ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「さて、特になにもなかったし今回は話すことないな」
匙「いや合っただろ!色々合っただろ!」
戦兎「別に俺と塔城のゴタゴタなんて振り替える必要なんて無いでしょうが」
匙「振り替えれよ!めっちゃ振り替えれよ!お前コメントでも色々言われてるだろうが!」
戦兎「やかましいわ!と言うわけで96話スタートだ」
匙「まじで無視しやがった」


奥の手

『……』

 

グレモリー邸は重い空気に包まれていた。

 

と言うか、主に重いのは戦兎と小猫の間に流れる空気だ。数日前のデート以降。二人の間には凄まじく重くて暗い空気が流れていた。

 

「はぁ、戦兎。少し良いかしら?」

「はい」

 

リアスに連れられ、戦兎は廊下に出ると、

 

「で?何があったの?」

「まぁ色々あったと言うか……」

 

小猫を振ったのは聞いたわ。そうリアスは、大きくため息を吐きながらそう言うと、

 

「なにか問題でも?」

「振るかどうかは二人の自由だけどね。もう少しやりようはなかったの?」

「はぁ」

 

少し申し訳なさそうに、戦兎は頭を掻くと、

 

「てぃ!」

「あが!」

 

イキナリ後ろから膝カックンされ、体勢を崩れたところに、コブラツイストを極められた。

 

「ちょっと戦兎!あんた私がちょっといない間、白音に何したのよ!」

「俺が悪いのが前提か!そうだけど!」

 

黒歌のコブラツイストは、戦兎のを確実に苦しませるが、自信に非がある自覚はあるらしい戦兎は割りと大人しくそれを受け入れていた。その時、

 

『っ!』

 

ズゥン!と地面が揺れ、爆発音がこっちまで響いてくる。

 

「おいなんだ今のは!」

 

とヴァーリも部屋を飛び出す中、嫌な予感がした戦兎はリアスと顔を見合わせ、リアスが号令を出す。

 

「行くわよ!皆!」

『はい!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつはひでぇ」

 

ヴァーリは思わず、街の中を見て呟く。街のあちこちには日が上がり、魔獣が人々を襲っている。

 

「とにかく住人の避難を優先しながら迎撃するわよ!」

『了解!』

 

リアスの指示で、皆は行動を開始し、

 

「逃げてください!」

「は、はい!」

 

戦兎は女性を逃がしながら、ビルドドライバーを装着。

 

「好き買ってやりやがって……変身!」

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!》

 

変身を完了すると、ドリルクラッシャーを手に魔獣を倒し、道中で倒れている住民を逃がす。

 

「数は多いが強さは大したことはねぇな!」

「あぁ!」

 

ヴァーリと背中を合わせつつ、戦兎は頷く。すると、

 

『はぁ!』

 

そこにクローズチャージに変身した匙と、ローグに変身したサイラオーグ。ヘルブロスに変身したフウとライの二人が飛び蹴りを放ち、魔獣を吹き飛ばした。

 

「二人とも!大丈夫か!」

「匙!サイラオーグさんたちも!」

 

どうやらグレモリー領が禍の団(カオス・ブリゲード)の襲撃を受けたのは、すぐにソーナやサイラオーグ達に伝わったらしく、魔方陣ですぐに飛んできてくれたらしい。

 

「シトリー眷属や俺達バアル眷属も戦ってる。このまま押しきるぞ!」

 

ライの声に、他の皆も気合いを入れ直し、

 

《マックスハザードオン!》

「ビルドアップ!」

《紅のスピーディージャンパー!ラビット!ラビット!ヤベーイ!ハエーイ!》

 

ラビットラビットフォームに変身し終えた戦兎は、フルボトルバスターを構え、高速移動で次々蹴散らしていく。

 

《ゴリラ!パンダ!クジラ!ミラクルマッチデース!ミラクルマッチブレイク!》

「はぁあああ!」

 

そしてフルボトルバスターに、フルボトルを装填し、回転しながら周りの魔獣を一掃。

 

すると、

 

