人類はいつもこうだ。
弱く、脆く、儚く、愚かで、下らない戯れ言を述べ、気に入らない。
腹が立った。
奴等は平穏しか望まない。
それで未来があるのか。
許せなかった
気に入らなかった
だからさっさと殺そう。
でも面倒くさかった。
明らかにかける労力と時間が見合わない。
だからやめた。
他人任せだ
だがどうだ。
運命とは実に素晴らしく
実に鬱陶しい
・・・・あれ。
なんだっけな。
うん、そうだったな。
絶望したってことは希望を見いだしてもいたな。
泣かないさ。
もう、「提督!!」
ん?
気のせ「提督!!」
「うるさい・・・・何かあった?」
アイマスク被ったままだから見えんけど声は大和か・・・・どうせ
「加賀さん率いる遠征艦隊が・・・全艦大破、加賀さんだけは小破ですみましたが」
・・・・・
嘘だろ。
全員指輪と穴開けでフル改造のカンストなんだけど。
なに、敵なによ
「おっおおおちちおち落ち着け、うん。敵は?」
「一隻・・・・それも瀕死です」
・・・・・えぇ。
「そうか・・・この件は黙っておけ、流石に常識を逸脱しすぎているし、こっちが黙って改造した艤装のテストもしたんだ、情報抹消に今は集中させてくれ、それとその敵は沈めたんだよな、命からがら逃げ帰ったのか?」
「確かに沈めた様ですが・・・」
籠り始めた大和の声
大方自分自身も半信半疑なのだろうな。
ん?下からこっちへ誰か来るな。
「大和、煎餅とお茶、あとおにぎり用意してもらえる?ちょっと結果報告書とか全部見たいし」
「あっ、はい、すぐに持ってきますね」
まぁ、ここから食堂って飛び降りなきゃ10分程度かかるんだけどな。
さてと、どうしたものか。
たった一隻、それも瀕死の奴と来た。
あのしゃべり方からしてろくな敵じゃないのはたしかだ。
大方、改造された艦娘を無理矢理動かしたのか、はじめからそういうものだったのか。
「・・・随分と、思い当たる節があるようで?加賀」
ついさっきまで下の階にいたのにもう、ベッドで寝転がってるよ。
ここ、大和の部屋なんだけどなw
「・・・今回の敵は・・・本当に何もかもが違いました」
・・・・あ、これあかんやつ。
人類負けたなこれ
「一言で言うなら、人工の怪物でしょうか」
「人工の怪物?・・・なんか薬漬けとかで変なの搭載したとか?」
図星か・・・
「・・・今、図星だなって思いましたでしょう」
「あぁ、その手の震え、明らかな真だ、敵はなんだ」
「・・・・あえて言うならそうですね、『果ての存在』でしょうか」
果てかぁ、研究者や探求者みたいなもんかぁ。
最果てに立っている奴かぁ。
「すまんがもう無理だ、とりあえず敵の予想はついた、勝てんわこれ」
「・・・・でしょうね、ここまで来ると詰みですよ」
ん?もうちょい粘ると思ったけどこの様子だと敵は解ってるな。
「・・・なぁ、加賀さん。知っててそれかい」
「演技がうまいこと」
ありゃりゃ、ばれてるよこれ。
「・・・うん、本当はもう無理だとすら思ってるよ、聞くのも無駄、知っても無駄、どう考えても相手が悪い」
何故だろうな
普通ならこういう時ってもっと違う対応をしているはずなのに。
なんか
「なぁ、加賀教えてくれ、俺は・・・誰だ・・・なんか違うよね」
もう訳がわからない。
なぜ今、俺は襟をつかんでそこまで必死なのだ。
「・・・全てを捨てる覚悟が、貴方にはありました」
は?
そんなわけない・・・だろ。
「自分の欲の為に全てを使い潰して、大切なものを全て切り捨て、ただ一つの答えを手にいれました」
「そんなの・・・ただの」
ただの独善?
いや、違うな。
どうでもいいんだ
「えぇ、誰でもない、ただの破壊者、ただの殺人鬼、ただの人間です」
「・・・随分と苦しいそうに言うね」
・・・もうどうでもいいや。
「当然ですよ、このせいで無数の命を溶かして何度も虐殺を繰り返して、何度も挑んで結局、私は本当の意味で一度も勝つこともできないで、全てを失って、今のこの状況ですから」
切り替わる空気
穏やかだった雰囲気はいつの間にか少し暗く燃えるように感じ
世界は一転した。
思い出せない
でも
どうでもいい。
俺は強い
全てを捨てて強さを手にいれた。
人間性?善意?価値観?
覚悟?勇気?愛?
要らねえよ、そんなものゴミ箱にシュートだ
そんなちっぽけなもの何が手にはいる
力が無いから失った
力を持たないから奪われた。
もっと何かあったが
今はどうでもいい。
「・・・やっぱり、そっちが提督らしいです」
俺は演じるだけだ。
でもな
もう観客が居ないんだ。
舞台もない客もいない
ならフリーの役者はただの人さ。
あれ?
おかっしいなぁ
俺って役者ではあるが役者じゃあ無いだろ。
まぁいっか。
「俺にこの服はやっぱ合わねぇわ」
アイマスクをぶん投げ、服も脱ぎ捨てる。
「て、提督・・・・その」
「あっ」
「(*´・ω・)・・すまん、ここ大和の部屋だったな、まぁいいか、俺の服どこにしまったっけ」
・・・・そうだ、倉庫か。
黒い軍服
銀の指輪
いつもの刀
なぜだろうか
なんかもの足りないや。
まぁ、これが落ち着く。
「・・・やる気はないけど、頑張ってみますかねぇ・・・加賀、戦争を始めるよ」
次回 空虚