戦兎「と言うわけで今回は本編に関係ない特別編!」
龍誠「しかしふざけたなぁ……」
戦兎「ほんとなぁ、色々ふざけすぎたなぁ……」
龍誠「まぁ取り敢えず始めていくか」
戦兎「んだな。通話毛で特別編スタート!楽しんでくれよな!」
蘇らない不死鳥
「ライザーに喝を入れて欲しい?」
久々に平穏な日々を満喫していた戦兎達の元に、突然来客がやって来た。
名はレイヴェル・フェニックス。もう大分前になるが、忘れることはないレーティングゲームの対戦相手である、ライザー・フェニックスの妹だ。
冥界のパーティーでも少し会ったが、突然の訪問に皆は顔を見合わせた。そんな中彼女が最初にいったのが、龍誠に兄へ喝を入れて欲しいと言うことだった。
何でもライザーは、前にも言っていたが先日の龍誠との決闘の後、引きこもりになってしまったらしい。
上級悪魔として才能に恵まれ、敗北を知らずにいた彼にとっての初めての敗北。しかもつい最近悪魔になった年下の下級悪魔にだ。
ゴシップ紙にも好き勝手書かれ、変な噂も流れているらしいが、本人はたまにチェスの上手い領民を呼び寄せチェスで遊んだり、1日レーティングゲームの映像を見てたり……
レイヴェル曰く、余りにも情け無さすぎる。奮起するならともかくいつまでもグチグチと落ち込んでて見てられない。
だがそれでも見捨てられない辺り兄妹の情と言うか、レイヴェルのお人好しさが出ているのだが……
だがなぜそれで龍誠に頼みに来たのかと聞く。するとレイヴェルは、
「はい、あのような一件がありましたし、頼むのも気が引けたのですが、やはりあのヘタレお兄様にはなんと言いますか……ガツン!とショック療法を与えればいいと思うのですよ。そこで龍誠様であれば、ドラゴンをモチーフにした姿を持ち、更に心を折った張本人なので二重の意味でお兄様にショックを与えられると思います。そして序でにこの際ですから力付くで引っ張り出してしごいてやってほしいのです。そうすれば多少龍誠様のように負けても立ち上がれる根性を学んでいただけると思いますし」
確かライザーはクローズにやられた影響からかドラゴンや、それをモチーフにした物がダメになっているらしい。と言うか、先日龍誠は人間ベースの人型ドラゴンだと言うことが判明したので、三重の意味で天敵となっている。
しかし割りと容赦がない……だがまぁ兄が好き勝手噂されると言うのは彼女的に嫌なのだろう。なにせ兄の眷属を態々するくらいだ。兄想いではあるんだろう。
ただまあ一歩間違えば更に傷を抉りそうな気もしなくもないが、レイヴェルが良いと言うなら大丈夫だろう。多分。
と言うわけでやって来たのはライザーが現在引きこもっているフェニックス邸。メンバーはレイヴェルを除けば龍誠とリアスと戦兎で来ている。
「つうかなんか色々カットされた気がする」
「そりゃ今回は長々書きたくないって言う奴がいたからな」
そんな風に答えながら言う龍誠に、戦兎は誰だよ……と言う。
「本日はこんな感じで緩めにお送りするわよ」
「部長?誰に向かっていってるんですか?」
ほら、私あらすじ紹介に出れないから一回やってみたかったのよとリアスは答えながらレイヴェルに着いていった。それを見ながら、
「あらすじ紹介……?」
と首をかしげる戦兎がいたのは、まあ余談。
さて、フェニックス邸に無事入った戦兎達だが、グレモリー邸より下手すると大きい屋敷のためか、いつまで歩き続けてもライザーの部屋につかない。
なにせ廊下の端が見えないのだ。しかも壁にはこれまた高そうな絵やら花瓶やら……間違っても傷つけようものならとんでもない金額を要求されそうなので、戦兎と龍誠はソロソロと歩く。いつも通り歩けるのはレイヴェルとリアス位なものだ。
するとレイヴェルは扉の前に止まり、
「ここが兄の部屋ですわ」
と言って扉をノックする。
「お兄様。お客様ですわ」
扉の向こうで誰かが動く気配がする。
