旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話 作:何処でも行方不明
唯依さん星9評価
まままさん星4評価
ありがとうございます!
しかし星1評価もまた増えました……
ゴハァッ!
LP1000→500
「………」
あのレーティングゲームから二日後。
当方は部室でスーツに着替えネクタイを緩めたり締めたりを繰り返していた。
勝てなかった。
二日経った今でもそのことが悔しい。
敗北を糧にして次に勝てればいいが……
「リヴィ先輩、落ち着いたらどうですか」
「……ん、スーツって着慣れなくてね」
レーティングゲームが終わってからイッセーはずっと眠っている。
それこそ死んだように。
早くしないと取り返しがつかないことになるぞ。
「皆様、準備はよろしいですか?」
「……ええ、大丈夫よグレイフィア」
「あ、すいませんグレイフィアさん。イッセーにこれを渡してくれませんか?」
※※※
そして、当方たちはグレモリー家が用意した結婚式会場に転移した。
転移されたのは廊下のようだ。
大きな扉まで一本道で壁には蝋燭がずらりと奥まで並んでいる。
「皆様、こちらでございます」
タキシードを着た執事らしき人が先導し案内をしてくれる。
どうやらグレイフィアさんは旧校舎に残ったようだ。
大きな扉が開かれ大広間に出る。
どうやらここが会場のようだ。
「リアスお嬢様はこちらへ。お連れ様はご自由にパーティをお楽しみください」
きらびやかな内装に包まれた広間は既に何人かの悪魔がいた。
部長と別れ当方たちは1度は別れ悪魔の方々に挨拶を交わした。
そしてその後合流した。
「わかっているわね、3人とも」
「はい、イッセーくんが来たら……ですね」
そして数十分後、ひとつの大声が会場に響いた。
「部長ォォォォォッッ!」
そう、イッセーが来た。
周囲の悪魔の視線はイッセーに注がれている。
イッセーは駒王学園の制服のまま腰には銃の入ったホルスターがある、一見するだけで祝に来たのでないとわかる。
イッセーは胸いっぱいに息を吸いこみ宣言した。
「ここにいる上級悪魔の皆さん!それに部長のお兄さんの魔王さま!俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠です!部長のリアス・グレモリーさまを取り戻しに来ました!」
会場がいっそうガヤガヤと騒がしくなる。
もちろんイッセーはそんなことに構わず部長とライザーの元に歩み寄った。
「おい、貴様!ここがどこだと……」
衛兵らしきものがイッセーを止めようとする。
さて、出番だ。
「《人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ》……まあ恋かどうかは知らないが」
当方たちは衛兵を止めるために衛兵たちに立ちふさがる。
これは前もって決めていたことだ。
イッセーが部長を取り戻すために殴り込みに来たら邪魔するであろう者達を当方たちで足止めする。
「イッセーくん!ここは僕たちに任せて!」
「……遅いです」
「あらあら、やっときたんですね」
皆、思い思いにイッセーに声をかける。
「部長を取り戻すのはお前の役目だ。さっさと行け」
「おう!」
当方とイッセーは拳を互いに合わせそう言葉を交わした。
その後、イッセーはサーゼクスさまのご意向によりライザーと決闘を執り行うことになった。
イッセーが勝った場合は部長を連れ戻すことを許可するとの事。
イッセーはもちろん勝つ気でいる。
策をこうじて来たのだろう。
※※※
会場の中央に急遽作られた空間。
その周囲にある関係者席に当方はいた。他の部員たちと一緒に座っている。
空間の真ん中にはイッセーとライザーが対峙している。
「部長、十秒でケリをつけます」
「……イッセー?」
イッセーの言葉に訝しげな表情を浮かべる部長。
そりゃそうだ。
十秒といえば赤龍帝の篭手でも1回分の倍加しか行われない。
焼き鳥がなにやら言っているが当方は全く聞き耳を持たない。
そろそろスーツ姿であることがムズ痒くなってきた。
欲をいえば戦いたかった。
だが、今回の戦いの主役はイッセー。
当方じゃない。
「プロモーション!《
最強の駒に昇格したイッセー。どうやら最初から全力で戦うらしい。
「部長!俺は木場みたいな剣の才能はありませんッ!朱乃さんみたいな魔力の天才でもなければ、小猫ちゃんみたいな馬鹿力も、アーシアのような治癒の力も、リヴィのような多彩な攻撃手段も持ってません!
