ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「遂にサイラオーグさんとのレーティングゲームを控える中、一線を越える龍誠と部長……っておい!お前なにしてんだよ!」
龍誠「いやぁ……あっはっは!色々あって……」
匙「俺なんて未だに会長と……」
龍誠「で、でもさ!俺は気づくと終わってたぜ?」
匙「文章的にはな?詳しく書くと色々アウトだからな!?」
戦兎「えぇ~。そんな感じ匙が荒れてる73話スタートです。」


開幕

「くか~……すぴ~」

「よく寝てるなぁ~」

 

サイラオーグとのレーティングゲーム当日。試合会場がある空中都市・アグレアスに向けて動くゴンドラの中で戦兎は寝ていた。時間にして凡そ20~30分程だが、ここ2・3日寝ずに強化アイテムの製作に励み、どうにか今朝方専用の武器まで完成はしたらしいのだが、実際試してないのでちゃんと動くかは分からないらしいが……

 

まぁ戦兎曰く、ぶっつけでもなんとかなるだろうとの事だが。

 

「それとだ。お前らに言っておくことがある」

 

そんな中アザゼルは口を開くと、

 

「今回のレーティングゲームは政治的な意味合いが絡んでる」

「え?」

 

その発言に龍誠が首を傾げると、

 

「元々今回の試合会場も揉めに揉めてな。最初は現魔王派がグレモリー領か魔王領での開催に決めていたのを家柄を重んじる派閥がバアル領での開催を主張してな。結構な泥仕合だったみたいだ。ま、結局アガレス家が仲裁に入ってこのアガレス領が試合会場になっったってわけだ」

「なんだってそんなことに……」

 

龍誠は意味が分からず頭から湯気を出しそうになっていると、

 

「リアスはサーゼクス……いや、魔王・ルシファーの妹だからな。対してサイラオーグは悪魔社会における家柄では一位のバアル。しかもリアスはバアルの家の魔力である滅びを受け継ぎサイラオーグにはない。色んな意味で対照的だ。だからこそ上役にとって現魔王ルシファー対大王バアルの代理戦争と見る奴もいる。表向きは話題の仮面ライダーを従えるリアスと、若手最強にして新たな仮面ライダーであるサイラオーグの戦いと謳ってはいるがな」

 

やれやれと肩を竦め、アザゼルは言葉を続ける。

 

「だがなお前ら。別になにか気負う事がない。お前らはお前らしく全力をぶつけてこい、良いな?」

『はい!』

 

皆が頷き、アザゼルは満足そうに笑ってから、

 

「おら戦兎!起きろ!」

「起きてるっつうの……」

 

途中から起きて話は聞いていたらしい戦兎は頭を掻きながら体を伸ばす。

 

見てみればもう、降り口が見えてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっらい豪華だなぁ~」

 

そう言って龍誠が上を見上げる。

 

その眼前にあるのは今日試合があるアグレアスドーム。豪華絢爛であり巨大なそれは既に観客がチケットを求めて並んでいる真っ最中。それを横目に控え室にもなっている、隣の高級ホテルに戦兎達は入ると、

 

「これはこれは紅髪のグレモリー殿に堕天使の総督殿ではないか」

「ほお?こいつは冥府に住まう神・ハーデス殿じゃないか。死神を沢山連れて上まで出てきたのか?悪魔と堕天使が嫌いなあんたが?」

 

最近話題らしいからの、と言いながら頭から足先まで被うローブを被りながらも、隙間から見える姿から骸骨と思われる男は、

 

「それじゃあの。今日は別に魂を狩りに来たわけではない。精々死なぬ程度にな」

 

そう言い残し、どこかへ消えていくハーデスを見送り、皆は大きく息を吐く。なんと言うか生きた心地がしなかった。魂を鷲掴みにされるような感覚だ。

 

「お前ら絶対ハーデスとだけは敵対すんじゃねぇぞ、あいつ自身もヤベェがあいつを囲む死神どもも不気味な連中だからな」

 

言われずとも……そう皆が思っていると、

 

『あ……』

 

丁度やって来た人物に皆が声を漏らす。それは見間違う筈もない。オーディンだ。向こうもヤベ!見たいな顔をして走り出す。だが、

 

「ここであったが百年目!待てくそじじいいいいいいいい!」

 

と置いてかれた恨みは深いのか、ロスヴァイセがオーディンを追い駆け出した。

 

