戦兎「サイラオーグさんとのレーティングゲームを終え俺達は日常に帰って来た!よっしゃ勝ち!」
ヴァーリ「ちくしょー!」
龍誠「なにしてんだよ」
戦兎「ヴァーリのやつにまた開幕に挨拶を奪われちゃ堪んねぇからな。一気に早口で始めてやったぜ……」
ヴァーリ「お前は良いだろ!?本編で活躍するんだから!」
匙「そうだそうだ!」
戦兎「それとこれでは話は別だ!と言うわけで78話スタート!」
「いらっしゃいませ~」
本日は晴天なり……ってなわけで、サイラオーグとのレーティングゲームから数日。今日は駒王学園の文化祭の日である。
オカルト研究部は喫茶店を出しており、その中では朱乃の占いや小猫によるお祓い何かもやっている。因みに店員との記念撮影も随時募集だ。
そんなわけで、見た目が良い面子が揃ってるオカルト研究部の店は滅茶苦茶繁盛をしていた。
その中、戦兎は先程アザゼルに聞いた言葉を思い出す。
それはサイラオーグを支援していた上層部が、それから撤退したとの事。まぁアイツならまた這い上がってくるだろうよ、とアザゼルは言っていたが、思うところがないわけでもない。だが間違ったとも思わない。
「戦兎ー!ボーッとしてないで手伝えよー!」
「あ、わりぃ!」
するとそこに龍誠の叫び声が聞こえて、戦兎は我に変えると慌てて仕事に戻る。
結局その日は、最後まで息吐く暇もないほど忙しい日だったのだが、そんな日の夜。
「……」
リアスは一人オカルト研究部の部室にて、窓の外を眺めていた。そこに、
「部長?」
「あら、龍誠」
どうしたんですか?と龍誠が近付くと、
「今年で最後だから見納めておきたくて」
「そうですか」
この後本校舎の校庭で、キャンプファイアーしながらチークダンスをすると言うイベントもあるのだが、取り敢えず後回しにして見ておきたかった。
「あっという間の3年間だった。長い悪魔の人生で考えたら余りにも短すぎる。でも忘れられない事が沢山起きた」
言うとリアスは、コテンっと龍誠の肩に頭を乗せ、
「龍誠と同じ学校にいられるのもあと少しなのね。寂しいわ」
「俺だって同じだ。リアス」
視線を交わし、二人は眼を閉じて顔を近づけていく。どちらが何かを言わずとも問題ない。そして二人っきりの部室で邪魔する者は……
『ジーッ』
「うぉ!」
「きゃあ!」
居た。部室の扉を少し開けて此方を覗き込むオカルト研究部女子部員達の影が。
「い、いつから居たんだ!?」
「あっという間の3年間だった。からかな」
龍誠の問いに、ゼノヴィアが答えると、
「うふふ、それで二人は随分良い雰囲気でしたわねぇ。しかも二人きりなのを確認してから龍誠君が部長をリアスと名前呼びしてましたし」
「いやぁ……そのぉ」
朱乃に詰め寄られ、龍誠はタジタジになる中、アーシアは眼に涙を浮かべ、
「龍誠さん……隠してたんですか?」
「ち、ちがう!言うタイミングを逃してたっていうかだな」
と・に・か・く!と朱乃は言って仕切り直し、
「全部説明して貰えますわよね?」
「ア、ハイ」
と、正座で洗いざらい説明する龍誠が居たそうな。因みに、
「膝詰めですねぇ」
「龍誠君も大変だわ」
「で、出遅れましたわ……」
上から順にロスヴァイセとイリナにレイヴェルが、先程朱乃たちが見ていた扉から見ていたのは、まぁ余談である。
「うぅん……」
その頃戦兎は本校舎の屋上に降り立ち、そこからキャンプファイアーの点火する様子を眺めていた。
去年の文化祭は帰宅部だったため、クラスの出し物の手伝いをしていたが、正直余り記憶にない。そう考えると、結構今年は濃密だったのだと思い知らされる。
(これも部長のお陰ってか?)
