〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
旧年はお世話になりました。
新年もよろしくお願いします。
登場人物 7
神州丸 陸軍艦娘 大佐
元マルタ島鎮守府・現水陸研所属の陸軍艦娘。性格は豪快。
マルタで高塚の指揮下に入り、そのままあきつ丸と共に水陸研へ所属している。
高塚からある程度聞いていて、わかっていたが、まさかの陸自のヘタレぶりに呆れている。
山本剛 ロシア軍民兵隊 大佐
元陸自隊員であったが、『対馬海峡迎撃戦』後に退役、伝手を頼りにロシアへと渡り、元国営石油企業所属の民兵隊指揮官として活動、後にロシア政府からの『指示』でマルタ島鎮守府へ派遣された。
陸自の現状には在隊中から呆れており、その為、高塚とはウマがあっていた。
現在は正式にロシア軍所属となり活動中。
戦艦棲鬼 深海棲艦 中将
元地中海方面艦隊所属。高塚達とは敵だったが、地中海戦後半には共闘し、『大統領棲鬼』を滝崎・高塚と共に討ち取った。
戦後は来日し、自由気ままに日本各地を巡っていたが、マグマ軍の侵攻により、昔の恩義等もあり高塚達と合流した。
T-72B3 ロシア軍
ロシア軍が誇る第2世代MBTの武器娘。愛称は『ウラル』。
マグマ軍侵攻により、他の武器娘達と共にインドへ撤退後、一命を受けて山本大佐と共に日本へ渡る。
湾岸戦争の一件からM1エイブラムズが嫌い。
その夜 2230頃
この夜、当直(と言う程でもないが)に就いていたのは叢雲だった。
そして、その報告を直に夜間当直通信員から受け取った叢雲はマルタ鎮守府員であった事もあり、直ぐに仮眠していた高塚を起こした。
「高塚少将、ちょっと気になる報告が来てるんだけど?」
「叢雲か…水でもぶっ掛けて起こしてくれてもいいのに」
「冗談言わないでよ。完全装備に毛布一枚で軍刀と一緒に横にならないで仮眠する人間に水をぶっ掛ける気にはならないわ」
そう言って缶コーヒーと報告メモを渡す叢雲。
それを受け取った高塚は缶コーヒーを一気飲み空け、メモに目を通す。
「……ふむ、『AKとは違う複数の銃声が岐阜市内方向から聞こえる』か。報告してきたのは何処の斥候隊だ?」
「金沢中尉の所属部隊、第14普連第4中隊から出てるデルタ・レコン(デルタ偵察隊 D・R)よ。但し…」
「但し?」
「中隊本部も連隊本部も、その報告を半端無視しているわ。まあ、私達や高塚少将みたいにガチの戦場の『匂い』が分かる自衛官はいないみたいね」
「ふむ、君の毒舌は相変わらずだな…神州丸さんかあきつ丸を起こしてくれ…あと、同志と戦艦棲鬼、綾波もね」
「はいはい、前線に出るんでしょう。5分以内に集めるわ」
「あぁ、頼む」
30分後 デルタ・レコン観察場所
「け、けい…」
「礼式省略。それより、報告詳細を聞きたい」
叢雲、綾波、山本大佐、戦艦棲鬼を連れて報告元であるデルタ・レコンの担当観察場所までやって来た高塚。
そこには成り立ての若い陸曹と同じく若い隊員がいる偵察隊だった。
「は、はい。約30分程前、隊員の1人が岐阜市内方向からAKの他に複数種の銃声が聞こえた、と報告したので、中隊・連隊本部に報告しました」
「で、その報告は中隊・連隊本部には半端無視されてるわね」
「はい、自分としましては銃声の違いなど報告する事ではないとは思いますが、些細な事とは言え、報告せよとの事だったので…」
この時点で叢雲と若い陸曹との間に認識の違いがあるのだが、若い陸曹は気付いていないし、高塚達は気付いているがそれを論議する為に来たのではない為、話を先に進める。
「ふむふむ…ちなみに、その『銃声の違い』を報告した隊員は?」
「え、あ、そ、それは…」
「はい。自分です」
そう言って若い陸曹の後ろから1人の隊員が出てきた。
「第14普連第4中隊所属、貴志部真幸陸士長です」
「ふむ、貴志部士長。なんで違うと分かるのかね?」
「自分の父は商社マンで、取引先の関係でハワイやグアムの米軍への納品等を任されていました。その為、実銃を撃つ機会がありまして…まあ、ガンオタクですね」
少し照れくさそうに答える貴志部士長に高塚は苦笑を浮かべる。
「なに、私だってミリオタで歴史オタクだ。それで、種類はわかるかな?」
「はい…ただ、M1911ガバメントは確実と断言出来ます。ですが、後はMP40やワルサーP38、ステン短機関銃、M1895だったと思うのですが…」
「……なるほどね」
そう言って高塚は山本大佐に「ちょっと」と言ってヒソヒソと話す。
(どう思いますか、同志?)
(あの士長の言う通りなら、ガバメントについてはまだわかる。だが、MP40やワルサーP38は日本人は知っていても所持している人間なんて皆無だ。例え外国人が個人で持っていたとしても、弾の供給がある。マグマ軍が使うとも思えん)
(ですよね…)
高塚はそう呟いて振り向くと宣言した。
「ただいまをもってデルタ・レコンは一時的に任務解除。2つのタッグを編成し、岐阜市内に潜入する。山本大佐、軍曹と綾波を就けますので片方のタッグの指揮を預けます」
「あぁ、任せてくれ。ただ、戦艦棲鬼を借りるよ」
「私ハドッチデモイイ」
「軍曹、5分後に出発する。手早く準備と装具点検を行え。以上」
「りょ、了解です」
その頃 前線司令部
「さて、緊急の為、軍団長自ら我に指揮権を一時委託されたが…あきつ丸よ、お前はどう思う?」
「市ヶ谷殿や鯖江殿を起こさなかったのは報告が間違いだった時の為の拝借、我らを起こしたのは報告が事実でイザと言う時に対処法をわきまえているが故に…と推察するであります」
「だな。確かにあの女性達は優秀だ。ただ、一事に対して軍の指揮を預けれるかと言えばどんぐりの如き陸自士官だからな」
「あはは…それで、神州丸殿はどうする気でありますか?」
「ふむ…軍団長は御親戚の滝崎少将同様、この類の『匂い』を察知する事に長けている。故に我は今回の一件、8割がた『黒』と見ておる。ならば、その準備をしておけば問題は無い…と考えている」
「なるほど…そうなりますと、せっかくの高塚殿の心遣いも無駄になってしまいますな」
「ふん、戦用意は出来ていても、その意志と気構えが無い集団など雑兵にも劣る烏合の集よ。まあ、自衛隊の場合、その戦用意も現状に合致しておらぬのだから、軍団長の悩みは底知れぬがな」
「あはは……高塚殿も神州丸殿も辛口であります」
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