があってね。どうだアザゼル?随分とそっちも忙しそうだし、手を貸してやろうか?」

 

とヴァーリは何て事ないように、そんなことを言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで彼らがここにいると?」

「えぇ……まぁ」

 

ソーナの言葉に、リアスはひきつった表情で答える。

 

「分かっているのですか?リアス。彼らは禍の団(カオス・ブリゲード)の一員。テロリストなのですよ?」

「そうだけど文句はアザゼル先生に言ってちょうだい」

 

さて、ロキの襲撃によりオーディンと日本の神同士による会談は急遽中止され、更に連絡によれば何でもロキの襲撃に合わせ、他の地域でも北欧の神やそれの連なる者達の襲撃があったらしく、オーディンは重要な客ではあるが正直に言うとオーディンだけに防衛を回すことができないと言うのが、三大勢力と北欧の見解だった。

 

とは言えホントになにもしないわけにいかないので、お鉢が回ったのが結局リアスを筆頭にしたグレモリーチームと、アザゼル……だけでは足りないので、シトリーチームも召集された連合チーム。確かにいざというときの連携や、行動を起こす際、この二チームが動きやすいし、他にも回せれば人員を回してもらえるらしい。ただ正直に言えば北欧の神達はこちらとは魔術体系も異なるため、かなり苦戦させられていると言うのが現状らしく、あまり期待しない方がいいとの事。

 

そして、取り敢えず龍誠達が住む豪邸に召集されたソーナはその場にいたヴァーリ達に対する不信感を隠そうとしない。まあ当然であり、シトリー眷属の皆もかなり警戒している。リアス達は先日のディオドラの一件があるためマシだが、ソーナ達の反応には反論しきれなかった。

 

ヴァーリもヴァーリで、肩を竦めて皮肉ったような笑みを浮かべるだけなので、それが益々警戒心をあげさせている。だがそんな所にアザゼルが、

 

「とにかくだ!お前ら思うところはあるだろうが今は押さえとけ。一番の問題はロキだ。これの正否はお前らに掛かってる。勿論俺も全力を出すが、互いの不信感はゴミ箱に捨てておけ」

 

そんなアザゼルの言葉に、ソーナは仕方なく同意するように顔を逸らす。

 

まあ正直言ってそんな簡単に仲良くは無理だろう。だがそれでもやらなくてはならない。なにせ相手のロキは今回戦ってわかったが強い。リアスとソーナ達では厳しいだろう。だがヴァーリ達がどんな目的であれ力を貸してくれるなら勝機はある。すると戦兎が来て、

 

「それで?これからどうするんですか?」

「ん、そうだな。まずはロキにどう対抗するかだが……」

 

等とアザゼルが口を開いた瞬間、ドタドタと扉の向こう側から足音が聞こえたかと思うと扉が開け放たれ、

 

「お兄ちゃん!」

「げっ!美空!?」

 

そう、ズカズカと部屋に入ってきたのは美空で、彼女は戦兎に詰めよりながら、

 

「言ったじゃん!ちゃんとご飯を今日は龍誠達と食べるのか、それともちゃんと家で食べるか連絡してって!さっきからメール送っても返信来ないしこっち来てみたら案の定いるし!」

「わ、悪かったって……」

 

正直言うと、フェンリルにやられたダメージが少し残っているため、さっきまで寝ていたのだが、美空は知らないことだ。何も言えない。なので、戦兎は謝るしかないのだが、だがそんな中、一人別の反応をしている奴がおり、

 

「まさか……」

「ん?」

 

バビュン!と瞬時に美空の元に移動したのはヴァーリで、彼はウィィィイイン!と言うブリキのロボットみたいな動きで美空を見る。

 

「な、なに?」

「……」

 

ウィィィイイン!と姿勢を戻し、ヴァーリは少し息を吸うと、

 

「デュフ!」

「は?」

 

思わず歓喜のあまり、仰け反りながら変な声が漏れたヴァーリに、美空は疑問符を浮かべているが、ヴァーリはそんなことは気にせず寧ろテンションが上昇し、

 

「みーたんだ!」

「は?」

「うへへ」

「はぁ?」

 

頬をだらしなく緩めて、ヴァーリが笑みを浮かべる中、美空は何?と首をかしげた。だがヴァーリは、

 

「んん!ヴァーリ・ルシファー。17歳彼女無し。テレビで初めて貴方と出会ったときから、心火を燃やしてフォーリンラブでした!」

 

あ、握手して貰って良いですか?と手を伸ばすヴァーリ。だがその間に割って入ったアザゼルは、ヴァーリを連れて少し離れると、

 

「あのなヴァーリ。お前整理券を忘れちゃいねぇか?こう言うときの必須アイテムだぜ」

 

つうわけで五万な?と手を出すアザゼルに龍誠と戦兎が、

 

「お前が金取るのかよ」

「しかもぼったくりだし」

 

何て突っ込むが、ヴァーリはと言うと、

 

「五万か……安いな。あ!十万出せばツーショットとか……」

「おいこらヴァーリ!それ俺たちの生活費だろうが!」

「落ち着きなさい!そもそもアザゼル殿がお金を回収するのが可笑しいでしょう!?」

 

離せぇ!とヴァーリは暴れるが、美猴とアーサーは二人掛かりでヴァーリを引き剥がす。

 

「ほんとバカにゃ……」

 

そんな姿を冷たい目で見る黒歌。そして、

 

「あれは一体……」

「ヴァーリはね、みーたんと言うか戦兎の妹の美空ちゃんの大ファンらしいのよ」

 

そう言うソーナとリアス。そして、

 

「ったく」

 

アザゼルはケラケラ笑いながら、手に持った端末を操作する。そこには一通のメールが来ており、それは副総督のシェムハザからで用件は、

 

《万丈 龍誠の検査結果》

 

と書かれていたのだった。




悲報・前回出番がなかった戦兎、今回活躍するかと思えば結局龍誠とヴァーリに活躍を奪われる。

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