旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話 作:何処でも行方不明
それと、今回のサブタイの意味は全くありません。
「なぜ、こんな貴重なものを当方たちに?特にジュワユーズはルーブル美術館で展示されているんじゃ……」
「ルーブル美術館で展示されているジュワユーズは贋作です。これは失われた正真正銘本物のジュワユーズです」
「へ、へぇ……」
「なぜ、ということですが。私は今度の会談は三大勢力が手を取り合う大きな機会だと思っているのですよ。あなた方はすでに神の真実を知っています。ですので言ってしまいますが、神がお亡くなりになり、悪魔の旧魔王たちは全員戦死、堕天使の幹部たちは沈黙し、アザゼルは戦争を起こしたくないと建前上は口にしています。これは好機なのですよ。無駄な争いを無くすためのチャンスなのです。このまま小規模の争いが断続的に続けば、いずれ三大勢力は滅ぶ。そうでなくとも、横合いから他の勢力が攻め込んでくるかも知れません」
他の勢力……ほかの神話体系のことか?
北欧神話はまだしもギリシャ神話のテュポーンとか来たらやばそうだな……
「その二振りの聖剣は私から悪魔サイドへのプレゼントです。もちろん、堕天使側にも贈り物をしました。悪魔側からも噂の聖魔剣を数本いただきましたし、こちらとしてもありがたい限りなのですよ。聞くところによるとリヴィエールくんは堕天使側から贈り物を受け取ったそうなので、和平はうまく結べると思います」
そうなのかなぁ……あのアザゼルっていう人、どうもいらないものを当方に押し付けてきたような……
イッセーは……めちゃくちゃ疑問符出してるよ……
「過去、我々が敵対した《
「は、はい……でも、なんで俺に?」
「一度だけ三大勢力が手を取り合ったことがあったのです。それは赤と白の龍を倒した時です。我々の戦争に乱入してきた2匹のドラゴンは戦場を乱しに乱してくれましたから。あの時のように再び手を取り合うことを願って、赤龍帝に願をかけたのですよ。日本的でしょう?」
この人?も少しどこかズレてらっしゃるのか?
もしくは皮肉だな。
イッセーは聖剣を触れるのが怖いのか腕は伸ばしているが聖剣を掴んでいない。
「その剣はこの神社で最終調整をしました。魔王さま、アザゼルさま、ミカエルさまの各陣営の術式を施していますので、悪魔でもドラゴンの力を宿していれば触れますわ」
へぇ……そんな調整をしたのか。
イッセーはそこでやっと聖剣を手に取った。
「さて、リヴィエールくんにはこの《ジュワユーズ》をわたします。これも悪魔側に対するプレゼントです。リヴィエールくんは円卓の騎士最強の《
「……ありがたく頂戴します」
そう言いながら当方は久々に《
……そう言えば、《擬態の聖剣》も色変わってなかったな。武器としてのランクが高いと色は変わらないのか?
「ジュワユーズは柄頭に聖槍の穂先が埋め込まれ、デュランダルと同じ素材で鍛えられています。聖剣としての質はデュランダルと同等かそれ以上でしょう。特殊な力として《輝剣》の召喚などがあります」
「はい……だいたいわかりました」
当方の武器となったので使い方は理解できた。
ただ実行できるかどうかは別だ。また特訓だな。
カッ!
辺りに赤い閃光が走る。
「マジで合体しやがった……」
「おお……」
閃光の発生源であるイッセーの赤龍帝の篭手を見ると甲の先端から刃が生えていた。神器と聖剣が統合したんだな。
ミカエルさんはそれを確認すると手をポンと叩いた。
「と、時間です。そろそろ私は行かねばなりません」
さすが天使側のトップのうちの1人。忙しいんだろうな。
「あ、あの、俺、あなたに言いたいことがあるんです」
「会談の席か、会談後に聞きましょう。必ず聞きます。ご安心を」
ミカエルさんはそれだけ言うと全身を光で包み、一瞬の閃光とともに消え去った。
「……当方も帰りますね。早くジュワユーズになれないと」
「そうか……ゆっくりして行かないのか?」
「実は今日、ゼノヴィアと自主特訓の日なんだ。母さんも家にいなくてね。早く帰らないとゼノヴィアが少し不貞腐れる。全く…そんな性格じゃないだろうに。真顔でしても怖いだけだ……」
当方はそう言うと本殿を出て石階段を降りていく。
カツカツと音が聞こえる。
この時考えていたのは、ミカエルさんが言っていた
《来るであろう戦乱》
というキーワードだった。
※※※
さて、家に帰ってきてゼノヴィアと道場で向き合っている。
そこでひとつ思いついたことがある。
「実はさっき、ジュワユーズを貰った。性能を試してみたいんだが……いいか?」
「ああ、わかった。じゃあ、私もデュランダルを使わせて貰おう。ジュワユーズとの軽い撃ち合いならデュランダルでないと釣り合わないだろうからね」
「ああ助かる」
こうして当方とゼノヴィアはそれぞれが所持している聖剣を構える。
「まずは簡単なステップと切り払いからだな」
「来い!」
タンッ!
