旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話   作:何処でも行方不明

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asuparaさん星10評価
アリジュンさん星9評価
g08gourxさん星8評価
ありがとうございます!
また星1評価が増えましたが開き直ることにします。
万人受けするとは思ってないので気にしすぎはダメかなと思ったので……
あと、かなり長いです。


第22話 《神の事実と白龍皇》

ユートは聖魔剣を構える。

それに伴い、当方は水の剣を、カレンは大剣を、ゼノヴィアは魔剣を構える。

 

「行くよ、リヴィ」

 

「ああ、思いっきりぶっ飛ばしてやる」

 

再び、魔力の水を纏う。

そしてユートともに、《邪の主》に向かって地を蹴る。

ギィン!

ユートの聖魔剣と《邪の主》のエクスカリバーがぶつかり合う。

その瞬間、当方は《邪の主》の後に周り無防備な背中に水の剣を振るう。

だが、ユートを蹴飛ばし《邪の主》はすぐさま当方に向き直り水の剣を弾く。

 

「その剣……どうやら、一度砕けたものを再利用したエクスカリバーでは少々分が悪いようですね」

 

エクスカリバーから放たれている聖なるオーラをさらに放出させる。

 

「けれど、破壊力ならば同等程度。こちらには《破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)》の力が備わっています。いくら、禁手(バランス・ブレイカー)でも生まれたてでは拮抗するのが精一杯のようですね」

 

「さて、それはどうかな?」

 

ゼノヴィアは右手を宙に広げ言っている。

……なにしてんだ?

 

「少しばかり時間を稼いでくれ、カレン」

 

「わかり……」

 

カレンはゼノヴィアに対して返事をすると青白い炎に包まれ消え……

 

「ました」

 

《邪の主》の背後に現れた。

フリードには殺気がどうとか言われていたが、《邪の主》はカレンが現れるまで気がつく様子は無かった。

 

「くっ!」

 

ギィィィィン!

カレンの大剣とエクスカリバーが火花を散らす。

 

「規格外の力と素養、貴方は何者なんですか?」

 

「カレンです。それ以下でもそれ以上の存在ではありません。では……首を出せ」

 

カレンは再度姿を消す。

《邪の主》はカレンを探そうと辺りを見回す。

だが、そんなことはさせない。

 

「はぁぁぁ!」

 

「やぁぁぁ!」

 

当方とユートが同時に斬り掛かる。

《邪の主》はエクスカリバーを横に構え当方とユートの攻撃を防ぐ。

 

「さすがに防ぐか!」

 

「けど、肉薄してるならやりようはある!」

 

当方は水を増大させ刃を大きくする。

そして、力任せに押し付ける。

《戦車》の力の見せどころだ!

 

「転生悪魔の《戦車(ルーク)》の特性は馬鹿力でしたね……」

 

さすがに単純な力なら負けるのだろうか。

《破壊の聖剣》の力が破壊力に振られていて助かった。

これがもし、筋力などに振られていたら負けていただろうな。

 

「……我は解放する。デュランダル!」

 

《邪の主》との鍔迫り合いを繰り広げている中、先程から何かを呟いていたゼノヴィアがエクスカリバーとは別の聖剣……デュランダルを手に握っていた。

 

「デュランダルだと!?」

 

「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!」

 

バルパーばかりか、コカビエルも驚きを隠せていなかった。

 

「残念。私はもともと聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたにすぎない」

 

ゼノヴィアは魔剣を放り投げ、両手でデュランダルを構えた。

なにやらバルパーとゼノヴィアの間に会話があるようだが、今の当方にそちらに意識を割く余裕はない。

魔力も残り少ない、倒すなら早めにしてほしいところだ。

 

「デュランダル……私の技量でもどうにもできませんね」

 

《邪の主》はエクスカリバーのオーラを増幅させている。フリードの時よりも濃く大きいオーラだ。

だが、ゼノヴィアのデュランダルはそれに負けていない。

折れてしまい、元のエクスカリバーの4/7しか集まっていないエクスカリバーよりも、デュランダルの方が武器としてのランクが上ということか。

 

「!!邪魔です!」

 

当方たちを弾き飛ばし、真後ろにエクスカリバーを薙ぐ《邪の主》。

姿を消しているカレンに対してエクスカリバーを振るっているのだろうな。

 

「畳み掛けるぞ!」

 

「「了解!」」

 

もちろん、その隙を見逃す当方たちじゃない。

三方向から攻め込ませてもらう。

ガキィン!

