戦兎「八坂の姫を救うため、二条城に乗り込んだ俺たちだったが……」
龍誠「しかしお前も何だかんだでフラグたててんのな」
戦兎「フラグじゃねぇよ!九重にフラグとか俺犯罪じゃねぇか!」
匙「まぁ光源氏だって子供に手を出してるしなぁ……」
戦兎「あれと一緒にすな!」
龍誠「でも一部からロリコン説とかケモ耳好きみたいなこと言われてるしなぁ……」
戦兎「最悪だ……」
匙「そんなわけで68話スタートです」
「んん……?」
「あ、目を覚ましました」
アーシア?と戦兎は重い瞼を開けて見ると、既に周りにははぐれていた仲間達が何人かいる。
「俺は確か
「うん。全員倒したのは良いけど意識を失ってたみたいだね。それで九重さんが引きずってここまで来たんだ。最初驚いたよ」
だろうな、と戦兎は祐斗に返しながら見ると、腰に九重が戦兎にくっつくようにして寝ていた。
あそこからここまでどれくらいの距離なのかは分からないが、それでも近所と言うことはないだろう。その中自分を引き摺ってここまで来ると言うのは並大抵の苦労ではない筈だ。
それをやるとは中々根性があるじゃないか。と戦兎は思いつつ、
「俺でどれくらい寝てた?」
「ここに来てからでもそんなには寝てない。精々14、5分ってところだ。まだ全員と合流できてないし、少し一息ついた方がいいぞ?いざってときに動けないんじゃ笑い話にもならない」
ゼノヴィアの言葉に、戦兎はありがたく休みモードに入る。アーシアの回復は傷は治ってもスタミナまでは回復しないのだ。
そうして更に10分後に、龍誠と匙にアザゼルとロスヴァイセとイリナが合流し、元々いた祐斗やアーシアにゼノヴィアと合わせて無事全員が揃った。
「取り敢えずは無事みてぇだな」
「酷い目にはあったけどな」
そうアザゼルに戦兎が返していると、
「んにゅ……」
「お?起きたな」
九重は瞼を少し重そうにしながら顔をあげ、ンニャンニャと顔を擦って戦兎を見る。すると、
「目が覚めたのか!?」
「あぁ、ここまで運んでくれたんだってな。ありがとよ」
そう言いながら戦兎は九重をどかして立ち上がる。体調は全快……には程遠いが、取り敢えず立って歩く程度なら大丈夫そうだ。そう思ったのだが、
「だ、大丈夫なのかの?」
「大丈夫だよ。それにお前の母さんいつまでも放って置くわけにいかないだろ」
と、戦兎が言うと他の皆もそれぞれ覚悟を決める。二条城はもう目と鼻の先だ。
何がなんでも九重の母を救い、全員生きて帰る。そう決めて皆は決戦の地に足を踏み入れたのだった。
「母上!」
「……」
門を潜り、二条城の敷地に入るとすぐに相手は見つかった。城の天辺にどっかりと座っている男。兵藤 一誠とその隣には全身を鎖でグルグル巻きにされた女性……九重と少し似た雰囲気を持つ女性は九重の言葉通りなら母親とは彼女なのだろう。
だがグッタリとしていて意識はなく、九重の呼び掛けにも答えない。
「おい兵藤 一誠!いったいお前さんは八坂の姫をさらって何をしようって言うんだ?」
「そうだな……」
そう一誠は言いながら
「
《Transfer!》
『っ!』
一誠の譲渡により八坂の姫は目をカッと開ける。だが、
「アァアアアアアアアア!」
「この地には多数の霊脈が集中していてな。原作じゃそれを利用してグレートレッドを呼び出そうとしたんだが、俺はしない。呼び出しても今じゃまだどうしようもないしな。だがそれだけのエネルギー……折角だから利用しない手はないだろう?」
何をいってるんだ?と戦兎は口を開こうとした瞬間地面が揺れだすと、地割れが発生し、そこからエネルギーの奔流起きた。
「お前ら集まれ!」
アザゼルがそういうと皆は集まりアザゼルが、
「ロスヴァイセ!いつまでも青い顔し
てないで結界だ!」
「分かってますよ!」
その叫びにロスヴァイセは結界を張り、その間に戦兎は聞く。
「アイツはなにしたんだ!?」
「八坂の姫はこの辺り一体の地脈の管理も行っている。恐らく彼女を暴走させてその管理を滅茶苦茶にして溢れさせたんだ。これだけのエネルギーだぞ!?京都の町だけじゃねぇ……日本の3分の1が吹っ飛びかねねぇ!」
『なっ!』
すると皆が驚愕する中、一誠は笑みを浮かべて、
「そんなことするわけないだろう?」
そう言いながら一誠は懐から何かを取り出す。それを見た戦兎は、
「ハザードトリガー?」
そう。一誠が手に持っていたのはハザードトリガーに良く似た機械。そして一誠はそのスイッチを押す。すると起きていたエネルギーの奔流が一誠のハザードトリガー?に吸い込まれていく。