「いやぁ、また強くなったなぁ。戦兎」

『っ!』

 

突如聞こえてきた上空からの声に、戦兎達は身構える。

 

「兵藤 一誠!」

 

そして姿を捉えた瞬間、戦兎は飛び上がって一誠を襲う。しかし、

 

《ドラゴン!ライダーシステム!エボリューション!Are you ready?》

「変身!」

《ドラゴン!ドラゴン!エボルドラゴン!》

 

一誠は、それを片手で受け止め、戦兎を地面に投げ飛ばす。

 

「戦兎!」

「ちい!」

 

ヴァーリと匙の二人も駆け出し、地面に降りてきた一誠に襲い掛かるが、二人の攻撃を軽々とさばき、それぞれ一撃を入れて倒す。

 

「ならこれでどうだ!」

《チャージボトル!ツブレナーイ!チャージクラッシュ!》

『はぁ!』

 

フェニックスフルボトルをスクラッシュドライバーに挿し、フウとライの銃撃による援護と共に、炎で体を包んで突進。しかし、

 

《Boost!Ready Go!エボルテックフィニッシュ!》

「はぁ!」

《チャオ!》

 

倍加の力で強化されたエボルテックフィニッシュで、サイラオーグを蹴り飛ばし、その余波でフウとライまで吹き飛ばした。

 

「兵藤 一誠!」

「ん?」

 

そこに飛び込んだのは、エクスデュランダルを構えたゼノヴィア。

 

「龍誠を返して貰うぞ!」

 

エクスデュランダルを振り上げ、一誠を襲う。

 

「うぉおおお!」

「おぉ?こいつは思った以上に激しいじゃないか?」

 

一誠もデュランダルを出し、ゼノヴィアと対峙。そのままゼノヴィアは押し合いの持ち込み、

 

「そこだ!」

「行くわ!」

 

佑斗とイリナの連続攻撃を叩き込む。流石に少し後ずさり、三人が追撃しようとした時、

 

「ま、待ってくれ皆!俺だよ!」

『っ!』

 

嘘なのは明らかだった。だが聞こえてきた、何時もの龍誠の声音に、三人は一瞬体を固くしてしまった。勿論一誠はその隙を見逃さす、

 

「はぁ!」

『きゃあ!』

「ぐぁ!」

 

デュランダルの横凪ぎで三人を吹っ飛ばした。

 

「朱乃!ロスヴァイセ!」

「えぇ!」

「はい!」

 

するとそこに滅びの魔力と雷光と、北欧魔術の一斉攻撃。更に、

 

「行くわよ!」

 

黒歌と小猫が仙術の一撃を叩き込み、美猴やアーサーとレイヴェルにルフェイの総攻撃が決まり、一誠はそのまま壁に叩き付けられた。

 

「やった?」

「部長。それフラグです」

 

リアスの呟きに戦兎が突っ込むと、煙の中から一誠はゆっくりと歩みだし、

 

「ふん!」

 

拳を振って衝撃波を放ち、

 

追憶の鏡(ミラー・アリス)!」

「っ!ダメだ!」

 

丁度援護に来たシトリー眷属の真羅が飛び込み、追憶の鏡(ミラー・アリス)を発動。だが、

 

《Penetrate!》

「きゃあ!」

 

追憶の鏡(ミラー・アリス)のカウンターを透過し、真羅に直接衝撃波が叩き込まれた。

 

「椿姫!」

『副会長!』

 

血を吐き倒れる彼女に皆は駆け寄り、アーシアが回復を掛ける。

 

「やっぱりあれだけ叩き込んでも平気なのかよ」

「当然だ」

 

一誠は笑って言うが、戦兎は、静かにタンクタンクフォームに姿を変え、

 

「戦兎?」

「皆はここにいてくれ、策がある」

 

とだけ言って、戦兎は一誠に再度襲いかかる。

 

「戦兎!」

「はぁあああああ!」

 

フルボトルバスターを振り下ろし、戦兎は一誠と戦うが、

 

「ハザードレベル4.5か……この程度じゃ俺には及ばないな!」

「ぐっ!」

 