当方の水の剣をエクスカリバーの柄頭で撃ち軌道を逸らす。

ザシュ!

ユートの聖魔剣は当方の逸れた剣筋を巻き込まみ水の刃ごと《邪の主》の腕を叩き斬った。

 

「その剣は片手で触れるほど軽くないぞ」

 

ゼノヴィアのデュランダルは《邪の主》がエクスカリバーを盾にして防ごうとするが容易く折られ《邪の主》は後退する。

 

「……わかってますよ」

 

片手を飛ばされ、エクスカリバーも刃が半ばほどで折れている。

 

「はぁぁぁ!」

 

ユートは追撃を仕掛ける。もちろん、《邪の主》は折られているエクスカリバーで受けようとするが……

バキィィィン!

儚い金属音とともにエクスカリバーが《邪の主》の手から離れ宙に舞う。

宙に舞ったエクスカリバーは地面に着地すると同時にその身を砕かれた。

 

「エクスカリバーが折られた以上、この戦いは意味がありません。私は撤退させてもらいますよ。コカビエル」

 

そういい、辺りに黒い泥を撒き散らして《邪の主》は去っていった。

 

「……見ていてくれたかい?僕の力は、エクスカリバーを超えたよ」

 

ユートの声でひとつの因縁にようやく、ピリオドが打たれた。

 

※※※

 

ようやく戦闘が終わった。

そのせいか、今まで保っていた《完全解放》が解かれ、久々に顔が外気に触れた。

体力はまだまだ余裕があるが、如何せん魔力が心もとない。エリクサーとかあったら飲むぐらいには減っている。

だが、ユートの因縁の根源。バルパー・ガリレイはまだ生きている。

それを絶たなければ悲劇は続く。

なにやらぶつくさ言ってるバルパーに拳銃を向ける。

 

「リヴィ、僕にやらせてくれるかい?」

 

「……わかった。だが、妙な動きをしたら容赦なく撃つからな」

 

「ありがとう。さて、バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」

 

ユートは聖魔剣をバルパーに向け、切りこもうとする。

これですべてに決着がつく。

 

「……そうか!わかったぞ!聖と魔、それらをつかさどる存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく!つまり、魔王だけでなく、神も」

 

ズンッ。

なにかの思考に達したバルパーの胸部を光の槍が貫いた。

バルパーは血の塊を吐き出し絶命した。

当方は光の槍が飛来した方向に銃を向ける。

そこにいたのはもちろん、宙に浮かぶコカビエルだ。

 

「バルパー。おまえは優秀だったよ。そこに思考が至ったのも優れているがゆえだろうな。だがな、俺はおまえがいなくても別にいいんだ。最初から一人でやれる」

 

コカビエルは嘲笑っている。やはり、思考が幼稚だな。

飽きたら捨てる。そんな風に感じた。

 

「ハハハハ!カァーハッハッハハハハハハハッ!」

 

コカビエルは哄笑を上げ、地に足をつける。

圧倒的な重圧。

凄まじいまでの自信とオーラをまといながら、堕天使の幹部はついに当方たちの前に立つ。不敵な笑みを浮かべ、彼は言った。

 

「限界まで赤龍帝の力を上げて、誰かに譲渡しろ」

 

全く、自信に溢れたふざけた言葉だ。

その言葉を受けた部長は激昂し、コカビエルはまた笑った。

 

「リアスさんの魔力が放たれたら、突撃します」

 

当方の背後に突如現れたカレンがそう言った。

 

「わかった」

 

イッセーの話によると倍増の限界に到達するのは数分かかる。……数分と言えば、最大で9分だ。つまり……

9×6=54、つまり倍増は二の五十六乗、関数電卓で計算しようものなら7.21×十の十六乗とかになる。

ざっと7京ほど……

さすがに部長とかに譲渡したら吹き飛ぶんじゃないか?

これが5分と考えても1073741824倍だ。約11億倍。

訳が分からない。

 

「きた!」

 

そこで赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の倍増が止まったようでイッセーは部長に力を譲渡した。

譲渡された力により部長の紅い魔力のオーラが膨れ上がる。

絶大な魔力の波を肌にピリピリ感じた。

部長の手の中には既に強大な力が生まれている。

しかし、戦闘狂(コカビエル)

 

「フハハハハハ!いいぞ!その魔力の波!俺に伝わる力の波動は最上級悪魔の魔力だ!もう少しで魔王クラスの魔力だぞ、リアス・グレモリー!おまえも兄に負けず劣らずの才に恵まれているようだな!」

 

心底嬉しそうに堕天使の幹部は笑っている。

 

「消し飛べェェェェェェッッ!!」

 

部長の手から、最大級の魔力の塊が滅びの力を帯びて撃ち出される。

ゴォォォォォオオオオオオンッッ!