それでも最強の《兵士》になりますッ!
あなたのためなら、俺は神様だってぶっ倒してみせますッ!このブーステッド・ギアでッ!俺の唯一の武器でッ!俺はあなたを守ってみせます!」
イッセーはそう部長に誓った。
……これで負けてら笑いものだがイッセーが負けるのとはないだろう。
先程すれ違う時に感じた気配。
今まで感じたことのない異様な気配。
「輝きやがれェェェェェッッ!!オーバーブーストォッ!」
『Welsh Dragon over booster!!!!』
イッセーの籠手の宝玉が赤い閃光を放つ。
そしてイッセーの全身が異様な気配で覆われた。
「……あれが……
神器の全てが到れる可能性、禁手。
当方の騎士の誉もユートの魔剣創造も禁手に至る可能性をもちろん秘めている。
それは持ち主の思いに呼応し進化する神器の奥の手のようなもの。
先日、神器に目覚めたばかりのイッセーが到れるものじゃない。
つまりそれ相応の代価を払って条件付きであることが伺える。
……十秒で倒す……つまり、十秒しかもたないのか?
『
イッセーの神器がカウントを開始した。
※※※
Ⅸ、Ⅷと徐々にカウントが減っていく。
見ている当方でもかなり長い十秒。
イッセーの中ではもっと長く感じているだろう。
『
ライザーの拳をイッセーがクロスカウンターの要領でカウンターを決める。
「そんなもの!効くと……ゴバッ!」
突如、ライザーの口から大量の血が吐き出された。
「十字架!十字架だと!?」
驚愕するライザー。会場にいる悪魔からも悲鳴が上がる。
十字架は悪魔の苦手とするアイテム。
恐らくアーシアから借りていたのだろう。
『
「十字架の効果を
当方はそう結論を出した。
「でもなんで十字架に触れていても無事なのかな?」
ユートはそう呟いた。
「……推測だが、自分の腕を
「けど、そんなことをすれば……」
「イッセーの腕は元には戻らなくなる。けど……」
「それがどうした」
『
当方の言葉を引き継ぐようにイッセーが言う。
「俺みたいな奴の腕一本で部長が戻ってこられるんだぜ?こんな安くて美味い取引はないだろ?」
イッセーはそう言い切った。
イカれている。そうとも取れるイッセーの行動。
だからこそ放てる迷いない一撃。
それが今のイッセーの力だ。
『
「うおおおおおおおおおおぉぉッッ!!」
イッセーの拳とライザーの拳が重なり合う。
赤龍帝の篭手によって高められた聖なる力とフェニックスの炎が正面からぶつかり合い、眩い閃光と凄まじい衝撃を辺りに撒き散らした。
だが、それと同時に異様な気配……ドラゴンの気配は霧散してしまった。
閃光が晴れた時、当方はイッセーの変化に気がついた。
「鎧が…っ!」
まだ十秒は経っていないはずだ!
なぜ鎧が解除されたのか……まさか、基礎能力不足か?
神器の力……特にイッセーの赤龍帝の篭手は持ち主の基礎能力に応じて強くなる傾向にある。
鎧の力を制御できずに安全装置のようなものが働き強制解除されたのか?
ライザーがイッセーの首を絞め持ち上げる。
「《
ライザーは服も体もボロボロだった。
聖なる攻撃はやはり悪魔である以上ライザーにも効力があるみたいだな。
……なら、勝ったも同然だ。
「うるせぇ!鳥なら銃で撃ち落とされな!」
イッセーは手早く腰のホルスターから銀の銃を構えた。
当方がはぐれ悪魔を倒す時によく使う件の銃た。
ここに来る前にグレイフィアさんにイッセーに渡すように頼んだものだ。
銀の銃単体では上級悪魔のライザーには傷をつけることはできない。
だが、イッセーには赤龍帝の篭手がある!