床を蹴り加速する。
ジュワユーズには持ち主の基礎能力を上げる効果もあるようだ。いつもより体が数段軽く、スピードのギアも上がりやすい。
キィン!
ジュワユーズとデュランダルがぶつかり合う。
ジュワユーズはデュランダルと違い、技能派が扱う聖剣のようだ。力よりも技がいる。
一度距離を取る。
「じゃあ、次行くぞ。《輝剣》と言うのを試したい」
「わかった。私はどうすればいい?」
「そうだな。一度《輝剣》だけで攻撃するからそれを防いでみてくれ」
当方はそう言うとジュワユーズの剣先をゼノヴィアから外す。
そして、《輝剣》を呼び出す。
「輝剣よ」
当方の左右に並ぶように計四本の輝剣が現れる。
一応騎士の誉で触れ、当方の武器にしておく。
「行くぞ」
輝剣をゼノヴィアにけしかける。
なんか、とある作品のロングレンジ兵装だな。
と考えていた。
※※※
「ふぅ……良い汗かいたな」
「だね。聖剣同士の撃ち合いがあれほど白熱するとは……私はまだまだ《女》よりも《戦士》みたいだ」
「別に《戦士》でもいいだろ。それがゼノヴィアなんだし。無理に変える必要性はないだろ」
当方たちはそんな会話をしながらリビングに向かう。
そして、当方はリビングの机に置かれていたメモを見る。
『今日は帰ってこれそうにありません。多分、一週間ぐらいは家を空けると思います。リヴィとゼノヴィアちゃんは特訓に集中していたからメモを残すことにしました。食費とかはリヴィの口座に振り込んでおくので好きに使ってください。というか、リヴィはもうちょっとお小遣いとか使ってもいいのよ?それと、親がいないからってあんまりエッチなことはしちゃダメよ?避妊するならいいけど』
ビリィ
最後の方だけ破りくしゃくしゃにしてゴミ箱に放り込む。あの部分をゼノヴィアに読まれたら何をされるかわかったもんじゃない。勘弁してくれ。
「なんて書いてあったんだ?」
「母さんが一週間は帰ってこれないらしい。一週間ほど二人暮らしだな」
「そうか……確かニーナさんは親がいない時が狙い目だと……」
「なにが!?」
大丈夫?色々とヤバそうな気がするんだけど……
「早くお風呂に入ってしまおう。汗を流さないと風邪ひくぞ?」
当方は強引に話題を変えようとする。
「いや、お湯がもったいないし一緒に入ってしまおう」
「……はい?」
その後、十分間の交渉でお風呂を一緒に入るのは諦めてもらった。
その代わり……
「あの広い部屋を一人で寝るのはまだ慣れないんだ。一緒に寝ていいかい?」
「……それぐらいならいいが……ゼノヴィアは寝相は…」
「悪かったがニーナさんに矯正された」
「そうかい……」
何故か同衾することになりました。
「一夜一時の幻と言えども、此処に我は楔を穿つ!伝説よ蘇れ、我が剣に彼らの力を!
「宝具乙」
「アロンダイトだけど、そう言えば、ローランの歌ではアロンダイトが名前を変えた剣が登場するらしいよ」
「へぇ……どんな名前なんだ……」
「えっとね……オ、オートクレール……」
次回
第30話 《トップ会議 開催》
「つまり、あのオートクレールは……」
「アロンダイトが何らかの形で■■■■■の手から奪取されて、洗礼などをへて聖剣オートクレールとしてなった可能性があると……」