因みにその後、龍誠と祐斗の二人がかりで止めたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レディースエーンドジェントルメーン!観客の皆々様長らくお待たせしました!遂に始まります!」

 

聞こえてくる放送に、リアスは静かに息を呑んでいた。そこに、

 

「リアス」

『え?』

 

入場口で待機していたリアスに掛けられた声に、皆は振り返るとそこにいたのは、

 

「ライザーとレイヴェルじゃない。レイヴェルが来るのは知ってたけど貴方も来たのね」

「当たり前だ。この一戦はプロも注目してる。どちらも今プロに行っても十分活躍できるチームだからな。これだけ好カードを見ないほどバカじゃない。しかし随分固い表情じゃないかリアス」

 

ライザーの指摘にリアスは少し表情を曇らせると、

 

「そうね、私はソーナほどゲーム運びは上手くないしサイラオーグ程のパワーはない。でも眷属には恵まれた。だからこそきちんと導けるかが不安になるわ」

「まぁ……確かにその二人は別格だ。しかしリアス、戦術やパワーは経験や俺の嫌いな特訓で幾らでも補える。だが良い眷属と出会うこと……言うなれば巡り合わせの良さはどうにもならない。仮面ライダーだけじゃない。他の誰もが探したって見つけられない唯一無二の才能を持ってる。それを集めたのはお前だ。それはソーナ・シトリーやサイラオーグに勝ることはあっても劣ることはない才能だ。自信をもて」

 

ライザーはそう言い残すと背中を向け、

 

「おっと万丈 龍誠」

「ん?」

 

突然声を掛けられた龍誠はライザーを見ると、

 

「その……あれだ。レイヴェルは少し我が強いと言うか我が儘な所があるが一途な女だ。泣かせたら燃やすぞ」

「余計なお世話ですわ!」

 

ペシン!とレイヴェルからライザーは叩かれるが気にせず、

 

「それとお前には大きな借りがあるからな。早くプロの世界に来い。プロの洗礼ってやつを味わわせてやるよ」

「あぁ、楽しみにしてる」

 

そう言って二人は握手を交わすと、ライザーは今度こそレイヴェルと共に観客席の方に向かう。

 

「それでは入場してもらいましょう!まずはリアス・グレモリー様が率いるグレモリー眷属の皆様です!」

「よし貴方達!行くわよ!」

 

リアスが先陣を切って前にいくと皆が進む。入場口から入るとそこには……

 

『オォオオオオオオオオオオ!』

『っ!』

 

凄まじいまでの歓声だった。空気がビリビリ震えるほどの歓声に皆は不思議な高揚感を感じる。思えばここまでの観客に見られているのを感じながらのゲームは始めてだ。

 

「す、凄い歓声ですぅ!」

 

と震えながら言うのはギャスパー。だが逃げなくなっただけ大した進歩だ。

 

「続いて登場するのはサイラオーグ・バアル様率いるバアル眷属です!」

『オォオオオオオオオオオオ!』

 

その中、反対側の入り口から出てくるのはサイラオーグ率いる、バアル眷属。そして両者はそれぞれ螺旋階段を昇り、浮いている岩石の上に出る。

 

そこには台と椅子が用意されていた。

 

「これは……」

 

とリアスは台を見ている。見てみればここからサイラオーグ側が見えるのだが、作りは同じなようだ。

 

「それでは皆さん!自己紹介が遅れましたが今日の試合の実況は私元72柱ガミジン家のナウド・ガミジンがお送りいたします。更に今日の審判はリュディガー・ローゼンクロイツ氏が担当します。どうぞよろしくお願いします」

「リュディガー・ローゼンクロイツ……レーティングゲームでは現在7位の元人間の転生悪魔の方ですね」

 

小猫の呟きに戦兎は成程と呟く。すると、

 

「そして今夜は特別ゲストの方がいらっしゃいます。まずはこの方!堕天使の総督!アザゼル様です!」

『はいぃ!?』

 

思わぬ顔見知りの紹介に戦兎達がモニターを見ると、どうもどうもと笑みを浮かべるアザゼル。すると続いて、

 

「そしてもう一人はなんとこの方!現レーティングゲームチャンピオン!ディハウザー・べリアル様です!」

 

歓声が上がる。名前は知っていた。と言うか知らないわけがない。現在のチャンピオン。レーティングゲームのタイトル総ナメを目標とするリアスにとってはいずれ越えなければならない壁だ。

 

そうしている間に今回のフェニックスの涙はそれぞれの陣営に一つずつ配られることが説明され、

 

