〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
翌日 豊川駐屯地
「ロシア、アメリカの支援表明に次々と日本への支援表明を行う国が増えましたね」
「腐っても経済大国だ。戦後復興の事を考えれば、その尻馬に乗ろうとするだろうな」
豊川駐屯地に身を寄せている中で入ってきた『支援表明』の話を筑波がすると高塚が苦笑いを浮かべながら答える。
「どちらかと言うと、高塚司令の勝ち馬に乗ろうとしている様にも見えますが?」
「勝ち馬か…まだ、その基礎固めが終わったばかりなんだがな」
「それだけ、『マルタの英雄』『ジェネラル・タカツカ』のネームバリューが大きい証拠ですよ」
「ネームバリューね…」
筑波の言葉に苦笑を浮かべる高塚だった。
暫くして 豊川駐屯地内 駐屯地作戦室
守山師団長以下、主要な人間を集めた高塚はこの場で今後の方針を決めるべく口を開いた。
「さて、今後の方針を話す前に…市ヶ谷さん、陸幕からは何と?」
「はい、『米露の支援を受け次第、態勢を整えて東京を奪還せよ』と…」
「やれやれ、陸軍参謀本部は揃いもそろって寝起き者の集まりか?」
市ヶ谷の言葉に神州丸が溜め息を吐きながら言った。
「アメリカとソ連…ロシアの支援を受けれるからと、浮かれているであります」
「我がロシアも、そして、アメリカも本来の全力を出せない事が解っていないな」
神州丸の言葉に合わせて、あきつ丸と山本大佐が言った。
「あれから何も変わっておりませんな…それで、高塚司令。司令はこのバカげた命令を横に置いて、どう致しますか?」
付き合いからか、ほぼ察しているであろう筑波の言葉に苦笑いを浮かべる高塚。
「……現段階では、米露の支援を受けても東京奪還は困難だ。例え出来たとしても、長期保持は現有戦力的に難しい。ここは東京奪還は脇に置いて、日本本土自体を奪還し、戦力を整えてから東京の奪還を行う。この方針に反対の者は直ぐに言ってくれ」
そう言って全員を見回す高塚。
この言葉に誰も反論はしなかった。
「ありがとう。では、直近の作戦だが、第10師団は豊川駐屯地を基点に防衛線を形成し、別命あるまで防御に徹してくれ」
「わかりました。命に代えても通しません」
「たから、守山師団長。そこまでするのは本末転倒なんで禁止です」
同期コンビでツッコミを入れる筑波。
「あはは…そして、一部人員で第12旅団管区に向かい、12旅団管区を奪還後は第6師団管区を奪還、東京並びに元第1師団管区を包囲・孤立化させる。無論、ここまでこれば他方でも動きがあるだろうから、柔軟に対応するがね」
「敵を東西に分断するだけでなく、更に東京と東北方面の敵を分断する…と?」
「つまり、分断・包囲による各個撃破だね」
市ヶ谷と鯖江の言葉に高塚は頷く。
「敵は無限に沸くマグマ軍だ。集団を細分化していかなければ、とてもでは無いが処理は追いつかないよ。なお、10師団だけでなく、合流した部隊は装甲機械化と装備改変を順次実施していくのでそのつもりで頼む」
「問題はその資材・機材ですが…そこは?」
「問題無い。海上補給路に関しては、北は富山港、南は中部日本最大の名古屋港を奪還出来たから、南北どちらにいても資材・機材の受け取りは可能だ。緊急時は岐阜基地が使えるし、シーレーン防御は佐世保から海軍・艦娘・深海棲艦の連携で大丈夫だ」
「なお、同志の要請で機材…人員輸送車両には修理した中古品だが、ロシアのティーゲル軽機動装甲車を供給出来るし、また、ロシア政府が支援を表明した為、その他の機材も供給出来る様になるから、そのつもりで」
市ヶ谷の質問に高塚と山本大佐が答えた。
「まあ、人員は後で発表するが、いつでも動ける様に準備しておいてくれ。あっ、実は沖縄の臨時政府と陸幕に呼ばれて、明日からちょっと行ってくるから…筑波とあきつ丸は随伴な」
「…遂に陸幕は高塚殿の排除に…」
「いや、違うからな。どうせ、東京奪還を念押しする為に呼ぶだけだからな」
あきつ丸の反応に高塚は苦笑を浮かべながら諌める。
「陸幕も変な事を言わない事を願いますよ。今や自衛官や一般人から信用無しの組織なんですから」
「いや、一般人は置いとくとして、自衛官は別だろう」
「軍団長殿が言うと説得力も何も無いのですが」
「あ、あの、話が脱線しているので、復旧したいのですが」
筑波の言いように高塚がツッコミを入れ、それに神州丸がツッコミを入れ、市ヶ谷が修正を進言する。
「そうだな。不在の間は守山師団長と神州丸が代行で指揮を執ってくれ。但し、もし、2人では解決しきれないと思ったら、私か同行している2人のケータイに掛けてくれ。緊急事態なら、全てを無視して早急に帰還するよ」
「わかりました」
「軍団長殿の手間が掛からない様にするがな」
「では、全員解散」
そして、お開きとなった。
その頃 沖縄 那覇
「…彼がこちらに来るのかね?」
「はい。政府と陸幕が招集した様です」
上座の人物の単調な問いに下座の人物はハッキリと答えた。
そして、上座の人物の暫しの沈黙の後、こう言った。
「彼を『ここ』に来れる様にしてくれないかな?」
「わかりました。なんとかしてみましょう」
そう下座の人物は答えると踵を返した。
次号へ
ご意見ご感想をお待ちしております。