戦兎「龍誠は新たな力、クローズマグマに覚醒し兵藤一誠を圧倒……したはずだった」
ヴァーリ「しかしあいつやばいだろ。ホントに倒せんのかよ」
戦兎「そりゃまぁ……頑張るしかないだろ」
匙「おっと自称未来の天才物理学者が自信ないのか?」
戦兎「そんなわけあるか!この桐生 戦兎!未来の天才物理学者にして仮面ライダーだ!諦めるかよ!」
サイラオーグ「と言うわけで物語も新章突入し、益々物語が盛り上がっていくぞ」
戦兎「つうわけで93話スタートだ!」
奪還準備
「う……」
「ヴァーリ!目を覚ましたか?」
ヴァーリがゆっくりと目を開くと、目の前には心配そうにこちらを覗き込むアザゼルの顔が見えた。それから体を起こし、周りを確認すると、そこは何処かの屋敷の一室だ。
「俺は何日寝ていた?」
「二日だ。お前が一番起きるのが遅かったぞ?」
アザゼルはそう言って立ち上がると、
「ここはグレモリー家の屋敷だ。特にお前は今あっちこっちからお尋ね者。だがリアスを筆頭に他のやつらがお前に助けられたって言ってな。現当主が匿うのを了承してくれた」
「そうか……」
あと龍誠の事も聞いた。そうアザゼルは言いながら、ヴァーリを見て、
「他のやつらはピリピリしてるよ」
「それはそうだろう。龍誠の体を奪われた上に、正直手も足も出なかった」
ヴァーリは拳を握り締め、悔しげな表情を浮かべる。
「何も出来なかった。一方的にやられて終わりだった」
「全くだな」
ガチャリと扉を開けながら、ヴァーリの言葉に返事したのは匙だ。しかし、
「お前なんで尻を抑えながら、へっぴり腰で歩いてんだ?」
「会長のお仕置きで……ってそれはいい。起きれるならお前の仲間も心配してたし少し来ないか?これからについて少し話しもあるみたいだ」
「分かった」
ヴァーリは匙の誘いを受け、少しまだふらつく足に気合いを入れて立ち上がると、部屋を出ていくのだった。
「と言うのが、今回の一件の顛末です」
「そうか」
リアスは屋敷にやって来たサーゼクスに、今回の一件の説明を行っていた。
そこに入ってきたのは、ヴァーリと匙にアザゼル。
「ヴァーリ。妹とその眷属達がが世話になったようだね」
「別に礼を言われるような事はないさ」
ヴァーリは連れなく答え、サーゼクスは少し笑みを浮かべてからリアス達を見る。
「目覚めたばかりのヴァーリは知らないと思うから改めて説明する。現在冥界は全域で
「兵藤 一誠は居ないのですか?」
そうサーゼクスに問うのは朱乃だ。少し目が虚ろで、不気味なオーラを放っていた。
「残念だが兵藤 一誠は居ない。今は別のところにいるようだ」
「そうですか……」
悔しそうな朱乃は席に着き、サーゼクスは改めて皆を見る。
「君達はまだ前回のダメージが抜けていない。暫くは療養しなさい」
「ですが!」
冥界が襲撃を受けているというのに……そう言うリアスだが、サーゼクスは首を横に振り、
「もし兵藤 一誠の言うとおり、この世界が物語で、君達がその中心にいるのだとしたら、彼はいずれまた姿を君たちの前に見せるだろう。そうなったとき、動けないようでは困る。今は体調を整えることを優先にしなさい。幸いまだこの辺りには、
サーゼクスは共に来ていたグレイフィアに目配せをし、
「アザゼル。すまないがリアス達を頼む」
「あぁ、任せとけ」
サーゼクスはそれだけ言って、グレイフィアと一緒に部屋を出ていく。それを見送った後、ヴァーリは部屋を見渡す。リアスを筆頭にグレモリー眷属。ソーナ筆頭にシトリー眷属。サイラオーグを筆頭にバアル眷属。そして自身のチームメイトもいる。
「ようヴァーリ。無事で何よりだな」
「まぁな」
美猴に背中を叩かれながら、ヴァーリはリアス達を見る。やはり何処か空気が重い。その中、
「あれ?戦兎のやつはどうした?」
「彼なら先に一度自宅に戻りましたよ。なんでも、対兵藤 一誠用の新アイテムを作るとか」
アーサーのその言葉を聞きながら、ヴァーリはあいつ大丈夫なのか?と頭を掻き、少し息を吐いた。
「……」
カチャカチャと戦兎のラボではキーボードを叩く音が響く。だが、
「駄目だ」
ガン!っとキーボードを殴り、戦兎は苛立たしげに髪を掻く。