「ブーステッド・ギア!ギフト!」
『Transfer!!!!』
倍増された力が籠手から溢れ出し銀の銃へ収束される。
そして、イッセーは引き金を引いた。
ゴォォォォォ!!
銀の銃からは光弾ではなく極光のレーザーが放たれた。
ライザーはイッセーから手を離すが既に遅い。
極光はライザーを飲み込み吹き飛ばした。
だが、銃も自身のキャパをオーバーした力で放たれた極光により自壊していた。
「があああぁぁぁぁ!!」
痛みによりのたうつライザー。
そんなライザーにイッセーは一歩一歩歩み寄る。
「リヴィはメモでこう書いていた。勝つためには周りを見て全ての物を利用して意地でも諦めるな」
イッセーは床に落ちている十字架を拾い上げた。
「アーシアが言っていた。十字架と聖水は悪魔が苦手だって。それを同時に強化して、同時に使ったら、悪魔は相当なダメージだよな」
イッセーは懐から聖水が入っているであろう瓶を取り出した。
「木場が言っていた。視野を広げてる相手と周囲を見ろと」
『Transfer!!』
「朱乃さんが言っていた。魔力は体の全体を覆うオーラから流れるように集める。意識を集中さへて、魔力の波動を感じればいいと。ああ、ダメな俺でも感じられましたよ、朱乃さん」
イッセーは魔力を集中させ拳を構える。
「小猫ちゃんが言っていた。打撃は体の中心を狙って、的確に抉り込むように打つんだと!」
イッセーは拳の標準を定めた。
「俺に難しいことはわからねぇ。悪魔の未来だとか、純血がどうとかわからねぇ。でもな、おまえに負けて気絶したとき、うっすらとだけ覚えていることがある。
部長が泣いていた。
部長が泣いていたんだ!そして、さっきも泣いていた!俺がてめぇを殴る理由はそれだけで十分だァァーーーッ!!」
ドゴンッッ!!
十字架と聖水付きのイッセーの拳がライザーの腹を正確に抉り込む。
「ガハッ!」
ライザーは血反吐を吐きそのまま床へ前のめりに突っ伏した。
ライザーはその場では二度と立ち上がることはなかった。
※※※
「ちょっと行ってきます!」
当方は我慢せずにイッセーに近寄った。
本来は部長が行くべきだが今のイッセーには肩を貸す相手が必要だろう。
その証拠にイッセーはライザーが立ち上がらないことを確認すると後ろ向きに倒れた。
だが、その表情は笑顔だ。
「お疲れ様、イッセー」
「リヴィか……悪ぃ貰った銃壊しちまった」
「いいさ、別に。立てるか?」
「あぁ……と言いたいが肩を貸してくれねぇか?」
「もちろん」
当方はイッセーを立たせると肩を貸して部長の方へ進む。
間に飛び込む影がひとつ。ライザーの妹だった。
「たっく……文句があるなら後にしろ。今は色々と立て込んでいるんだ」
当方はイライラを隠さずにそう言った。
イッセーはボロボロ。始めに声をかけるべき女性は既に決まっている。
するとライザーの妹は後ずさりきて道を開けた。
……物分りいいじゃん。
「ほら、行けよヒーロー」
こうして
「次で戦闘校舎のフェニックスはエピローグだね」
「……知ってるか?この小説って当方の一人称で進んでいるだ」
「知ってるよ。それがどうしたの?」
「戦闘校舎のフェニックスのエピローグは兵藤家の中で完結してるんだよ」
「「あっ」」
次回
第15話 《聖剣の予感》
「つまり、戦闘校舎のフェニックス編はこれで終わり!」
「アンケート終了だな」