〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
高塚健治 陸自幹部 陸将補(元特科隊員)
初期の深海棲艦との砲撃戦を生き残り、『岡山市テロ事件』で『岡山の死神』と綴られる奮戦を見せる。
幹部昇進後、警務隊から拡張された憲兵隊に出向、後にマルタ島鎮守府へ憲兵として派遣され、後に陸自からの派遣警備隊並びにヨーロッパ諸国の陸上派遣部隊の統率と鎮守府の後方業務を担当、そんな中、深海棲艦との講和を模索した。
戦後は九州・佐世保の『陸上自衛隊水陸両用研究隊(水陸研)』隊長(1佐・大佐)に『栄転(左遷)』される。
マグマ軍出現後はその危険性を感知し、対策を取るよう進言するも、陸自上層部はこれを受け取らず、結果、東京陥落を招いた。
その際、高塚はマルタ島鎮守府の艦娘らを率いて撤退戦を指揮し、これが今回の就任へ繋がった。
あきつ丸 艦娘 陸自幹部 少佐
マルタ島鎮守府時代は高塚の副官として就任。
戦後は高塚と共に水陸研に異動、こちらでも副官を務める。
仕事は秘書官から戦闘任務まで多岐を熟す。これはマルタ島鎮守府時代に鍛えられた為である。
なお、彼女には『2つの記憶』がある。マルタ島鎮守府要員の大きな特徴である。
2 高塚健治少将着任
某月某日 東京湾 艦内
「ふざけるんじゃない!!」
怒りに任せ、手近なマイクを取り、テレビの向こう側へと憤怒をぶつける。
「何が『臨時政府の命令により降伏しろ』だ? はあ? 日本はな、天皇陛下の承認が無ければ幾ら臨時政府を作っても只の『エア政府』か『政府ゴッコ』なんだよ! 例えそれが形式的な通過儀礼だったとしてもな、バーカ!! そんな『命令』なんぞに従う義理も義務も無えんだよ!! 勉強し直してから出直せつーの!!」
………これを東京どころか、全国放送されたのであった。
1ヶ月半後 鯖江市近辺
「……なあ、あきつ丸」
「はい、高塚殿。なんでありますか?」
あきつ丸が運転する軽装甲機動車に揺られながら高塚健治少将は呆れ顔を外に向けながら言った。
「なんで俺を派遣するかね? それなりの人間なんて幾らでもいるだろうに」
「それはやはり、ネームバリューの影響でありますよ」
「…ネームバリューねぇ…」
気怠そうに高塚は呟く。
「それに高塚殿ほどの方で無ければ、この窮地を脱する事は不可能かと」
「『この窮地』になる前に対処するのが本来の筋なんどがな」
そう呟いて高塚は空を見上げた。
半年前…世界的に見るなら約1年前…突如として主に火山地帯近辺で現れた『マグマ軍』の侵攻は留まる事を知らず、未だに一進一退の先の見えない戦いが続いていた。
日本においては出現当初こそ、少数の目撃例があったのみだったが、半年前より徐々に集団・部隊化し、警察での対応は不可能となった事から自衛隊にお鉢が回ってきた。
その頃はまだ出現した山岳帯無人地域一帯を確保する程度でのあり、徐々に包囲網を縮めて縛り上げる方針であった……2ヶ月半前までは。
2ヶ月半前、重武装化していたマグマ軍は攻勢を開始、その半月後には疲弊していた対空防御圏を突破した一個師団規模の強襲精鋭部隊(後にロシアのモスクワ等の重要都市占領戦に参加していた部隊が日本に転戦していた事が判明)が首都東京を1日の戦闘で陥落させた。
結果、総司令部たる市ヶ谷にあった陸上総隊が消滅し、指揮・通信機能と中央統制機能を失った陸上自衛隊は各所で防衛線が崩壊・突破され、各部隊は所属駐屯地まで後退し、今や隣接方面との連絡どころか、同じ方面内の隣接駐屯地間同士の連絡も出来ないまでになっていた。(海自・空自は一時的な混乱はあったものの、陸自とは違い回復が早かった)
