旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話   作:何処でも行方不明

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微妙人さん星4評価
大入不斬さん星9評価
ありがとうございます!

今回もオリキャラでます。結構、強めのやつが。


第21話 《聖魔剣爆誕》

地面ごとフリードの幻影を飲み込む幾つもの激流。

水を生み出し操ることにのみ魔力の才能を費やした。

その結果がこれだ。

極めれば他のこともできるだろうが破壊力と持続性にのみ長けた激流だ。

 

「……ちょっとやりすぎたか?」

 

水はどんどん引いていき、すぐに全てが消え失せた。

運動場には地面に突き刺さったエクスカリバーと水でぐしょぐしょになりエクスカリバーとは遠く離れた場所で倒れているフリードが残った。

 

「ごほぉ!」

 

フリードはどうやら生きているみたいだ。

ヨロヨロと立ち上がり……心臓を見えない何かに貫かれた。

 

「やっと、殺せました」

 

声が聞こえる。

 

「《湖の騎士(ランスロット)》の力を持つ転生者は大幅に魔力を消費したので体力がガタ落ち。エクスカリバー持ちの方はその《湖の騎士(ランスロット)》の一撃ですでにボロボロ。どうやら、好機が回ってきたみたいですね」

 

スーッと足元から実像がはっきりしてくる。

いや、まさか……

カレンか!?

 

「こんばんは、《湖の騎士(ランスロット)》の力を持つ人よ。私の名前は《邪の主》と申します。今は人間の体を借りて挨拶をする無礼をお許しください」

 

その声はカレンだったが、あり方が違った。

声の感じが違うしさらに雰囲気どころか気配まで全くの別人。

カレンは人間の気配があったが今のカレンには全くそのようなものがない。

この気配はなんというか……当方の体にこびり付くドス黒いヘドロのような感じがした。

 

「なぜ、という表情をしてますね」

 

当方の考えを読み取った《邪の主》と言うものが口を開いた。

 

「私はこの人間の中にいた堕天使です。今まではこの人間の所業を見てきましたがその時は終わりました」

 

よく見るとカレンの手にはゼノヴィアが持っているはずである《破壊の聖剣》が握られている。

 

「コカビエルのように私も戦争を望んでいます。その為にはこのエクスカリバーの力は外せません。ですので、使い手を見極めていたのです」

 

そこでカレンは《透明の聖剣》から手を離しドサッと倒れた。

 

「バルパーの実験で一番の因子の適性を見せたのはこの神父。ならば、私はこの肉体を乗っ取り聖剣を統合させるのが道理です」

 

しかし、声は続いた。

今度はフリードの口から声がしている。

《透明の聖剣》を体から引き抜き、手に持つ。

地面に落ちた《破壊の聖剣》を拾い上げ、統合されたエクスカリバーに近寄る。

 

「よく戦いました。その《擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)》は褒美としてあなたに預けたままにしましょう」

 

「なに上から言ってるんだ!」

 

当方は加速し水を纏わした《擬態の聖剣》を構え突撃する。

だが、剣が当たるより先にフリードの背中から生えた五対の翼が当方を貫いた。

 

ような感覚が当方を襲った。当方は気がついたら足を止めていた。

フリードの体は間違いなく人間のものだから翼は生えないなずなのに……

 

「ふむ、即座に力の差を理解しましたか」

 

フリードはいよいよ統合したエクスカリバーを引き抜いた。

 

「それではまた合いましょう《湖の騎士(ランスロット)》の力を持つ人間。次に会うのは戦場だといいですね」

 

「いや、それは御免こうむるね」

 

フリードが三振りのエクスカリバーを持って去ろうとしているところに当方はAMRを構える。

人型のモノに対して銃を撃つのは残念ながら慣れてしまった。

迷わず引き金を弾く。

ズギャン!