そう思って少し笑う。すると、
「こんなところで何してるんですか?」
「ん?あぁ、塔城か」
声に振り返ると、そこには悪魔の羽を出した小猫が立っている。
今更だが、本校舎は今どこも施錠されて入れないので、こうやって空を飛ばないと屋上にはこれない。
「少し哀愁にな」
「そうですか」
と言いながら、小猫は戦兎に両手に持ってた缶コーヒーを一本渡す。
「あ、わりぃ。今払う」
「別に良いですよ」
後輩に奢られるのは先輩のプライドが許さん。と遠慮する小猫に缶コーヒー二本分の代金を渡し、二人で缶コーヒーを飲む。
「つうかこれ俺の好きなメーカーのじゃん」
「いつも飲んでるので多分そうなんだろうなって思って買いました」
よく見てるなぁ。そう戦兎が言うと、小猫はそれはまぁと口ごもる。そうこうしている間に、キャンプファイアーが点火され、その周りでは男女のペアで踊り出す。この時の為にそれぞれ予め誘ってたペアで、ここ数日成功したとか失敗したとか言う会話がされていた。オカルト研究部の女子たちにも、結構お誘いは来てたようだが……
「お?龍誠たちが来たぞ」
龍誠がリアスと朱乃にアーシアとゼノヴィアの四人に引っ張られて やって来た。どうも遠目に見る限り誰が先に龍誠と踊るか揉めてるらしい。
「大方抜け駆けした部長は最後だとか言ってるかな」
「抜け駆け?」
あの二人正式にそう言う関係になったらしいからな。と戦兎が首を傾げる小猫に言うと、彼女は少し驚いた顔をして、
「いつの間に……」
「俺も聞いたのはサイラオーグさんとのレーティングゲーム後だしな」
と言うやり取りをしながらコーヒーを飲んでいると、朱乃がじゃんけんで勝ったらしく、龍誠とキャンプファイアーの周りで踊り出した。
「良いですね。楽しそうです」
「なら誰か誘ってきたらどうだ?」
ジトーと小猫に睨まれる。話題の返事を盛大にミスったようだ。そう思いながら戦兎は頭を掻き、
「何で睨むんだよ」
「別に……って戦兎先輩は踊らないんですか?」
「俺はああいう風に大勢が居る中でやるのは苦手なんだよ。照れ臭いと言うか恥ずかしい」
と、戦兎は言いながら缶コーヒーを飲みきると、屋上の真ん中辺りに空き缶を置き、
「まぁ……月明かりの下でって言うのはどうだ?」
「?」
戦兎の言葉が理解できず、小猫は疑問符を飛ばす。それを見た戦兎は、
「つまりだな……Shall we dance?お嬢様」
「成程」
手を差し出しダンスのお誘いらしい。小猫は少し笑って、戦兎の手を握った。
それから二人で空き缶の周りをくるくる回り、
「それにしてもここで空き缶って辺りが戦兎先輩のセンスの無さが出ますね」
「悪かったな」
そんないつも通りの軽口を叩き合うのも慣れてきた。すると小猫は戦兎を見て、
「そう言えばこの前のレーティングゲームの時に言ってましたけど……」
「なにが?」
ギクッと戦兎は、顔を強ばらせるが小猫は、
「何だかんだ言っても部活の皆の事大好きなんだなって」
「うぅ……」
それはゲームが終わった後に、ニヨニヨした皆に突っつかれたのだ。そう言えば小猫は何も言っ来なかったな。と思いつつ居ると、
「私と会えたのも、良かったんですか?」
「……」
ダンスの足を止め、不安そうに顔を覗き込んでくる小猫に、
「当たり前だ」
ソッと頬に手を添え、戦兎はゆっくり優しく言う。
「勿論お前と出会えたのも良かったよ」
「先輩……」
トロンとした眼で小猫は、ギュッと戦兎の腰に腕を回し、彼の胸に顔を埋めると、戦兎も小猫の背中に腕を回す。
「……ん」
すると徐ろに小猫は爪先で立つと、唇を少し突き出し戦兎に顔を近づける。戦兎もそれに合わせて少し屈みながら顔を近づける。だが、
「……先輩?」
あと少しで距離がゼロに……と言うところで戦兎は止まり、そのまま顔と体を離してしまった。
「……何かまだ暑いな」
「そう、ですね」
微妙な空気が流れる中、戦兎は屋上の端に戻ってキャンプファイアーを見る。小猫も同じく移動して見る。
『……』
そうして二人は、その後一言も喋る事がないまま、キャンプファイアーが終わるまで過ごしたのだった。
「待て!」
「っ!」
一方その頃。ある場所で逃走劇が繰り広げられていた。しかし、
「しつこいわね」
「余計なお世話だ」
そう言って一人の女性がため息を吐き、それに男……と言うか声音的にまだ少年といった感じだ。
女性の方は金属製の鎧に身を包んだ美しい容姿をしている。逆に少年は全身赤い有機的な、炎を模した飾りが着いたスーツに顔まで覆われていて、こちらの顔は分からない。そこに、
「大丈夫!?」
「あぁ」
と赤い少年の元に、黄・青・緑・白・黒の素体は色違いで、それぞれ違った装飾がされたスーツを着ている、声音的に全員若い女性が集まって来た。
「ならば、ここで決着と行きますわよ!」
そう言って黒いスーツの女性は、巨大なハンマーを構える。
「あぁ、行くぞ!」
最初に出たのは赤いスーツの男。炎を纏わせた西洋風の両刃の剣を手に、斬りかかった。だが、
「残念だけどまだやられるわけにはいかないのよ」
「なに!?」
女性は懐からスイッチを取り出すとそれを押す。すると空間が歪み、
「な、なんだぁああああ!?」
後ろの仲間たちが此方を呼ぶのを見ながら、赤い少年は空間の歪みに呑み込まれていく。そして、
「いっで!」
ドスン!と地面に落下し、腰を擦りながら少年は立ち上がると、スーツが消えてそこには17歳程の顔立ちの制服に身を包んだ少年が立っていた。
「ここは……どこだ?」
と言いながら、電柱に張り付けてあった住所を見ると、
「駒王町?」
どこだよそれ……少年はそう言いながら、天を仰ぐのだった。
と言うわけで10章終了です。戦兎と小猫のイチャイチャ?回でもありましたが……まぁね。あれですわ。戦兎ェ……ですね。まぁ理由は後々……
そして次章は番外編です。内容としては本編とは関係はありません。いやまったくってこともないですが後の展開のために書かなくてはならない話です。なので原作11巻に相当するのは12章になりますね。
しかし最後に登場したあの色彩豊かな者たちは一体……(すっとぼけ)