ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「炎磨達との一件も終わり、平穏な日々を過ごしていた俺たちだったが、突如中級悪魔への昇格試験を受けることに!」
龍誠「試験かぁ……俺自信ねぇなぁ」
匙「でもお前の活躍考えたら何時までも下級悪魔のわけにもいかねぇだろ。あーあ、俺も早く昇格してぇなぁ」
ヴァーリ「まぁお前影薄いからなぁ……」
匙「やかましいわ!」
サイラオーグ「さぁて、そろそろ服の準備をしておくか」
戦兎「ってな感じで今回も86話スタート」


無限の龍神

『発情期?』

「えぇ」

 

皆はリアスにリビングに集められ、小猫の状況の説明を受けていた。

 

「悪魔って発情期あるですか?」

「悪魔にはないわよ。でも猫又にはあるのよ……」

 

聞いてきた龍誠に返しつつ、嫌な予感が当たったわね。そうリアスが言いつつ、皆が小猫の方を見ると、

 

「せんぱい……」

「暑いから離れてくれないか?」

 

戦兎にベッタリくっつき、戦兎の首に腕を回した彼女はガッチリロックして、スンスンと匂いを嗅いでいた。

 

「何時もの面影が全くないな」

「でも塔城さん幸せそうよ?」

 

そんな様子を見てゼノヴィアとイリナが話し、そこに皆は一ヶ所に集まってボソボソ声で会議。しかし、

 

「でも問題があるのよ」

「と言うと?」

 

リアスに佑斗が問うと、

 

「本来猫又の発情期って肉体的にも精神的にも成熟してなければ起こらないはずなの。でもそれが起きてる……」

「それに問題が?」

 

と言うアーシアにリアスは頷き、

 

「小猫はね、まだ小さいのよ」

『……』

 

言っとくけど見た目的な意味じゃないわよ?そうリアスが言って、皆はそれは勿論と慌てて頷くと、

 

「小猫の肉体はまた未成熟。その状態で発情期赴くままに妊娠なんてしたら母体も子供ももたない。確実に死ぬらしいわ。それに薬で抑える手もあるけどそうすると、将来的に発情期が来なくなる可能性もある。だから戦兎には間違っても手をさないように言ったの」

「戦兎の事だ。大方、へ!塔城に女を感じるほど飢えちゃいませんよ。とか言ってそうだが」

 

と、微妙にクオリティの高いゼノヴィアによる戦兎の物真似に、皆は頷くが、

 

「それが戦兎も小猫に困惑してるしてるみたいでそう言うデリカシーのない物言いは無いのよね」

「戦兎君にしては珍しいですね」

『うんうん』

 

朱乃に続いて皆揃って散々な言い方である。そんな皆を尻目に、

 

「せんぱい、ぎゅってしてください」

「あ、あのな塔城……」

 

マジで一回離れようぜ?と提案するが寧ろくっつく力を上げてくる。

 

「嫌です。離れません」

「でも発情期と言うだけで彼処までになるものなのか?」

 

そう言うゼノヴィアに、リアスは普通はないらしいわと言いつつ、

 

「ただ医者曰く、今まで抑えてたのが一気に吹き出してる状態みたいよ」

『成程……』

 

皆はそれは大分溜まっていただろうと言う。何せずっと小猫は戦兎に対して好意を持っていたが、本人が無口と言うか、初めての恋の所為かどうも進展が無く、周りまで悶々とさせる日々だった。だがそれは恐らく小猫もだ。自分の好意に気づかない戦兎に、小猫も色々溜め込んでいたのだとしたら、それは恐ろしいことになるだろう。

 

しかし人格が変わるほどと言うのは、どれだけ溜め込んでいたのやらだ。

 

「お、仲良くやってんじゃん」

「うるせぇぞ龍誠」

 

そこに入ってきたのは龍誠で、笑ってくる為戦兎は目を細めて文句を言う。

 

