旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話 作:何処でも行方不明
「……泳いでないのにすごく疲れた気分だ」
当方は一悶着の後、校庭の方へイッセーと歩いていた。
とりあえず今はゼノヴィアと距離を置きたい。
「いいじゃねえか。眼福だったろ?」
「なにも見てない。見たら何か起こりそうだからな」
顔を青ざめてイッセーの冷やかしにそう返す。
昇降口から校舎に出ようとするが……
コカビエルの時に感じた気配を感じた。
つまり、それは《白い龍》
校門の方にはその気配の持ち主であろう銀髪の少年がいた。
「………」
イッセーは《白い龍》の方向をホケーと見ている。
気がついてないのか?
ジャキと騎士の誉を具現化しガンブレードを取り出す。
「お、おいリヴィ!さすがにいきなり銃で狙うのは……」
「あれは《白龍皇》だ。気付けよ」
既にガンブレードの照準は《白い龍》に向けている。
この距離なら魔力で強化されたガンブレードは《白い龍》が禁手になるよりも早く撃ち抜けるだろう。
「ほう……さすがは《
ヴァーリと名乗った《白い龍》は笑顔でそう言った。
「要件はなんだ?まさか、ここでドンパチしようってわけじゃないだろう?」
「ふふ……そうだな。例えば、ここで兵藤一誠に対し魔術的なものをかけたり」
ヴァーリがイッセーに向かって手を伸ばそうとする。
だが、もちろん当方はそれを許さない。
バキュン!
発砲音と共にガンブレードから弾丸が吐き出される。
次の瞬間、ヴァーリの首元には二つの刃が突きつけられていた。
「何をするつもりかわからないけど、冗談がすぎるんじゃないかな?」
刃のひとつはユートの聖魔剣。
「ここで赤龍帝との決戦を始めさせるわけにはいかないな、白龍皇」
もう片方はゼノヴィアのデュランダルだ。
二人ともドスの効いた声音でヴァーリを迎える。
「やめておいた方がいい。手が震えてるじゃないか」
「………」
「誇っていい。相手との実力差がわかるのは、強い証拠だ。俺とキミたちとの間には決定的なほどの差がある。コカビエルごときに勝てなかったキミたちでは、俺には勝てないよ。最も、そこにいる《
クククと笑いながらヴァーリはさらに話す。
「兵藤一誠、リヴィエール、キミたちは自分が何番目に強いと思う?」
……強さ……とりあえず、その強さが腕っ節を指すものなら当方はグレモリー眷属ではアーシアと通常状態のイッセーよりかは上、ユート、ゼノヴィアとは同等かそれ以上、朱乃さん、禁手状態のイッセーには負ける。と言ったところか。
「リヴィエールはどうやら自分がどれほどの腕か理解しているようだね。もし仮にキミの神器が
真意がイマイチわからないのだが?
「何が言いたい?」
「キミたちは貴重な存在だと言うことだよ。十分に育てた方がいい、リアス・グレモリー」
そこで部長の気配が当方の後に現れた。どちらかというと、当方が今気がついた。と言った方が適当だがな。
「白龍皇、何のつもりかしら?あなたが堕天使と繋がりを持っているのなら、必要以上の接触は……」
「《二天龍》と関わった者はろくな生き方をしていない。あなたはどうなるんだろうな?」
「ーっ!」
ヴァーリの言葉に部長は言葉を詰まらせた。
文脈から考えるとイッセーに関して……か。
「今日は別に戦いに来たわけじゃない。ちょっと先日訪れた学舎を見たかっただけだ。アザゼルの付き添いで来日していてね、ただの退屈しのぎだよ。じゃあね」
ヴァーリはそう言うと踵を返してこの場をあとにした。
緊張の糸は張り詰めたままだ。当方たちは武装を解除したが、まだピリピリとした雰囲気が漂っていた。
※※※
ヴァーリが駒王学園に来るというサプライズがあったがとりあえず、当方とゼノヴィアは我が家に帰ってきた。
扉を開け、家の中に上がる。足元を見ると普段は見慣れない靴が一組……
「おや?リヴィに……話にあったゼノヴィアさんかな?おかえり」
どうやら父が帰ってきたようだ。
「ただいま、父さん。帰ってくるのは明日の午前じゃなかった?」
「予定を早めて。ニーナから聞くところによると家族が増えたそうじゃないか。はじめましてゼノヴィアさん。私がこの家の一応の家主、相川哲也……いや、哲也・A・ハルトマンと名乗った方がいいのかな?」
※※※
そんなこんなでハルトマン家+αで夕餉を過ごし、すこしした後。
