〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
0845 マグマ軍司令部
「ナニ? 長野ノ主力ハ動カナイダト?」
「ハッ、如何ヤラ、避難民ノ受ケ入レデ進撃ヲ中断シタヨウデス」
長野市の部隊からの報告にライサ大佐は思案する。
「…日本人ハ生真面目ダト聞クガ確カニ生真面目ダナ」
「ソレト長野市ノ部隊カラ…避難ガ完了シテイナイト報告ガアリマシタ」
「ナンダト? 市民ノサポタージュカ?」
「イイエ、市民ハ我々ノ指示ニ従イ秩序良ク避難シテオリマス。問題ハ30万ノ数ノ多サデアリマス」
「…抜カッタ。ソレダケノ人間ガイタカ」
それを聞いたライサは苦い顔をする。
軍隊で自己作戦完遂能力を持つ旅団が(各国によって基準は違う)5000人で有れば、それを維持するのに掛かる労力は並大抵では無い。
それが60倍なのだから……ライサの苦い顔の原因もわかる。
「ソレト…北部ニ現レタ敵ノ別働隊デスガ、装甲車ヲ主体トスル部隊デ、ドウヤラ、アノ駐屯地トノ合流ノ為ニ来タ部隊ダト思ワレマス」
「…ソウカ」
市ヶ谷達司令部隊の報告を受けたライサはうって変わって静かに言った。
確かに部下の推察はあってはいるだろう…だが、タイミングがおかしい。
しかも、敵は後退するどころか、前進を続行する気だと言う事…。
(オカシイ……ナニカ胸騒ギガスル…ナンダ…?)
何処か引っ掛かる物の正体をライサはまだ見つけていなかった。
その頃 須坂市内
「松塚、出頭しました」
「すまない、松塚大尉。少し…いや、だいぶ状況が変わった」
長野市民収容を手伝っていた松塚は桃屋に呼ばれて仮設司令部までやって来た。
「『だいぶ』ですか」
「あぁ、『だいぶ』だ。海軍の偵察機が長野市より南、千曲市周辺に展開する大部隊を発見した。なお、敵の中には移動要塞が居た」
「移動要塞ですか? 松本市近辺に居た物が移動したのでは?」
「いや、彼方にはしっかりと1体居ましたよ。海軍の見立ては近くの浅間山か何処かに潜んでいた物が、我々を撃退する為に移動して来た、と見ているそうだ」
「なるほど、確かに移動要塞は山岳に居る事が多いですね…では、要件は上田市に降下予定の空挺部隊の援護ですね?」
「察しがよくて助かる。406号線を使えば菅原高原を経由し、上田市に入れる。すまないが、一部部隊を預けるから、其方に言ってほしい」
「わかりました。では、私が直率する戦車1個小隊と61さん、歩兵・工兵隊を一個中隊ほど大丈夫ですか?」
「それだけでいいのかい?」
予想より少ない数に桃屋は訊くと松塚はニコリと笑う。
「主力隊は長野市民の収容もありますし、また、敵の注意を引く必要がありますから、下手に大人数を出して頂く訳にはいきませんよ」
「やれやれ…流石にそれだけでは出せんよ。砲兵隊から武器娘の74HSPと75MSSR、あと、19装輪を出すよ」
「砲兵の援護があるのは心強い。わかりました、直ぐに…」
「おっと、我々も噛ませてもらいますよ」
そう言いながら劉大佐が入って来た。
「我々からも戦車1個小隊と歩兵1個中隊、M109自走砲を出させて頂きます」
「劉大佐、ありがとうございます」
桃屋が頭を下げると、劉大佐は笑いながら言った。
「何を言いますか。我々の任務は日本の支援です。当然ですよ」
「と、言う訳だ、松塚大尉。行ってくれるかね?」
「お任せ下さい。騎兵隊の本領を見せてやりますよ」
ニヤリと笑いながら松塚は答えた。
0900 新潟・長野県境上空
FR-2を先頭に航空機の大群が飛んでいた。
この大群は新潟県沖に展開していた第一・第二海上航空集団と深海棲艦、アメリカ海兵隊が出した『第一次攻撃隊』である。
その機種は様々で、艦娘を中心とした海上航空集団は海洋迷彩を施したF35C、F14トムキャット、F2、F4ファントム、F1、深海棲艦は深海棲艦色のラファールM、シュペルエタンダール、Su-33、MiG29K、海兵隊のF35Bの団体様であった。
そして、彼らの任務は松本駐屯地、並びに千曲市付近に展開するマグマ軍、並びに移動要塞への航空攻撃。
焼岳だけでなく、千曲市にも移動要塞が出現した為、攻撃隊の一部は兵装を変更したが、第一次攻撃隊は時間通りに発進した。
攻撃隊は県境上空で2手…攻撃隊の3分の1が松本駐屯地付近担当…に分かれ、目標へと向かった。
そして、攻撃の開始は現代版対艦隊航空攻撃と言うべき、『全集方位からの一斉ミサイル飽和攻撃』から開始された。
マーベリックやヘルファイヤをはじめとした空対地ミサイル、並びに対移動要塞用も兼ねた空対艦ミサイルがマグマ軍へと殺到した。
対して、マグマ軍はこれを『前段階』で阻止する事は出来なかった。
0905 ライサ戦闘団司令部
「…ン、ナンダ?」
司令部で指揮を執っていたライサはジェットエンジン特有の音に空に目を向けた。
すると……ライサ達を嘲笑うかの様にミサイルの大群が我が物顔で次々に飛来・通過していく。
「シマッタ! 敵ノ遠距離航空攻撃カ!!」
空襲と判り慌てる兵員を他所にライサは苦々しそうに言った。
しかし、それは序章に過ぎなかった。
「大変デス、ライサ大佐! 千曲市の主力カラ!!」
「ナンダ!?」
「『敵ノ大規模空襲有リ! 敵ガ7ノ、空ガ3!』デス!」
「….奴等、コレヲ待ッテイタノカ!」
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