そして……かつて『マルタの英雄』と称され、東京戦で民間人脱出の指揮を執った高塚健治1佐が陸将補(高塚は陸自式が嫌いなので一般名称を使うが)に昇進し、『日本奪還部隊総指揮官』としてマグマ軍の攻勢が及んでいない北陸の鯖江にやって来たのだった。
暫くして 鯖江駐屯地内 司令部テント
「まあ、こんなんだろう」
「やはり高塚殿は慣れておりますな。野戦軍の指揮官ならば、高塚殿であるべきであります」
正門での受付を終え、駐屯地司令に挨拶をした後、高塚は司令部となるテントに来ていた。
中には簡易机と簡易椅子、更にノートパソコンとプロジェクターがあるだけだ。
なお、テントにしたのは高塚の希望である。
「野戦軍って…やめよう、頭痛がするだけだ」
「そうでありますね。ですが、予定では自分以外の副官が居られる筈…」
そう言っていたあきつ丸が言葉を切ったのは高塚と同様に『3人目』の人間の気配を感じ、振り向いたからだ。
「えっと…高塚健治陸将補ですか? 私、副官の市ヶ谷愛一等陸尉です」
「うん、よろしく。でも、ある意味、貧乏クジを引いたね。こんな左遷人間の副官なんてさ」
「いいえ! あの日、市ヶ谷駐屯地から後退する私達を助けに来てくれた高塚司令の下に就くなんて思ってもいませんでした!」
「おぉ、何処かで見た女性(にょしょう)の方と思っておりましたが、あの時の幹部殿でありましたか」
「あぁ、あの時はフル装具だったからな。まったく印象が違うよ」
「そ、そんな事無いです…」
あきつ丸と高塚の言葉に否定しながらも少し恥ずかしそうに頬を赤らめる市ヶ谷。
「すまないが市ヶ谷大尉、いまの時点で招集に応じてくれたメンバーを集めてくれ。面割りをしたい」
「あっ、その事ですが…」
「市ヶ谷さーん、みんな集合しましたよー!」
市ヶ谷の言葉を遮る様に1人の女性隊員が入ってきた。
「明野さん、司令官の前です。やめて下さい」
「いや、別にいい。堅苦しいのは嫌いだ。『明野』と言う事は明野駐屯地の子だね?」
「はい! 明野菜摘二等陸尉です! 目標は私の痛コブラを描いてもらう事です!」
「い、イタコブラ??」
「あー、あきつ丸、ほら、イタリアに居ただろう、好きなキャラクターを車とかに描く奴。あれのコブラ対戦ヘリ版な」
「あぁ、なるほど。わかりましたであります」
「司令官にあきつ丸さん、理解しないで下さい。明野さん、そう言った事を大ぴらに公言しない様に…それでは司令官、皆集まっていますので」
「あぁ、わかった」
駐屯地内会議室
「この駐屯地の鯖江駐屯地所属、鯖江静香。よろしく」
「金沢駐屯地から参りました、金沢香林です」
「M24軽戦車、チャーフィーです」
「M42自走高射機関砲だ」
僅か5名の隊員からそれぞれ紹介を受け、最後の1人になったところで高塚はニヤリと笑うと握り拳を作りながら言った。
「久しぶりだな、富山」
「司令もあきつ丸も元気そうでよかったぜ」
かつて、マルタ島鎮守府で派遣警備隊員として指揮下にあった富山ひみ子はそう言って握り拳を高塚の握り拳に当てた。
「富山が招集可能と聞いて真っ先に要請したからな。なにせ、俺のやり方を知ってるし」
「あはは…まあ、司令やあきつ丸、皆には鍛えてもらったからな」
こんな会話を交わした後、高塚は他の隊員達の方を向いた。
「さて、見知っている人間が大半だろうから、簡潔にいく。本日より『日本奪還部隊総指揮官』として着任した高塚健治少将だ。なお、『陸将補』なんて言う下らん名称を含め、『陸自式』並びに『自衛隊式』は極力必要でない限り排除していくからそのつもりで…まあ、皆んなを困らせる事ばかりになるな…よろしく」
……この日から、日本奪還は開始された。
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