けたたましい銃声が辺りに響いた。

フリードの頭部は吹き飛んだ。脳漿が飛び散り誰が見ても明らかなほど絶命している。

弾丸は頭を吹き飛ばした後、校舎に弾痕を作った。

だけど、あの《邪の主》と名乗った存在のこびり付くようなドス黒い気配は消えてない。

フリードの脳漿は黒い泥に変わり、残っていた死体を呑んだ。

ボコボコと音を立て泥が人型になっていく。

大きな泡銭をたて、人型は人になった。

蝋人形のような白い肌に金色の瞳。髪は色素が抜けた金髪。体型は小柄な女性だ。黒いドレスを着こなし、手には黒い剣を握っている。

その黒い剣からはエクスカリバーを束ねたような悪寒を感じる。

擬似悪魔の当方でもかするだけでも致命傷となりかねないもの。

それが今、当方の前にいる人物が持っている。

 

「これが、あの人間の最強の聖剣使いのイメージ……ふざけてますね。体がまだ成長しきっていない少女なんて……」

 

「………」

 

コカビエル並のプレッシャー。そして、聖剣らしきものから放たれる異常な悪寒。

当方は蛇に睨まれた蛙のような感じに体が麻痺したように動かなくなった。

AMRから香る硝煙の匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「それにしても先程はよくも私に銃弾を撃ってくれましたね」

 

ジャリ、ジャリと水の染み込んだ運動場をハイヒールで迫って来るソレは明確な敵意を剥き出しにしていた。

 

「折角、エクスカリバーを錬金術で統合としようとしたものの……私の泥で統合してしまっては完全なものとは言えなくなってしまいます……ですが、これでコカビエルの計画はもうカウントダウンを残すだけになりました」

 

「……なに?」

 

「四本のエクスカリバーが統合されたこの剣の魔力の軛を地面に打ち込み、コカビエルの魔法陣を完成させました。あと二十分ほどでこの町は消失するでしょう」

 

その言葉に応えるように校庭に巨大な魔法陣が出現し光り輝く。

 

「止めたければコカビエルを倒すしかありません。が、今の貴方たちでは赤龍帝の力を使おうともそれは難しいでしょう」

 

その言葉を聞いて当方はほくそ微笑んだ。

まだ、負けちゃいないという事実に、だ。

 

「リヴィ、大丈夫かい?」

 

その時、ユートが暗闇から現れた。それに追従するようにゼノヴィアも現れる。二人の手にはユートの《魔剣創造》で造られたであろう魔剣が握られている。

 

「五体満足かと聞かれたら大丈夫だが、目の前の相手と戦うとなると大丈夫ではないな」

 

「そう返事をする辺り、まだ大丈夫そうだな」

 

当方の言葉にそう言うゼノヴィア。

 

「リアス・グレモリーの《騎士(ナイト)》と《戦車(ルーク)》、共同戦線が生きているのならば、あのエクスカリバーをともに破壊しようじゃないか」

 

「いいのかい?」

 

ユートの問いにゼノヴィアが不敵に笑う。

 

「最悪、私はあのエクスカリバーの核になっている《かけら》を回収できれば問題ない。《邪の主》が使っている以上、あれは聖剣であって、聖剣でない。聖剣とて、普通の武器と同じだ。使うものによって、変わる場合もある。あれは、異形の剣だ」

 

「……その破壊行為、私も混ぜてもらえませんか?」

 

《邪の主》の後から少女が立ち上がり、声を出す。

その体は青白い炎と黒鎧に包まれ、片手に剣、もう片方の手には白髑髏の仮面が握られている。

 

「カレン……もう、大丈夫なのか?」

 

「私の残留思念が残っているのなら立つことすらままならないはずですが?」

 

「……私の体は《邪の主》に乗っ取られていました。でも、今の状態なら大丈夫です。私の力で私の体の中にいる《邪の主》の残留思念に《死》という概念を付与し、殺しました」

 

カレンは白髑髏の仮面を顔につけ剣を構える。

 

「ゼノヴィアさんの《破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)》が奪われたのは私の失態……汚名返上の機会をくれませんか?」

 

カレンの気配が別のモノに……いや、なんというか、形が変わったと言うべきか。今までの気配は危険性を隠そうとするようなもの。今は危険性どころかなにも感じさせない様に気配の流れを一切遮断している。

 