「それでは今回のルールを説明します。まず今回は広いステージを走り回るタイプではなく、短期試合(ブリッツ)を目的としております。そして両陣営に設置されている台にはダイス。そう!今回の試合はダイス・フィギュアです!」

「ダイス・フィギュアか……レーティングゲームではメジャーなルールだね」

 

祐斗の言葉にそうなのか?と龍誠が聞くと祐斗は頷く。

 

「とは言え分からない方もいるでしょうし、最初にルール説明をしておきましょう。まずは両陣営のキングが試合毎にダイスを振ります。ダイスはそれぞれ1~6までの数字があるのですが、出た目の合計がその試合の数字。その数字の数だけステージに選手が出場出来ます。数字の数だけと言ってもその数字は出場人数ではありません。それは駒の価値なのです。この試合ではそれぞれの駒に価値があり、その価値の範囲で場に出る人を選ばなくてはなりなせん」

 

そう言うとモニターに悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が表示され、その横に数字が書かれている。

 

ポーンの駒1個を1とした場合、ナイトとビジョップが3、ルークが5でクイーンが9らしい。因みにポーンの駒複数で転生した奴はその駒の数が価値になるとのこと。つまり戦兎や龍誠はダイスの合計数が4以上で出ることが出来ると言うわけだ。因みにこの場合変異の駒(ミューテーションピース)悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と同じ扱い。

 

そうして何度もダイスを振って、最終的に全員倒すかキングを倒すまでやると言うのがこのゲームの全体的な流れ。因みに残りの眷属によっては数が合わない事もある。例えば2が出るとグレモリー眷属には2以下の眷属がいないため、その時は振り直しらしい。

 

逆に大きい数字で8とか出たら戦兎と龍誠を同時に出したり、他の眷属と組み合わせて出すことも出来る。ただし同じやつが連続で出るのはダメとのこと。

 

そう考えると結構出すやつを選びながら出す感じになりそうだ。あんまりケチってもあれだし景気よく出すと次の試合で出せるやつがいなくなる。

 

それに……

 

「キングの駒の価値が書いてないですね」

「キングは事前に委員会が決定してる筈ですわ」

 

そう戦兎に答えたのは朱乃で、

 

「キングの実力や実績、眷属の評価等を加味して決められるはずです」

「と言うわけで皆さん!キングはじゃあ駒何個分ってなりますよね?そこは事前に決めております。と言うわけでどうぞ!」

 

と実況のナウド・ガミジンが言うと、リアスとサイラオーグの顔写真がモニターに写され、そこに書いてあったのは、

 

「部長が8、サイラオーグさんが12か……」

 

龍誠はそう呟きながらリアスを見る。だがリアスは案外冷静で、

 

「成程、つまりサイラオーグはダイスが6と6合計12以外では出ないと言うことね……となればサイラオーグは後半か」

「でも序盤に出る可能性もありますよ?」

 

戦兎の言葉に、リアスは首を横に振って、

 

「それはないわね。恐らく向こうの最強はサイラオーグだけど、ワンマンチームは結果的に評価が下がる。眷属も使いこなせないキングはどれだけ強くて認められないのよ」

「成程、じゃあ敢えてナイトとビジョップを全員投入してって言う可能性もあるんですね」

 

そうよとリアスは答えつついると、

 

「それではこれより、リアス・グレモリーチームとサイラオーグ・バアルチームのレーティングゲームを開始します!」

 

ナウド・ガミジンはそう宣言し、モニターにそれぞれの台を映す。それから、

 

「両キングはダイスを手に取ってください」

 

と言われ、リアスとサイラオーグはそれぞれ台の前に立ってダイスを手に取ると、

 

『シュート!』

 

審判の合図と共にリアスとサイラオーグはダイスを振る。その数字は、

 

「1と2……合計3か」

「そうなると出れるのは私か木場かアーシアかギャスパーだが……」

 

五分の作戦タイムを告げられ、観客からも相手からも見えなくされてから皆で話す。アーシアは戦闘に関しては論外だしギャスパーはサポートタイプ。となれば祐斗がゼノヴィアだが……

 

「僕がいきます」

 

そう祐斗が言うと、皆は適任だなと思う。ゼノヴィアはノリと勢いに任せるところがある。つまりこいつにスタミナ配分と言う言葉は存在しない。

 

その点祐斗は融通が効く。それにはリアスも賛成で、

 

「それじゃあ一戦目は祐斗に頼むわね」

「任せてください」

 

