旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話 作:何処でも行方不明
参観日は矢の如く早く終わった。
といっても、刺激的なことが多くて体感的に早く終わっただけだ。
部長のお父上もいらっしゃっていた。
以前、焼き鳥パーティでお会いしたことはあるが現当主がこうも簡単に来てもいいのだろうか?
それはそれとして。
魔王レヴィアタン様もいらっしゃっていた。
魔法少女の装いで……
頭がどうにかなりそうだった。
普段着とかスーツとかじゃ断じてない
魔王様の恐ろしいところ(笑)の片鱗を味わったよ……
やはり魔王様たちはプライベートはものすごく軽いみたいだな。
認めたくは無いが。
ともかく、参観日も特にハプニングはあったが無事終わり。
時間帯は翌日の放課後。
当方たちは旧校舎一階の《開かずの教室》に来ていた。
部員全員があつまっている。
部長の説明ではここにもう一人の《僧侶》が引きこもっているらしい。
ユートや小猫ちゃんからどういう人物かは聞いている。
名前はギャスパー・ヴラディ。人間と吸血鬼のハーフで《
駒王学園高等部一年の男性。何故か女装をしておりかなり似合っているらしい。
パソコンを介した契約を行っており、グレモリー眷属一番の稼ぎ頭。ちなみにグレモリー眷属最下位はイッセーで次点でアーシア、その次は僅差で当方だ。
ついでに言うと、パソコンを介してはコミュニケーションを取れるので一度、trpgの卓を囲ったことがある。始めてのtrpg、楽しかった。買ったものの使わなかったルールブックやサプリメントが文字通り山のようにあるからな……
それはさておき。
時間停止なんていう強力な神器が故に制御が難しく、ギャスパー男児はそれが原因で悪魔の上層部から封印されていたが、先の数々の戦いで部長に扱えるほどの能力が備わったと認定。封印を解除するらしい。
が……
『外に行きたくない!人に会いたくないぃぃぃぃっ!』
うん、知ってた。
※※※
「《
イッセーの問に部長が頷いた。
「そう。それがギャスパーの持っている
「時間を停めるって、それ、反則に近い力じゃないですか?」
「ええ、そうね。でもあなたの倍加も、白龍皇の半減、それにリヴィの強奪も反則級なのよ?」
おっと。当方のも反則級だったか。
まあ、武器を持っているのなら奪ってしまえばある程度は弱体化できるし……だからといって勝てるという話ではないがな。
「問題はそれを扱えないところ。リヴィも一応は経験あるのじゃないかしら?」
「ええ、まあ……幼い頃は箸やフォークがいきなり黒くなったり、いきなり消えたものでかなり狼狽えましたよ」
あまり思い出したくはない。特に小学校低学年の時に蹴ったサッカーボールが消えた日はボールを無くしたと思って半泣きになったぐらいだ。
「しかし、そんな強力な
「《
「ミューテーション・ピース?」
「確か、明らかに駒を複数使うであろう転生体が、ひとつの駒消費で済んでしまう現象を起こす駒でしたっけ?」
イッセーの言葉に当方はそう付け加えた。
「そうよ。部長はその駒を有していたのです」
と朱乃さんが付け加えた。
「だいたい上位悪魔の十人に一人ぐらいは持っているよ。《
「つまり部長はレアな駒をギャスパーに使った。ってことか?」
「そうなるね」
「ただ。当方としてはその件のギャスパーから変な気配をビンビン感じるんですけどね」
当方がそういうと部長が口を開いた。
「それはギャスパーがデイウォーカーという特殊な吸血鬼の血を引いてるからじゃないかしら?リヴィは確か、まだデイウォーカーとは遭遇したことはないわよね?」
「まあ……そうですが」
「最近、気配感知の才能が開花したのかしら?リヴィの感知能力は魔力で強化してないにも関わらず、一級品ね」
「そういえば、デイウォーカーってなんです?」
そこでイッセーが再び疑問符を口にした。
「なんでも日中でも普通に活動できる吸血鬼らしい。まあそれでも太陽は苦手みたいだぞ」
