〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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とある国とマグマ軍の話。


61 ダビデの星と対抗策

ASEANで動きがあったと同じ頃  イスラエル

 

 

「諸君、我が国も日本への派兵が決定した」

 

参謀総長の言葉に集まった将官達、特に陸軍の将官達が頷いた。

今のところ、マグマ軍は欧州・アジア方面への進出・前線構成が多く、中東方面に余り進出していない為、イスラエルは直接的脅威下には無い。

しかし、過去の中東戦争等の経験からイスラエル国防軍は既に戦時態勢に移行しており、予備役召集も順次行われていた。

 

 

「先ずは陸軍の派遣態勢を聞きたいのだが、どうかね?」

 

 

「はい。陸軍としましては武器支援はもちろん、派兵に関しましても大きく2陣に分けて実施する予定です。また、第一陣は武器娘を含めマガフ戦車を中心に置き、比率も前線部隊よりも、後方支援部隊を多くする予定です」

 

 

「数陣に分けるのはわかるが、なぜメルカバなどの主力装備を出さないのかね? 我が空軍は日本の技術的に大丈夫だと言う事で出来る限り一線級機を出す予定なのだが?」

 

陸軍の作戦参謀の言葉に空軍将官が疑問を呈す。

 

 

「我々陸軍は以前、ベトナムの戦車改修に協力した事があり、日本派兵に際しての近場の資料として再読しました。また、日本大使館、並びに軍に在籍する日本人に聞き取り調査を行い、その両方から出した結論は……我々は未知の領域に足を踏み込む、と言う事です」

 

作戦参謀の言葉に会議室全体が騒めき出す。

 

 

「一言で言えば環境の違いです。確かに我々は戦闘経験こそ豊富です。ですが、知っての通り、我が国は砂漠が支配する地。ですが、ベトナムはジャングルをはじめとした熱帯林です。これだけでも我々には未経験ですが、更に日本には四季があり、我が将兵は雪を初めて見る事になるでしょう。更に梅雨や湿気、霧、山岳など国土や環境の違いは将兵や装備を心身共に損耗させます」

 

作戦参謀の説明に会議室の面々は納得したとばかりに頷く。

 

 

「なお、マガフを派遣する理由ですが、台湾軍がM60やパットン系譜のMC-110を使用しており、台湾軍の手法を我が方に活かせる可能性が高い事もあります」

 

 

「メンテナンス性と稼働率、並びに環境の違う場での部隊運用の確立が優先、との事だね?」

 

 

「はい。行って戦え無いとなっては、我々が足ばかり引っ張る事になりますので」

 

これを聞いていた将官達も納得した。

 

 

「うむ…先の深海棲艦事変、そして、第二次大戦と言い、今のイスラエルがあるのは日本のお陰だったと言っても過言では無い。先人達も我々の決断を喜ぶであろう。では、次に空軍の状況を…」

 

 

 

その頃 東京

 

 

「長野が奪い返された…どうやら、我々の想定より手強い様だ」

 

とある会議室に集まった上座の将官の言葉に集まっていた皆が頷いた。

 

 

「あのライサが敗れ、しかも、捕虜になるとは…我々も少々、侮り過ぎた」

 

本来なら『四天王の中では最弱』等のセリフを期待するところだが、残念ながら、マグマ軍にとってはそんなセリフが出ない位の深刻な事であった。

 

 

「あぁ…敵は諸外国の支援を受けているとは言え、本隊の兵力は1個旅団程度しかいない。しかも、先に奪還した管区の兵力を余り引き抜いていない中で、我らの損害は1個軍に迫ろうとしている」

 

 

「そもそも、反撃を開始した時など1個連隊程度の兵力で仕掛けて来たからな…まるで、マジックでも見せられているかの様だ」

 

 

「更に、ライサの言った通り、東京陥落時に言い返して来た、あの佐官が総指揮を執っているそうだ」

 

 

「確か…タカツカ・ケントだったか? 人事資料の評価は酷いが、納得出来るな」

 

机の上にある資料を見ながら将官の1人が言った。

 

 

「先の『深海棲艦事変』に兵長として参加、最終的には佐官となり、更に講和工作に関与していた、と書いてあるな」

 

 

「ライサが散々に『コイツは強敵になる』と言っていたが、正にその通りになってしまったな。そもそも、他の陸軍幹部など経歴はそれなりだが、何の凄味も無い奴らばかりだ」

 

 

「諸外国が支援を打ち出したのも、このタカツカ大佐が指揮を執っていると知ったからだそうだが…なるほど、納得だな」

 

 

「更に押しも強い。通信の連中に聞いたが、傍受した通信を解析したら、沖縄に逃げた陸軍総司令部の命令を無視し、独自に動いているそうだ」

 

 

「それはそうだ。強度の低い通信周波数を使うのも馬鹿だが、首都東京を奪還しろなど、自殺志願者の様な事しか言わんのだからな」

 

吐き捨てる様に将官が言った直後、上座の将官が手を叩いて、場を鎮めた。

 

 

「敵を称賛していても始まらん。先ずは敵を撃破…最低限、今の勢いを抑える必要がある。次の侵攻先はわかるな?」

 

 

「はい、現状から推測するに、次は群馬です。現在、群馬は地形とそれを活かしたゲリラ戦による抵抗で制圧は進んでおりません」

 

 

「ならば、直ぐに増援を送り、群馬を制圧するか、敵反攻軍を止めるかしないと…」

 

 

「その一端のライサが敗北した。ただ単に増援を送るだけでは損耗するだけだ」

 

 

「だが、有効手段はあるのか?」

 

作戦参謀の回答に将官達から声が挙がる。

それを制したのは上座の将官だった。

 

 

「戦術レベルで止められないなら、戦略レベルで止める。群馬にはもちろん増援を送る。だが、増援を含めた部隊は防御に徹する様に指示を出す。作戦参謀、関西軍管区、九州軍管区に秘匿通信だ。敵の背後を食い破る。これだけ伝えれば、後はわかるだろう」

 

 

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