「こういうのはお前の役割だろうが」

「そう言うなって。良いじゃん。好かれてて」

「アホか。発情期って言う特殊な状態だぞ。ったく、なんで俺なんだよ」

 

ぶつぶつ言う戦兎にリアスは遠くから静かに、

 

「言っておくけど、発情期だからって誰でも良い訳じゃなくて、好意を持った相手じゃないとダメなのよね」

「もう戦兎君もどうにかした方がいいですよ……」

 

佑斗はため息をつき、皆もウンウンと頷く。その時、

 

「ん?」

 

戦兎の携帯が鳴り、画面を見てみれば……

 

「もしもし美空?どうしたんだ?」

「あ、お兄ちゃん?お客さんが来てるから急いで帰ってきてね」

 

は?誰?と聞き返す前にガチャンと切られる。

 

「何なんだよあいつ」

 

そう言って戦兎は小猫を見ると、

 

「少し美空に呼ばれたから離れてくれないか?」

「……分かりました」

 

少し語彙を強めて言うと、小猫は素直に聞いてくれた。その小猫に戦兎は優しく頭を撫でてやり、

 

「んにゃあ……」

「じゃあちょっと席を外します」

 

と言って自宅に戻っていった。そんな光景を見ていた皆は、

 

「何か今のも戦兎らしくないわね」

『確かに……』

「?」

 

集まってボソボソ。それを見た龍誠は一人首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

戦兎は龍誠達が住む屋敷の隣にある自宅に入ると、声を掛けた。すると奥から、

 

「おうお帰り」

「なっ!?」

 

奥から覗かせた顔に戦兎は驚愕し、

 

「ヴァーリ!?」

 

なんでお前が!と詰め寄ると、

 

「あ、ヴァーリ!お茶持ってきて!」

「はいみーたん!今すぐに!」

 

バビュン!とヴァーリは高速移動し、慣れた手つきでお茶を淹れると、リビングに見たことのない幼女を抱っこした美空にお茶を出す。

 

「おいヴァーリ。なにしに来たんだよ」

「少し静かにしろ桐生戦兎。茶ってのはな。蒸らしが重要なんだ」

 

そう言ってヴァーリはこっちも見ずに湯飲みにお茶を注ぎ、

 

「みーたん。どうぞ」

「ありがと」

「何で馴染んでんだよ!」

 

思わず戦兎が全力で突っ込み。それに美空は、

 

「だってヴァーリはたまに来てたよ?友達連れてきたのは初めてだけど」

「友達?」

 

そう美空に言われて見てみれば、

 

『お邪魔してまーす』

 

と、戦兎の母から貰った煎餅を食べる美猴と黒歌に、ミルクを貰って飲んでいるフェンリル。更にお茶を啜るアーサーと……知らない子もいた。じゃなくて!

 

「たまに来てた!?初耳だぞ!?」

「あぁ、そう言えばヴァーリに口止めされてたから言ってなかったんだっけ?ヴァーリにはたまに海外のお菓子とか買ってきて貰ってたって」

 

それただのパシリじゃねぇかと思いつつ、戦兎はヴァーリを引っ張っていき、

 

「お前バカじゃねぇのか!つうかテロリストがなにしに来てんだよ!」

「いやぁ、最初はちょっとした出来心で家の前まで来たんだけどさ。偶然みーたんと会って、あれ?これ運命じゃね?とか思いつつ会えたら良いなぁとか思って買っておいたSNSで欲しがってた限定スイーツをあげたら超喜んでさ!それ以来みーたんが欲しがったものを求めて世界各地を渡り歩いてるのだよ。因みに今じゃお義母さんとも顔見知りさ」

「誰がお義母さんだ。あの人は俺と美空の母親であってお前の母親じゃねぇ」

「その内なる」

「一生なるか!」

 

戦兎はゼィゼィと息を荒くしながら突っ込み、

 

