ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

龍「突然部長に押し倒されたが紳士的に対応して事なきを得た俺。だがなんと部長には婚約者が居た!?」
戦「しっかしお前役得な立ち位置だなぁ。つうか機械にしか興味なさそうってなんだよ……」
龍「ま、確かにお前女っ毛無いもんなぁ」
戦「喧しいわ!つうわけでそんな感じの第8話スタート!」


婚約者

『部長(さん)結婚するんですか!?』

「しないわよ!親が勝手に決めただけ!」

 

龍誠、戦兎、アーシアの驚きの声に対してリアスは冷静に返すが、

 

「だがリアス。これは悪魔の未来にとって重要なことだぞ?先の大戦の影響もあって72柱は次々潰えている。最近は転生悪魔が幅を利かせてきてるし、上位の純潔悪魔同士の新生児が重要なことくらいわかるはずだろう?」

「私は家を潰す気はないわ。でも相手くらい自分で決める!そもそも貴方の家にも私の家にももう純潔の子供が居るのに……」

 

最後の辺りをブツブツ言いながら言うがライザーは余裕の表情だ。それを見ながら戦兎は祐斗に耳打ちする。

 

「なぁ木場、72柱ってなんだ?」

「昔居た力のある悪魔達のことだよ。ただ昔あった大きな戦争で殆ど消滅したりその後のゴタゴタで断絶しちゃってるんだ。部長の家であるグレモリーやあの人の家のフェニックスはその中でも数少ない生き残りってことだね」

 

成程ね。と戦兎が頷きつついると、グレイフィアは二人の間に入った。

 

「そこまでです。これ以上の話し合いは平行線でしょう。ですのでこうなることを予見しておられたサーゼクス様からの提案があります」

「提案?」

 

その言葉にリアスは疑問符を浮かべると、

 

「レーティングゲームによる決着というのはいかがでしょうか?」

「れーてぃんぐげーむ?」

 

聞きなれない名前に首を傾げたのは龍誠だ。だが声には出さないだけで戦兎もなんだそれはという状態で、それに関しては祐斗が説明してくれる。

 

「レーティングゲームっていうのは成人した悪魔同士が眷属をチェスの駒に見立てて戦うゲームだよ。細かいルールとかは沢山あるんだけどそのゲームの強さが悪魔社会での上下に関係してくる」

「じゃあまだ成人してない部長じゃダメじゃん」

 

と龍誠が言うが、それに関してはグレイフィアが説明してくれた。

 

「確かにそうですが、非公式と言うことであれば問題はありません。それでお嬢様。どうされますか?ゲームも辞退されますか?」

「勿論やるに決まってるじゃない。こうなったらとことんやってやるわ」

 

そう彼女が息巻くと、ライザーやれやれと肩を竦める。

 

「良いのか?リアス。俺はもう既に何度かレーティングゲームをしているし何より君のところの眷属は正直俺のところとまともにやれそうなのはクイーン位じゃないか?新しい奴だって優男に戦闘に不向きそうな少女に……」

「何だよ」

 

ライザーはジッと龍誠を見るとプッと笑いを漏らした。

 

「いやお前みたいな猿なんぞを眷属にするとはリアスもセンスがないな」

「なんだとぉ!」

 

ウキー!と叫ぶ龍誠を祐斗は再度羽交い締めにして止める。だがそれでも龍誠は、

 

「そう言うお前はどうなんだよ!眷属選びのセンスってやつはよ!」

「ふん。ならば見るが良い!」

 

そう言ったライザーがパチンと指をならすと同時に魔方陣が現れそこから出てきたのは、

 

「全員……女?」

 

ポカーンとしながら戦兎が呟くとライザー笑いながら口を開く。

 

「そうだ!これぞ俺の考えた最高の眷属達だ!どうだ?羨ましいか?」

 

普通に大変そうだなぁ……とこれが意味するところを何となく理解した戦兎は思うだけなのだが龍誠は、

 

「成程、確かに沢山の女を相手取るのは気が引けるしやりにくいな……」

 

と言う龍誠の言葉にズコッとこっち側だけではなくライザーやその眷属達ですらずっこけそうになった。変わらないのはグレイフィアくらいなものである。

 

「そこではないだろう!もっと言うべき所は!」

「え?」

 

思わずライザーは突っ込み、龍誠は首を傾げてしまう。それを見た戦兎は、

 

「龍誠。多分アイツそんな高尚な策略のために女で固めてないぞ」

「じゃあ何でだよ」

 

ただの助平根性だよ。と戦兎は言うと、龍誠は一瞬理解できずに固まったがすぐに意味を理解し……

 

「え!?そう言う関係!?なのにまだ部長欲しいの!?」

「なにか問題でも?英雄色を好むというだろう?」

「何が英雄だ種蒔き鳥野郎!!」

『ぷふっ!』

 

と龍誠の言葉にリアスと眷属サイドは思わず笑ってしまいそうになったが頑張って耐える。

 

「誰が種蒔き鳥だ!俺は風と炎を司る火の鳥・フェニックスだ!」

「火の鳥ぃ?ようは焼き鳥か!?」

「そんな飲み屋のつまみと一緒にするな下級悪魔風情が!」

 

ウキー!コケー!と叫びながらバチバチ火花を散らし始める龍誠とライザーに、段々どうやって収拾するんだという空気になってきた。すると、

 

