〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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なお、今回は戦艦棲鬼とライサの会話は普通表記にしています。


62 かつての『敵』と『敵』

数日後 松本駐屯地

 

 

「ふう……あー、また、報告書が分厚いな〜…」

 

自らの肩を叩きながら、皮肉タップリに呟く高塚。

机には自らパソコンで書いた漫画雑誌程の報告書が置かれていた。

 

 

「まあ、どちらにしろ、作戦推移は残しておかないと、後で色々と言われますからね」

 

 

「そうですね。我々は行政組織ですからね」

 

高塚の呟きに筑波と市ヶ谷が返す。

但し、市ヶ谷の言葉には高塚も筑波は苦笑いをうかべる。

 

 

「高塚司令! 良いニュースが入りました!」

 

そんな空気の中に興奮気味で細川が入って来た。

 

 

「良いニュースか。で、なんだ? 陸幕連中が総辞職したか?」

 

 

「高塚司令、それは無いです」

 

生真面目にツッコミを入れる市ヶ谷に筑波と細川が笑う。

 

 

 

「海軍系統からの情報ですが、ASEANのベトナム、タイ、シンガポール、更にイスラエルが武器支援、並びに派兵を決定したとの事です!」

 

この言葉に市ヶ谷は驚きの、筑波は歓喜の表情を浮かべる。

そして、高塚は思わず膝を叩いた。

 

 

「派兵だけでもありがたいが、ベトナムとイスラエルが派兵してくれるのか。これは随分と楽になるぞ!」

 

 

「…えーと、何故ですか?」

 

高塚の言葉に市ヶ谷は疑問符を浮かべる。

 

 

「ベトナムもイスラエルも、第二次世界大戦後の現代国家間戦争を経験している国ですからね。ベトナムはアメリカと中国、イスラエルはエジプトやヨルダンなどの中東イスラム系諸国と戦い、見事戦い抜いた国々です。また、両国共に軍事顧問団等の介入・参加で実戦経験は豊富、正直、練度は一般兵でも北海道第七師団と互角以上に渡り合えるかと」

 

 

「まあ、イスラエルはマルタ鎮守府が地中海航路解放をやったのがありますし、ASEANも日本海軍が航路解放をやりましたからね」

 

細川の言葉に筑波が続ける。

 

 

「勝ち馬乗りでも何でもいい。戦力が増えるのは歓迎だ。後は、彼らを失望させないようにしないといけない、って事だ。市ヶ谷さん、受け入れプランを立てます。担当部署に通知して、受け入れ態勢の構築と概略でもいいので、プラン提出をお願いします」

 

 

「わかりました」

 

 

「さて、じゃあ、我々も追加で仕事をしますか」

 

 

「あぁ、そうだな。先ずは明石と夕張だな。あの2人なら、翻訳アプリぐらい、自作しそうだし」

 

こうして、高塚達も動き始めた。

 

 

 

その頃 松本市警察署内 取り調べ室

 

 

「……ほう、人間以外の面会か」

 

 

「別に構わんだろう? 暇だそうだからな」

 

面会にやって来た戦艦棲鬼にライサは一瞬驚いた表情を見せたが、直ぐに何時ものクールな表情に戻して話す。

それに戦艦棲鬼は素っ気無く言った。

 

 

「元地中海方面艦隊の戦艦棲鬼だ」

 

 

「あぁ…岐阜で暴れた『移動要塞な者』は貴女だったか」

 

戦艦棲鬼の単純な自己紹介にライサは納得いった様に頷きながら言った。

 

 

「ほう、私の事を報告されていたか」

 

 

「だが、『戦闘状況下の見間違い』と判断された。まあ、あの時点で我々は深海棲艦が敵だと…最低限『日本側』に付いているとは思っていなかったがね」

 

ライサの自虐的な言葉の中の『日本側』のワードを戦艦棲鬼は聞き逃さなかった。

 

 

「日本側と言うのは意外だったのか?」

 

 

「あぁ、終戦してからそれ程経っていないのに、そこまで日本に味方するのか、とね。だが、なんと無くわかった気がする」

 

 

「ほう…何故だ?」

 

戦艦棲鬼の問いにライサはニヤリと笑う。

 

 

「簡単だ。結局はあの高塚を含めた『日本人のお人好しぶり』に惹かれている、と言ったところだろう?」

 

ライサの言葉に戦艦棲鬼は苦笑いを浮かべながら頷く。肯定の意味で。

 

 

「ふむ、やはりか。まあ、私もこの身で無ければ、大手を振るって賛意を示すが」

 

 

「それより、私が面会を求めた理由は気にならないのか?」

 

どうも会話の筋が逸れていってしまっているので、戦艦棲鬼は口に出してみた。

 

 

「はっはっは…やはり、将であるだけに読んでいるな。だが、わからんでも無い。あの総司令官同様、指揮官であるが故にマグマ軍の指揮官がどんな人物か気になった…そんなところだろう?」

 

 

「なんだ、わかっていたのか」

 

 

「あぁ、そして、私もあの総司令官とは別の、出来れば外国軍指揮官あたりと話せたら、と思っていたら、深海棲艦がやって来た、と言う訳だ…これはこれで面白い展開だったがね」

 

そう言ってライサは愉快そうに笑う。

これに戦艦棲鬼も半端呆れていた。

 

 

「にしても解らんな。何故、似た様な存在なのに、我々とは何処が違う?」

 

 

「我々、深海棲艦の根本はかつての先の大戦で沈んだ艦艇と乗員の怨念…と言うのが、日本を初めとした世界の統一的な意見だ」

 

 

「なに? お前達は自分が何者か理解していないのか?」

 

 

「なにせ、私が生まれた時にはそう定義されていた様だし、私自身、自らの存在意義や理解など考えた事もなかったからな。但し、深海棲艦が人類側との戦闘により浄化され、艦娘になったり、その反対もあった。まあ、私もその人類側の意見に賛成だがな」

 

 

「……なんだか、謎掛けの様な話だな」

 

今度はライサが呆れた風に言った。

 

 

「そんな事を言えば、お前達の呼ばれ様はどうなる? 『収奪者』『略奪者』と日本以外では言われる事が多いぞ」

 

 

「……ふっふっふ、『収奪者』『略奪者』か…中々良い響きではないか」

 

戦艦棲鬼の言葉にライサは笑みを浮かべながら言った。

が、そこは戦艦棲鬼である。

 

 

「…が、そんな行為はしないと」

 

 

「当然だ。我々は軍隊であって、盗賊・山賊の類ではない」

 

神経な表情で答えるライサだった。

 

 

 

なお、帰ってきた戦艦棲鬼に高塚が結果を聞いたところ、『とても有意義だった』と答えたそうだ。

 

 

 

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