〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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北部解放が濃厚過ぎて、南部解放がアッサリ…。


58 長野県解放

2日後 1000 第10師団管区 愛知県・長野県県境付近

 

 

「なあ、筑波」

 

 

「なんです、春日井さん?」

 

陸曹が運転する軽装甲機動車の車内で春日井が筑波に訊いてきた。

 

 

「ホントに砲撃とアタイらの攻勢でマグマ軍は降伏すんのかい? ここら辺はそのライサって指揮官のシマだったんだろう?」

 

 

「えぇ、そうです。ですが、南部に居る部隊の大半が先の上越での戦いで敗走した部隊が多いそうですから、あまり問題は無いでしょう」

 

 

「あぁ…なるほどねー」

 

筑波の言葉に春日井は妙に納得してしまった。

なにせ、その部隊は目の前で移動要塞が一撃で吹っ飛んでいるのを目撃している者が多い。

故に戦力にならない、とライサが判断して南部に配置したとしてはおかしくは無いからだ。

 

 

「まあ、気軽にいきましょう。気軽に」

 

 

「それ、フラグ立ててないよな?」

 

 

……春日井の心配は皮肉にも杞憂に終わった。

何故なら、飯田市に入った時にはマグマ軍部隊は先遣隊に投降していた。

更にマグマ軍部隊はこの時点で乗鞍岳・御嶽山配備のクロシュタント移動要塞も『まるでそうする様に命じられていた』かの様に飯田市や伊那市等に居た。

そして、小諸・佐久に展開していたマグマ軍も同様に解放軍へと投降した。

南部解放は意外にアッサリと終了したのであった。

 

 

 

 

1200 松本警察署 取り調べ室

 

 

「先程、連絡があった。南部の解放が完了した」

 

 

「ソウカ、オメデトウ、ト言ウベキカナ?」

 

間宮モナカを机に置き、高塚とライサは話していた。

 

 

「…無抵抗の開城に少々面食らっている。しかも、複数のクロシュタント移動要塞を含めての投降だ。あそこの部隊の大半が新潟の収容部隊だったとしても、貴女が鍛えた士官や兵士達なら、遅延戦闘は幾らでも出来た筈では無いかな?」

 

 

「ツマリ、裏ガアルト言イタイノカ?」

 

 

「あぁ、ここまでやるならね…多分、投降者による負担増でも狙っているんではないか、とね」

 

 

「フッ、生真面目ナ日本人ノ性格ヲ利用シテ、敵ニ降リナガラモ、敵ヲ消耗サセルト…悪クハ無イナ」

 

 

「他意は無い、と言いたいんだな」

 

 

「部隊長ヤ士官ノ説得ニソノ文言ハ使ッタ。ダガ、私ニ言ワセレバ移動要塞ハ壁ノ意味以外デハ無価値化シタカラダ」

 

 

「ほう、それはまた意外だな」

 

 

「砲兵科出身ノ貴様ナラ今更ナ事ダガ、要塞ヲ攻略スル一番ノ方法ハ大口径火砲ヲ持ッテクル事ダ。上層部ガ海洋進出ノ為ニ開発シタ巡洋艦ガ失敗シタ事ヲ受ケテ、ソレヲ転用シタノハ悪クハ無カッタ。ダガ、対抗手段ガ確立サレタ以上、クロシュタントハ唯ノ壁ニシカ過ギン」

 

 

「だが、クロシュタントも改良すればいいだろう?」

 

 

「皮肉ニシカ聞コエンナ。軍艦ナラ浮力デ重量ヲカバー出来ル。ガ、地上デハソウデハ無イノダゾ? 防御ト攻撃ヲ満足サセタ物ハ出来テモ、ソレハ『要塞』ダ。移動要塞ヨリ中途半端ナ物ニシカナラン。リソース誤リモイイトコロダ」

 

 

「あはは…なるほどね」

 

……やはり、知者と話すのは退屈しない。

 

 

「チナミニ…昨日、人ヲ介シテ渡シタ物ハ長野市ニ送ッタノカ?」

 

 

「あぁ、『暇だから、本が欲しい』って伝言と一緒に来た物なら、今頃、現地部隊が軍使を出して渡してるよ。あっ、忘れない内に本も渡しておくよ。俺の私物だけどな」

 

ゴソゴソと本を数冊出している最中の高塚にライサは訊いた。

 

 

「内容ハ訊カナイノカ?」

 

 

「……例えあれが攻勢命令だったとしても、それはそれで送ったね。そもそも、貴女は面子やプライドだけで無茶な攻撃命令など出さない人間だ」

 

 

「フン、見抜カレテイルト言ウノハツマラン…ウン、コノ『モナカ』美味イナ」

 

ブスっとしながら食べたモナカを素直に言うライサだった。

 

 

 

1500 須坂市

 

 

「『1500頃に返答するから待ってくれ』って言ってましたけど、あの大佐はなんて書いた書面を送ったんですかね?」

 

双眼鏡を片手に松塚が隣にいる桃屋に訊いた。

 

 

「さてな…まあ、攻撃に出てもいい様にはしたが、いまこの状況で正面切って攻撃なんてしないだろう」

 

 

「事前に書面を確認出来ればよかったのですが…まあ、ご丁寧に『未開封で渡せ』と高塚司令が直に言ってきましたからね」

 

 

「後輩だから言えるが、あれはライサ大佐を信頼しているからこそ、書面も信頼しているんだろうね、高塚司令は。故に現場裁量に任してるんだろうけど」

 

 

「なるほど…にしても、さっさと返答を聞かせてくれてもいいでしょうに」

 

夢想的な脆い考えだと思いつつ、何とも解る為に人の事を言え無い松塚はそう言って双眼鏡を覗く。

たが、その光景に一度目を離し、目を擦ってから、もう一度覗いてみた…だが、その光景は変わらなかった。

 

 

「桃屋少佐、どうやら、包囲しながらお茶する仕事は終わりの様ですね」

 

 

「…あぁ、そうだな。目立つ所に白旗を上げ始めたとなると…高塚司令の信頼勝ちの様だな」

 

目立つ所に上げられていく白旗を見ながら松塚と桃屋は言った。

 

 

 

 

後日 桃屋少佐提出の報告書より各所抜粋

 

 

『投降した長野市守備隊は一兵卒に至るまで身なりを整え、各所配置・集合場所に整列していた。また、武器・弾薬類も綺麗に整備・整理・整頓し、箱詰め出来る物はされていたため、受け渡し等はスムーズに進んだ』

 

『投降の際に指揮官・幹部将校に聞いたところ、事前にライサ大佐からは『努めて日本帝国軍を見習い投降せよ。敗者となっても、心まで敗者にならず、堂々と敗者となれ』と掲示されていたから、と話してくれた』

 

『この光景に見本とした物を訊いたところ、ライサ大佐が将兵教育で見せたDVDだったとの事。作品は『太平洋の奇跡』との事だった』

 

「なお、最後にライサ大佐の書面は『本隊敗れしとも、最後まで命令・任務を全うした将兵諸氏に対し感謝すると共に、精鋭として一兵も欠ける事なく、日本軍に投降せよ。私からの指示は以上である(日本語訳)』』

 

 

 

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