〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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1話に纏める筈が2話になりました。


16 ルビコンを渡れ 前編

1200頃 矢作川西岸付近

 

 

「マグマ軍部隊は東岸に警戒・守備隊を置いているね」

 

 

「ヘリによる航空偵察の結果、名鉄西尾線に沿う国道12号線、西尾駅近くの橋と294号線の橋…この二ヶ所に守備隊を集中しています」

 

仮司令部を置いた高塚達は作戦会議を開き、鯖江や明野からの報告を聞いていた。

 

 

「ふむ…第10師団の位置は?」

 

 

「どうやら、幸田サーキット場付近で地形を駆使し、円形全方位防御で粘っています」

 

 

「なるほど…敵の包囲部隊司令部は?」

 

 

「そこまでは…」

 

 

「だが、我の通信班が気になる通信電波をキャッチした」

 

高塚の問いに市ヶ谷が残念そうに答えると、横にいた神州丸がバトンタッチで報告した。

 

 

「と言うと?」

 

 

「うむ、最初は近場から、残りは地形の関係か強めの電波での交信が行われていた。そして、発信場所はバラバラだが、受信場所は一ヶ所に集中していたのだ。それで、逆探知してみたら…」

 

そう言って神州丸は西尾市スポーツ公園を指差した。

 

 

「……なるほど、公園な上に地形はバッチリだな」

 

 

「どう言う事すっか?」

 

高塚の呟きに岐阜が訊いた。

 

 

「つまり、公園と言う直属隊や司令部機能を置ける立地に矢作川本流と支流が東西を挟んで、その合流点が北への障壁になってる…攻めに苦、守るに楽な所を選んだ、って事」

 

高塚の代わりに富山が答えた。

 

 

「よし、我々は12号線の橋を奪取する」

 

 

「何故ですか? 敵包囲部隊司令部を落とすなら、294号線の橋を…」

 

 

「司令部に近いからっちゃ! 敵がここに司令部を置いたのは、もし、第10師団が決死の覚悟でチェストして来ても大丈夫だからっちゃ」

 

 

「それに23号線の橋が隣接していて、何かあれば間違い無く、爆破するからな」

 

高塚の決断に市ヶ谷が異を唱えるが小倉と目達原が素早く答えた。

 

 

「更にあえて遠い所を選んだのは、それで敵を油断させる為だ。どちらにしても、戦後復興を考えると、出来る限りの破壊は避けたいからな。あっ、久居大尉、すまないが、連隊旗を借りていいかな?」

 

 

「え、あっ、はい…別に構いませんが…」

 

 

「ありがとう…全隊待機を解除、攻撃用意だ」

 

 

 

暫くして 攻撃発起位置

 

 

『攻撃前に言いたい事がある為、集合せよ』との指示に全隊員が集まった…….しかも、今から奪取する橋の前である。

そして、高塚が第33普通科連隊旗を持って前に立った。

 

 

「ここに居る全隊員に告ぐ。本日までよく付いてきた…だが、これは終わりでもは無い。逆に始まりの一歩だ」

 

そう言い切ってから、一度見回してから再び口を開く。

 

 

「皆に問いたい。皆はこの日本が好きか? 自分が生まれた土地が、母が、家族が、国籍がある、この日本と言う国が好きか? もし、『嫌いだ』とか、『国は何もしない』と言うのなら、私は何も言わない。戦列を離れ、故郷や家族の所へ帰ってくれ。あるいは『わからない』や『考えた事も無い』と言う者はここに残って考えてもいい。これについても私は何も言わない」

 

シーンとする場に高塚は続けた。

 

 

「私は…この国が大好きだ。約2000年以上続き、古今東西が混じりながらも、独自の流れを維持し、四季の美しさがある…国土の大半が山地で、各種自然災害が毎年襲い、幾度も自然の強大差を感じても受け入れる…かつて、明治維新を成し遂げ、ロシアと支那の2つの大国に打ち勝ち、非白人種として堂々と世界に踊り出し、アメリカとも互角に戦い、武運拙く全土を焦土にされ、核兵器を2度も受け、悪者への罰とばかりに全てを否定され、嘲り笑われ、二度と国際社会に出られない様にされても…不死鳥の如く、何度でも立ち上がり、世界に挑んだこの日本が…私は大好きだ」

 

そう言って再び見回してから口を開く。

 

 

「無論、先の言葉に反論がある者が居るのは承知の上だ…だが、皆に訊く。ここまであって、ここまでされて、200近い国がある中、未曾有の震災があれば民族人種を問わずに多くの人々が手を差し伸ばす国が何処にあろうか? これは過去現在を問わず、生きてきた日本人の軌跡がある故だ! いま、世界は亡国の時である! 皆は…諸君は未来を諦めるのか? この様な稀有な国の民が、先人から引き継いだこの日本を…未来に残す選択を取らないのか? 歴史は国無き民がどんな末路を辿るかを既に示している……諸君は良いのか? 宣誓した筈だ、独立と平和を守る…『独立』には民族と歴史、先人達の意志が入り、また、我々は武力侵攻時だけでなく、平時でもそれらを守る…継承する義務がある! いま、ここで立たねば…先の大戦で戦った先人達に到底及ばぬと自覚せよ!!」

 

そう言い切ると高塚は後ろに振り向くと……腰の軍刀を抜いた。

 

 

「言葉だけなら、何とも言えるが…決意ある者だけ続け!! この旧帝国陸軍第33歩兵連隊から継承されたナンバーの付く旗の下に!!」

 

 

そう叫ぶと高塚は『目を紅く』して一目散に走り出す。

 

 

「…って、えぇ!? 高塚司令!!」

 

 

「……何かやる気とは思ったけど…総指揮官自ら突撃をかますって…」

 

 

「ふ、普通じゃないと思ってましたけど、普通なんて生温かったです!! とち狂いです!!!」

 

 

慌てる市ヶ谷、唖然とする鯖江、発狂気味の金沢。

無論、彼女達でなく、大半の人間が目の前事態に混乱する。

 

 

「はっはっは!! さすが、軍団長殿! やりますな!」

 

 

「やれやれ…であります」

 

 

「おらおら! 突っ立てる暇なんて無いぜ! ケツ上げな!!」

 

 

「うふふ、死にたいなら、この龍田さんがバラバラにしてあげるわ〜」

 

さも当然とばかりな反応な神州丸とあきつ丸、前進を促す天龍と龍田。

 

 

「第442親衛特殊任務空挺連隊全隊! 同志に続け!! 真の日本兵はここにあり!!」

 

 

「高塚司令に続け!! マルタの英雄に遅れるな!!」

 

 

「全隊突撃っちゃ! 水陸研で鍛えられた成果を見せるちゃ!!」

 

山本大佐と富山、小倉がそれに続く。

 

 

「やれやれ…まあ、いいか!!」

 

 

「あー、くそ、自棄だ!!」

 

 

「ちくしょう! やっぱり、龍田教官怖い!!」

 

 

「筑波一尉が信じたお人です。ここは乗りましょう!!」

 

これに貴志部、杉谷、萩原、飯田らも続く。

 

 

 

 

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