逆に殴られ、戦兎は後ずさる。だが、

 

「なら……これならどうだ!」

 

戦兎はそう言って黒い箱のようなアイテムを取り出すと、フルフルラビットタンクボトルを外し、ビルドドライバーにそれをセット。

 

「ぐぁ!」

 

バチバチと全身に電流が走り、戦兎が苦しそうな声を漏らすが、それでも構わず一誠に殴り掛かり、

 

「ほぉ、ハザードレベル4.9……いや、5.2?どういう仕掛けか分からないが凄まじい速度でハザードレベルが上がっていくな!」

「おぉおおお!」

 

戦兎は一誠に言葉は返さず、続けざまに殴って後ずらせるが、更に電流が体に走る。

 

「ぐぅ……この!」

 

苦し気な声を出しながら、戦兎はビルドドライバーのレバーを回し、強引にビルドドライバーを更に稼働させる。

 

「ハザードレベル5.5……5.7」

 

一誠は数を数えながら、戦兎の攻撃を捌く。

 

「良いぞ!5.9!これは行くんじゃないか!」

 

だがそんな様子を見ていて、ヴァーリは可笑しいと声を漏らす。

 

「兵藤 一誠の言うことが確かなら、戦兎のハザードレベルの上昇速度が可笑しすぎる。幾らなんでも速すぎだ。1上げるのは楽じゃねぇんだぞ?小数点刻みとはいえなにか嫌な予感がしやがる」

「俺達もいくか!」

 

ヴァーリと匙がめを合わせ、行こうとするが、

 

「おっと邪魔すんなよ!」

『っ!』

 

一誠は戦兎と戦いながらも、他の皆も牽制。しかしその隙をついて、戦兎が渾身の右ストレートを叩き込んだ。しかし、

 

「ハザードレベル……6.0!」

 

一誠は気にせず戦兎を掴むと同時に、一誠の体から龍誠の体が分離し、地面に転がる。

 

『龍誠!』

 

皆が歓声を上げるが、一誠は楽しそうに笑い、

 

「この時を待っていた。待っていたよぉ!」

『っ!』

 

そう言って一誠は、今度は戦兎の体に入っていこうとする。

 

「ハザードレベルを1越える度、ソイツはその体内に凄まじいエネルギーを生成する。ドライバーの起動や、ライダーへの変身はそれを利用しているに過ぎない。だがハザードレベル5.0と6.0は比べ物にならない程だ。だが理論上普通の方法ではそこにたどり着けない。だが、残った欠片とはいえ元主人公であり、ドライグの因子を持っていた龍誠と、バグで生まれたお前は特別だ。お前たちなら通常いけない領域のハザードレベルに辿り着ける。俺はこの時を待っていたんだ」

 

一誠はそう言って戦兎を自分の体に取り込んでいく。

 

「戦兎!」

「来るな!」

 

皆が戦兎を助けようとするが、それを戦兎が止め、

 

「兵藤 一誠。それに俺が気づいてないと思ったか?」

「なに?」

「お前は何をしたいのか分からないが、一つだけ分かってたことがある。それはお前が事あるごとに強大なエネルギーを欲してたってことだ。ならば俺や龍誠のハザードレベルが上がったときの……お前の言う普通なら辿り着けけない領域のハザードレベルに達した時のエネルギーは欲しい筈だ。この時を待っていたのはお前じゃない。俺だ!」

 

戦兎はそう言いながら、ビルドドライバーのレバーを更に回す。電流と激痛が全身に走るが、戦兎は気にせず回し続け、火花とビルドの装甲が壊れ始める。

 

「なっ!?ハザードレベル6.5、6.9、7.4、7.8、8.8、9.4、10.6!?ば、バカ止めろ!そこまであげたらお前死ぬぞ!?」

『っ!?』

 

ここ来て、始めて一誠は慌て始めた。他の皆もそれに驚愕しているが、

 

