〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
翌日 松本駐屯地 司令部テント
「昨日は不馴れな事の連続だったね。御苦労様」
「はっ、いえ、ですが、自衛官としての任務をまっとうしただけであります」
業務開始後、佐山を呼び出した高塚。
(なお、テント内には他に筑波と市ヶ谷が居る)
「いやいや、初めてであそこまで出来れば大したものだよ。ただ、最後にリーダーを撃とうとしたらしいね?」
「すみませんでした。どうも、空気に呑まれた様です」
素直な返しに高塚は微笑みを浮かべながら言った。
「なに、大抵の人間はそんなもんだ。それも馴れの問題で、後は馴れてコントロール出来る様になればいいさ。まあ、これは第一次大戦から特に問題になってる戦場精神病の類いだ……士官候補生なら、将来の為に覚えておいた方がいいぞ」
「はい! ありがとうございます!」
「うん、と言う事で、今日と明日は休んでいい。報告書も簡単でゆっくり書いたらいいからな」
「え、あ、はい……それで大丈夫なんですか?」
「あぁ、心理的整理も必要だからな。この戦いは長期になるのは確実だ。故に将兵の身体的、心理的損耗は極力抑える必要があるからね。話は以上だ、ゆっくり休みなさい」
「わかりました。では、下がります」
綺麗な敬礼の後、退室した佐山の入れ替わりに山本大佐が細川を連れて入って来た。
「ほう、やはり、一度実戦を経験した為か、18の童顔もキリッとしたな」
「漸くお眼鏡の端に見える程度で、まだまだ育てる必要がありますが…及第点と言ったところです」
「なるほどね…同志がそうやって種を蒔かんとダメとはな」
「今さらな話ですよ、同志。それで、昨日捕まえた武装犯の尋問は如何ほどに?」
「皮肉にも先ほどの士官候補生とドール達のお陰で『あんな目に遭いたくなければ全て話な』と言ったら、知ってる事を全て話してくれたよ。此方が質問しくてもね」
ニコニコと話す山本大佐に高塚は苦笑いを浮かべる。
なお、捕らえた武装犯は荷台から飛び降りて軽傷を負った副射手と右手を撃ち抜かれたリーダー格の2人だけ。
「尋問結果ですが、件の女性の連行はやはりパヨクの連れ去り…曰く『女性労働者の募集』だったそうです。無論、連れ去り目的は若い女性を確保する、とのこと」
「なるほど……あれ、これ、某国の『慰安婦案件』に似てるよね?」
「「「まあ、考えた奴等が一緒だし」」」
「え、えーと……えぇ??」
わざとらしい高塚に苦笑いを浮かべて答える3人、そして、事情が掴めない市ヶ谷。
「市ヶ谷さん、慰安婦問題はわかってますよね?」
「……性奴隷に関する歴史的、外交的問題とは認識してます」
高塚の問いに市ヶ谷は答え難そうに答える。
まあ、女性としては当然と言えば当然である。
「その認識は間違ってないよ。まあ、今回の謳い文句がそれに似てる、ってだけだからね」
「謳い文句ですか?」
「『女性徴用工を騙って日本が慰安婦を集めようとしていた!』と言う悪意満載な噂が戦時中にあったんですよ。もちろん、その噂の内容は嘘ですけどね」
市ヶ谷の疑問に細川が答えた。
「それで、どうするかね、同志? あんな下っ端がホントの事を知ってるとなると、占領地のあちこちで平然と行われている、と言っても過言ではないぞ?」
「残念ながら、今の我々にそれを阻止する事は出来ません。筑波、指揮下の全部隊に通知。『行方不明者情報、並びに自衛隊等を名乗る者の勧誘を受けた情報があった場合は直ぐに報告する事』以上だ」
「わかりました。通知して来ます」
そう言って筑波は通信室(テント)に向かって行った。
「なぜ、自衛隊等なのですか? 我々にそんな事が出来ないのは解りきった事だと思いますが?」
「市ヶ谷大尉、それを詐欺師に言ってみたまえ。まあ、あの連中も詐欺師みたいなモノだがね」
「山本大佐、それは説明になっていません。つまり、相手を騙すなら、敵だろうがなんだろうか名前を使う、と言う事です」
市ヶ谷の疑問に山本大佐と細川が答えた。
「そう言えば、あのリーダー格の容態は?」
「一命は取り留めました。まあ、右手の接合は期待出来ないそうですよ、綺麗に切断された訳ではないので」
ふと思い出した事を訊くと細川は事務的ながら皮肉を込めて返答した。
「決して逃がすなよ。後々色々と吐いてもらうからね」
「ふっ、同志よ、悪い顔だぞ?」
「いやいや、同志もですよ」
「「…….ふっはっはっは!」」
「……なんだか、付いていけません」
高塚と山本大佐が互いに笑い合うのを市ヶ谷は額を抑えながら言った。
「あわせて報告しますが、鯖江・富山隊を中心とした派遣隊は防衛線の構築と民生支援を行っております。なお、今のところ、マグマ軍の偵察等はない模様だと」
「ふむ……数日したら、彼方に本隊と司令部を移動する。準備を頼む」
「了解です。準備を命じておきます」
「さて、問題は攻略プランだな……もう少しマグマ軍の情報が入らないと…相馬原駐屯地の方も気になる」
「そちらの方も情報収集をしておきます」
そう言って細川は命令を出すために退室した。
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