「残る駒の力はクイーン……だがそれに耐えうる力がないか」
兵藤 一誠と戦える新たなアイテム。これはビルドの集大成ともなりえる物になるだろう。そう思っていたのだが、想像以上に難航していた。龍誠を救うためにも、このアイテムは絶対に作り出さねばならないのに、そう思えば思うほど焦りも入り出す。
「ラビットやタンク以外の力……だけどそれじゃ足りない。じゃあどうする?」
自問自答。だが答えはでない。外部からの力?そう考えた時、ふとオーフィスの姿が脳裏に浮かぶ。だがオーフィスは力の大半を失っており、不安定な存在になっている。その彼女に頼るのは危険なのではなかろうか。そう考えていた。だが、
「戦兎。悩んでる?」
「オー……フィス?」
戦兎は思わず困惑。なにせ振り返った所にいたのはオーフィスなのだが、そのオーフィスは何時もの黒いゴスロリ風の物ではなく、白くてふわふわした服を着ている。
「それどうした?」
「美空に貰った」
どうにも、美空は初めて出来た年下の女の子(実際は違うのだが)オーフィスを、着せ替え人形と言うか今までずっと家の中で最年少だったためか、妹のように扱っている節がある。
(知らないって怖いな)
戦兎は少し笑い、改めて製作に取りかかろうとすると、
「あげる」
「え?」
オーフィスはそう言って、手に自身の蛇を作り出して戦兎に差し出す。
「お前大丈夫なのか?」
「力を奪われて我は無限じゃなくなった。有限の龍神。だから蛇の出力は不安定だし、作り出せば出すほど弱くなる。でも龍誠が帰ってこないと戦兎は悲しい。戦兎が悲しいと、美空や京香が悲しむ」
それは暗に、戦兎なら龍誠を取り戻せると言ってくれてるのだろうか?まぁオーフィスの場合そこまで考えてないかもしれないが、
「ありがとう。でも俺はドラゴンじゃないから龍誠ほどの恩恵はないかもしれないけどな」
しかも不安定な力らしいし、戦兎がそう言うと、オーフィスは首をかしげて、
「戦兎はドラゴンの力を持っている」
「は?」
何を言ってるんだ?戦兎は眉を寄せて問うと、
「弱いけど、戦兎もドラゴンの力を持っている。多分後天的にドラゴンの力を取り込んだ。どこかでドラゴンの肉を食べた?」
「いやそんな記憶はないけど……」
つうかそう言うことあるのか?と戦兎はオーフィスに聞くと、
「ドラゴンの力を持たない奴が、ドラゴンの血肉を取り込んで力を得ることがある。だけど肉体がその辺かに耐えられず、肉体の強度が高くないと死ぬことが多い。だからあまり頑丈じゃない戦兎が、ドラゴンの力を取り込んでも平気だったのは不思議。余程そのドラゴンと相性が良かった」
「全く心当たりがねぇな……」
戦兎はそう言いながら、改めて新アイテムの製作に取りかかろうとした瞬間、
「消えた」
「何が?」
急なオーフィスの呟きに、戦兎はまたどうしたと振り替えると、
「グレードレッドが消えた」
「は?」
「ふぅ」
次元の狭間。そこに兵藤一誠が立っていた。そしてその足元に転がる、一匹の赤い龍は、苦しそうに荒く息をする。
「流石夢幻の龍神ことグレードレッド。赤龍神帝だけはあった。とは言え流石にドラゴンに特効を持ってる伝説級の魔道具を山ほど複製しまくって、
兵藤 一誠はそう言って、ハザードトリガー型のアイテムを起動させると、グレードレッドは消滅してしまった。
「これで無限と夢幻の二つを手に入れた。原作でもこの二つは重要だったからな。だが……」
まだ足りない。そう言いながら、ハザードトリガー型のアイテムのスイッチを押すが、何も起きる気配はない。
「まぁ良いさ、原作通り冥界への襲撃も起こしてる。後は最後のピースを利用すれば行ける筈だ」
兵藤 一誠は笑みを浮かべながら、空間に転移用の門を開き、その中に消えていくのだった。
いやぁ、久々に本編更新。お待たせしました。今回から本編に入ります。
つうわけで戦兎は後天的にドラゴンの力を取り込んだと言うのが明かされましたね。さてさて、戦兎はドラゴンを食べたわけじゃありません。じゃあどこでドラゴンの力を取り込んだんでしょうね?実はもうちゃんと本編で取り込んでるんですよね。多分分かるんじゃないかな……あのときですあのとき。