そしてそのままエネルギーの奔流が落ち着き、一誠はハザードトリガー?のスイッチを何度かカチカチする。
「やっぱりまだダメか……」
「何をしたんだ?」
戦兎の呟きに一誠は、
「こいつを起動するには莫大なエネルギーが必要でね。だから俺は世界中のあっちこっちの霊脈から集めてたんだ。だがここも終わると後はめぼしい所は無いからな……やっぱりこれだけじゃなくて俺自身も力を得なければならないみたいだ」
「まだ強くなる気かよ……」
一誠に思わずアザゼルが突っ込むと、当然だと言いながら一誠は、
「さて、集まって貰ったのはこれを見てもらうためじゃない。ここにいる八坂を助けたいだろ?なら俺と戦おうじゃねぇか」
「上等だ」
戦兎はそう言いながらビルドドライバーをつける。龍誠や匙もだ。そして皆もそれぞれ武器を構える。だが皆は怒っているが八坂の姫を救うと言うのが最優先なのはわかっていた。故に、
『変身!』
《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!》
《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!》
《潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!》
まず戦兎と龍誠と匙が変身して走り出す。
『はぁ!』
三人は飛び上がると三人同時に飛び蹴りを放つ。
「ふん!」
だが一誠はそれを腕を振っただけで弾き、ベルトをつけてボトルを挿す。
「変身」
《コブラ!コブラ!エボルコブラ!フッハッハッハッハッハッハ!》
変身を完了し、地面を転がった三人に追い討ちを掛けようと近づく。そこに、
「ん?」
光の槍が降り注ぐ。それをヒョイヒョイっと避け、腕を薙ぐとその衝撃でアザゼルを吹き飛ばす。
「ちぃ!」
空中で体勢を整えるが、アザゼルは苦虫を噛んだような顔になった。
「ふむ……」
そんな中一誠は一つ息をして、
「折角だ。こそこそせずに戦えよ」
『っ!』
一瞬で戦兎達が囮になり、その間に八坂の救出のために動いていた祐斗達の所に移動。皆が驚愕する中一誠は祐斗を裏拳で殴り飛ばす。
「木場!?くそ!」
ゼノヴィアはデュランダルを構えて一誠に斬りかかった。だがそれを一誠は同じくデュランダルを作り出して防御。
「はぁ!」
そこに押し合いになったところを見計らってイリナが光の輪を投げて攻撃。
「おっと!」
《Half Dimension!》
だが一誠に届く頃には霧散してしまい、そのままゼノヴィアに蹴りを入れて離す。
「どうしたどうした?もう終わりか?」
「ならこれで!」
一歩前に出ようとした一誠の前に結界が張られ、そのまま一誠を取り囲む。
「ロスヴァイセか?」
「更にこれでどうだ!」
一誠が首を傾げる中、ロスヴァイセが腕を振ると結界が発光し爆発。続けて、
「おらぁ!」
極大の光の槍が天から真っ直ぐ一誠の頭上から地面に突き刺さる。
「戦兎!八坂の姫を救い出せ!」
「っ!わかった!」
《タカ!ガトリング!ベストマッチ!》
アザゼルからの指示で戦兎は走り出し、ボトルを入れ換えて飛び上がる。
《Are you ready?》
「ビルドアップ!」
《天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!》
そのまま一気に城の天辺まで飛んでいき、八坂の姫と思われる女性に近づく。
「九重のお母さんですよね?助けにきましが!」
「……げて」
すると突然八坂の姫は戦兎の首を締め上げ、そのままゆっくり立ち上がる。そして戦兎は見た。その瞳が黒く、そして汚れていることに。
「おねがいだから、九重を連れて、逃げて……!」
ブン!と戦兎を投げ捨てた八坂の姫の体がビキビキと黒く変質していく。
「母……上。」
「グゴォオオオオオオオオ!」
全身が黒く染まり、触手のようなものも生えてくる。狐にも似ているが、それには程遠いようにも見える。
「ククク」
その中、ゆっくりと煙から一誠は歩いて出てきた。
「お前あの人に何をした!」
「あぁ、彼女か?彼女は俺の
何てこと無いように言う一誠に、戦兎はギリッと歯を噛み締めると、
「何でだよ……何でお前はそんなことができんだ!お前には良心ってもんがねぇのかよ!」
その叫びに一誠は肩を竦め、
「仕方ないだろ?こんな世界じゃ」
「はぁ?」
何をいってるんだ?そう戦兎が問うと、
「俺を仲間外れにしたからだ」
「……は?」