「レイヴェルか?悪いが今は誰とも会いたくない。嫌な夢を見たんだ……一人にしてくれ」
声音は確かにライザーの声だ。だが前にあったときとは比べ物にならないほど弱々しい。
それを聞いて一同は思わずため息。そしてリアスは、
「ライザー!私よ!」
「っ!?」
ガタッ!と椅子を倒した音が聞こえる。
「リアス!?君がなぜここに!?」
「少し話しをしに来たのよ。ここを開けてもらえるかしら?」
だがそんなリアスの言葉に、ライザーは吠える。
「振った俺に話だと?はん!万丈龍誠とののろけ話でもしに来たのか?」
中々元気に吠える事は出来るようだ。これだけ言えれば余り心配はないんじゃないか?そう思うが、そう言っていられない。と、リアスは努めて優しくライザーに声を掛ける。
「そんなこと言わないで、一回話しましょう?」
するとドタバタ足音を発て、ガチャリとライザーは扉を開けた。
「良いかリアス!俺は君と話すことなんてなにも……」
「あ、どうも」
最初は威勢の良かったライザーだが、あっという間に声音が消えていき……
「おーい」
カチンと固まったライザーに手を降る龍誠。そして次の瞬間、
「ひぃいいいいいいいい!」
とライザーは転がるように部屋の奥に走ると、そのままベットに飛び乗りフトンヲ頭から被って隠れてしまった。
「も、もうかんべんしてくれぇえええええええええ!」
勘弁も何も、龍誠はライザーに対して何もまだしてないのだが、余程前回の戦いが堪えたらしい。なにせプライドの高い彼だ。衆人環視の前でボコボコにされたと言うだけでも死にたくなるほどだろう。とは言えここで終わりにしたら、ライザーを脅かしに来ただけである。なのでしっかり頼まれたことは遂行しよう。
「ほらライザー。外に行くぞ」
「は、離せぇ!誰か助けろぉ!」
そうライザーが叫ぶと、そこにゾロゾロとまぁやって来たのは彼の眷属たち。それを見てライザーは目を輝かせると、
「よしお前ら!万丈 龍誠達を摘まみ出せ!」
だが現実は甘くない。ライザー眷属の皆もそれぞれライザーの着替えやら荷物などを纏めたり、暴れるライザーを抑えに掛かる。そしてにっこり笑って、
『ライザー様。ファイトです!』
「バカナァアアアアアアアアアア!」
そんな感じでライザーの慟哭が響いてから一時間後、
「離せぇー!死にたくなーい!」
と情けない声でジタバタ暴れるライザーと、それをつまみ上げてバサバサ翼を羽ばたかせて飛ぶタンニーン。そしてその背中には戦兎と龍誠とレイヴェルがいた。
「いい加減諦めろライザー・フェニックス。全く、中々将来有望だと思っていたがここまで脆かったとはな。その根性も含めてきっちり鍛え直してやるからな」
そう意気込むタンニーン。今回ライザーを鍛えるに辺り、正直どう鍛えるかで悩んだ。なので自分達を参考にして、自分達が一番成長出来たと思っている修行方法をとった。それがタンニーンとの地獄の追いかけっこ。その呼び掛けにタンニーンは快く応じてくれた上に、なら自分の領土に来てやろうと言い出し、現在のメンバーで(ライザー以外)喜んで着いてきた。
なんでもタンニーンの領土は、沢山のドラゴンがおりライザーや、序でに戦兎や龍誠のトレーニング相手に事欠かないとのこと。
因みにその話の時に知ったのだが、タンニーンが悪魔になったのは、ドラゴンアップルと言う果実があり、ドラゴンの中にはそれしか食べれないものもいる。だが現在自然界でそれが生っている量が減っており、冥界の一部地域ぐらいにしか残っていないらしい。だがドラゴン相手にそれを売ってくれる悪魔は今ならともかく、昔は居なかったため、タンニーンがとある悪魔の眷属になって上級悪魔になり、領地を得てそこを貰ったらしい。
上級悪魔になれば眷属だけじゃない。冥界で領地も貰える。それを利用したのだ。本当にドラゴンと言うのが自由気ままが多い種族だとは思えない。
そんな風に思いながらいるとタンニーンの領地に到着した。だが、