「別に構わないさ。主はそれすらも許す。ならば、私が許さない道理もない」

 

「……《聖剣計画》の生き残りと《暗殺教団》の力を持つ人間、それに《聖剣》の使い手ですか」

 

《邪の主》はそのやり取りを見て呟くように言った。

その声にはどこか面倒なものを感じた。

 

「バルパー、どうやら貴方と因縁があるようですよ」

 

「ふふふ……そうか。それは数奇なものだな。こんな極東の島国で会うことになろうとは。縁を感じるな。ふふふ」

 

嫌な笑い声とともにバルパーが暗闇から姿を現した。

 

「私はな。聖剣が好きなのだよ。それこそ、夢にまで見るほどに。幼少の頃、アーサー王伝説を胸を踊らせながら読んでいたよ。だからこそ自分に聖剣使いの適性が無いと知った時の絶望といったらなかった。自分では使えないからこそ、使える者に憧れを抱いた。その想いは高まり、聖剣を使える者を人工的に創りだす研究に没頭するようになったのだよ。そして、完成した。キミたちのおかげだ」

 

「なに?完成?僕たちを失敗作だと断じて処分したじゃないか」

 

ユートの言葉に憤怒の感情がのっている。

 

「……人工聖剣使いは祝福を受ける時に体に聖剣使いの因子を埋め込まれます。そして、因子を抜かれた者は死に至る」

 

「その通りだ、カレン。君に埋め込めたものは《聖剣計画》の子どもから抜き取ったものだ」

 

バルパーはそう言いながら懐から光り輝く球体を取り出した。眩い光。聖なるオーラが漲っている。

 

「もっとも、フリードとあと一人に使って、今は最後のひとつしか残ってないがね」

 

「……バルパー・ガリレイ。自分の研究、自分の欲望のために、どれだけの命を弄んだんだ……!」

 

ユートの全身が怒りの魔力のオーラで覆われる、凄まじいほどの迫力だ。

 

「ふん、それだけ言うのならば、この因子の結晶は貴様にくれてやる。環境が整えばあとで量産できる段階まで研究は進んでいる。まずはこの町をコカビエル、《邪の主》と共に破壊しよう。あとは世界各地で保管されている伝説の聖剣をかき集めようか。そして、量産された聖剣使いと共に統合されたエクスカリバーを用いて、ミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛けてくれる。私を断罪した愚かな天使どもと信徒どもに私の研究を見せてやるのだよ」

 

それがバルパーと堕天使が手を組んだ理由……、《邪の主》はわからないが少なくともコカビエルは天使を憎んでいる。そして、それはバルパーも同じ。そして、二人とも戦争を望んでいる……とんだはた迷惑な大人達だな!

バルパーは興味をなくしたように持っていた因子の結晶を放り投げた。コロコロと地面を転がり、因子はユートの足元に行き着いた。

ユートは因子を静かにかがみ、手に取った。

哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに、その結晶を撫でていた。

 

「……皆……」

 

ユートの表情は憤怒と悲哀に彩られている。

その時だった。ユートの持つ因子から淡い光が漏れ始める。

光は徐々に広がり、校庭を包むまでに拡散した。

光に覆われた地面の各所からポツポツと光が浮いてきて形を成していく。

それは虚像から実像に変わっていき……ハッキリとした人の形になった。

彼らは……

 

「皆!僕は……僕は!」

 

彼らは聖剣計画に身を投じられた者たち。処分された者たち。

 

「……ずっと……ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていていいのかなって……。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごしていいのかって……」

 

「ユート……」

 

霊魂の少年の一人が口を開いた。声は聞こえなかったが言いたいことはわかった。

 

『自分たちのことはもういい。キミだけでも生きてくれ』

 

そう言うと霊魂たちは口をパクパクとリズミカルに同調させ始めた。

 

「……聖歌です」

 

カレンがそう呟いた。

彼らは聖歌を歌っている。ユートも聖歌を口ずさみだす。その顔は涙で濡れている。

それは、彼らが辛い人体実験の中で得た希望と夢を保ち続けるためモノ。

それは、過酷な生活で知った唯一の生きる糧。

聖歌を歌うユートは幼い子どものような無垢な表情に包まれていた。

 

