〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
同時刻 阿賀野川東岸沿い
新潟空港を占領した対馬隊は主力とアメリカ海兵隊の一部部隊を守備に残すと島見浜・太夫浜海岸に上陸したアメリカ・台湾軍海兵隊に同行し、阿賀野川沿いを進んでいた。
沿岸監視の小部隊を除いてまったく敵がいない中を爆進していく。
台湾軍海兵隊はM60パットンを先頭に、アメリカ海兵隊はM1エイブラムスの海兵隊仕様を先頭に進んでいた。
特にこの手に慣れている実戦経験豊富なアメリカ海兵隊は湾岸戦争並みの進撃振りである。
「…海兵隊とは水陸研で訓練した事もあるから実力は知ってるけど…やっぱり、すごい」
水陸研での訓練により、レンジャー部隊ながらも西普連の様とは言えないまでも準水陸両用部隊となった『山猫部隊』。
高塚は対馬の防衛に対して攻守の要となる『山猫部隊』の両用能力の不備に危惧を感じて……実は対馬警備隊設立構想時には舟艇隊の配備も構想されたが、内局のダメ出しで立ち消えになった……おり、この為、高塚は少数での海岸からの逆浸透・潜入偵察能力付与の為に海兵隊との共同訓練はもちろん、『水陸研との訓練の為』と評して、複合艇や現代版小発と言うべきユルモ型上陸用舟艇(高塚曰くマルタのツテで入手)を対馬警備隊に『(人員を含めて)出向』していた。
(それにしても、海兵隊の方々は濃かったな〜)
あいさつに行った時の海兵隊の主要メンバーを思い出す対馬。
隊員達から『御頭』と呼ばれている女性指揮官、『姐さん』と呼ばれている戦車型武器娘、明らかに海賊と言われそうな風貌とガタイの良い副官、ボクッ娘な水陸両用型武器娘…等々、特徴的な面々の顔を思い浮かべる。
部隊こそ歴戦であるそうだが、日本への派遣は訓練を含めても初めてらしいこの海兵隊部隊はそれでも他の部隊と変わらない素早い動きを見せている。
(後は上手く作戦が決まれば楽なんだけな〜)
嵐の前の静けさの中、対馬はそんな事を考えていた。
再び新発田駐屯地(外)
「上越への迎撃で兵員を取られて監視に孔が出来たのは予想出来てたが…やはり、残存主力は郊外に後退したか」
マグマ軍の包囲監視線を抜けて駐屯地の外に出た松塚は周囲を探りながら呟いた。
「惜しいな。戦車一輌、いや、89式歩兵戦闘車が有れば郊外の包囲線まで行けるものを…」
松平が悔しそうに言う。
「仕方ない。予算も装備も無いもの強請りしても始まらないよ…マカロフ、41(ヨンイチ)は俺と一緒に前衛、28(ニーハチ)とPTRD、モンシ・ナガンは真ん中。殿は松平、頼む」
松塚は率いていた『ロシアン・ドールズ』に隊列配置を指示し、再び前進を開始する。
彼女達はつい最近、駐屯地に逃げ込んで来たのを『保護した』のである…何故に括弧がつくかと言うと、駐屯地の大半の人間が彼女達を信用していないからだ…まあ、こればかりは仕方が無い気もするが…松塚も『身内』での事が無ければ彼女達を預かる事まではしなかったかもしれない。
「それにしても…台湾軍だったり、海兵隊だったり、挙げ句はロシア軍すら動かす程って何気に凄いと思うけど?」
前衛に就いているマカロフが暇潰しげに呟いた。
「司令の高塚陸将補はほぼ現場で出世した様な人だし、マルタでの一件でアメリカやロシアを含めたヨーロッパに貸しがあるとか…まあ、ロシア軍に関しては元先輩同僚がロシア軍の知己でマルタの時に再会したそうだからだろうけど」
そう言いながらAKを構えて壁角から向こうを慎重に警戒しながら見る松塚。
「あら、そんな指揮官なら会ってみたいわね」
「うふふ、その坊やはどんな子かしら?」
『お姉さん』なPTRDとDP28の会話を背中越しに聞いた松塚は内心でツッコミを入れた…高塚司令は結婚してるんだよ、と。
「…ナガン、どうにかならないの、あの2人」
「あれが2人の何時もの調子だから」
「あはは…」
殿の松平が背中越しに居たモンシ・ナガンに訊いたが、モンシ・ナガンは『処置法無し』と言いたげに言い、前衛のPPsh41が苦笑いを浮かべる。
「にしても、だ」
本来なら4人1組のタックが7人になっている事、そして、戦闘経験なら彼女達の方が上なのを知ってるが故に幾分か心理的余裕のある松塚は苦笑いを浮かべながら言葉を続ける。
「俺の周りにはロシアが寄ってくるのかね?」
疑問とも問いとも取れる言葉だった。
その頃 ロシア海軍歩兵隊
マグマ軍歩兵が発射したRPG-7は標的にしたPT-76に『命中』した。
それは現実的な判断であった。今のRPG-7でT-90戦車を撃破する事は難しい。
故に戦車より装甲が薄い水陸両用の偵察用装甲車なら撃破は不可能では無いし、それを狙う事で遅滞戦法に出たのはこれまた間違い無いだろう。
しかし…T-90同様に携帯対戦車兵器対策をしない程、歴戦のロシア海軍歩兵隊は甘くはなかった。
発射された弾頭は高塚が予め用意し、着上陸から進撃までの短時間で張り巡らせた金網だった。
一応、PT-76にも爆発反応装甲はあったのだが、それではカバー出来ない部分をカバーする為に取り付けた『金網装甲』に弾頭は引っ掛かり、推進力を失った弾頭は地面に転がってから爆発した。
その間に発射地点に向かって海軍歩兵隊のKa-29がロケット弾を浴びせ、それに炙り出されたマグマ軍歩兵を地上の海軍歩兵隊員が囲んで捕縛する。
その光景を高田はヘリで見ながら通過した。
「偵察を兼ねた遅滞かしら?」
同じ光景を眺めていたスプリングフィールドが呟いた。
「そうね。海岸からの報告以外、マグマ軍は何もわからない訳だし」
「遅滞戦を選んだって事は、敵は準備が整って無いって事?」
もの珍しそうにM1895と共に眺めていたFNCが言った。
「あるいは本隊を待つ為の時間稼ぎかも…まあ、敵本隊は司令達がなんとかするけど…さて、どうしようかしら」
そう言って暫く思考にふける高田だった。
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