そう言って祐斗は立ち上がると、転移用の魔方陣に入り、

 

「初戦から負けんなよ祐斗」

「勿論」

 

祐斗は龍誠に笑みを返して転移する。すると出たのは、広大な緑の平原。

 

そしてサイラオーグ側から転移してきたのは、馬に乗った甲冑を身に纏う男。前回のゼファードルとのレーティングゲームでも見た姿だ。確か名前は……

 

「ベルーガ・フールカス。確か馬を操る家の悪魔ね」

 

そうそうベルーガ・フールカスだと戦兎が頷くと今度はアザゼルが、

 

「乗っている馬は青ざめた馬(ベイル・ホース)か。地獄の最下層・コキュートスに生息する狂暴な馬。気に入らなければ主も蹴り殺すらしい」

 

意外とノリノリで実況していた。教師と良い案外堕天使の総督より向いてるのが多い人である。

 

何て言う間に試合は開始。すると同時に二人が消えた。

 

正確には消えたのではなく眼にも止まらぬ早さで動いているため追いきれないだけなのだが。

 

「私とアルトブラウについてくるか!」

「そっちこそ凄まじいコンビネーションですね!」

 

時折火花と金属がぶつかる音がしていたが、一旦二人は距離を取り息を整える。

 

祐斗の聖魔剣は聖なる属性も有している。これは悪魔が切られればそれだけで大ダメージだ。だからこそ回避が絶対条件だが、祐斗のあの速さを相手に一撃も当たらないと言うのはそれだけでも厳しい条件である。

 

だがそれでも未だに決着がつかないと言うのは、相手の実力も相当だと言うことだ。

 

何せ祐斗が動いた、敵は倒れた。みたいなことを普通にやるやつだし。

 

「全く、初戦からこれとは。覚悟はしてたけどやはり厄介ですね」

「こちらもだ。貴公の速さもその剣の腕も覚悟していたが予想以上だ」

 

そう言ってベルーガはランスを更に強く握って前傾姿勢を取る。

 

「だが私とアルトブラウに対応できない範囲ではない」

「確かにそうですね。これ以上はイタズラにスタミナを使う羽目になってしまう」

 

祐斗はそう言うと構えを緩め、意識を集中させた。そして、

 

禁手化(バランスブレイク)

「なにっ!?」

 

突如祐斗の周りに甲冑が形成され、彼に従うように横一列に並ぶ。そしてそれぞれが武器の剣を構えた。

 

聖輝の騎士団(ブレード・ナイトマス)。僕は前に聖剣使いの因子を取り込みましてね。その時に実は聖剣創造(ブレード・ブラック・スミス)……魔剣ではなく聖剣を作り出す神器(セイクリットギア)にも目覚めていたんです。それで今回のゲームのために特訓しましてね。お陰で目覚めました」

「いったい何をしたの言うのだ……」

 

禁手(バランスブレイカー)に目覚める特訓等……とベルーガが言うと、

 

「先日京都に行った際に絶望的な力というのを味合わされましてね。それが大きなきっかけです。それ以降は淀みみたいなものを体に感じててそれを形にしました」

 

祐斗はそう言いながら聖剣を作り出して構える。今の状態だと聖剣しか作れないらしい。代わりに甲冑の騎士達には祐斗の速度を付加できる。

 

本人曰く、最終的には聖魔剣を持たせたり、速度だけじゃなくて技量も付加で出来れば良いと言っているが、速度だけでもこれだけいれば十分驚異だ。

 

「いきます!」

「っ!」

 

祐斗はそう言って走り出すと、それに騎士団も続く。

 

ベルーガもそれを迎撃するべく構えるが、同時に襲い掛かる騎士団に防戦一方。となった瞬間!

 

「隙ありです」

「しまっ!」

 

ザン!っと祐斗の聖剣はベルーガの鎧を易々と切り裂いた。そして、

 

「見事……」

 

と、言い残しベルーガはリタイアの光に包まれて消える。

 

「サイラオーグ・バアル選手のナイト一名リタイアです!」

 

こうして、レーティングゲーム第一戦は祐斗の勝利となったのだった。




先日ゲーム実況やってる友達がグランドジオウの変身音が頭にこびりついたと言うので、じゃあ言ってみてと言ったら、

「ギュイイイン!グォオオオン!アドベント!……」
「あ、そこからやるの!?」

となりました。てっきり俺はクウガアギト……の辺りからかと思ったんですが……

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