「上等だゲームなんか関係ねぇ!ここでぶっ倒してやる」

「あ!」

 

そう言って龍誠は祐斗の拘束を振りほどくとライザーに掴み掛かろうとする。

 

「龍誠!辞めなさい!」

 

と言うリアスの制止も頭に血が昇った龍誠には届かず、手を伸ばそうとした瞬間、

 

「サンダーボルト!」

「アブラバァアアアアアアアアア!!!!」

 

なんと戦兎はポケットからスタンガンを取り出すと、迷うことなく龍誠の首に押し付けスイッチを入れた。すると思わず眼を細めるほど龍誠が発光し、それが消えると泡を吹いてそのまま後ろに倒れる。

 

「これでよし」

 

えぇええええええええ!?っと驚愕したのはこちらサイドだけではなく、向こうもだ。

 

「ちょ、ちょっと戦兎!一体何をしたの!?」

「最近完成させたんですけどね?6時間の充電で10秒程しか使えないし電圧の威力が高すぎて普通の人間だと殺しかねないんでどうしたもんかなぁと思ってたんですよ」

 

そんなものを貴方は幼馴染に使ったわけ?とリアスに睨まれ戦兎はピュ~♪と口笛を吹いて誤魔化しながらライザーを見る。

 

「いやぁすいません。うちのバカがお騒がせして」

「ふん。余計なことを」

「そりゃあこっちだってレーティングゲームとか言う奴の前に手の内晒したくなかったんで」

 

と戦兎が肩を竦めるとライザーは鼻を鳴らし背を向けると、

 

「リアス。10日後だ。10日後に決着をつけよう」

「ハンデのつもり?」

 

今のままじゃ勝負にもならないからな。とライザーは魔方陣を作り出すと眷属と共に姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

ガバッと龍誠が体を起こすと、既にライザー達やグレイフィアの姿はなく、リアスや眷属達の姿があった。

 

「お?起きたか」

「てめ戦兎!なんちゅうもんを俺に当てやがった!意識が完全に吹っ飛んだぞ!」

「そりゃそうだろうな」

 

と涼しい顔で戦兎はベルトを巻かない状態で机の上に置き、ボトルを刺していた。

 

《海賊!ロケット!》

「これもベストマッチじゃねぇか。なんで海賊とコミックがベストマッチじゃねぇんだろうな……」

 

そう言いながら戦兎が唸ると祐斗は、

 

「それってなにか法則はあるの?」

「生物と無生物でしか組合わさらないって事くらいかな」

 

生物同士じゃダメなの?と祐斗は聞く。すると戦兎は、

 

「生物同士とか無機物同士は反発しあって爆発するんだ。一度それで酷い目に遭ってな」

「何で同じ奴同士だとダメなんだろう」

 

更なる祐斗の問いに戦兎は腕を組み答えた。

 

「元々ビルドは父さんの発明品でな。俺はあくまでそのデータとかを使って完成させただけなんだ。んで父さんもボトルを特定の組み合わせをすると高いエネルギーを発することに気づいていた。これがベストマッチのことなんだけどその存在を見つけると同時になぜ同じもの同士が組合わさらないかは仮説は立ててた」

 

それは?と聞かれ、戦兎は口を開く。

 

「人間同士が争いをやめないのと同じ何じゃないかって。言語と言う文化を共有している筈の人類争いをやめられないのに言語が違う生物が組合わさらないのは当然何じゃないかってね」

 

戦兎はそう言いながら肩を竦めた。それを聞きながらリアスが、

 

「へぇ、戦兎のお父さんがビルドを作ったの?」

「えぇ、まぁ父さんが作ったドライバーはベストマッチを判別する機能はないし武器は俺が作ったんで持ってなかったしたまにボトルの成分が抜けてしまうバグもありましたからね。桐生 忍って言えば結構有名なんですが……」

 

リアスに戦兎がそう答えると、朱乃がそう言えばと口を開く。

 

「確か物理学の権威でしたよね?でも確か……」

「えぇ、7年前に失踪してしまいましてね。まぁ便りが無いのは元気な証拠とも言いますし」

 

となんともないかのように戦兎は話すが何となくその場に重い空気が流れる。するとそれをリアスが切り替えるように、

 

「そ、そう言えば龍誠の親御さんってどんな人なのかしら?」

「あ、それは……」

 

それに慌てたのはアーシアだ。だが龍誠は気にせず、

 

「俺物心がつく前に木の下に捨てられたから親の記憶って言うと孤児院の職員さんなんですよねぇ。まぁ捨て子するくらいだから多分録な人たちじゃないかと……」

 

ズゥン。と聞いてはならなかった話題を選択した空気が更に濃くなってしまった。

 

「と、取りあえずまずは10日後のレーティングゲームに向けて特訓といきましょう」

 

そう言ってリアスはまた無理矢理話題を変えて話し出す。

 

「場所はグレモリーが管理している山があるからそこで良いでしょう。皆も良いわね」

『はい!』

 

と皆と返事をしながら龍誠はおもむろに立ち上がり、戦兎が唸っていた所に机の上にあった電車フルボトルを持ちながら来ると、

 

「後多分これだぜ?」

《海賊!電車!ベストマッチ!》

「うそーん……」

 

自称第六感であっさりベストマッチを龍誠が見つけたため膝をつく戦兎の姿があったが、まぁそれはどうでも良いことだ。


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