〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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まあ、またまた陸自批判山盛りと言う何時ものパターン。


23 時代の流れ

翌日 豊川駐屯地

 

 

 

「まったく、茶番劇にも等しい! 対馬海峡迎撃戦の犠牲は全て無駄だったと言う訳だな!」

 

ムスーとした顔と怒りの言葉を隠しもせずに表に出す高塚。

それを見た富山は筑波に訊いた。

 

 

(司令官、どうしたの?)

 

 

(10特のデモンストレーションを我々と一緒に観てたんですよ。まあ、私も計測係やってましたので…後は察して下さい)

 

 

(10特のデモンストレーション…あぁ、なるほどね)

 

先程までやっていた10特の砲班訓練を思い出した富山は全てに合点がいった。

 

 

(特科は司令官の原隊…古巣だからね)

 

 

(しかも、下っ端で入ったが故にその苦労やら何やらを知ってるって言うね…それをドヤ顔で見せる10特幕僚達にも切れてるんですよ)

 

 

(まあ、そっちの関連で大学出てるし、ある程度世界を知ってる高塚司令からすれば、やり方も古いまんまで、今までの戦訓を知れば改善しろよ、ってのをフル無視だとキレるよな)

 

 

「失礼します。豊川かるら一尉入ります」

 

そんな2人のヒソヒソ会話を遮るかの様に豊川駐屯地の駐屯地娘、豊川かるらが入って来た。

 

 

「うん、御苦労さま。豊川大尉、君は我々と共に12旅団管区解放作戦に参加してもらう。なお、第10特科連隊は第10師団主力と共に守備任務に就く為、部隊から離れて行動する事になる。質問は?」

 

先程迄の怒り具合を潜ませて、目の前の事に対処する高塚。

 

 

「……指揮官がボクしか連れて行かないのは特科隊の態勢が問題だからですか?」

 

 

「あぁ…今のままなら、戦場に連れて行ったところで死体と残骸の山を築くだけだ…残念ながらな」

 

無論、高塚としては砲兵・機甲戦力を神州丸や民兵隊にばかり頼りたくは無いが、現状に合わないままで出すほどバカではない。

そして、その理由を黙っておく事もしない。それで関係がゴタゴタするより、スッパリと嫌われた方がマシだ、と高塚は思っているからだ。

 

 

「じゃあ…ボクの意見、聞いてくれますか?」

 

 

「まあ、事によるが…聞くだけは聞こう」

 

ちなみに豊川大尉はボクッ娘であり、自衛隊での一人称は『私』であるが、高塚はそんなの関係ねえ人間である。あしからず。

 

 

 

 

しばらくして

 

 

 

「…二曹止まりも珍しいな」

 

豊川大尉の提案…その鍵を握る人物の経歴を見ながら高塚は呟いた。

 

 

「そう思いますか、高塚陸将補」

 

 

「経歴と昇進具合を見れば、二曹になってから突然その類が無くなればね」

 

件の人物、第10特科連隊本部管理中隊所属の松堂健朗二等陸曹に顔を向ける。

松堂二曹は正に『昭和の兵隊』と言うべき人間で、50代ながらガッシリとした体躯は砲兵として、また、銃剣道で鍛えられたが故…実際、武道競技会数度優勝の経歴有り…の結果である。

また、人事経歴も自衛隊入隊後は射撃(ナンバー)中隊配属後、中級陸曹教育課程を修了するまで成績上位であり、アメリカでの実射経験のある経験豊富な砲兵軍曹だ。

だが……その中級陸曹教育修了で二曹になってからはパッタリとその経験や優秀さが鳴りを潜め、地方協力本部や本部管理中隊を移動したりのパッとしない経歴になっている。

 

 

「よほどの事でもなければ、貴方は今頃一等軍曹か、曹長…准尉や尉官の道が開けている筈なんですがね」

 

実際、『深海棲艦事変』において、対馬迎撃戦で陸自史上の最大被害(無論、マグマ軍の一件で更新されたが)を出した事と艦娘出現・海自拡大により、陸自では幹部・陸曹・陸士問わず大量の退職・(海自への)転属者が発生した為、高塚の様に既存者、筑波の様な新規者の幹部候補生受け入れ枠の拡大が発生しており、松堂二曹は経歴的に見れば受け入れられてもおかしくない筈である。

だが、今ある人事経歴資料を見る限りはその様な痕跡は一切無いのだ。

 

 

「……正直な話をしますと、私も陸将補と一緒だからです」

 

 

「つまり、現行制度に不満がある、と」

 

 

「中級陸曹教育課程前のアメリカ実射で仲良くなったアメリカ兵に言われたんですよ。『自衛隊っていつまで擬装網を持ってくるんだ?』と」

 

その話だけで高塚は大半を察した。

そして、それは高塚が察した通りだった。

中級陸曹教育課程を終え、部隊に戻って来た松堂二曹は教育中の空き時間を見つけて調べた・アメリカ・ヨーロッパ式を試そうと部隊に上申したが、却下された。

それでも諦めず、後輩や砲班に掛け合い、試してみたのだが、これが上に見つかり『砲班を殺す気か!』と叱責され、覚え悪くなってしまったのだ。

 

 

「……擬装網だけで隠れれる時代は終わったのにな」

 

 

「それどころか、火砲への擬装なんて意味の無い時代になりましたからね」

 

そう、偵察・光学機材等の技術発展により、目視以外での対象物の発見手段が多様化する中、それに逆行していたのが皮肉にも陸自なのだ。

そもそも、冷戦期でさえ、『アメリカの軍事偵察衛星は地上のブーツのサイズがわかる』なんて言われており、それが今や『手に持つタバコのラベル』すら見分けられるぐらいまで進化している。

これに赤外線暗視装置等々も加われば後は人の技量の話になる…アメリカやロシアがそんな低い訳が無いが。

また、赤外線暗視装置に関して笑えない話は『自衛隊の保有物はアメリカの二、三世代前の物』だったりするならまだしも、『対赤外線処置をした戦闘服をアイロンして劣化させる』事だったりする。

理由は簡単、『服の乱れは心の乱れ!!』と言うのだろう……但し、その案件はそんな技術も処置も無い第二次大戦期までの話で、その事を理解出来る様に話せばあのパットン大将ならアイロンをさせようとする軍曹をグーパンか平手打ちしそうだが…残念ながら、陸自にそんなトリッキーな人間はいない。

 

 

「さて、話を戻すとして…松堂二曹を中心として第10特科連隊から人員を抽出して、臨時の特科隊を作る話を豊川大尉から提案されたのだが…出来るかね?」

 

 

「連隊ですから、少しづつ人間を抽出すれば問題はありません」

 

 

「ふむ…火砲はどうする?」

 

 

「一番の悩みどころがそれです。FH70では今までと一緒ですし」

 

 

 

「だな…まあ、それはこちらで何とかしよう。松堂二曹は豊川大尉と共に編成を組んでくれ。手続きはこちらの仕事だ」

 

 

 

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