〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
そして、今年もよろしくお願いします。
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「くそ、待ちやがれ!!」
「誰ガ待ツカ!!」
高塚の言葉にマグマ軍士官が言い返す。
罵倒の類は言語の壁を越えると言う一例を見せつけながら双方の逃走・追尾劇は続いている。
ライサを守っていた護衛も司令部要員も今や漸く両手で数えられる位に減っていた。
「…少佐、オ前ハ皆ヲ連レテ別ルートカラ逃ゲロ」
「大佐殿! ソレハ…」
「敵ノ狙イハ私ダ。ナラバ、私カラ離レレバワザワザ追イ駆ケテ来ル事モ無イ…今ハ一刻モ早イ指揮系統ノ回復ダ! 行ケ!!」
「大佐……ワカリマシタ!」
そう言って件の少佐は共に逃げる司令部要員と護衛に二言、三言言うとライサから離れていく。
「指揮官! 2手に分かれました!」
「団体様は無視だ! 指揮官だけ追うぞ!」
豊川の言葉に対し、高塚はライサに的を絞った。
無論、出来れば団体様も逃したくは無いが…3人しかいない上に手一杯だからだ。
だが、その心配は団体様側が100mも走らない内に解消された。
何故なら、その団体様の方に軽装甲機動車を先頭にした集団が足を止めたからだ。
「武器を捨てろ! 下手に動くと撃つぞ!!」
「逃げても無駄だ! 投降しろ!」
ターレットの機関銃、下車した隊員のアサルトライフルが向けられ、先の少佐以下のマグマ兵は大人しく武器を捨てる。
「…マ、マサカ…」
「あれは…対馬隊か!?」
思わず立ち止まったライサと高塚達だったが、ライサは状況から、高塚は軽装甲機動車の部隊マークから全てを悟る。
「指揮官! 市ヶ谷さんからの命令で手伝いに来たよ!」
降りて来た対馬まどかの言葉はその『悟り』を確認するものとなった。
「まどかちゃん、もう少し細かくお願い出来ない?」
わざとらしく龍田が言うと、対馬は答えた。
「別働の司令部隊は松本駐屯地包囲部隊と戦闘に入りました! 先の空爆も有り、状況は我らの優勢! 対馬隊は指示を受け高塚少将の支援に参りました!」
その頃 松本駐屯地近郊
「さあ、陸軍航空隊! 出番であります!!」
「戦車隊! 砲兵隊! 各個に撃ち方始め!!」
あきつ丸が召喚したヘリ隊と神州丸の10式戦車隊、99式自走榴弾砲隊が攻撃を始める。
先の2回にわたる航空攻撃により戦闘力、特に対空戦闘能力を著しく損失していた包囲部隊にはヘリの存在は悪魔に等しかった。
また、松本駐屯地から討って出た駐屯部隊と山本大佐の空挺部隊の攻撃により、前後両方から挟まれる形であった。
更に…
「邪魔するな! アゴーイ!!」
空挺部隊の装甲車輌と共に空挺降下したT-72が走り回りマグマ軍戦車をスクラップに変えていく。
人員同様に空挺降下させれる武器娘…今回初実施…だからこそ出来た事である。
「松本駐屯地の部隊と合流して下さい! 山本大佐の空挺部隊を長くここに留める訳にはいきません!」
コマンドカー型の73APCの中で市ヶ谷は指示を出していた。
本来なら、筑波が代理なのだが、本人が『今回は各個に委託されていますし、何時も自分が居るとは限りませんので』と市ヶ谷に指揮を執らせている。
「了解! 新発田、御嬢さん達を頼むぞ」
「は、はい!」
「よし! 北国の歩兵を見せてやれ! 行くぞ!」
鈴木の一命に第30普通科連隊抽出一個中隊が動き出す。
神州丸の自走砲隊と73APC120㎜、並びに87㎜自走迫撃砲の援護射撃の下、神州丸の戦車隊の後方からジリジリとマグマ軍に対して圧力を掛けていく。
「………いま」
その呟きと共に松本が対人狙撃銃の引き金を引く。
数瞬後、マグマ軍歩兵を率いていた隊長が負傷する。
戦場の銃撃戦下の狙撃は非常に厄介である。なぜなら、その銃撃が狙撃なのか、通常射撃のまぐれ当たりかが判別しにくいからだ。
また、狙撃がわかったとしても対処出来ない。銃撃戦の最中に甲羅に潜った亀に成れば死なないにしても、包囲されて…下手をすれば死ぬ。
それが松本駐屯地包囲部隊の現状だった。
つまり、この時点で例えライサ達が高塚達を撒いて辿り着いたとしても、危機的状況だった……但し、面倒さでは遥かに面倒になるのだが。
この時、ライサはまだ冷静だった。
それは彼女が精強な部隊を作るだけの知識と経験があったからだ。
故に彼女はこの状況でも動いた…狙いを高塚に定めて。
「高塚司令!」
密かなる殺意に気付いた豊川が声を上げる。
だが、それは高塚も気付いていた事であり、ライサの刺突を最小限の動きで回避する。
「チィ!」
「くっ、やっぱ、そうくるよな!」
既にライサも追尾して来た人間が何者かを認識している。
故に現状下において一番効果的なのは…高塚を排除する事。
だが、そんな対峙も長くは続かない…高塚達の後方から飛んで来た銃弾がこの状況を破砕する。
ライサの真横を掠めた対物ライフルの弾丸はライサを気を引くには充分だった。
その僅かな隙を見逃さず、龍田が得物の薙刀でライサに強烈な一撃をくらわせた。
「…ヒヤヒヤしたぞ、龍田」
「うふふ、天龍ちゃんと一緒で、腕は信じて欲しいわ〜」
気絶し倒れそうになったライサを受け止めながら高塚は言うと龍田は何時もの調子で言った。
「まあ、こっちより、あっちがヤバそうだがな」
苦笑いを浮かべながら、高塚は自分の背後を見た。
少し後方
「ミッション・コンプリート…かしらね」
得物の銀の対物ライフルのスコープから目を離した出浦が言った。
「1つ間違っていたら、呑気にそんな事を言えなかったと思いますが」
戦艦並みの眼光をした不知火がジロリと睨みながら言った。
つまり…ライサに撃たれた弾丸を撃ったのは出浦であった。
「はぁ…はいはい、終わりだ、終わり。憲兵殿と合流すっぞ」
天龍は溜め息を吐きながら言った。
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