地の底まで響き渡るような振動を周囲に撒き散らし、強大な一撃がコカビエルに向かっていく。

コカビエルはその一撃を両手を突き出し、迎え撃とうとしている。

 

「おもしろい!おもしろいぞ、魔王の妹よ!」

 

コカビエルの両手に堕天使のオーラの源である光力が集まっていく。

 

「ぬぅぅぅううううううううんッッ!」

 

コカビエルは部長の一撃を真正面から受ける。

部長の一撃が、徐々に勢いを殺され、カタチも崩されていく。

ここまでくると、もはや当方たち人間……いや、厳密には人間ではないが、の力量なんて塵芥に等しいものだろう。

コカビエルは魔力を受け止め続ける。無傷ではないが、それでも先程の一撃で仕留めきれなかったのは当方の精神にダメージを負わせた。

部長は肩で激しく息をしている。あれほどの一撃……もう一度放つまでの時間と魔力があるかどうか……

 

「はぁぁぁ!」

 

「ふぅん!」

 

その空気を払拭するようにカレンが大剣をコカビエルに振るった。

コカビエルは翼で大剣ごとカレンを弾き飛ばした。

 

「雷よ!」

 

朱乃さんもコカビエルに天雷を向けるがそれすらもコカビエルの翼のはばたきで消滅する。

 

「俺の邪魔をするか、バラキエルの娘と暗殺教団の小娘よ!」

 

「……!」

 

「私をあの者の娘と呼ぶな!」

 

朱乃さんは雷を連発、カレンはその雷の間を縫うようにコカビエルに肉薄しもう一度攻撃を試みるが、どちらも翼で薙ぎ払われてしまう。

 

「くそ!」

 

当方もマシンガンをやぶれかぶれで撃つが雷とコカビエルの翼に阻まれ一つも直撃しない。

部長の魔力を完全に消滅させたコカビエルは哄笑を再びあげた。

 

「悪魔に堕ちるとはな!ハハハ!まったく、愉快な眷属を持っているな、リアス・グレモリーよ!赤龍帝、禁手(バランス・ブレイカー)に至った聖剣計画の成れの果て、《湖の騎士(ランスロット)》の力を宿した小僧にバラキエルの娘!おまえも兄に負けず劣らずのゲテモノ好きのようだ!」

 

「兄の……我らが魔王への暴言は許さないっ!何よりも私の下僕への侮辱は万死に値するわっ!」

 

「ならば滅ぼしてみろ!魔王の妹!《赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)》の飼い主!紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)よ!おまえが対峙してるのは、貴様ら悪魔にとって長年の宿敵なのだぞ!?これを好機と見なければ……」

 

「もちろん、好機と見てますよ。少なくとも、私は」

 

カレンはコカビエルが喋っている途中で斬り掛かる。

空気を読む気が全くない。殺意満点だな。

 

「同時にしかけるぞ」

 

ゼノヴィアの言葉を聞き、当方とユートは駆け出す。

コカビエルにつくまでに今一度《騎士の誉》を完全解放する。

始めに斬りかかったのはゼノヴィア。コカビエルは光の剣を手に作り出し、片手で迎え撃つ。

 

「フン!デュランダルか!一度壊れたエクスカリバーと違い、こちらの輝きは本物か!しかぁぁぁし!」

 

「……ッッ!」

 

ブゥゥゥン!と空気が震え、耳鳴りが襲う。

コカビエルが空いている手から波動を放ち、ゼノヴィアの体を宙に浮かせ彼女の腹部に蹴りを入れる。

 

「が!」

 

苦悶の声を発し、ゼノヴィアが吹っ飛んでくる。

当方はゼノヴィアと目を交わすと手にハンマーを作成した。

 

「まだだ!」

 

「コカビエル、僕の聖魔剣であなたを滅ぼす!もう誰も失う訳にはいかないんだ!」

 

「おうともさ!」

 

当方はゼノヴィア目がけてハンマーを振る。ゼノヴィアは空中で反転しハンマーの面に足を載せそのままの勢いで突撃する。

 

「ほう!聖剣と聖魔剣の同時攻撃か!」

 

「まだ、当方のエクスカリバーもあるぞ!」

 

《擬態の聖剣》をムチのように扱い当方も攻撃に参加する。もちろん、刃は水で覆われている。

だが、コカビエルはもう片方の手に光の剣を生み出し三本の剣の攻撃をさばいていく!