「つうかじゃあ何で俺を呼んだんだ?お前だろ?俺を呼んでた奴ってさ」

「まぁ俺でもあるんだが厳密には違うと言うか……」

 

はぁ?と要領を得ないヴァーリに、戦兎は首を傾げていると、

 

「我が頼んだ」

「ん?」

 

さっきまで美空に抱っこされていた黒髪の、無表情の女の子がトテテとこちらにやって来て、

 

「えぇと……なんだヴァーリ。知り合いか?」

「そうだな。禍の団(カオス・ブリゲード)ではよく話していた」

 

こいつもテロリストなのか……?戦兎はそう思いつつ幼女と目線を合わせるようにしゃがむと、

 

「えぇと、君のお名前は?」

「オーフィス」

「……」

 

耳が遠くなったのか、今とんでもない名前が聞かされた気がした。だがヴァーリは、

 

「こいつはオーフィス。無限の龍(ウロボロス・ドラゴン)と言われるオーフィスだ」

「は?」

「つうわけでちょっとこいつに頼まれてここに連れて来たら禍の団(カオス・ブリゲード)から追われる羽目になったのと少し話があるからアザゼルに取り次いでくれ」

「は?」

「いやぁ、直接アザゼルでもよかったんだけどみーたん会う口実も作れるしこっちが良いかなって」

「は?」

「お前さっきから、は?しか言ってないけど話し聞いてるか?まぁ取り敢えず宜しく」

「はぁあああああああああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……』

 

龍誠の屋敷は静寂が包んでいた。現在この場にはリアスを筆頭にした、グレモリーチーム。更にイリナにアザゼルとヴァーリ(ヴァーリチームの他の面々は戦兎宅で待機している)がいて、

 

「んで?ヴァーリ。態々オーフィスを連れてきたのには理由があんだろうな?」

 

アザゼルがそう切り出すと、ヴァーリは肩を竦めつつ、

 

「オーフィスが万丈龍誠と話したいそうでね。だから連れてきた」

「俺?」

 

龍誠は首を傾げ、オーフィスを見ると彼女(厳密には性別という概念は無いらしい)がやって来て、

 

「お前何者?」

「お、俺は万丈 龍誠だけど……」

 

龍誠の返事に、オーフィスはコテンと首を傾げ、

 

「お前の中から感じる。弱いけど、確かにある。ドライグの力を」

「ど、どらいぐ?」

 

なんのこっちゃと龍誠が疑問符を飛ばすと、

 

「ドライグってのはあのドライグか?」

「そう」

 

アザゼルが聞いてオーフィスが答えた。

 

「ドライグってのはな、赤龍帝・ドライグのことだ。今は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)って言った方がいいか?」

「あれ?でも確かそれって兵藤 一誠が持ってるやつ……」

 

アザゼルの説明に、龍誠が思い出しながら言うと、オーフィスは頷き、

 

「だから変。一誠が持ってるのに、お前がなんでドライグの力を持っている?」

「いや俺が聞きたいくらいっていうか……そもそも本当なのか?」

 

疑う龍誠にオーフィスは頷き、

 

「近くだからよりはっきり分かる。お前の中には、確かにドライグの力がある。前にも感じたけど、その時よりも確かに感じてる。だからもう一度問う。お前は何者?」

 

うぅん……と龍誠は頭を悩ませる。正直言って、自分が何者かなんてこっちが聞きたいくらいだ。

 

「しかし龍誠にドライグの力か……」

 

いよいよお前の存在が気になるなとアザゼルは言う。そこに戦兎が、

 

「だけどそのために態々来たのか?」

「そう。だって気になる。赤龍帝は同時に二人存在しない。ドライグは一人しか存在しないから。だけどドライグの力を宿す者が実際に二人いる。それも本当。なら本人に聞くのが確実」

 

ある意味理にかなって入るのか……そう思っているとまたオーフィスは、

 