「ぎぇええええええええ!」
ホントにドラゴンだらけ秘境どころか、ドラゴンしかいない場所だったためライザーが泡を吹いて気絶し、起こすのにちょっと手間取ったのは余談。
「ぎょええええええええ!」
さてライザー叩き起こして修行を開始すること数日。ライザーはドラゴンに追っかけ回されていた。
一匹一匹はタンニーンには及ばないが、ライザーより上。しかも数で追い詰めていく。なのでライザーは逃げる、全力で逃げる。
そしてそれを遠目で見ているのは戦兎と龍誠とレイヴェルの三人だ。
「しかし普通こんな吹雪の中お茶飲むかぁ?」
「分かってませんわね。淑女たるものティータイムは欠かせませんのよ」
と戦兎の呟きにレイヴェルは答える。それを横目に龍誠はモガモガと、口一杯にケーキを食べていた。
なんでもこのケーキは、レイヴェルお手製の逸品らしく、確かに旨い。この猛吹雪の山の中じゃなければだが……
そう思いながら、戦兎は二人を見る。
「そ、その龍誠様?美味しいでしょうか?」
「ん?おぉ、すげぇ旨い」
龍誠の答えに、レイヴェルは表情を綻ばせる。
(何時かほんと刺されそうだな)
そんな様子を見ながら戦兎がいるとレイヴェルが、
「そう言えば今夜リアス様と朱乃様が隣の山にいらっしゃるらしいですわよ?」
「そうなの?」
その山には美肌に効く天然温泉がありますから……何て言うレイヴェルを見るが、自分には関係無い話だな。そう思っていた。だがその日の夜。
「ライザーが逃げ出した!?」
「あぁ、何時も寝袋じゃ寝れないとか言ってた癖に静かに寝てるから可笑しいなと思いながらいたんだけどよく見たらこれタオルで作った身代わりだ!」
突然龍誠が、あぁ!と声をあげ戦兎が跳ね起きると、確かにライザーがいない。まさか余りの修行に逃げ出したのか?と二人が顔を見合わせる。
「とにかく連れ戻すか?」
「そうなるだろうな」
そう言って戦兎はビルドドライバーを着けると、
《パンダ!ロケット!ベストマッチ!Are you ready?》
「変身!」
《ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ!イェーイ!》
「取り敢えず全速力で追っ掛けて捕まえるぞ!」
よっしゃ!と龍誠は戦兎の背中に張り付き、戦兎は腕に付いたロケットで虎を飛びライザーを追いかけようとし……
「ってライザーどっちいった?」
「うぅん……こっちだ!俺の第六感がいってる!」
と空で言い合って、宛てになるのかよと言いつつも戦兎は龍誠の言う方向に飛ぶ。
「あばばばばばばばばば!」
まぁロケットを使って結構な速度で飛んでるため、物凄いGが掛かり龍誠が死にかけたのは別の話し。
と言うわけで龍誠も変身を終え、全速力で飛ぶ。するとすぐに炎の翼が見えてくる。
あれは間違いない、ライザーだ。
「おいこらライザー!」
「ん?ちっ!気づいたか!」
龍誠の叫びにライザーは振り替える。
「おいライザー!いくら修行が厳しくたって逃げ出すのは許さねぇぞ!」
「バカが!そんなんじゃない!」
はぁ?と二人は顔を見合わせ、じゃあなんで抜け出したんだと戦兎が問う。するとライザーは、
「今夜リアスたちが来てるだろ?」
「あぁ、でもこっちの雪山には来ないぞ?尋常じゃないくらい寒いしな。温泉に入ってそのまま帰る筈だぞ?」
だからだ!とライザーは叫ぶ。正直、こいつが何をしたいのかがわからない戦兎と龍誠。するとライザーは、
「今夜じゃなければ覗けないだろうが!」
『っ!』
ズコッ!と戦兎と龍誠はずっこけそうになる。
「おまっ!覗きのために抜け出したのか!?」
「当たり前だ!リアスの生乳を拝めるなら俺はなんだってしてやる!」
そこにいたのは昼間のドラゴンに悲鳴を上げながら逃げていた男ではない。だが、ようはただの助平根性である。その根性を別の方面に使えと思う。
「って!お前部長のヌードを見に行く気か!」
「なにか問題あるか!」
