ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「オーフィスもやって来て塔城の発情期も終わったりとまぁ大騒ぎ」
龍誠「しかしサイラオーグさんの服なぁ……」
サイラオーグ「なんだ万丈 龍誠。欲しいのか?」
龍誠「絶対いらない」
ヴァーリ「つうかそんなくそだせぇ服何処でかってんだよ」
サイラオーグ「何がださいだ!お前のセンス悪いんじゃないか?」
ヴァーリ「お前よか普通だよ!」
匙「喧嘩すんなって二人とも……」
戦兎「ってな訳で今回も89話やっていくぞ」


発覚

「やべぇ緊張してきた」

「落ち着けよ」

 

龍誠が汗をダラダラ流すのを見ながら、戦兎はアクビをする。

 

さて小猫の発情期が収まり早くも一週間。今日は中級悪魔への昇格試験のひである。なので会場がある冥界のグラシャラボラス領に転移(元々はアスタロト領でやるらしいのだが、先日のディオドラの件で変更になったらしい)してきたのだが、どうも周りが騒がしい。おそらくこちらは色々と有名なので噂しているのだろう。とは言え数はかなり少ない。これでは席もガラガラだろう。聞いてはいたが、昇格試験と言うのは狭き門らしい。

 

「やるだけやったし、後は天に祈るのみ……って言っても僕たち悪魔だから天より地獄かな?」

「そうですわ。龍誠は頑張ってましたもの。ちゃんと受かりますわ」

 

そう言って龍誠を落ち着けるのは、佑斗と朱乃である。

 

そんな様子を見ながら、戦兎は会場内を見た。

 

中は何となく高校の入学試験を思い出させてきて、少し懐かしい気持ちになる。

 

そして研究もあと一息。そしたら眠ろう。いや中間テストもあるんだよなぁ……そう思いながら受験票に書いてある数字の番号が書かれた机に座った。他の皆とは大分離れた場所に座っている。

 

(皆頑張れよ)

 

戦兎は心の中で応援しながら、配られたテストの用紙を裏にして置いておく。そして、

 

「それではテストを始めてください」

「っ!」

 

他の皆と合わせて戦兎は紙を表にして第一問を見る。そこにあったのは、

 

【レヴィアたんの第一クールの敵幹部の名前を答えよ】

『っ!?』

 

試験を受けてた全員が、思わずずっこけそうになったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあそこで普通レヴィアたんの話し出すか!?」

 

試験終了後、戦兎は思っていたことを皆と集まった際に吐き出す。

 

それには皆だけじゃなく周りにいた他の受験者も思わず頷き、

 

「まぁある意味冥界に関することって言う意味ではあながち間違ってないしね。それ以外は真面目な設問だったし」

 

そう、初っぱなでネタを突っ込まれたものの、基本的に問題は真面目だった。まぁ勉強の甲斐もあって取り敢えず問題はないだろう。

 

「あーうーあー」

 

まぁ約一名ほど言語中枢が壊れたやつがいるが……

 

「龍誠様。大丈夫ですか?」

 

そう言って心配そうに顔を覗き込んでいるのは、唯一試験を受けるやつ以外で、最近マネージャー職が板に着いてきたレイヴェルである。

 

「だけど次は実技だ。もう頭使う必要ないぞ?」

「そーだなー」

 

プルプルと全身を痙攣させ、龍誠は顔をあげた。

 

試合の順番は既に決まっており、後は順番を待つだけ。すると、

 

「次は戦兎君の番みたいだよ」

「ん?そうか」

 

戦兎は祐斗に言われ、慌てて立ち上がるとベルトを手に会場入りする。観客は息を飲んで見守り、相手は脂汗をダラダラ垂らしていた。

 

(なにそんなに緊張してんだ?)

