〜りっく☆じあ〜す 『英雄』我道指揮官奮戦ス〜   作:休日ぐーたら暇人

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久々の戦闘回……かな?


72 偵察小隊奮戦ス 前編

翌日 司令部テント

 

 

「ですから、何度も申し上げますが、『東京の早期奪還』は机上の空論な上に、マグマ軍が待ち構えるど真ん中に突撃する事になりますので……いやいや、そもそも、そちらの供給はアメリカやロシアの何十分の一ですよ? 兵員の母数、武器の質量も到底足りていません。これでは援軍として来ている、又はこれから来る外国軍部隊の物笑いのネタにしかなりませんよ?」

 

市ヶ谷や筑波、山本大佐らが居る中で高塚は電話相手に冷静に理性的に話をしている。

そして、暫くして、高塚は溜め息を吐きながら受話器を戻した。

 

 

「……高塚司令、陸幕からなんと?」

 

 

「何時も通り。『何故、東京に向かわないのか?』だよ」

 

市ヶ谷の質問に高塚はやれやれと言いたげに答える。

 

 

「アホかな? いや、アホだったな」

 

 

山本大佐の言葉にその場に居た全員…珍しく市ヶ谷も…が苦笑いを浮かべて肯定する。

 

 

「さて、上の相手はここまでだ。現場も動いているし、我々も移動しよう」

 

 

そう、既に作戦は始まっていた。

 

 

 

 

その頃 富岡市 富岡ゴルフ倶楽部付近

 

 

 

「…………(集まれ)」

 

言葉を発せず、ハンドサインで指揮下の分隊に集合を命じる佐山。

この指示に分隊10名が集まる。

 

 

「すんなりと進めましたね」

 

 

「うん……あれだけ時間があったのだから、防御を固めていてもおかしくないが……今のところ、哨戒すらいないな」

 

佐山率いる一個小隊四十数名は前方斥候の意味合いも込めて分散し、前進していた。

当初、直ぐにマグマ軍防衛ラインに引っ掛かるであろう、と予測していたのだが、(徒歩である事もあり)かなり深く進入したにも関わらず、歩哨の1人にすら遭遇していなかった。

 

 

「マグマ軍は此方に来る事はない、と思っている可能性は?」

 

 

「いや、それはないわ。地図見れば解るだろう?」

 

この現状に分隊同士の問答が始まる。

実のところ、相馬原駐屯地に向かうなら信越線沿いに進み、高崎市に出てから北上するのが早いのである。

しかし、そのルートは途中の安中市近郊で高地と高地の間が狭くなり、ボトルネックの様な場所があった。

対し、安岡市から上信電鉄沿いに東進するルートはボトルネックの様な場所がなく、更に信越線ルートを通る場合と違い背後を気にしなくてよいと言う利点があった。

また、上信電鉄ルートだと東京方面からの援軍と群馬県部隊との接合部である県境から分断できる利点もあった。

だが、これは地図を見れば解る事であり、当然『マグマ軍は様々な事を考えて、防衛ラインや哨戒ラインを設定しているだろう』と思って、佐山も高塚達も動いているのである。

 

 

「とにかく、引き続き周囲を警戒しつつ…」

 

佐山の言葉を遮ったのは……銃声だった。

 

 

 

 

「あー、えー、うー、うーんんん!?」

 

 

「班長! 悩んでないで指示して下さい!!!」

 

分隊指揮官の三等陸曹が困惑する横で分隊員の陸士が半泣き気味に応戦しながら叫ぶ。

事の始まりは簡単で、この分隊の前に突然、中学生らしき少年と武装集団が現れた。

武装集団から逃げてきたと思われる少年に向け、武装集団の1人が

手にしていたAKを向けた。

が、そのAKから銃弾が飛び出す前に同行していたガリルが発砲、そのまま銃撃戦となってしまった。

 

 

「リロード! 7番はカバー! 8番、9番はあの少年の保護! 10番、次の切れ目で8番と9番の援護!!」

 

そんな中、分隊指揮官の三等陸曹を無視し、自分の班(本人含めた5人編成)を必死に指揮する陸士長。

 

 

「へー、結構やるやん」

 

 

「こんな事しか出来ませんので! よーし、8! 9! 行け! 行け!! 残りは援護!!」

 

ガリルの褒めに流す様に答えた陸士長は先ほど示した隊員に突入を指示し、自らを含んだ残りの人員で援護する。

保護役の二人は踞っていた少年を立ち上がらせ、9㎜機関拳銃(改)を交互に乱射しながら分隊隊列まで下がって行く。

そして、その瞬間に最初の銃声を聞き付けた佐山率いる一個分隊が横合いから攻撃を開始し、武装集団は敗走した。

 

 

 

暫くして ゴルフ倶楽部内 クラブハウス

 

 

「なに? 自衛隊の小部隊と接触した、だと?」

 

報告を受けた指揮官は何処か苦々しそうに聞き返す。

 

 

「はい。例の逃走したガキを追跡中に…」

 

 

「で、奴らは? まあ、どうせ退却したんだろう?」

 

 

「い、いえ、ガキを撃とうとしたら、先に撃たれて…撃ち合いに…」

 

 

「はぁ!? 自衛隊が先に撃っただ!? 彼奴ら、頭がおかしくなったのか?」

 

 

「さ、さあ……それで、どうしますか?」

 

部下の問いに指揮官は苦々しそうな顔そのままに答えた。

 

 

「チッ、どうせ、偵察の小部隊だ。ガキを保護して、本隊へ退却したんだろう…それより、早く積載を急がせろ。上からもせっつかれているし、自衛隊が近付いているなら余計だ。それにガキの事は積載している奴らに勘づかれてるだろう? なら、下手に探られる前に終わらせろ。いいな?」

 

 

「はい、わかりました」

 

この時点で彼らはある事を失念していた。

彼らの中では『自衛隊は先に撃てない』の認識で固定したままだった。

つまり、『このまま自衛隊が攻撃してくる』と考えていなかったのが、彼らの運命を決めたのだった。

 

 

 

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