「だけどわからないなら良い。こっちが分かるまでここにいて見てる」

『……はい!?』

 

突然のオーフィスの言葉に、リアス達処か連れてきたヴァーリまでビックリ眼になるが、

 

「良いんじゃねぇか?好きなだけ居ろよ」

「アザゼル先生!?」

 

リアス達はアザゼルを引っ張り隅に連れてくると、声を小さくしながら、

 

「どういうつもり!?」

「どうもこうもねぇよ。良いかリアス。兵藤 一誠に目が行くが、禍の団(カオス・ブリゲード)でやべぇのはあのオーフィスもだ。と言うか、禍の団(カオス・ブリゲード)の奴等はオーフィスに吊られて集まったやつも多い。それにオーフィスによる力の増加とかもある。だがオーフィスは基本的に禍の団(カオス・ブリゲード)に思い入れはない。自分の望みを叶え易いと判断しただけだ。なら話し合いで幾らでもどうとでもなる。うまくいけば禍の団(カオス・ブリゲード)からこっちに付かせることも可能だ」

「でもそんなことをしたら他の勢力から何を言われるか……特に貴方は和平を提案した堕天使の総督よ!?それなのに禍の団(カオス・ブリゲード)の重要人物と仲良くなんて……」

 

リアスの言葉に皆も頷く。しかしアザゼルは、

 

「安心しろよ。俺は別にどうともしねぇさ。これからも今まで通り好きにやる。お前らにも迷惑はかけねぇよ。絶対にな。だから頼む。これはチャンスでもあるんだ。禍の団(カオス・ブリゲード)の弱体化のな。ただでさえ兵藤 一誠何て言う厄介なやつもいるのにオーフィスもなんて相手しきれないからな」

『……』

 

そう言うアザゼルに皆は確かにと悩む。オーフィスの強さは、正直聞いた部分が多いため実感はない。だが兵藤一誠は戦ったことがあるから分かる。あれと同じくらいかそれ以上に厄介なら、確かに有効ではある。

 

「つうわけで戦兎。頼んだぞ」

「何で俺に言うんだよ」

「いやロリはお前が担当かなって」

 

ハッ倒すぞ、とアザゼルに戦兎は返しつつ、

 

「良いぞオーフィス。暫くゆっくりしていけよ」

「うむ」

 

するとそこにヴァーリが来て、

 

「なぁ桐生戦兎。序でにひとつ聞いて良いか?」

「なんだ?」

 

戦兎はやって来たヴァーリに振り替えって返事をすると、

 

「お前の背中にコアラ張りに入りついてる黒歌の妹については突っ込み待ちか?」

「ノー突っ込みで頼む」

 

なんてやり取りの後、

 

「しかしもう少し人手が欲しい所ではあるな……」

 

そうアザゼルが呟いていると、

 

「おーい万丈。借りてた漫画返しに来たぞ~。あと鍵開けっぱなし……ってヴァーリ!?」

 

匙が漫画を手に入ってきた。どうやら戦兎がヴァーリとオーフィスを連れて戻ってきたときに鍵を掛けずに来てしまったらしい。

 

そしてこの騒ぎで誰もチャイムに気付かず居たところ、匙は入ってきたらしいのだが、皆揃って良い反応速度を発揮し、ギリギリで匙からオーフィスを隠すことには成功。いやまぁ冷静に考えたら、オーフィスの顔を匙は知らないので、隠す意味は余り無かったかもしれないが。

 

「なんだ皆?その不気味なにっこり笑いは」

「いやいやなんでもないぞ?ほら漫画だろ?そこにおいて帰れよ」

 

と戦兎が言うが、匙はジィーっとこっちを見て、

 

「皆何隠してんだ?」

『な、何も?』

 

見事にハモって怪しさ満点。

 

「そうかそうか。何も隠してないか。万丈の顔からナイアガラの滝ばりに汗が出ててギャスパー君が携帯のマナーモードみたくなってて凄いことになってるが何もないのか?」

「なななななななななななななななななななにもももももももねぇじぇ?」

 