 

そう思いながら戦兎はベルトを装着し、

 

「落ちるわけにいかねぇし一気に行くか」

《マックスハザードオン!》

「変身!」

 

戦兎は素早く変身を行い、

 

《紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハエーイ!》

 

そして試合開始。と同時に相手は魔力を掲げた両手に集めて、炎を形成……する前に間合いに入った戦兎の拳が腹部に刺さり、そのまま後方に吹っ飛ぶ。

 

そして吹っ飛んだ先に回り込むとそのまま蹴りあげ、空中に飛び上がりながらレバーを回した。

 

《Ready Go!ハザードフィニッシュ!》

 

そのまま先回りし、戦兎は足を伸ばして、それを縮める勢いで蹴りを放つ。

 

《ラビットラビットフィニッシュ!》

「あれ?」

 

それにより相手は地面に叩きつけられ、ピクピクと気絶していた。戦兎は首を傾げ、気絶している相手を指先でつつく。

 

「おーい……」

 

因みに後でアザゼルに聞いたのだが、既に戦兎達は今回の試験を受ける奴らでは相手にならないほど強くなっており、寧ろ滅茶苦茶加減しないと死人が出るレベルだったらしい。

 

そう言えば実技は適当に流しとけとか言われてたっけ……何て戦兎は後になって思うのだった。

 

あ他の面々も余裕で実技を抜けたのは、言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、今日も終わったなぁ」

 

中級悪魔の昇格試験から暫く。本日漸く中間テストも終わり、ゼノヴィアとアーシア、イリナの三人は集まって部室に行こうとしていた。だが、

 

「残念よねぇ」

『え?』

 

イリナの呟きにゼノヴィアとアーシアは首を傾げると、

 

「いやね、何か折角急接近するかなって思ってたんだけど、結局戦兎君と塔城さんの関係って変わらなかったじゃない?」

「確かに……戦兎もあの一件以降変わった感じがないしな……」

「そうですねぇ」

 

うーむ。と三人は悩む。と言うのも、あの二人のやり取りは見ているこっちの方がもどかしい。と言うのがオカルト研究部全員の意見であった。

 

だが戦兎は小猫を嫌っている訳じゃなく、と言うか寧ろ気に入っている節があるものの、特に今までと対応が変わるわけではなく、小猫の方が意識している状態だ。

 

なので、どうにか戦兎を意識させる方法は……と言うかせめて小猫の気持ちを少しでも分かってくれれば、と皆は思ってしまう。そこに、

 

「三人とも集まって何してるの?」

「む?藍華か」

 

ゼノヴィアが顔を上げると、そこには眼鏡をクイッと直しながら藍華が立っていた。それを見た三人は、そう言えば藍華は戦兎の従兄弟なのを思いだし、

 

「なぁ藍華。一つ聞きたいことがあるんだが……」

「なぁに?」

 

ゼノヴィアから切り出したが、そこでふと立ち止まる。どう説明すれば良いのかと。素直に小猫の思いを戦兎に気づかせるにはどうすれば良いか……何て聞いて良いものなのだろうか?いやそれは違う。なので、

 

「た、例えばなんだが……これは別に実在する訳じゃないんだ。ただもし相手の好意に鈍い奴にそれとなく好意を気づかせる方法はあるのだろうか?」

「そ、そうね!別にこれは私の知ってる人じゃないんだけどね?ちょーっと鈍くて?」

「そうなんです。どうやったら戦兎さんにモゴモゴ」

 

ゼノヴィアとイリナがしどろもどろしながら聞く中、嘘が下手くそなアーシアが口を滑らせ二人に口を抑えられる。すると、

 

「え?戦兎?なにアイツ最近モテて来たなって思ってたけど……」

「い、いや戦兎じゃないんだ!ホントだ!」

 

いやゼノヴィアっち嘘下手すぎない?と藍華はため息。そして、

 

「まぁ私は戦兎とその好意を持ってる子のやり取りを直接見てた訳じゃないからなんとも言えない部分はあるけど、多分戦兎は相手の好意に気づいてると思うわよ?」

『……はい?』

 

三人の間を木枯らしが吹き抜け、ポカンとハニワみたいな表情で藍華を見る。

 

「いやアイツ結構そう言うのには聡いからね。気付かないわけないわよ。薄々は……まぁある程度期間が長いなら確信してるんじゃない?と言うか……」

 

龍誠の方が詳しいか。と言いつつ藍華は、教科書をロッカーに置き勉していた、龍誠の方を見て、

 

「ねぇ龍誠」

「ん?なに?」

 

戦兎、ある女の子に好かれてるらしいんだけどその好意に気付いてるでしょ?と藍華が問うと、

 

「あぁ、小猫ちゃんのか?あいつダイナマイト役者だからな。見てればわかるぜ」

「ほらね。あ、今のは大根役者って言いたかったみたいで……って三人とも?」

 