剣の技量もやはりあちらが上か!

 

「そこ!」

 

「はぁぁ!」

 

小猫ちゃんとカレンがコカビエルの後方から攻撃を仕掛けるが……

 

「甘いわ!」

 

黒い翼が鋭い刃物と化し、小猫ちゃんとカレンの体を斬り刻んだ。地面に叩きつけられ二人の体は鮮血を吹き出していた。

 

「小猫ちゃん!カレンさん!」

 

「ほら、余所見は死ぬぞ!」

 

ギィィィン!

 

「そんなこと、百も承知だ!」

 

続けざまに攻撃を行うが、コカビエルに有効打はまだ与えられていない。

ドンッ!

コカビエルの全身から吹き出した衝撃波に当方たちはなす術なく、吹き飛ばされる。

当方の集中力が切れ完全解放が解除されてしまう。体力もそろそろ限界が見えてきた。ということか?

それにユートとゼノヴィアも肩で息をしている。

……勝てない。少なくとも、このままでは。

堕天使の幹部…これ程までに……っと!

ネガティブなことは考えるな!当方の武器は全て神器に依存している。マイナス思考になれば不利になる!

 

「コカビエル!まだだ!」

 

「当方の残りカス、貰っていけ!」

 

「ハハハ!まだ来るか!いいぞ、来い!」

 

ハイドロブラストを放つ、残った魔力を全てぶつけているが……

 

『Transfer!!』

 

突如、当方の力が溢れる。これが赤龍帝の篭手による力の譲渡……みなぎる力を全て叩き込む!

ザバァァァァァァン!!

《擬態の聖剣》により増えた激流が力の譲渡でさらに加速する。

 

「やれぇぇ!二人ともぉぉぉ!!」

 

ユートは聖魔剣でコカビエルを囲い、当方は聖魔剣ごとコカビエルに激流をけしかける。

 

「やるな……しかぁし!」

 

コカビエルの十の翼が重ねられ剣のような形になり、激流も聖魔剣を砕く。

ダメージが少量入ってはいるが……

 

「……!」

 

当方の方は完全に魔力と体力が尽き、騎士の誉が解除され地に膝をつけてしまう。

赤龍帝の篭手による能力の倍加。当方の残っていた体力が全て持っていかれた。

この場にいる全員が肩で息をしている。

その殆どが絶望的な表情を浮かべていた。

殆どだ。

当方はニヤリと口角を歪め立ち上がる。

まだ、生きている。

尽くせる手はある。

ここで膝をついていても状況は好転しない。

そう考え己を奮い立たせる。

 

「やめろ、リヴィエール」

 

当方の隣にいるゼノヴィアが止める。

たしかに当方の手に握られている《擬態の聖剣》の切っ先は地面についており、当方も例に漏れず肩で息をするほど消耗している。

 

「うる……さ……」

 

そこで始めて消耗している段階を自覚した。

声が殆ど出ていない。考えたら今日の夕暮れから殆ど戦いっぱなしだ。

 

「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、おまえたち神の信者と悪魔はよく戦う」

 

突然、コカビエルは謎の言動を発し始めた。

 

「……どういうこと?」

 

部長は怪訝そうな口調で訊く。

 

「フハハ、フハハハハハハハハハ!そうだったな!そうだった!おまえたち下々まであれの真相は語られていなかったな!なら、ついでだ。教えてやるよ。先の三つどもえ戦争で四大魔王だけじゃなく、神も死んだのさ」

 

神も……死んだ?

なら、アーシアやゼノヴィア、イリナが祈りを捧げていたのはなんだ?なにに捧げていたんだ?