「あぁそうだな。だが構わない。元々これはオーフィスの力を組み合わせて、ほぼ無制限にハザードレベルを上げて最後には自爆する、言わば欠陥品さ。しかもハザードレベルを上げまくってそのエネルギーごとな。爆発の威力は俺も分からないが、お前を倒すには丁度良い」

「な!や、やめろ!お前死ぬ気か!」

 

一誠は咄嗟に逃げようとするが、戦兎は一誠を掴んで離さない。

 

「くそ!」

《Divide!》

 

半減の能力を使うが、それを上回る速さでハザードレベルが高まっていく。

 

「あぁ、死ぬ気だとも。お前言ってたじゃないか。俺がいるから本来にはない流れが生まれ、皆を危険に晒す。だったら俺は居ない方がいい。この世界には俺はいらないんだろうさ。だがな!お前も道連れだ!」

「や、やめろ!離せ!」

 

電流が更に強くなり、全身からの火花と煙が立ち上がり始め、装甲がどんどん壊れいく。

 

「だめ……」

 

小猫はフラフラと立ち上がり、

 

「小猫!」

「だめぇ!」

 

小猫はリアスの制止を振り切り、小猫は駆け出すが、その間に戦兎は足をキャタピラに変形させ、少しだけ小猫の方を見た。声には出さず、口だけを動かして、小猫だけに見えるように。

 

《ごめんな。小猫》

「っ!」

 

それだけ伝え、戦兎はキャタピラを駆動させて走り出す。

 

その間にもエネルギーは高まり続け、

 

「白音!」

「いや!先輩!」

 

黒歌が小猫を捕まえ、地面に伏せさせると同時に、

 

『っ!』

 

最初に閃光が視界を包み、遅れて爆発音が耳をつんざく。更に遅れて爆風が体を襲い、全員後方に吹っ飛んだ。

 

「ぐっ……」

 

飛んできた瓦礫をどかし、ヴァーリは這い出てくる。他の皆も瓦礫の下から出てきていると、

 

「いってぇ!」

『っ!』

 

ドカッ!と瓦礫を蹴っ飛ばし、下から出てきたのは、龍誠だった。

 

「あれ?俺何して……ってここどこだ!?」

「龍誠!」

 

そう叫びながら、リアスが龍誠に抱きつき、龍誠は困惑しつつも周りを見回し、

 

「あれ?戦兎は?」

『っ!』

 

龍誠の呟きに、皆は思わず視線を逸らし、口ごもってしまう。

 

「ど、どうしたんだ?って小猫ちゃんも何泣いてんだよ?また戦兎に何か言われたのか?つうかこの街の状況……って、あぁ!戦兎!」

『え?』

 

龍誠はキョロキョロしていると、突然叫び皆はその方を見ると、確かに戦兎が歩いてきていた。

 

「せ、んぱい?」

 

小猫は虚ろな眼で歩いてきた戦兎に駆け寄ろうとするが、

 

「待って!」

「え?」

 

黒歌が小猫を止め、

 

「何か雰囲気が違う」

 

そう言われ、小猫もそれに気づき、龍誠は眼を見開きつつも、

 

「お前……もしかして兵藤 一誠なのか?」

『な!』

 

近くで見て気づいた龍誠の呟きに、戦兎?はビルドドライバーやその他のアイテムを地面に捨て、

 

「やってくれたよ戦兎……お陰で計画が狂っちまったぜ……」

 

一誠は明らかにイライラした様子で、全身を震わせていた。

 

「バグキャラの癖に主人公の俺の邪魔しやがってよぉ!」

《エボルドライバー!》

 

そう叫び、エボルドライバーを装着。それと共に右手に赤いフルボトルを精製し、

 

「ちっ……まぁいいか」

《ラビット!ライダーシステム!エボリューション!》

 

ベルトにボトルを挿して、レバーを回す。

 

《Are you ready?》

「変身」

《ラビット!ラビット!エボルラビット!フッハッハッハッハッハッハ!》

「仮面ライダーエボル。フェーズ3完了」




まぁ皆さん予想はしてたけどね。まぁビルド本編でもあった展開に……さてさてどうなるのやら……

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