〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

55 / 75
今回で北部戦は終了です。


55 長野北部解放戦 8

松本駐屯地包囲解除の最大の障害は焼岳に展開している移動要塞であった。

幾ら包囲部隊を蹴散らしても、移動要塞が出てくるか、或いはその火砲による制圧射撃を受けてしまえば、大損害は間違いなかった。

故に松本行きを志願した山本大佐に高塚はその対策を訊いたところ、答えは単純だった。

 

『革命と大戦を生き抜いた同志がいる。彼女なら、妥協の要塞など物の数では無いさ』

 

…まったくもって頷ける答えだった。

 

 

焼岳 移動要塞配置場所

 

 

「はっはっは! それで終わりか? そんなヒョロ弾で終わりか!?」

 

そんなセリフを発しつつ、パイプ片手に己の火砲を水平一斉射撃する。

その巨弾の嵐はマグマ軍戦列…移動要塞の直轄部隊を吹き飛ばすには充分だった。

その肝心の移動要塞クロシュタントも既に自慢の二基の三連装砲塔は破壊され、黒煙を上げて大破していた。

無論、これは巨弾を放つ彼女…ガングートがやった事だ。

 

 

「ガングート! こっちの掃討は完了したよ!」

 

 

「わかった、同志ちゅうくらいの! 同志ちっこいの達はどうした!?」

 

 

「私の反対側の掃討中!」

 

 

「なら、心配無いな!」

 

タシュケントと上記の様な問答をしながらもその砲撃を止めないガングート。

ぶっちゃけて言うと、やり過ぎである…射線の前には戦列だった『物』しか無いからだ。

 

 

「同志でっかいの。こっちも完了したよ」

 

そこにヴェルーヌイこと響と占守が合流した。

 

 

「そうか……で、どうするんだ、これは?」

 

ガングートの呟きの理由は、彼女の砲火により壊滅した直轄部隊残存が抵抗不能とみて次々に武器を捨て、手を挙げて投降しているから。

 

 

 

「ガングートさん、隊長なんだから、考えて下さいっしゅ!」

 

 

「…とりあえず、ウォッカでも配るか?」

 

 

「「同志!!」」

 

占守の問いにガングートが真面目に答え、響とタシュケントがツッコミを入れる。

なお、山本達が来るのは1時間後の事である…。

 

 

 

上田市近郊 空挺部隊防衛線

 

 

 

「マグマ軍部隊来ます!!」

 

 

「最強第一空挺団の見せ場だ! 全員、気を張れ!!」

 

自ら前に立って発破を掛ける習志野。

そんな彼らの前に現れたのは千曲市で待機していたマグマ軍主力。

しかし、2度の航空攻撃で消耗し、更に後方の上田市に敵空挺部隊出現した事により、その消耗を再編成しないまま部隊を引き連れて来た。

しかし、装甲車輌が少ない空挺部隊、特に第一空挺団には厳しいものとなる筈だった。

だが、そこに『救世主』が現れる。

それはロシア空挺軍の兵士達の歓声から始まった。

その歓声の向ける先を見ると、2つの航空機編隊が接近するマグマ軍部隊に向かっている。

その2個編隊は翼や胴体のウェポンベイからミサイルや誘導爆弾を発射し、1度フライパスすると旋回・再接近し、今度は大口径機関砲の銃撃を行う。

 

 

「なんだ!? 友軍の機体なのか!?」

 

航空自衛隊機でも数種類知っていれば良い方で外国軍機となればサッパリな習志野は訳がわからない、とばかりに言う。

この2つの編隊の正体は『ルーデルの化身』A-10サンダーボルトと『現代の黒死病』Su25フロッグフット(ロシア愛称はグラーチュ。『ミヤマカラス」)である。

この『対地襲撃機』は中低速度ながら、長時間の飛行時間を利用した地上部隊支援の為に開発された機体である。

故に今回の様な戦闘においては最適な機種であった。

この攻撃に合わせ、ロシア空挺軍部隊からアノーナ自走迫撃砲が砲撃を開始し、更に中長距離ATMが発射される。

空挺団も120㎜重迫撃砲や各種対戦車火器を使ってマグマ軍に撃ちまくる。

そして……管平経由から『彼ら』が到着した。

 

 

 

 

「騎兵隊、掛かれ!!」

 

乗車するT62の車長ハッチから半身を出した松塚はそう叫んで、率いていた部隊を戦闘に参入させる。

自らが率いるT62戦車4輌、台湾軍MC11戦車4輌が菱形隊形で進み、74SPや75SMRS、19装輪、台湾軍M109自走砲の援護射撃が加わる。

 

 

「航空支援にA10とフラッグフット、贅沢な航空支援だな! このまま畳み掛けろ!」

 

小勢とは言え、余り疲労していない部隊の参入、しかも、戦車を含んだ打撃力のある部隊の介入は散々に疲弊したマグマ軍戦列を食い破る。

そんな中で61は見つけたのである。

 

 

「隊長! あそこに移動要塞!」

 

 

「なに? あれだけ空爆されたのにまだ健在だったのか!?」

 

61の報告に松塚は双眼鏡を向けるとボロボロのクロシュタントが直轄部隊で周りを固めていた。

 

 

「61、行け! 周りの雑魚は仕留める! 陸自古参戦車の実力、見せてこい!」

 

 

「はい!!」

 

 

「全隊、61を援護しろ! クロシュタントが崩れれば、奴らの抵抗も下火になる!」

 

松塚の指示に砲兵隊も、更に上空のA10やフラッグフットもその意図に気付いたらしく、61を阻止しようとするマグマ軍に執拗な攻撃が行われる。

そして……至近距離まで近付いた61の105㎜はこの長野県北部解放戦の終幕を告げる一撃となった。

 

 

 

暫くして 松本駐屯地付近 解放軍司令部

 

 

「習志野一尉より入電。『マグマ軍主力部隊はクロシュタントの損失により降伏。これより、捕虜の収容に移行する』以上です」

 

 

「わかりました……はぁ、ようやく、1日が終わりましたね」

 

細川からの報告に夕日を見ながら市ヶ谷が呟いた。

 

 

 

次号へ




ご意見ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。