〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
英霊達の冥福を祈ります。
0650 マグマ軍(北部方面)司令部
「ソウカ、敵ノ本隊ハ須坂市マデ来タンダナ?」
「ハイ。分離シテイタ敵部隊ハ『狙イ通リ』合流シマシタ」
マグマ兵の報告を聞いたライサ近衛大佐。
この『ライサ近衛戦闘団』(一個師団+α)は松本市近くのカントリークラブ(ゴルフ場)に司令部を置き、松本駐屯地の攻略・並びに北部方面の守備を担当していた。
実は本来、彼女は浅間山に司令部を置いていたのだが、『連合軍南下』の情報に場所を此処に移していた。
「ウム、デハ、長野市内ノ部隊二ハ敵ヲ市内二引キ摺リ込ンデ消耗サセル様二伝エヨ。アト、機ヲ見テ浅間山ノクロシュタントヲ移動サセロ」
「ハ、ライサ大佐」
……実はこの時点で奪還軍の誰もが浅間山の移動要塞の存在を知らなかった。
0700 須坂市
「…………」
「…おいおい、マジかよ」
その光景に桃屋も松塚も苦笑いを浮かべながら困惑していた。
そこには406号線の橋を渡って千曲川を越えてくる民間人集団の長い列があったからだ。
「桃屋少佐、松塚大尉、見ての通りです」
2人に気付いた呉中佐が困惑した表情で言ってきた。
「呉中佐、この民間人の列はいったい?」
「長野市内の住民です。マグマ兵から『戦場になるから避難しろ』と強制退去させられたそうです」
「避難民の列か…」
どう見ても途切れる所が見えない列の状況に3人は内心頭を抱える。
「……長野市の人口ってどれくらいだろう?」
「何処かに市役所員か誰かいないか探さないと…これ、1万や2万ではききませんよ」
「仕方ない…進撃を一時中断し、受け入れの用意だ。高田に打電してくれ、生活物資がいるとな」
桃屋はそう松塚に命じる。
そもそも、長野市に突入する前に休憩と攻略法を見付ける必要があったし、この避難民を捌かなければ先になど進めないからだ。
……無論、これはライサ大佐の指示であった。
一般人が居る中で長野市内で防衛戦をやれば色々と邪魔で面倒臭い事と、この避難民により奪還軍の進撃スピードを落とし、時間的・精神的余裕を失わせようと言う意図もあった。
しかし、ライサ大佐の思惑とは反対に主力隊はこの避難民受け入れの為に進撃自体を停止した。
そもそも、作戦リミットなど有って無きに等しい作戦だった為、別に急ぐ必要も無かったからこそ、避難民の収容完了まで進撃を停止する事にしたからだ。
つまり……作戦スケジュールが狂ったのは主力隊では無く、マグマ軍の方だった。
なお、長野市の人口は約30万人である……。
0730 別働隊(司令部) 小谷村(中小谷)
「…との事です」
「確か、長野市の人口は30万だった様な…」
「マジですか…」
高田駐屯地に打電された内容を報告した細川に対し、情報通の市ヶ谷が呟き、筑波は絶望した表情で言った。
「30万人ですか…進撃停止どころか、再開に数日を要しますね」
隣で聞いていた鈴木大尉が言った。
「まあ、でも、それはそれでマグマ軍の注意を引きますから、ある意味、問題は無いですね」
「露骨過ぎる言い方だが、皮肉にもそうだな」
細川のもの言いに鈴木は苦笑いを浮かべて肯定する。
そして、筑波も市ヶ谷も主力隊の役目…もちろん、主力隊も知ってるのだが…はある意味で『囮』なのである事を知っている為に何も言えないのである。
「さて、そうなりますと…『本命』の件になりますね」
「そう言えば、そろそろ航空偵察が来る時間だね」
そう呟き、腕時計を覗いた時、新発田が飛び込んで来た。
「すみません! 敵斥候と接触しました! 現在、対馬隊が追撃しています!」
「ふむ…まあ、問題は無かろう。と言う事で、作戦は順調です」
冷静に、しかも、余裕ありげにニコリとしながら鈴木は言った。
その頃 高度9000メートル上空
日本海に展開する海軍部隊から発進したRF-2(F-2Bの偵察機型)が長野県上空に到達した。
この偵察機の役目はこの後の作戦推移の為の最終確認偵察だった。
そして、この偵察機に乗るのは二式偵察機(彗星艦爆の採用前の試作偵察機)の妖精ペアであり、皮肉にも空自よりも『実戦の場を踏んだ』ベテランだった。
そんなペアの偵察員が偵察・撮影機材を操作している途中である事に気付く。
彼らは事前情報として焼岳に移動要塞が居るのは知っていた。
だが、気になって偵察カメラをズームしてみれば長野市南、浅野山付近に居る移動要塞を発見した。
そして、これは鞍馬の司令部室でリアルタイムに見ていた松島宮達も確認し、事前の作戦要領通り、『空挺部隊降下の障害になる物』並びに『作戦上脅威となる物』である為、最優先無力化対象に決まった。
また、もう一つ挙げるとするならば、この偵察機の偵察状況をデータリンクにより司令部隊と主力隊も受け取っていた事だった。
同時刻 新潟空港
「空挺隊、気をつけ!!」
習志野の号令に居並ぶ空挺隊員が直立不動となる。
そこには特戦群や水陸機動団によって人員が減ったものの、かつて『第一狂ってる団』の異名を得た日本唯一の空挺・特殊部隊の精強な隊員達がいた。
「これより、高塚陸将補からの訓辞を述べる。『訓辞 本作戦の成否は空挺隊の双肩に有り 諸君らに『空の神兵』の英霊の御加護があらん事を』以上だ。搭乗!!」
短い高塚の訓辞を述べ、その号令に次々と空挺隊員は搭乗機に乗り込んだ。
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