「へぇ……」
「ついでに言うと。ギャスパーくんはハーフだからそこまで血に飢えている訳じゃないから。十日に一度、輸血用の血液を補充したら問題ないよ。ギャスパーくん自体が血液苦手らしいけど……」
「血、嫌いですぅぅぅぅ!生臭いのダメェェェェェ!レバーも嫌いですぅぅぅ!」
「意外と好き嫌いが多いな……」
「……へたれヴァンパイア」
「うわぁぁぁぁん!小猫ちゃんがいじめるぅぅぅぅ!」
一年生どうし、小猫ちゃんはギャスパー男児に対して容赦しないらしい。……イッセーにも容赦ないような……ま、気のせいだろ。
「とにかく、私が戻ってくるまでの間だけでも、イッセー、リヴィ、アーシア、小猫、ゼノヴィア、あなたたちにギャスパーの教育を頼むわ。間違えてもニーナさんの所には連れていかないこと。私と朱乃は三すくみトップ会議の会場打ち合わせをしてくるから。それと祐斗、お兄さまがあなたの
「はい、部長」
※※※
ということがあり。
当方たちはギャスパー(男児付けはやめようと思う)を鍛えるためにとりあえずは旧校舎を出た。
と言っても……
「ほら、走れ。デイウォーカーなら日中でも走れるはずだよ」
「ヒィィィィッ!デュランダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇぇッ!」
「おっかないな」
「リヴィさんもそういいながら発砲しないでぇぇぇ!」
ゼノヴィアのデュランダルからブゥゥゥゥンッ!という危険な音と共に放たれる聖なるオーラと当方のガンブレードから放たれる水で形成された銃弾が逃げるギャスパーを襲う。
当てるつもりは元よりないし、銃弾は校舎を傷つけないようにするために着弾しても濡れる程度だ。
ギャスパーには聖水だと説明してるがな。
このようになったのは当方とゼノヴィアで「健全な精神は健全な肉体から」という考えになったので精神よりも先に肉体を鍛えることにした。
少々スパルタだが、母に比べたらまだまだ甘いから問題ないだろう。
ちなみに当方たちの後方には何故か小猫ちゃんがニンニクを持ってギャスパーを追いかけている。
「……ギャーくん、ニンニク食べれば健康になれる」
ああなるほど、ギャスパーを弄りたかったのか。
「ひゃぁぁぁ!小猫ちゃんが僕をいじめるぅぅぅ!」
どうでもいいことだが第三者視点からは
噂の留学生と2年のイケメン2柱の1人と高等部のマスコットが女学生を追い回している、だ。
何をしてるか他の人からはわかんないだろうな。
イッセーは遭遇したサジと何やら会話しているご様子。
詐欺がどうとか言ってるな。理解に苦しむとも言ってる。
その時、異様な気配を感じた。
コカビエルを越える迫力と敵意が一切感じられない。
……イッセーの言っていたアザゼルだろうか?
可能性として一番妥当そうな感じがする。
もっとも、今ここで事を荒らげる意味は無いだろうから……
「よー、赤龍帝。あの夜以来だ」
軽い。予想してたけど軽い。
「ひょ、兵藤、アザゼルって!」
「マジだよ、匙。俺はこいつと何度か接触を……って、あれ?」
アザゼルはイッセーを無視して当方の方に近寄ってきた。
「おぉ……それが進化した《
とアザゼルは白い盾のようなものをどこからともなく取り出し手渡してきた。
「えっと……」
「そいつは《
「えと……ありがとうございます?」
「おう。礼を素直に言えるやつは好きだぜ?ああ、それと……」
アザゼルはギャスパーとサジの神器についてアドバイスをし去っていった。
一体なんなんだ?まるで嵐のようだったな……
「ランスロットはランスロットでもランスロット・アル○オンじゃねーか」
「人工
「ここで、リヴィの
神器
状態変化系
武器という概念に発動し、奪取し自身の
「………」
「………」
「「充分チートじゃね?」」
次回
第28話 《龍殺しの聖剣と騎士の剣》
「次回もリヴィ強化回だね」
「まだ武装増えるのかよ……」
「リヴィエール・A・ハルトマン。ドラゴンワールド。武装騎竜」
「おいコラやめろ!」