噛みすぎだろ!と龍誠に皆が突っ込む中、匙はふぅん?と一息。それから、

 

「そう言えば万丈。お前嘘吐くとき鼻の穴が拡がるって言う癖があるの知ってるか?」

「え!?うそ!?」

 

あ、ばか!と戦兎が突っ込むのも遅く、匙の誘導に見事引っ掛かった龍誠に、匙はニヤッと笑い。

 

「やっぱり何か隠してんな!今度は何に巻き込まれてんだ!答えろ!」

「い、いやそれはぁ……」

 

詰め寄ってくる匙に、戦兎は首を横に振って答えると、

 

「ごめんね匙君。この件は貴方を巻き込めないのよ。貴方を巻き込むと、ソーナにも被害が被る可能性が高いわ」

「なら殊更無視できません!しかもヴァーリがいるってことは絶対ロクな事件じゃないですよね!?そんなのを知ってて無視できるほど俺は冷酷にはなれません!ここで逃げた方が後で会長に怒られます!」

 

匙の言葉に、皆は顔を見合わせる。するとアザゼルが、

 

「ま、仕方ねぇか。どうせこのまま返してもお前からソーナに伝わる可能性もあるわけだし、ガッツリ巻き込んだ方がいい」

「はぁ、後悔しても知らねぇぞ?」

 

戦兎も思わずため息。そして事情を説明すると、

 

「なんだってそっちはそう次々面倒ごとがやって来るんだよ」

 

そう言って匙までため息。

 

「俺達が聞きたいくらいだよ」

 

それに戦兎がため息をつくと、

 

「あとお前の背中にコアラ張りに入りついてる塔城さんについては突っ込んでも……」

「ノー突っ込みで」

 

匙の問いに戦兎は頼むから聞くなと言っておく。

 

「まあ良いや。宜しくなオーフィス……ちゃん?君?さん?」

「?」

 

匙が握手を求めるように手を出す。オーフィスは首を傾げ、あぁと手を叩き、

 

「ん」

「うぇわ!?」

 

オーフィスが手からウネウネと真っ黒なドジョウと言うか、蛇?を出現させると、匙が飛び上がって後ずさる。

 

「違う?」

「いやなんだそれ!」

 

オーフィスは不思議そうな顔をしながら、

 

「お前はヴリトラを宿してる。普通でも力は上がるけど、ドラゴンを宿す者なら更なる強化が出来る。それを知ってて聞いたんじゃないのか?」

「違う違う!ただ握手しようとしただけだ!」

 

握手?とオーフィスは聞き返し、

 

「相手の手を握って仲良くしましょうってすることだ」

「ふむ」

 

戦兎がそう説明し、オーフィスは成程と納得。そして、

 

「握手」

 

と、オーフィスが匙の手を握る。ただこの場合。単純な強さなら世界最強で、無限の龍神と言われるオーフィスのパワーで割りとしっかり握られた。その結果、

 

「ギャアアアアアアアアア!」

「匙いいいいいいいいい!?」

 

メリメキャゴキゴシャと、とても人間(悪魔だけど)の手が出して良い音ではない音が部屋に響き渡り、

 

「うぉおおお!匙の手が何か海外とかにあるよく分からないグネグネした、変な銅像みたくなってる!?」

「いでぇえええええええ!」

 

アーシア治療!とリアスの指示の元、アーシアが慌てて匙の手に光を当ててると、

 

「失敗」

「失敗して人の手を握り潰すなぁ!」

 

匙の叫びに、オーフィスは無表情でいる。それを見ながら戦兎は、

 

「しかし力の強化が出来るのは知ってたが、ドラゴンを宿すものには効果が高まるか……待てよ」

「ん?どうした戦兎」

 

ぶつぶつ何かを言っている戦兎に、龍誠が聞くと、

 

