〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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17 ルビコンを渡れ 後編

矢作川東岸 マグマ軍防御陣地

 

 

 

一方、マグマ軍は呆然としていた。

なにせ、敵の将校が軍旗とサーベル(日本刀)を手に単身先頭きって突っ走ってきているのだから当然である。

無論、それが敵の攻勢だと理解しているのだが…動物的本能と言うべきか、初めての光景に麻痺している、と言っていい。

 

 

「何ヲシテイル! 敵ノ指揮官ガ馬鹿正直二先頭デ突入シテイルンダゾ! 撃タンカ!!」

 

親衛隊士官の声に漸く思考的麻痺から回復したマグマ軍兵士達は己の武器のトリガーに指を掛ける。

しかし、次の瞬間……空から破壊の旋律が響いてきたのだった。

 

 

 

西岸 自衛隊側

 

 

「撃て!! 軍団長殿を見殺しにするな! 皇国の興廃、この一戦にあり!!」

 

 

「普通じゃない指揮官を援護して下さい! 中迫! 重迫! 撃ち方始め!!」

 

神州丸の99式自走砲隊、金沢指揮下の普通科迫撃砲中隊が東岸に向けて砲撃を開始する。

 

 

「航空隊のみんな! 出番であります!!」

 

 

「明野の航空隊! 今が活躍する時だよ!!」

 

 

「精鋭で鳴らした西部方面航空隊の力! 存分に見せてこい!!」

 

間隙を入れまいとあきつ丸、明野、目達原らのヘリ航空隊のアパッチ、コブラの攻撃ヘリが掃射を開始する。

僅か数百メートルしか無い橋を渡る為に過剰とも思える火力を投入して撃ちまくる。

そんな中……高塚は後続を10数メートル離して、一番先頭を走っていた……紅い目で。

 

 

「は、速いです!!」

 

完全装備で全速で走る市ヶ谷も余りの速さに叫ぶ。

 

 

「仕方ないよ、市ヶ谷さん。今の高塚少将は『本気』だから」

 

 

「それにしては異様だね」

 

その横を富山と鯖江が一緒に走る。

 

 

「あれが憲兵殿の強さの秘密さ…『深海棲艦の血が入った』人間だからな!」

 

ニヤリと笑いながら天龍が言った。

 

 

「「……えぇ!?」」

 

市ヶ谷と鯖江が驚く中、当の本人は…渡り切る手前まで来ていた。

しかし、そこは鉄条網付きのバリケードがあったが……。

 

 

「とりゃあっ!!」

 

走る勢いそのままで走り幅跳びでバリケードを越え、橋を渡りきり、土嚢を積んだ防御陣地内に踏み込んだ。

 

 

「自衛隊…いや、日本陸軍少将高塚健人! マルタの英雄此処にあり!! 討ち取りたいなら、掛かってこいや!!!」

 

着地と同時にそう叫ぶ高塚。

一瞬、唖然としていた陣地内のマグマ軍歩兵達が着剣していたAK-47で刺突するが…。

 

 

「遅い!!」

 

軍刀で刺突を払い除け、体勢を崩したマグマ軍歩兵を返す刀で薙ぎ払う。

薙ぎ払われた歩兵達が2、3歩退くと、その背後から重戦車T-72が主砲を向けたが…。

 

 

「アゴーイ(撃て)!!」

 

 

「ウラー!!」

 

高塚に追い付いた山本大佐の指示にT-72Bが125㎜主砲を撃ち、マグマ軍T-72を撃破する。

 

 

「おらおら! 天龍様のお通りだ!!」

 

 

「うふふ、天龍ちゃんの邪魔は私が許さないわよ〜」

 

 

「渡りきった人員から左右に展開! 東岸橋頭堡の確保と拡大を!!」

 

これに続いて天龍や龍田、市ヶ谷達が渡りきり、高塚に合流する。

これを皮切りに続々と後続が橋を渡りきり、戦線が形成されていく。

 

 

 

「はぁ、はぁ…もう! 高塚司令! 寿命が30年ぐらい縮まりました!!」

 

 

「いや〜、指揮官先頭の原則ってものがね」

 

 

「…総指揮官が先陣切ってる時点で負け戦じゃあ」

 

 

「何を言う。今が負け戦状態でなくて、何が負け戦状態なんだ?」

 

息を整えた市ヶ谷の抗議に高塚は苦笑いを浮かべ答える。

それに鯖江が静かにツッコミを入れるが、山本大佐がツッコミを返す。

そんなやり取りが交わされる中、続々と橋を渡り終えた奪還部隊が確保地域を広げていく。

 

 

 

その頃 西尾市スポーツ公園

 

 

「山猫部隊! 突入にゃ!!」

 

 

「第二水雷戦隊! 突撃!!」

 

司令部のある西尾スポーツ公園は対馬まどかの山猫部隊、神通ら第二水雷戦隊の強襲を受けていた。

矢作川東岸への渡河成功の通信を受けた山猫・第二水雷戦隊は手始めに西岸からのM270の奇襲砲撃と同時に西尾スポーツ公園に強襲を掛けた。

司令部直卒部隊が応戦するが、山猫部隊だけでなく、精鋭『華の二水戦』の艦娘達の攻撃にジリジリと追い詰められていく。

 

 

「ギー! ギギギー!?(おい! 近くの橋の守備隊は!?)」

 

 

「ギギー! ギギギ、ギギー!!(ダメだ! 別部隊の攻撃で動けない!!)」

 

また、川内・那珂の水雷戦隊が橋と周辺地域の確保に動いており、橋の防備に大部隊を置いた事が仇と出ていた。

 

 

「防げ! 防げば、包囲部隊から…」

 

 

「させません!!」

 

親衛隊の言葉を遮るかの如く、神通の艤装の主砲が火を噴き、通信施設を破壊する。

 

 

「山猫部隊も負けるわけにはいかないよ! 突撃にゃ!!」

 

 

「「「「「「おぉ!!」」」」」」

 

互いに水陸研で訓練しただけに第2水雷戦隊と山猫部隊は互いに連携し、マグマ軍を圧倒していく。

 

 

 

これらの戦闘は橋を確保した奪還部隊分遣隊と川内・那珂達と合流し、西尾スポーツ公園に部隊を向けた事が決め手となり、包囲部隊司令部は陥落した。

その間にも高塚達本隊は第10師団主力と合流すべく、市ヶ谷達に後を任せ、高塚は主力を率いて幸田町西部に向かって全速で前進していた。

 

 

 

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