 

「知らなくて当然だ。神が死んだなどと、誰に言える?」

 

コカビエルは話し出した。

この世界の真実を。

神はすでにおらず、戦争の被害は甚大。

神がいない今、天使は増えることは難しい。

悪魔も大半が滅びたので純血種は希少だ。

 

「……ウソだ。……ウソだ」

 

ゼノヴィアが力なく項垂れる。

だが、当方はどこか納得していた。

聖女と呼ばれたアーシアがなんで異端として追放されたのか。

なぜ、エクスカリバーの使い手となるべく育てられたユートの同僚達が殺されなければならなかったのか。

そして……当方たち転生者が輪廻転生の枠にはまっていないのに関わらず生きていけているのか。

全てが神がいないとなると納得のいくものばかりだ。

アーシアに奇跡を与える神がいないから切り捨てるしかなかった。

神がいないからユートの同僚達は祝福を受けることができずに殺された。

神がいないから転生者は何事もなく生きていけるのだと。

厳密には三つとも違うのかも知れない。当方はそこまで神にも宗教にも詳しくないからな。

ただ……

 

「……主はいないのですか?主は…死んでいる?では、私たちに与えられる愛は……」

 

今の当方には神がいないせいで不条理に人生を歩んできた者達がいる、その事実だけが呑み込めた。

 

「俺は戦争を始める、これを機に!おまえたちの首を土産に!俺だけでもあの時の続きをしてやる!我ら堕天使こそが最強なのだとサーゼクスにもミカエルにも見せつけてやる!」

 

コカビエルはルシファーにミカエル、聖書に記された偉大な存在を相手にして戦争をしようとしている。

それだけの力は有している。

……そもそも、立つステージが違ったのか。

それでも、

 

「それでも、諦める道理にはならない!」

 

当方は立ち上がり、《騎士の誉》を起動させる。

第一解放だが、それだけでも充分だ。

当方の神器の性能は奪った武器に依存する部分が大きい。

 

「ふざけんな!お前の勝手な言い分で俺の町を、俺の仲間を、部長を、アーシアを消されてたまるかッッ!それに俺はハーレム王になるんだぜ、てめえに俺の計画を邪魔されちゃこまるんだよ!」

 

……うわぁ。と言っておこう。

うん、それしか言葉が見当たらない。

イッセー……カッコつけてるつもりなんだけど、まだまだ三枚目っぽいぞ。

 

「当方はまだ、目標が決まってないんでね。それすらも見つからずに殺されるのは嫌だな」

 

当方はイッセーの()()に負けじとデザートイーグルを構える。

 

「赤龍帝はハーレムを、湖の騎士は目標がお望みか。ならば、俺と共にくるか?赤龍帝には行く先々美女を、湖の騎士には……」

 

「いるものか、そんなもの。他人に与えられた目標なんか達成して何が楽しい」

 

コカビエルの甘言を一蹴する。

さすがにイッセーでもそんな言葉にはつられないだろうな。

 

「………」

 

「……おい、イッセー」

 

イッセーはその場で硬直していた。

 

「そ、そんな甘い言葉で俺を懐柔できると思ったら間違いだぜ」

 

なら、さっきの間はなんだ!?

 

「イッセー!もう!よだれを拭きなさい!あなたどうしてこんなときまで!」

 

部長が怒るのも無理ないな……

 

「す、すみません。どうにもハーレムって言葉に弱くて……」

 

「そんなに女の子がいいなら、この場から生きて帰ったら私がいろいろとしてあげるわよ!」

 

「マジですか!?じゃ、じゃあ、おっぱいを吸ったり!」

 

「ええ!それで勝てるならお安いものだわ」

 

カァァァァァァァァァァッッ!

赤龍帝の篭手の宝玉からとてつもない輝きが放たれていた。

それでいいのか赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)!?

 

「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁあああ!部長の乳首を吸うため、やられてもらうぜ、コカビエル!」

 

「……なんか、いつものイッセーだな……決めたよ。とりあえず、上級悪魔になんて考えるのはやめだ。当方は当方が住む日常を守る。そのために戦争なんて考えるお前はぶちのめす!」

 

バッシィィィイ!!

デザートイーグルにとてつもない量の線が走る。

デザートイーグルの形は変わっていき、どんどん変形していく。

イッセーの赤龍帝の篭手はスケベ根性、

当方の騎士の誉は目標を達成するための気概に呼応して力を発揮しようとしている。

体が脈動していく。

先程からドクンドクンも心音に似たなにかがうるさい。

新しい力に目覚める予兆だろうか?

バキィィィン!

