〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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95・97姉妹や不知火の紹介はまたの機会にやります。


30 線引き

翌日 鯖江駐屯地

 

 

「……お疲れ様です」

 

 

「はい、お疲れ様です」

 

バツの悪そうにぎこちなく挨拶してきたWA2000に対し、細川はニコリとしながら挨拶を返した。

細川は各部隊に開封命令書を配り終えて戻ってきたところで高塚の居る司令部テントから不機嫌に出て来たWA2000と出くわした。

そして、挨拶を交わして別れた後、細川はテントに入った。

 

 

「高塚少将、命令書配布の方、終わりました」

 

 

「あぁ、了解。急かしてすまなかった」

 

 

「いえ…ところで、先程、出て来たばかりのWA2000と会いましたが、どうしたんですか?」

 

細川の問いに高塚の隣に居た市ヶ谷が答えた。

 

 

「昨日、保護した御二人の件についての御礼と…その、ちょっと困る案件ですね」

 

 

「困る案件?」

 

 

「『戦列に加えて欲しい』…無論、丁重にお断りした」

 

高塚の答えに全ての合点がいった細川は納得した。

 

 

「なるほど…普通の人間であれば諸手を挙げて歓迎するところですがね」

 

 

「彼女達は別組織なんだ…この『世界』にその組織が存在しないだけだがな」

 

 

「そうですね。ですが、彼女達の戦闘能力はどう見ても陸自(ウチ)の兵隊紛いの素人に比べれば天と地の差。我々と艦娘、深海棲艦、そして、彼女達の加入は大きな戦力増だ…と、こんな事は高塚少将は言われずともご存知ですよね」

 

 

「…保護した恩を盾にして戦線に出せ、と聞こえるのは気のせいか?」

 

 

「そう聞こえますよね。ですが、高塚少将がそれをしないのは正に『保護したから』。別世界の別組織故にそこら辺の正当性と手続きを踏む迄は出さない…そうお考えでしょう?」

 

 

「はぁ…さっきの言い草が猫被りなのか、真意を探る為の芝居なのか」

 

 

「最低限、司令は程の良い囮兼捨て駒戦力などと考えていないのは発言からわかりますので…まあ、マルタでの行動を見れば当然ですよね」

 

 

「細川、評価しているのか、貶しかかてるのか、どっちなんだ?」

 

 

「本音を言ったまでですよ。では、事務仕事を片付けてきます」

 

そう言って敬礼後、細川は退室した。

 

 

「やれやれ…まあ、頭がタングステンかやや並みに硬い奴らよりマシか」

 

 

「司令は司令でデスリが入ってますね」

 

 

「本音だから…さて、仕事を再開するか」

 

 

 

 

その頃

 

 

「あきつ丸さん、司令から何か聞いてますか?」

 

 

「とりあえずはアメリカからの支援品であるスーパーコブラ、同じくロシアのMi-17と聞いているであります」

 

明野とあきつ丸は富山空港から鯖江駐屯地に向かっている支援品のスーパーコブラとMi-17の編隊の到着を待っていた。

明野は編入部隊責任者として、あきつ丸は高塚の代理として、ここで待機している。

 

 

「それにしても、何でウチの部隊に?」

 

 

「次の作戦にも出るのは明野殿部隊ですからな」

 

無論、他にもある事をあきつ丸は知っているが今は言わない。

ただ、あきつ丸も言う事はその通りで、第10師団管区防衛に目達原らの航空部隊を始め多くの戦力を残した関係上、12旅団管区奪還には各隊の戦力増強は必要であった。

特に12旅団に関しては航空戦力がアテに出来ない以上、陸軍航空隊としてあきつ丸と明野航空部隊は重要ではあった為、伸びしろがある明野部隊を高塚は順次戦力拡大を図るつもりであった。

 

 

「お、明野殿、来たであります」

 

独特のローター音を響かせてスーパーコブラとMi-17の編隊が飛んで来る。

着陸態勢に入り、各機誘導員の指示の下で着陸する。

その中で一機のスーパーコブラは他の機体と塗装が違っていた。

 

 

「…あれ? これ…私!?」

 

その塗装が明野自身が描かれたスーパーコブラ、つまり、明野の痛コブラである。

 

 

「さて、自分は何も知らないでありますからな」

 

明らかに惚けているあきつ丸に明野は構わず飛び付いた。

 

 

 

司令部テント

 

 

「…痛コブラ、出したんですね」

 

呆れながらジト目で見てくる市ヶ谷に高塚は事務処理をしながら答えた。

 

「痛コブラ一機で明野がやる気になるなら安いもんだよ」

 

 

「ですが、痛コブラは…」

 

 

「木更津の一件ですか? 陸幕がやり過ぎと言ったから、いつまでも禁止と? 馬鹿馬鹿しい。そもそも、何がやり過ぎなのか、当時の陸幕に聞きたいぐらいです」

 

そう言って判子を押し終えた書類を横に置く高塚。

 

 

「官品の私的流用? 塗装が派手? イベントで興味を持ってくれる、いい宣伝・広報材料を封じ込むなんて、陸幕は何を考えていたのやら」

 

 

「…しかし、あれでは一機は使えなくなりますよ?」

 

 

「え? 当面は二機だけ運用する予定ですよ?」

 

 

「何故ですか? わざわざ戦力を低下させるなんて…」

 

 

「簡単ですよ。我が方のコブラと米軍のスーパーコブラですよ? ヘルファイア・ミサイル、短距離空対空ミサイル装備がウチのコブラに付いていたか? つまり、そう言う事です」

 

 

「これからも増えるであろうスーパーコブラの乗員確保の為の教導機ですか。まあ、リソースが無い以上仕方ないですね」

 

ニヤニヤと笑いながら、そう言って細川が入って来た。

 

 

「そう言う事…って、タイミングいいな、細川」

 

 

「たまたまですよ。それとアメリカ大使館から、次の支援物品についての書面が来ています」

 

 

「ありがとう…ふむ、やはり、アメリカはこちらにスーパーコブラを何機か追加で送っくるみたいだな」

 

 

「ロシアの方はまだですが…まあ、いずれ連絡があるかと」

 

 

「まあ、いつになるかはわからんが…そろそろ、こちらも動こうか」

 

 

 

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