〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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57 内への対処

翌日 松本駐屯地

 

 

「じゃあ、筑波。すまないが頼む」

 

 

「わかりました。司令こそ、気を付けて下さいよ」

 

 

「わかってるよ。じゃあ、頼む」

 

 

「はい」

 

そんな会話を交わし、筑波はAB412輸送ヘリに乗り、西へと飛び立った。

 

 

「長野南部奪還について、筑波一尉が守山師団長の所に行くのはわかりますが…何かありましたか?」

 

 

「予想された事が予想通りになった、と言ったところだ」

 

細川の問いに高塚は呆れながら言った。

 

 

「あぁ、なるほど」

 

 

「えっと、高塚司令。それはどう言う事ですか?」

 

事情を知る細川と実直な市ヶ谷の反応は対照的である。

 

 

「ライサ司令の話だと、共産系・民主系支持者や進歩系文化人等がマグマ軍に対して積極的に協力しているそうだ。多分、在日朝鮮人も各所で協力しているだろうな」

 

 

「そんな…幾ら自分達を守る為とは言え…」

 

 

「市ヶ谷大尉、アイツらが自分の身可愛さだけでマグマ軍に積極的に協力すると思いますか? アイツらにとってマグマ軍は冷戦時のソ連軍や支那解放軍、北朝鮮人民解放軍同様の『解放者』。今の機会に日本の破壊と私益増強に邁進する為、セッセと協力してるんです。つまり、元から売国奴だった連中が、マグマ軍の日本占領で正体を晒したんですよ」

 

 

市ヶ谷の言葉に細川が唾棄するがの如く言った。

 

 

「残念ながら、細川の言う通りだ。そして、マグマ軍より、そいつら『売国奴共』の方が数千倍厄介だ。情報の取り扱いにも今まで以上に厳しくしないといけない」

 

 

「マグマ軍よりも厄介でしょうか? それに情報の取り扱いとは?」

 

 

「元から日本軍嫌いな連中ですよ? 無形どころか、実力行使を含めた有形妨害が入りますよ。それに方面管区間のやり取りはいいとしても、司令部と沖縄の政府・統幕とのやり取りには絶対的に他者の介入があります。部隊行動も観察されている恐れがあります…ちっ、言っただけでも厄介だ」

 

高塚の言葉に市ヶ谷は疑問を呈するが、細川が答える…舌打ちまでする位の厄介さをわかっているからだ。

 

 

「市ヶ谷さん、議員選挙や地方自治体選挙で左翼系統者が統制するのは組織票が有るからです。裏を返せば彼らはあちこちに繋がりがある。しかも、労働組合を中心に行政・司法・教育・メディアと一般生活に密接し、溶け込んでいる連中だ。つまり、奴らは日本と言う身体の中に神経細胞の如く存在している…しかも、脳とは別系統、病原菌が作り出した神経細胞なんですよ」

 

こな説明に市ヶ谷は漸く合点がいき、そして、その意味合いに顔が青ざめた。

 

 

「つ、つまり、脳たる日本政府が制御出来ない神経細胞が身体を犯し、下手をすればその脳すら犯せてしまう…そ、そんな…」

 

 

「その究極体が先の民主党政権ですよ。民主党は自爆しましたが、今回は違います。警察は無く、政府が国家的統率能力が無いいま、北斗の拳の様な無政府状態。この状態で物を言うのは武力と組織力…いわゆる力のみですよ」

 

震える声で言った市ヶ谷に細川は暗転の先を言うだけだった。

 

 

 

数時間後 守山駐屯地 師団長室

 

 

 

「…と言ったところでお願いします」

 

 

「わかったわ。それにしても、左翼の一件は解るとして、上皇様と上皇后様の安否がわかったのに当分秘密にするって言うのはどう言う事なの?」

 

高塚の伝言を伝えた筑波に対して、守山は気になっていた事を訊いた。

 

 

「その左翼が煽動を得意とするからです。特に奴らはメディアを長きに渡って牛耳ってきた。そこに御二方の安否の情報が拡散された場合、奴等は耳心地良く報道するでしょう。『今こそ上皇后様達を救う為に東京へ進軍すべきだ!』と」

 

 

「…なるほどね。政府や陸幕が執拗に東京奪還を押し付けているのは周知の事実。そこに『御二方の救出』で世論が捲し立てれば、高塚司令も動き辛いわね」

 

理解出来たとばかりに頷きながら守山が言った。

 

 

「あぁ、まあ、政府や陸幕が東京奪還に拘るのは政治的要因と面子だ。

だから、政府も陸幕も世論の後押しは嬉しい訳だ…その裏に存在する意味や思惑なんてのは考えちゃあいないよ」

 

 

「うふふ、口の悪さは昔のままなのに、言ってる事は180度反対ね」

 

 

「よしてくれよ。皮肉な話だが、マルタで散々その類に巻き込まれたんだ…嫌でも高塚司令に同調してしまうよ」

 

 

「そうね…でも、世論操作はいいとして、国民は支持するかしら?」

 

 

「やはり、代替わりしてからも浅いし、今の皇室への理解は現陛下と上皇陛下のセットだ。国民や次世代の為に残られたが故に国民は心配する…ある意味、日本人心理を突かれた形だな」

 

 

「そうして押されて、今の戦力で東京奪還に動けば間違い無く、自衛隊…いえ、日本陸軍は壊滅的被害を受けて、日本の抵抗は瓦解する。そうなれば、マグマ軍も左翼も怖い物は無い…高塚司令がそう言ってくるのも当然ね」

 

 

「あぁ。高塚司令が言ってたよ。『遂に陸軍も国民の中に居る『敵』と本格的対峙する日がきた』ってさ。さて、そうなると、今の陸幕を含めた幹部連中が対処出来るかが…多分、未来を決めるな」

 

 

「ちなみに、前線は私達でどうにか出来るけど、後方はどうするの? 10師団管区は地元の警察官達が復帰して、警察機構が回復したけど、奪還直後の治安維持は問題よ?」

 

 

「うーん、実は高塚司令が一番に困ってるのがそこなんだよ。本来なら、警務隊の仕事だが…警務隊の特性上、駐屯地外では本職の警察官に劣るからな。しかも、規模も小さい」

 

 

「なら、高塚司令が居られて、先の深海棲艦事変に警務隊を統合した憲兵隊の復活が理想よね?」

 

 

「それがな…新潟に取り掛かる前にそれを進言したんだよ、高塚司令は。で、陸幕の回答が『海軍と違って陸の幹部は不正はしない!』だってさ」

 

 

「……ちなみに、高塚司令はなんと進言したの?」

 

 

「『警察機構回復までの空白期間内の治安維持、並びに機密保持・流出防止強化の為』と、包み隠さずにね」

 

 

「はぁ…内輪揉めやってる暇は無い時に…そもそも、警務隊の存在意義を取り違えて無い?」

 

 

「しゃーない、警務隊の仕事は大体、自衛官や職員に対する警察捜査が主だった業務だからな。いつの間にか認識が書き換わったんだよ」

 

守山は困惑しながら、筑波は呆れながら言った。

 

 

「高塚司令が言われてた、陸自の…いえ、陸軍が旧帝国陸軍に劣る理由がわかるわ。さて、とりあえず、私達は私達のやれる事をやるわ」

 

 

「あぁ、頼むよ」

 

 

 

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