「さて!ゼノヴィアちゃんは私と稽古よ。三十分後に道場に来てね」
「わかりましたニーナさん」
母とゼノヴィアは稽古に行き、当方は父とリビングに残った。
父は湯呑みに入れられた茶を飲み干し当方に向き直った。
「さて、ニーナがいう風にはやっと力を使い出したみたいだね」
「……力?」
「確かセイクリッド・ギアだったか。リヴィの中に宿る黒鎧の事だよ」
なんで父も
「なんで?って顔をしてるね。それはもちろん、私も神器持ちだからさ。と言っても、取るに足らない矮小な力しか持たないものだがね」
「そうなんだ……」
初めて知ったよ、そんなこと。今日は驚きが連続してるな。
「どんな力なの?」
「簡単に言えば、子に記憶の一部と技術を遺伝させるセイクリッド・ギアさ。それのおかげで私の知られたくない部分がリヴィは無意識で知っていることになったけどね」
「???」
「ゼノヴィアさんに席を外してもらったのはね。今の内に話しておきたいからだ。リヴィ、君は自分のことを転生者だと思っている。違うかい?」
「……は?」
当方は父の言葉に唖然とするしかなかった。
そのことを知っているのは同じ転生者であるカレンぐらいのはず……
「でも、事実は違う。君は私とニーナの正真正銘実の子で前世なんてものはない。君の中にある前世の記憶は私の前世の記憶だ」
「……待って、全く意味がわからないんだけど?」
「つまり、私が転生者だと言うことだよ。君には遺伝で記憶が引き継がれただけ。あの龍が言うには転生者には必ず《特典》と呼ばれるものを貰うらしい。けどリヴィ、君が持っているのはただの《
《特典》……たしか、カレンの髑髏鎧は《特典》だと言っていたな。
「なら、父さんにはその《特典》というものはあるのか?」
「ああ。私の特典は《幸せに生きる運命》だ」
「《幸せに生きる運命》?」
ソレはいったいどういう特典なんだ?
「ハハ、まあこの《特典》は人によって受け取り方が変わってくるからね」
「??」
「記憶の一部が引き継がれているからわかるだろうけど、前世の私は事故で死んだようでね。龍に願ったのは天寿を全うして幸せの中で死ぬことなんだ」
「死ぬ前提の願いって……」
「まあ、あの時の私は文字通り死んでたからね。ハッハッハッ」
笑っちゃっていいのだろうか?
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その時、道場の方からゼノヴィアの悲鳴が聞こえた。
恐らく……というか、十中八九、母のスパルタ稽古による悲鳴だろう。
いつもはあの悲鳴と同じタイミングで当方の叫び声も出るので客観的に聞くことはなかったが、第三者の視点で聞いてみると事件性のありそうな叫び声だな。
それでも女性が「ひぎゃぁ!」なんて叫び声を上げるのはどうかと思うが。
「ゼノヴィアさんの悲鳴が聞こえてきたからこれで終わりにしようか」
「いまいちよくわかってないんだけど……」
「今はそれでいい。直にわかるさ」
父はそれだけ言うと席を立ち、道場の方へ歩いていってしまった。
「……当方の家族って変な人ばかりだな……当方含めて」
※※※
ということがあって参観日当日。
今日の授業参観はソーナ会長のお姉さんであるレヴィアタン様もご覧になるそうで。悪魔のトップであらせられる魔王様がまさかのお二人もいらっしゃるのだ。
そそうのないようにしないと……
だが……
「いい、ゼノヴィアちゃん。参観日っていうのはね。自分の親にいかに自分が他の生徒より優れているかを親に示す。いわば品評会みたいなものなのよ」
「ふむふむ……なるほど。では、他の生徒より私が有用であることを証明すればいいんですね」
「そうよ〜?」
母はゼノヴィアに変な入れ知恵してるし……
「フィルムよし……カメラよし……一生に一度きりだからね。準備は万端にしないと……」
父は親バカを発揮しようとしてるし……というか、昨日、あれだけ深刻な話をしたとは思えない切り替えっぷりだ。
「じゃあ、行ってきます。ゼノヴィアも早く行くぞ」
「ん?ああ。行ってきます。ニーナさん、テツヤさん」
「タイトル詐欺してんじゃねーよ」
「やー、ほんとだね。というか、設定段階で決まっていたんだからタイトルももう少し捻ればいいものの」
「この時の当方はまだ半信半疑だったけどな」
次回
第27話 《もう一人の
「とりあえず、参観日はスキップするらしいぞ」
「授業内容が考えつかないそうだね……」