〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
数日後 群馬県
「えーと、後少し行くと集落があると」
地図と周辺地形に視線を往復しながら筑波は呟いた。
その筑波は普段の迷彩服と迷彩帽ではなく、戦闘時と同様の完全フル装具。
30発弾倉付き9㎜機関拳銃(改)を肩掛け紐(負い紐)で肩から掛け、3型防弾チョッキの下の腰の弾帯には弾倉入れ4つ、大型の救出品袋に64式小銃の銃剣とガチなフル装備である。
「それにしても珍しいわね。本部付きの大尉が自ら斥候に出るなんて」
側から見てもその『誘ってる』服装ながら軽々と14.7㎜対戦車ライフル(現対物ライフル)を持っているPTRDの言葉に筑波は地図に視線を向け、振り返らずに答えた。
「まあ、後ろに入り浸りって言うのも問題だし…それに、後輩も育ないといけないしな」
そう言って横目で後ろに居る工科卒の童顔曹長に目を向ける。
「と言う事で頼んだ、PTRD」
「それ、丸投げって言うと思うわ」
苦笑な筈なのに何故か卑しく見える笑みを浮かべるPTRDだった。
「…と言う事で、ここで分離する。我々本隊は更に奥の斥候を行うから、君の班はこの先の集落、松井田町の監視だ。松井田町にはJR信越本線終着駅の横川駅があり、更に長野県軽井沢に通じる道路がある。必ず何か動きがある場所であり、いざとなれば撤退路確保の為に動いてもらう可能性がある。よって、監視と言っても非常に重要な役割だ。わかったかな?」
ミニマップ片手に緊張した表情の先程の童顔曹長こと佐山雄斗(さやまゆうと)曹長に説明する筑波。
「班員として、PDRD、モンシナガン、PPsh41の三人をつける。三人は我々よりもベテランだから、困った時は相談する事。質問は?」
「は、はい…もし、1尉達が見付かった場合、どうする気ですか?」
「最悪の場合は援軍を呼ぶ可能性はあるが…まあ、臨機応変だな」
「……わ、わかりました」
筑波の後半の軽い言葉に動揺を抑えようとしつつも、隠せていなかった。
筑波達と別れて1時間後
「…………(チラチラ)」
「…………」
「…………(チラチラ)」
「…………」
「…………(チラチラ)」
「……指揮官、どうした?」
「あ、いや、あまり歳上のWAC(ワック 女性自衛官)と組んだ事が無いから…」
共に集落の様子を見ていた佐山の視線にモンシナガンが訊いてきた為に正直に答える。
そもそも、工科学校卒業の佐山は女性との免疫も少ない訳なのだが。
「あぁ…指揮官って、たしか、自衛隊の学校の卒業だったけ?」
「うん、だから、しかも、今回が初めての部隊配属だったんだけどな……なんか、よくわからないけど、異質な感じがする」
なお、佐山の様な感想は高塚色に染まった人間以外なら誰でも思っていたりする。
「ちなみに、えーと、ピーディアールディさんって、いつもあの格好?」
「基本的に、我々ドールズの格好は今の格好だが…」
「……アッ、ハイ」
回答を聞いてトマト並みに顔を真っ赤にさせて佐山は空返事をするだけだった。
暫くして……
「指揮官、北からパジェロとピックアップが来たわ。民兵なんていたのね」
佐山、モンシナガンとは別位置で監視していたPDRD(なお、PPsh41も別位置で監視中)の報告に佐山は否定から入った。
「いや、日本に自衛隊や在日米軍を除けば武装出来る組織は警察や海保しかいない。そもそも、民兵なんて日本の法律上設立出来る筈がない」
「じゃあ、あの民兵達はなんなの?」
佐山の言葉にスコープ越しに見ながらモンシナガンが質問してくる。
そして、その答えも佐山は持ち合わせていた。
「くそ、腐れ左翼の裏切り者逹だな」
少尉候補生であるために陸士、陸曹より突っ込んだ話(と言ってもそこまで詳細な話ではないが)を直に聞いている佐山は苦々しく呟いた。
「あいつら、どう言った連中なの?」
「口悪い説明になるが、平和や自由、人権を叫ぶだけの利権活動家か、頭空っぽなバカだね。罵倒雑言の類なら事欠い連中だよ。今は武装した裏切り者だけどね」
「あぁ、私達も似た奴等を見た事があるから解る。頭が空っぽな連中だな」
「そうそう。それの武装した質の悪い方」
互いに似た存在が居た事に話が弾んでしまう2人。
『…それで、あいつらの目的に見当は?』
そんな会話にPDRDが呆れながら訊いてくる。
「さてはて…今はマグマ軍に協力しているからね…何が目的でもおかしくないんだよな」
普段から様々な『権利のクレクレ』と『拒否には暴力』な連中なだけに何をやっていてもおかしくない。
「ふむ……ん? 駅に人が集まってるな…しかも、数人を覗けば若い女性ばかり…まさか……そんな事ないよね?」
「指揮官、さっき自分でなんて言ったか覚えてる?」
「……嫌な予想ほどあたってほしくない」
様子を眺めていた佐山の言葉にモンシナガン軽くツッコミを入れる。
間違い無く、これは非合法な人刈り、或いは女性刈りだ。
「マグマ軍って、そんなに人が足りないの?」
「兵力は無尽蔵だから、それはない。どっちかと言うと、あいつらの独断専行だな」
9㎜機関拳銃に初弾を装填しながら佐山が言った。
「でも、どう見ても輸送力不足ね」
「なら、後続がいるか…サンダー・リーダー、サンダー・リーダー、どうぞ」
『こちら、サンダー・リーダー。感度良好、ブリッツ、丁度通信を入れようとしたところだ。どうした?』
ヘッドセットの交信チャンネルを広域周波数に変え、筑波のコールサインで呼び出す佐山。
すると、あっさりと繋がった。
「監視中に高塚司令より話が出た腐れ左翼複数が武装して出現。どうやら、女性狩りが目的の模様。ところで、そちらの様子は?」
『……あー、なるほど。此方もそいつらの車列と交戦した。トラックがメインだったから、其方に向かう途中だったんだろう。既に司令部に連絡し、ロシア隊を中心とした部隊が周辺制圧の為に移動している。これより、其方も武器の自己裁量使用を許可する。次に動くのは其方だ。無茶はするなよ』
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