〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜 作:休日ぐーたら暇人
翌日 司令部テント
「…と、言う話なんですがね」
「なるほど。空挺団も羨ましく思えた訳だ」
課業開始ラッパが鳴り終わると同時に缶コーヒーと数枚の資料を片手にやって来た山本大佐に昨日の空挺団からの要望を話した高塚に山本大佐は頷きながら言った。
「まあ、隣で見せられたら、そうもなりますよ。で、問題はそれを何処から引っ張ってくるか、なんですよ」
「そうだね…現在のロシアも余裕がある訳ではないからね」
「えぇ、まあ、空挺降下後の確保地域に降ろす事にすれば代用は幾らでもあるとは思いますが…どちらにしろ、『何にするか』ですからね」
「わかった。此方も候補を出してみるよ。で、此方の用件を初めていいかね?」
「おっと、すみませんでした。それで、用件はその資料だと思いますが?」
「あぁ、今回は私を通して支援物資の通達だ。まあ、理由は見たら解るよ」
「ありがとうございます……うーん、変わった点は122㎜多連装ロケットランチャーとその弾薬の供給が増えたぐらいかと……ん?」
資料の一番上にあった供給リストの内容を指でなぞりながら確認していた高塚は一番下に『ロシア陸軍正式派遣部隊』の文字を見つけ、顔を上げて山本大佐を見る。
「海軍や空挺軍、空軍が活躍してしまったからね。陸軍としても、となったそうだ」
「なるほど。戦力は…T-90を中心とした戦車、2S19ムスタ-S自走榴弾砲、ツングースカ対空戦車に……うわっ、BMPT! 戦車支援戦闘車『ターミネーター』まで出すんですか!? 実戦試験にはもってこいと」
「うむ。だが、悪くはないだろう?」
「さすがに最新のT-14アルマータは持って来ないですよね~…まあ、戦力が増えるのは歓迎です」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。なお、T-90戦車隊は女性が中心だがね」
「……宣伝を兼ねて、と?」
「その側面はあるが、御飾り部隊と心配する必要はないよ。既に数度の実戦は経験しているし、隊長はやり手な上、彼女の祖父は独ソ戦を生き抜いたお人だ」
「なるほど……わかりました。到着時期が解りましたら、改めてお知らせ下さい」
とにもかくにも、手札増加は歓迎する高塚だった。
戦車隊待機所
「ふ~ふ~ふ~ふ~ん♪」
「おや、これは珍しい光景ですな」
待機所の隅で毛布を拡げ、鼻歌を歌いながら松塚が拳銃の整備するのをあきつ丸が見て声を掛ける。
「お疲れ様です、あきつ丸少佐。いやー、申請していた携帯の拳銃の許可が降りたので整備でも、と」
「なるほど。にしては、かなり年季の入ったリボルバー拳銃でありますな?」
「と言うか、最近よく見ている物ではないか。M1895だな」
「なんじゃ? 呼んだか?」
手を止めずに答える松塚にそれを眺めていたあきつ丸が物を見て疑問を口にする。
更に何処からか現れた神州丸が物を見て、それが見覚えのある物と言うと、これまた何処からか本人であるM1895ナガンが現れた。
「いやー、これが唯一と言っていい祖父の形見でして…これ以外は既に捨てられたりしていますので」
「確か、お祖父様は我らの身内の帝国陸軍だったとか?」
「えぇ、騎兵でしたが部隊改変で戦車兵になりまして…第11戦車連隊で占守島の戦いに参加、捕虜となり、抑留を経て帰って来ました」
「そうか….お祖父様はシベリア抑留体験者か」
神州丸の少し苦い呟きに松塚は軽く言った。
「大佐や少佐は気にしないで下さい。それに祖父達の所は比較的緩い収容所だったそうです。地元民もそうですが、収容所の所長が占守島占領の戦車隊の士官で、好意的に接してくれた為、無事に帰ってこれたそうですから」
「それで、儂を手に入れた話は未だなのか?」
我慢出来ない、とばかりに頬を膨らませて話を促すナガン。
「すみません、すみません。その所長、まあ、当時の祖父と同年代なんですが、まあ、護身用兼友情の証としてくれたんですよ。祖父は好意で返還された14年式拳銃を渡したそうです。帰国後も手紙でやり取りしていたそうなんですが、ソ連崩壊もあって音信不通になった、と」
「なるほど、故に新発田の時はナガン殿を受け入れた訳ですな」
「いやー、お恥ずかしい話ですが、その通りです。まさか、その流れで部品や銃弾の供給が可能となって、こうして使える様になるとは思いませんでしたがね」
そう言って松塚は弾倉シリンダーを眺めながら言った。
「ほぉ、ならば、これは儂の分身の1つとなるの…と言う事で、イチサ~、何か奢るのじゃ!」
ニコニコと笑いながそれを見ていたナガンは言った。
「あー、整備した後でいいなら」
「もちろんじゃ! まあ、整備が完璧かどうか、本体たる儂が確認するからのう」
「な、なるほど…御手柔らかにお願いします」
暫くして 司令部テント
「なるほど、松塚の拳銃にそう言った事があったか」
「申請許可を出したのは高塚殿では無いのですか?」
松塚のM1895ナガンの由来を話したあきつ丸は高塚の反応に疑問を示す。
「まあ、お祖父さんの形見と聞いたから、余り深くつっこまなかったのさ。まあ、何か機会があれば訊くつもりだったし」
「あぁ、なるほどであります」
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