『僕らは一人ではダメだった』

 

彼らの魂が輝き始めた。

 

『私たちでは聖剣を扱える因子が足りなかっただけ。けど……』

 

その光はユートを中心に眩しくなっていくを

 

『皆が集まれば、きっとだいじょうぶーー』

 

彼らの声がハッキリと聞こえた。

聖歌は本来、悪魔が聞くと苦しみを与える。だが、現在、この校庭が様々な力が入り乱れているからだろうか。

聖歌に苦しみは感じず、温かみを感じる。

友を、同志を思う、暖かなもの……

当方の目にもいつの間にか涙が流れていた。

 

『聖剣を受け入れるんだ』

 

『怖くなんてない』

 

『たとえ、神がいなくとも』

 

『神が見ていなくとも』

 

『僕たちはいつだって』

 

『「ひとつだ」』

 

彼らの魂は天に昇り、ひとつの大きな光となってユートの体を包み込む。

 

「リヴィさん。あれがあなたの目指すべき到達点、そのひとつです」

 

「へ?」

 

神器(セイクリッド・ギア)は所有者の想いを糧に変化と進化を続け強くなっていきます。けれど、それとは別の領域があります。所有者の想いが、願いが、この世界を構成する《流れ》に逆らうほどの劇的な転じ方をした時、神器(セイクリッド・ギア)は昇華されます。それこそが……」

 

闇夜の天を裂く光がユートを祝福しているかのように見える。

 

「《禁手(バランス・ブレイカー)》です」

 

「悪魔として生きる。それが主の願いであり、僕の願いでもあった。それでいいと思った。けれど、エクスカリバーの憎悪と同志の無念だけは忘れられなかった。いや、忘れても良かったんだ。僕には……今、最高の仲間がいるんだ」

 

ユートの想いは解き放たれた。

縛り付ける鎖はもう何も無い。

 

「でも、すべてが終わったわけじゃない。バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、第二、第三の僕たちの生が無視される」

 

「ふん、研究に犠牲はつきものだと昔から言うではないか。ただそれだけのことだぞ?」

 

腐りきってやがるな。

 

「木場ァァァァァ!その二人をぶっ飛ばせェェェェ!!」

 

いつの間にかイッセー、部長、朱乃さん、小猫ちゃんがいた。それぞれにユートに激励を飛ばしている。

 

「お前はリアス・グレモリーの眷属の《騎士(ナイト)》で、俺の仲間だ!俺のダチなんだよ、戦え木場ァァァァァァ!あいつらの想いと魂を無駄にすんなァァァァァッ!」

 

「祐斗!やりなさい!自分で決着をつけるの!エクスカリバーを超えなさい!あなたはリアス・グレモリーの眷属なのだから!私の《騎士》はエクスカリバーごときに負けないわ!」

 

「祐斗くん!信じてますわよ!」

 

「……祐斗先輩!ファイトです!」

 

当方はユートの隣に立ち剣を構え直す。

 

「いけるな、ユート?」

 

「……もちろん」

 

「ならやるぞ。今ここで過去の因縁を振り払え!」

 

「ああ……僕は剣になる」

 

ユートも立ち上がり敵を見据える。

 

「部長、仲間たちの剣となる!今こそ僕の想いに応えてくれッ!魔剣創造(ソード・バース)ッッ!!」

 

ユートの手に魔の力と聖の力、相反する二つが混ざり合う。

神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、《騎士》の手元に一本の剣が現れた。

 

「……禁手(バランス・ブレイカー)双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)》。聖と魔を有する剣の力。その身を持って受け止めるといい」




「さて、本編はユートが覚醒したが……」

「まあ、次回予告のテンションは変わらないよね」

「今回出てきた《邪の主》の見かけはセイバーオルタを参照とのことだ」

「申し訳程度のFate要素やめーや」

次回
第22話 《神の事実と白龍皇》

「次回のキーカードは聖剣かな」

「いや、それ、《月光校庭のエクスカリバー》全体で言えることだから」
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