意味が理解できなかった。だが一誠は真面目な声で、
「主人公を仲間外れにしようとする世界。それはとても良くないことだ。これはハイスクールD×Dなんだ。兵藤一誠がいないといけないんだよ。なのに俺を蚊帳の外にしようとする。そんな世界はだめなんだ。だからやり直さないと……」
「なに言ってやがんだ!」
そこに龍誠が拳を握って一誠を殴る。
「てめぇがどんな想いだろうがな……やっちゃいけないことってもんがあるだろうが!」
「万丈の言うとおりだ!」
すると後ろから匙の飛び蹴り、だがそれでも一誠は二人ががりの攻撃を軽く捌いていく。
「グォオオオ!」
『っ!』
そんな中、一誠との間に八坂の姫が割って入り龍誠と匙を吹き飛ばし、
『ぐぁ!』
《イエイ!イエーイ!ヤベーイ!》
それと入れ替わるように戦兎が入り、スパークリングとハザードの組み合わせで八坂の姫を止める。
「目を覚ませ!九重があんたを待ってるんだぞ!」
「グゥウウウウガァアアアア!」
戦兎が呼び掛ける。だが八坂の姫は意に返さず戦兎を押し返すとそのまま殴り飛ばした。
「がはっ!」
「戦兎!」
そう叫び、九重は戦兎と自身の母の間に飛び込んでくる。
「やめるのじゃ母上!」
「グルゥウウウウ!」
「九重!」
だが既に九重を認識できていない八坂の姫は九重に拳を振り下ろし、戦兎は慌てて割って入って止めた。
「ぐっ!」
「妾のことが分からぬのか?母上……」
ポタッ、と地面に滴が落ちる。
「母上!目を覚ましてくだされ!良い子にするから!もうつまみ食いもせぬしいたずらもしない!だから何時もの優しい母上に戻ってくれ!」
「ガァアアアアア!」
泣きながら必死に叫び続ける九重。だが八坂の姫の暴走は収まらず抑える戦兎に何度も襲いかかる。
「くそ、なんつうパワーだ」
《マックスハザードオン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!オーバーフロー!ヤベーイ!》
黒い蒸気を噴出させ、戦兎は八坂の姫を押し返す。その隙に、
『はぁ!』
《Ready Go!ドラゴニックフィニッシュ!》
《スクラップブレイク!》
龍誠と匙の飛び蹴りが八坂の姫に向かう。だが、
《Ready Go!エボルテックフィニッシュ!》
「おらぁ!」
『っ!』
同時に爆発と閃光。咄嗟に戦兎が九重の前に立って庇うが、皆がそれにより吹き飛ばされた上に、変身が強制解除させられてしまった。
「くそ……どっちか一人でも厄介すぎんのに二人もいんのかよ」
ジャリッと口の奥に入った砂を噛みながら戦兎は一誠を見る。
「さて、もう終わりかな?」
他の皆も一誠を見るが、有効な攻撃方法が思い付かず二の足を踏んでいた。
「なら俺からいこう。そうだな……戦兎や龍誠以外はいらないしここで殺してしまっても良いか」
「なっ!」
戦兎は声を漏らして驚愕する。
「や、やめろ……」
「悪いがこれもお前達を強くするための犠牲だ。ほら、コラテラルダメージって言うだろ?」
仲間なんていたら頼って強くなれないからなと言いながら一誠は他の仲間達の方へ向かおうとした所に、
「そこまでじゃ」
「っ!」
バキィ!と一誠の横っ面に一撃が入り、そのまま吹っ飛んでいく。だがすぐに体勢を建て直し、立ち上がる。そこに立っていたのは、棒を一本持った不思議な雰囲気の男。
「遂に来たか。闘戦勝仏さんよ」
そう言って、一誠はデュランダルを出すと闘戦勝仏と呼んだ相手に向かって一気に飛び出し振り下ろす。だが、
「ん?」
斬った感触はあった。だが斬った筈の闘戦勝仏はそのまま泥人形ののようになって崩れると消えてしまう。しかも、
「全員いない?」
そう、さっきまでいた戦兎達処か八坂の姫まで姿を消していた。
「成程、逃げたか……」
どういう仕掛けかわからないが
「まぁ、今回はこれのエネルギーをゲットできたと言う点で満足するか」
一誠はそう言いながら、ハザードトリガー?を手にそう呟くのだった。
ジオウも残すところ後一話……早いものですねぇ……最初はどんな感じになるのかと思いましたが映画も合わせて複雑にいろんな伏線があったりとすごい壮大な物語に……これは次回の最終回も見逃せません!
そしてこのシリーズですが漸く少しずつ色んなことが判明していきます。まぁまだまだわからないことが多いですけどね。と言うか我ながら一誠倒せるのかな……
あ、そうそう。何かコメント欄では一誠のことをエボル一誠て呼ばれててフフってなってますw俺の記憶では俺が言い出してないはずなので誰が最初なんだろう……