砕ける音ともにデザートイーグルが、騎士の誉が形を変えた。

禁手ではないが、大きく成長した。

騎士の誉の形状が大きく変わっていた。今までは鎧だったのが大型のガントレットに変わり、デザートイーグルはその形をゲームで見るようなブレードライフルに変えている。

ガントレットの肘部と手の甲に当たる部分にはイッセーの赤龍帝の篭手のような宝玉が埋まっている。まあ、宝玉の色は赤だが。

騎士の誉の枠組みから外れた何かに変わった。

そう、感じた。

 

「……湖の騎士が目的が定まったことで力を得るのはまあいい。女の乳首を吸う想いだけで力を解き放つ赤龍帝は初めてだ。……なんだ、お前らは?どこの誰だ?」

 

コカビエルも溜息をつきながら言う。

この時だけコカビエルと考えが一致したと思う。

 

「リアス・グレモリー眷属の《兵士(ポーン)》!兵藤一誠!」

 

「同じく、リアス・グレモリー眷属の《戦車(ルーク)》、リヴィエール・A・ハルトマンだ」

 

「覚えとけコカビエル!俺はエロと熱血で生きるブーステッド・ギアの宿主さ!」

 

「……まあ、当方は湖の騎士とかどうとか言われてもわからないが……名前だけは覚えた方がいいぞ、コカビエル。今からお前を倒すんだからな!」

 

ブレードライフルを構えそう宣言する。

先程までの絶望感が漂っていた周囲が、イッセーのおかげで全員に活力を与えていた。

底抜けのバカらしさ。

そんなイッセーだから周りから距離を置かれていた(殆ど当方の自業自得)当方の友達になってくれたんだと

そう感じた。

部長も朱乃さんもユートも小猫ちゃんも満身創痍だがコカビエルに立ち向かう姿勢になっている。

まだ戦える。

まだ負けたわけじゃない。

そう、まだ勝てないわけじゃない!

全員の気持ちがひとつになった。そう、その時だった。

 

「ふふふ、面白いな」

 

空から突然声が聞こえた。

この場にいる誰でもない。

鎧か何かで防がれたくぐもった声。

空に目を向けると……

ぞっ……

全身を駆け抜ける言いようのない緊張感と恐怖……それと高揚感。

圧倒的な存在、絶望的なまでの力量差を振りまきながら白い閃光が降ってきた。

カッ!

それは闇の世界を切り裂きながら舞い降りた。

当方たちの眼前には白が映った。

闇の中でもほんの少しの曇を見せない白きもの。

白き全身鎧。体の各所に宝玉が埋め込まれ顔までも鎧に包まれている。

背中から生える8枚の光の翼は、闇夜を切り裂き、神々しいまでの輝きを発している。

見覚えがある。色とカタチは違うが似ている……

赤龍帝の鎧(ブーステッド・スケイルメイル)》にそっくりだった。

つまりあれがカレンの話にあった……

 

「《白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)》……《白い龍(バニンシング・ドラゴン)》!」

 

当方はそう口に出していた。

美しくも同時に恐れを感じる。

イッセーの赤龍帝の篭手に惹かれやってきたのか?

 

「《神の子を見張る者(グリゴリ)》幹部コカビエル。お前をアザゼルの名のもとに連れ帰る」

 

「……赤に惹かれたか。《白い龍(バニシング・ドラゴン)》よ。邪魔立ては」

 

ザシュ!

コカビエルが言葉を言い終える前に奴の翼が宙を舞う。

その刹那、奴の背から血が吹き出す。

 

「まるでカラスの羽だ。薄汚い色をしているな」

 

「き、貴様!俺の羽をっ!」

 

翼をもがれコカビエルは怒り狂う。だが、《白い龍》はため息をついた。

 

「……どうせ堕ちたのだから飛ぶ必要もないというのに……まだ飛ぶつもりか?」

 

「ダマレェェェェ!!」

 

コカビエルは空に無数の光の槍を出現させるが…

《白い龍》は動じずにはっきりと口にした。

 

「我が名はアルビオン」

 

『Divide!』

 

音声が聞こえ、コカビエルを覆っていたオーラが一気に減少する。

 

「我が神器(セイクリッド・ギア)の能力の一つ。触れた者の力を十秒ごとに半分にさせ、その力を我が糧にする。時間はないぞ?早くこちらを倒さねば、人間にすら勝てなくなる」

 

そうして《白い龍》によるコカビエルへの蹂躙が始まった。




「当方の神器の新しい力は?」

「残念だけど《白い龍》に出番取られたね」

「うそん」

「……ドンマイだなリヴィ」

「うそん」

「あと、次回で三巻分終わるね」

「うそん」

「あと、作者はまだペルソナQ2買えてないみたいだな」

「あ、それはどうだっていい」

次回
第23話 《目覚めただけの力》

「作者が遠回しに当方を煽ってくる……!」

「堪えろ、機会は次巻分できっとある」
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