龍誠に聞いた藍華が首を傾げると、ゼノヴィア達三人の間を、木枯らしどころか氷河期が訪れた。そして、

 

『龍誠(くん)(さん)!なんでそれをいわない(んだ)(んですか)(のよ)!?』

「いやぁ、アイツが気付かない振りするくらいだから何かあるのかなぁって。だからアイツには突っ込まなかったんだけど……って言うか皆知らなかったの?」

 

龍誠が驚いていると、ゼノヴィアは龍誠の肩を掴み、

 

「こうしちゃいられない!」

「はい!」

「行くわよ!リアス先輩のところへ!」

「あ、おい!」

 

龍誠を引っ張り、ゼノヴィア達は教室を飛び出していく。それを見送りながら藍華は、

 

「アイツも結構めんどいからねぇ。塔城さん苦労しそうだわぁ……」

 

と、静かに同情してたには余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やった……」

 

一方戦兎はと言うと、テストが終わるなり研究所に戻ってきて、仕上げを行っていた。

 

そして遂に完成していた。龍誠の強化アイテムが……

 

「ん?」

 

ドンドンと扉を叩かれる。それは龍誠達の屋敷と繋がっている扉で、普段戦兎くらいしか使わないのだが、

 

「はーい」

 

と言いながら戦兎が扉を開けると、そこにはリアスを筆頭にしたグレモリーチームが立っていて、

 

「すまん戦兎」

 

そう龍誠が謝る中、

 

「ねぇ戦兎。貴方隠してることあるんじゃない?」

「え?」

 

何の話し……と思う中、

 

「あ!もしかしてこの間冷蔵庫に入ってた限定プリンを食べてから部長のだと気づいて黙ってたことですか?」

「あれ戦兎だったの!?折角楽しみにしてたのに!」

 

リアス落ち着いて、と朱乃に言われて、リアスは咳払いを一つ。

 

「小猫のことについてよ」

「塔城?別に塔城に関して隠し事なんて……」

「貴方小猫の気持ちに気付いてるでしょ」

 

ビキィ!と戦兎の時が止まる。すると、

 

「あ、龍誠。いってた強化アイテムな。名付けてオーフィスの力とお前の遺伝子を取り込んで作り出したフルボトルを精製して作ったドラゴンマグマフルボトル。そのフルボトルと共に出来上がった岩の塊がフルボトルと共鳴すると言う特性を見つけたからそれを組み込んで作ったクローズマグマナックル。後で試運転を兼ねて使ってみてくれ」

 

戦兎は矢継ぎ早に言うと、

 

「んじゃ、そう言うことで」

 

パタン。ガチャリ……と扉と鍵を閉め、

 

「あ!凄い自然にやられたから流しちゃったけどあの子ったら鍵まで閉めたわ!」

 

そんな声は聞こえない振りをし、戦兎は研究室の奥に向かう。

 

「マジかよ……」

 

龍誠か?いや今さらしゃべるとは思えない。となると別口か?そう思いながら戦兎は頭を掻く。すると、

 

「なに騒いでるの?」

「どうかしました?」

「黒歌にルフェイか……」

 

戦兎が騒いでるのを聞き付け、黒歌とアーサーの妹であるルフェイが降りてきたらしい。

 

「ちょ、ちょっとな」

 

この二人に相談するわけにもいかない。暫く姿を消すか?いやオーフィスの騒ぎがある中で、自分だけ離脱するわけにもいかない。だがどうする?

 

そう戦兎が思っていると、またドタバタと上から聞こえてきて、

 

「戦兎!」

「げっ!?部長に皆!?」

 

上から普通に皆降りてきた。何で!?と戦兎が驚いていると、

 

「普通に貴方のお母さんから入れて貰ったのよ!」

 

ですよね!と戦兎は先程鍵を閉めた扉に向かって走り、鍵を開けてそのまま向こうに走り出す。だが、

 

「戦兎君って元から結構足は速いけど、流石に普通に走ってもナイトの僕とゼノヴィアからは逃げられないよね」

「うむ」

「……」

 

ものの数秒で祐斗とゼノヴィアに追い付かれ、ゼノヴィアにはデュランダルの腹の部分でぶん殴られて戦兎は気絶。そのままズルズルと連行されたのは、言うまでもないだろう。




イズゥウウウウウウ!

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