問題しかねぇ!と龍誠は怒る。なんだかんだ言いつつも他の男に見られるのは嫌だと思う程度には独占欲があるらしい。
「ケチケチするな!お前はどうせ見るだけじゃなくて触れるだろうが!今夜くらい見せろ!しかもクイーンもいるんだぞ!あの女もリアスに負けず劣らずだ!」
「ダメだダメだ!お前にそんな権利はねぇ!」
俺は元婚約者だ!とライザーは血涙を流しそうな勢いで目を見開く。
「お前にわかるか!あれほどの美貌の女だぞ!俺がどれだけ初夜を楽しみにしてたと……」
「あんだけ女囲っといてか?」
それとこれとは話は別だ!とライザーは戦兎に吠える。それを聞きながら龍誠は戦兎を叩き、
「おい戦兎!こいつを倒すぞ!このままじゃ部長がヤバイ!」
「だな」
と戦兎は構えながらライザーを見据える。それを見たライザーも炎の翼を更に巨大化させ、
「行くぞ!」
そう戦兎は叫びライザーに突貫。それをライザーは避けると、
「無駄ァ!」
『うぉ!』
素早いカウンターに戦兎は慌てて避ける。
「くそぉ……俺も飛べればなぁ」
そんな背中に張り付きながら呟く龍誠の声を聞き流しながら、
「今の俺を舐めるなよぉ。覗きのためなら俺は幾らでも限界を超えてみせるわぁ!」
そう言いながらライザーは炎を両手に纏わせて、
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
「言いそびれてたけどそれやめろ!別の方面から怒られるわ!」
と、ラッシュを叩き込んでくるライザーの攻撃を防ぎ、戦兎は慌てて距離をとる、
「お前間違ってもWRYYYYYYYとか言うんじゃねぇぞ!?お前の声でやると別の作品だからな!?」
何だか色々な方面を敵に回しそうなので戦兎が突っ込んでおくと、
「なぁ戦兎!俺もオラオラで対抗するべきかな!?」
「お前の声のオラオラは最終的に無駄無駄に負けるからやめろ!」
なんか混沌と化してきたなぁ……と思いつつ戦兎はライザーを見直し、
「来ないからこっちから行くぞ!」
「ちっ!」
ライザーはこちらに突っ込んでくる。
「行くぞ!龍誠!」
「よっしゃ!」
そう二人が意気込む中一方では、
「なんか騒がしくない?」
「そう言えばそうですわね」
「えぇ」
温泉の端の岩に腰掛けたリアスと朱乃。更に丁度良いからと言う理由で呼ばれたレイヴェルの三人は空を見る。すると、
『ん?』
『あぁあああああああ!』
空からなにかが降ってきて、そのままその影は温泉にドボンと着水。そして、
『ぷはぁ!』
そのままゴボゴボと言った後、ゲホゲホ言いながら立ち上がる影。それは戦兎と龍誠で、気絶したライザーの襟を引っ張りながら、落っこちた拍子に変身が解除されたため濡れた服を絞りながら、
「ったく、ヒデェ目に遭ったぜ」
「だなぁ」
と言いながら何気なく周りを見た次の瞬間、
『……』
あらあらなんて朱乃は笑っているが、空気が凍りつく。いやまあ戦兎は慌てて顔を背けてるが、レイヴェルは顔を真っ赤にして、
「キャアアアアアアアアアア!」
あぁ、普通こう言う状況になったら悲鳴をあげて叫ぶよな、とグレモリーチームの女性陣の色々と堂々とした姿をちょっと思い出しながらも戦兎は、
「こう言うのは龍誠の役目でしょうがぁあああああああああ!」
と言う叫びと言うか断末魔を上げながら、龍誠と気絶したライザーと共にレイヴェルの放った炎に飲み込まれ、吹っ飛ばされたのだった。
因みに、
「それで見たんですか?」
「見てない」
「そう言いつつちょっと見ましたよね?」
「見てない」
「少し位」
「見てない」
こんな感じに、小猫に暫く背中をグリグリされながら詰問される戦兎がいたらしいが、それはまぁどうでもいいことだ。
更に、ライザーはあの後無事外には出れるようになり、ドラゴン恐怖症を克服したらしい。だが何故かライザーに気に入られてしまったらしく、ちょくちょく連絡が来るようになったのも、まぁ余談である。