「まだ確定じゃないが龍誠。もしかしたら出来るかもしれない」

「何が?」

 

はてなマークを浮かべる龍誠に戦兎は、

 

「お前の強化アイテム」

「……マジで?」

 

あぁ、と返事をして頭を掻く。

 

「オーフィスの力を組み込んだライダーシステムか。ドラゴンの力との相乗効果……これを合わせれば今までにないライダーシステムを生み出せるかもしれない。元々オーフィスの力の上乗せ自体強力だしな」

 

何せそこまででもなかったディオドラですら龍誠が相手だった為劣ったが、相当力を上げていた。今の龍誠ならもっと強くなれるはずだ。

 

「とは言えオーフィスの協力がいるけどな」

「まぁ頼んでみるか」

 

なんて戦兎と龍誠がそう言い合っていると、

 

「取り敢えずこんなもんかしらね。まずはオーフィスを他にバレないようにして……」

「ふっふっふっふ」

 

ん?と喋っていたリアスだけではなく、他の皆も突如響き渡った笑い声に、キョロキョロと周りを見渡すと、さっき匙が入ってきた扉がバァン!と開かれ、謎のBGMと共に入ってきたのは、

 

「フウとライに、サイラオーグ……さん?」

 

皆がピキッと固まるのも無理はない。何故ならフウとライはいい。問題はサイラオーグだ。サイラオーグの格好なのだ。

 

サイラオーグの格好は、上下がジーンズ生地の半袖半ズボン。更に頭にはよく分からない帽子に、珍妙なサンダル。そしてTシャツに書かれている文字は……

 

【威風堂々】

 

である。

 

「久し振りだな」

『……』

 

ズザザザ!と皆は壁に寄って集まる。表情が変わらないのは戦兎に抱き抱えられたオーフィス位だ。

 

「し、私服姿初めて見たけど……」

「想像の斜め上をいく破壊力だ」

「最早何処から突っ込めば良いのか分からねぇ」

「と言うかどこで買ったんだろう」

 

戦兎とヴァーリ、龍誠に匙が口々に呟く中、

 

「そう言えば言ってなかったわね。そのね?サイラオーグは……あれなのよ。服のセンスが少し独特なのよ」

「取り敢えず部長が言葉を最大限選んでるのだけは分かります」

 

ギャスパーがリアスにフォローを入れつついると、リアスはありがとと返し、

 

「え、えぇサイラオーグ。今日もその……凄く個性的な服ね」

「あぁ、オーダーメイドの逸品でな。最近知り合ったんだが俺のセンスを100%理解してくれる上に、安く作ってくれる。だが問題はなぜかそこの服屋は売れてないんだ。全く謎だ」

 

貴方のセンスを理解してしまうからじゃない、とリアスは言い掛けて口を塞ぎ、

 

「それにしてもどうしたの?」

「いやなに。うちの領地で良いリンゴが採れてな。せっかくだからお裾分けに来たら、チャイムを鳴らしても返事がないし、鍵は空いてるしで何かあったのかと入ってきたら、丁度そこのソーナの所のポーンが叫んでいたから様子見していた」

 

次から鍵はちゃんと閉めよう。あとチャイムはちゃんと聞こう。そう戦兎は心に誓った。そしてサイラオーグはこちらに来ると、

 

「成程この者が無限の龍神とも言われるオーフィスか。一見すればただの少女だが……ってどうした桐生戦兎?」

 

サイラオーグは顔がひきつったままの戦兎を見て首を傾げていると、

 

「その格好のままじゃ普通に会話できる自信がないんで……一旦休憩!」




サイラオーグ「そう言えばお前の背中にコアラ張りに張り付いている塔城小猫についてはry」
戦兎「ノー突っ込みで!」

しかしアサルトウルフかっこよすぎですね。ああいうの好きですよ俺。そして次回はアサルトシャイニングホッパー。いやはや目が離せませんな。

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