戦兎「キメラを撃破し、普通の日常に戻りつつあった俺達だが……」
龍誠「よっしゃ!久々に俺も登場だぜ!」
戦兎「うるせぇ奴が帰ってきたなぁ……」
龍誠「何だと!」
戦兎「ま、こんな感じで賑やかな62話スタートです」
新たな試み
「らっしゃいらっしゃい如何かね~。桐生戦兎印のオリジナルガジェット~。こちらはスタンガン。一回充電すれば五時間持つよ~」
と、某公園にて戦兎は風呂敷を広げて何やら様々な機械を売っていた。
ここでは毎週のようにフリーマーケットのようなものが開催されており、戦兎の売り物は他にはないためかそこそこ売れている。そんな中、
「今日も儲かってるみたいですね。戦兎先輩」
「ん?あぁ塔城か」
と、最近話題のスイーツショップに朝一で並んで狙っていたものをゲットしてホクホク顔だった塔城と、商品とお金を交換していた戦兎は出会ったのだった。
「今日も完売して良かったですね」
「まぁな。一応うちも父さんの特許料や母さんのパートでそこまでお金に困ってる訳じゃないけど、それでも自分の小遣いくらいは稼がないとな。それに来週から修学旅行だし」
そう戦兎は言いながら、すっかり空になった風呂敷をポケットに押し込み、小猫からお菓子の入った袋を代わりに持っている。
悪魔になる前から、こうやって自分の小遣いくらいは稼いでいた。他にも最近話題のフリマアプリなどに出品していたりもして稼いでいたし、実は結構自分の使うお金に関して戦兎は余り苦労はしていない。更に最近が悪魔家業の収入もあるので、結構安定しているのだ。まぁそれでも売るのをやめないのは、既に習慣になっているのと、急に辞めれば母や美空が怪訝に思うだろうから。
そんな戦兎と小猫はここ最近の日課になりつつある、日曜日に戦兎はガジェットを売りに出掛け、小猫はお菓子を買って完売しそうな頃に合わせて出向き、一緒に帰ってお菓子を食べて談笑したりゲームしたりする。と言うのを行うため戦兎の家に向かう。まぁ地下の実験室は龍誠の屋敷に繋がっているのもあり、ちょくちょく他の仲間達が来たり、普通に玄関からギャスパーが訪問してきたりして混ざることが多いのだが。
「今日もですか?」
「あぁ」
そんな日々の中最近戦兎が打ち込んでいるものがあり……
「ふ~んふふ~ん」
コトコト鍋が軽く沸騰し、落し蓋が震える。甘くも爽やかな匂いがキッチンに充満していた。
現在朱乃はキッチンにて料理中。今日は煮魚だ。リビングではリアスが次のレーティングゲームに向けて戦術を練ったり、アーシアがゼノヴィアとイリナと一緒にファッション誌を見たり、龍誠がダンベルをガチャガチャと持ち上げている。ロスヴァイセは近所の100円均一の店に買い物に出掛けた。
「ふふ……」
なんとも穏やか時間だと朱乃は微笑んだ。次の瞬間!
『っ!』
ドン!と地響きが起き、皆が身構える。すると廊下から、
「げほ!げほ!」
「けほ!」
と咳き込む声が聞こえてきたため皆で廊下に出ると、
「ゲッホゲッホ!こいつはひでぇ!」
「先輩大丈夫ですか?」
フラフラしながら戦兎の家の地下室に繋がっている扉から這い出てきたのは、真っ黒になった戦兎と小猫だ。
「何してるのよ」
「ちょっと実験してまして……」
そう戦兎が立ち上がりながらリアスの質問に答える。
「実験?」
「えぇ、この前スパークリングとハザードトリガーの併用なら暴走しないことがわかりましたからね。だけどその分ビルドドライバーへの負担が大きい。なのでそれを改善しようと色々やってたんですよ」
そう言うと戦兎は、顔のついた煤を袖でぬぐう。
「ただスパークリングは元々魔力によりボトルの成分を活性化してビルドの力を高めて使うのにたいして、ハザードトリガーはハザードレベルをあげることで使用者の力をあげるのが本来の用途です。つまり……」
「ビジョップでは相性が悪いと?」
はい、とリアスに戦兎は頷く。使用者のスペックアップが目的ならば、魔力アップのビジョップよりナイトやルークの方がいい。だが、
「でもビジョップ以外ではスパークリングは使えなくなるわよね?」
そうなのだ。ビジョップによる魔力上昇が前提のスパークリングは、ビジョップ以外では使えない。すると、
「いえ、本当はスパークリングじゃなくてもいいんです」
「どういうこと?」
戦兎はリアスに改めて答える。
「スパークリングとなら暴走しない……って言うのは恐らくなんですけどハザードトリガーの暴走はプロモーションで抑えられるんだと思うんです」
「何でプロモーションだと抑えられるんだ?」
そう口を挟んできたのは、ハテナマークを頭上に浮かべていた龍誠。それに戦兎は、
「多分、通常時のポーンの状態だと悪魔ではあるけど、俺は元が人間だから人間に肉体が近いんだと思うんだ。だから悪魔になって身体能力が高くなってるとは言え、ハザードトリガーの暴走を抑えられない。でもプロモーションを行うと力が上がったり足が速くなったりする。魔力が上がるってのも人間にはない要素だ。恐らくプロモーションを行うとこう言ったのに対応した肉体の変化が起きる。龍誠も感じるだろ?プロモーションを行うと体が変化するような感覚」
「確かにプロモーションすると何て言うか体が変わるような感覚がするかも……」
だろ?と戦兎は言いながら、
「まぁあくまでもまだ仮説だけど、それでもプロモーションがハザードトリガーを使いこなす鍵なら、ナイトやルークのプロモーションにハザードトリガーを組み合わせた新しいビルドを作れるんじゃないかと思いましてね」
「そうね、元々スパークリングもビルドとプロモーションを組み合わせるためって作ったものだし」
そう言いながらリアスは頷き、
「でもなんで爆発を?」
「それがですね……色々とハザードトリガーとプロモーションとの相性が良いフルボトルの組み合わせを探してて、どれも良い反応が起きないんで、結局ラビットタンクが一番かなぁとか思いながら、ナイトにプロモーションして実験用の機械にハザードトリガーとラビットフルボトルとタンクフルボトルを組み合わせたらですよ?火花散ったかと思ったら大爆発しましてですね……」
「他のボトルでは起きなかったんですけど」
と言うのは今まで黙ってた小猫だ。すっかり可愛らしい顔も煤だらけである。
「でも結局ラビットタンクでも上手くいかないし、もう手詰まりなんですよ。もうどういう組み合わせなら上手くいくのかなって……」
はぁ、とため息を吐く戦兎に、朱乃は笑みを浮かべると、
「取り敢えず二人とも着替えた方がいいですわ。煤だらけで大変よ?」
『あ……』
そう言われて戦兎と小猫は自分の服装の状態を見て、確かに今の自分の服装は中々な状態なことに気づく。
「そうね、来週からは修学旅行だし一度ゆっくりしたら?」
余り焦っても仕方無いでしょ?とリアスに言われ、戦兎は頷く。
「じゃあ俺が自宅の方に戻りますわ」
「私はこっちのお風呂借りますね」
そう言って戦兎と小猫は別れ、お互い着替えるためにいく。そんな二人を見ながら皆は、
(そう言えばこの二人最近いつも一緒にいる気がする……)
なんて思ったのだが、それを皆は口に出さなかったのは余談である。