〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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いよいよ、10師団戦も佳境です。


18 第10師団を救出せよ!

午後3時頃 幸田サーキット場付近 第10師団主力部隊司令部

 

 

「くそ、もう小休止は終わりか」

 

包囲状態にある中、敵の様子を眺めていた第10師団司令部付き幹部の筑波博貴大尉。

小休止で攻勢が止んでいたが、また始まる事に毒吐く。

毒吐いてから司令部の簡易テントの中に入ると、そこは別の意味で戦場だった。

 

 

「今なら、全部隊で一点集中攻撃を行えば解囲出来ます!」

 

 

「現状ならばその余力があります!」

 

 

「例え出来なくても、守山師団長が脱出出来れば機会は巡ってきます!」

 

 

「師団長! 決断を!!」

 

各連隊長・中隊長・師団司令部の参謀達が守山綾音師団長(陸将補・少将)に迫る。

その光景を春日井駐屯地の第10後方支援連隊所属春日井樹大尉が呆れ気味に見ていた。

 

 

「またか」

 

 

「あぁ、あれじゃあ、姉さんが可哀想だ」

 

なんだか妙に気が合う2人はそんな会話を交わし、筑波はその中に入る。

 

 

「皆さん、その回答は今朝したではありませんか。このまま、防御に徹する、と」

 

 

「うるさい! このままではジリ貧だ!」

 

 

「そもそも、昨日まで君は解囲に賛成ではなかったか!?」

 

 

「最初だって、攻勢に反対していたと思えば一転、賛成したではないか!」

 

 

「ころころと意見が変わり過ぎだ! そもそも、根拠はあるのかね!?」

 

筑波が話に入ると一斉に筑波へ矛先を転じる。

 

 

「敵包囲司令部との提示連絡が正午以降途切れたままです。味方が迫っている証拠でしょう。今は防御に徹し、味方の来援を待つべきです」

 

 

「ふん! 『マルタの英雄』が僅か数日でここまで来れる訳ないじゃないか!」

 

 

「やはり、マルタに行ってボケた様だな。あの敵大部隊を僅かな部隊で抜ける訳がない」

 

 

「最初は奇襲で来れても、敵も馬鹿ではないんだ。それに、それがなんの証拠になる? 気象的・機械的要因の可能性があるんだぞ!?」

 

 

「左遷された若造は黙ってろ!」

 

筑波の論拠に反論が飛ぶ。

中にはイラっとさせる物もあるが、マルタで散々に高塚達を怒らせ、怒られていた筑波からすれば、何故かかわいく思えた。

 

 

「それは皆さんがマグマ軍、ならびに近年の現代戦を知らない、と自分は受け取りかねますが…まあ、それを論争する気は自分にはありませんので」

 

 

「なんだと!?」

 

 

「黙りなさい!!」

 

黙って聞いていた守山がそう言って制する。

 

 

「筑波一尉、口調を改めなさい。それと、他に根拠があるの?」

 

 

「マグマ軍は旧ソ連軍を見本としており、ソ連軍は無線等のアナログ機材の水準は品質面から見ても堅実堅固な作りで信頼性が高いものです。その無線に定時連絡が無いままで無関心でいるとは思いません。有線等を使って確認するでしょう。また、この攻勢の増加です。正午以降、敵は何かに迫られているかの様に小休止時間を減らし、午前中よりも回数を増やして攻勢を掛けています。これは我が方の援軍が敵司令部を攻撃し、また、近くまで来ている、と考えます」

 

 

「つまり、包囲部隊は迫ってくる援軍を撃退する為に私達を撃滅しようと焦って無茶な攻勢を仕掛けている、と?」

 

 

「はい。そもそもな話、『マルタの英雄』が味方を助ける為ならば自身の犠牲など何処吹く風で単騎で乗り込んで来ますがね」

 

要らぬ事を言った連中を皮肉る様に言った筑波。

内心呆れながらも小言を言おうとした守山を遮ったのはある報告だった。

 

 

「西部防衛線より報告! 包囲部隊が背後から攻撃を受けており、また、アパッチなどのヘリが波状攻撃をしております!!」

 

驚きの表情で報告する通信担当幹部。

その驚きは報告によって、先程まで筑波に迫っていた連中にも伝播した。

 

 

「誰か、先頭に立つ幹部は見てないか?」

 

 

「え、あ、いえ…ただ、33普連の連隊旗を持った人間が居るのをチラッと見えた、と…」

 

筑波の質問に幹部は控え目に答える。

 

 

「どうやら、待ちに待った来援ですね」

 

そう言って筑波は自分の89式小銃を肩に担ぎ、テントから出ようとする前に春日井に声を掛けた。

 

 

「春日井、守山師団長を頼む」

 

 

「姉さんの事かい? もちろんだけど…なんでだ?」

 

 

「守山師団長は高塚司令にとっても重要な存在になる。早まった行動をおこしそうにならないか、見ていてくれないか?」

 

 

「……当たり前だろう。第10師団長なんだから」

 

 

「じゃあ、頼んだ」

 

そう言って筑波はテントから出て行った。

 

 

 

西部防衛線

 

 

 

「いまだ! 豆タン、撃て!!」

 

 

「は〜い! いくよ〜!」

 

阻止射撃を抜けてきたT-72重戦車を引き付け、『豆タン』こと60式自走無反動砲で撃破する。

 

 

「班長! 豆タンの弾はさっきので最後です!!」

 

 

「ちっ、遂にカンバンか!」

 

豆タンに射撃指示を出した対戦車(ATM)小隊所属の高山雄二三等陸曹はそう吐き捨てた。

ここまで…弾切れになった各種対戦車火器を…節約しながら、正に『必中必殺』で使い、なんとかギリギリ保たせてきたのだから。

 

 

「高山三曹! 全員を伏せさせろ!」

 

走ってきた筑波がそう叫ぶ。

その叫びに、とりあえず「全員伏せろ!」と叫ぶと自身も伏せる。

次の瞬間、飛来したヘリ隊が次々にヘルファイヤやロケット弾、機関砲を乱射し、先程まで波の様に押し寄せていたマグマ軍戦車を鉄屑スクラップへと変えた。

 

 

「喜べ、みんな! 援軍が、『マルタの英雄』が味方を引き連れて来てくれた! あと少し踏ん張れ!!」

 

そう叫びながら対戦車小隊の横を走り抜け、先程の航空攻撃で空いた『孔』に向かって走る筑波。

そこに………

 

 

「『マルタの英雄』、高塚健人ここにあり! 討ち取って名を上げたい者は掛かってこいや!!」

 

包囲部隊を突破してきた高塚が33普通科連隊旗と軍刀を手に叫ぶ。

 

 

「『マルタの英雄』によって包囲は突破されたぞ! 援軍の到着だ!!」

 

その背後を守るかの様に89式小銃を構えながら、背中へ回って叫ぶ筑波。

 

 

「ふっ、元気そうだな、筑波!」

 

 

「お待ちしておりました、高塚司令!」

 

2人のわざとらしい会話にマグマ軍兵士は後ずさり、自衛隊側からは大歓声が上がる。

そして、高塚の背後から続々と奪還軍が続いてくる。

これを見たマグマ軍兵士は己らの現状を悟ったのか、次々に持ち場を放棄し、敗走し始めた。

 

 

 

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