旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話   作:何処でも行方不明

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え?禁手化するのが適当すぎるって?
いえ、元からリヴィはちょっとしたところで禁手化する予定でした。
……まあ、駄文目立ちますが。
それに、〇〇〇も重要な人間が生物であると言える重要な欲求だと思います(ネタバレになるので一部伏字)


第40話 《彼方より繋がる幻想の物語(ファンタズマ・フィックスト・ミソロジー)

特訓終了日

当方はグレモリー本邸に戻るために道を歩いていた。

何かが飛来する音が聞こえたので後を振り返るとイッセーを山に連れていったドラゴンがグレモリー本邸から飛び去っていった。

なお、今の当方の格好は片目だけ包帯でぐるぐる巻きにされている上に包帯にはびっしりと治癒のルーンが刻まれている。……というか右半身にものすごい数のルーンを書かれている。疲れを癒すのと魔力を回復するもの。それに念の為にグレモリー本邸まで迷わないようにするルーンもあるとか。あの人、ルーンと言えばなんでもありか。

グレモリー本邸前につくと見知った気配が二つ感じたので声をかけた。

 

「祐斗にイッセー、もう帰っていたのか」

 

1人は上半身裸で下半身にボロボロになったジャージを来ているイッセー。もう1人はイッセーほどではないにせよボロボロになったジャージを着ている祐斗だ。

 

「リヴィか。そっちはどうだった……って、なんだそれ?」

 

「これか?ルーンだ。グリンガムさんに色々と刻まれてな。特に片目は治りかけだから重点的にやられた」

 

「リヴィは……魔力の質が変わったね。やっぱり龍神の力を解放したから?」

 

「そんなところだな。……出来れば今はその話はやめてくれ。左目が痛む」

 

「……中二病か?思春期は過ぎただろ?」

 

「違う!」

 

その時、当方の背中にはドスンと何かが被さる感触がした。まあ、ゼノヴィアが近くにいることは感じれたからおそらくゼノヴィアだ。

 

「おー、3人とも久しぶりだな」

 

「そうだな。とりあえず背中から離れてくれ」

 

「すこしこのままでいさせてくれ。治りが早い気がする」

 

「治りって……イッセー、ゼノヴィアどんな格好してる?」

 

「どんなって……ミイラ女」

 

「失敬な。私は永久保存される気は無いぞ?」

 

「そういう意味じゃねぇ!」

 

「全身包帯グルグル巻ってことだよ。どうしてこうなったの?」

 

「修行して怪我して包帯巻いて、修行して怪我して包帯巻いてを繰り返したらこうなった」

 

「それにしても3人ともオーラが濃くなったな。ゼノヴィアは静かで厚みがあるように感じるし、祐斗は質が向上してる。イッセーは竜の気配が強くなったな」

 

「そういうお前は二週間前とは全然違う感じだな」

 

「色々あったのさ。目玉が吹き飛んだり、高速で落下したり、目玉が吹き飛んだり……」

 

「言いながら顔が青くなってるぞ!大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫だ。早く入るとしないか?」

 

そんな時、城門からこれまた見知った気配が出てくる。

 

「イッセーさん!リヴィさん、木場さん、ゼノヴィアさんも!」

 

アーシアだ。アーシアもアーシアで魔力の流れが清らかになっている……気がする。

その後、アーシアはイッセーの上半身を見て赤面したり、イッセーは現れたリアス姉さんに抱きついたりしてたが外出組全員が揃い、特訓の報告をすることになった。

 

※※※

 

当方の心臓を貫く赤い槍。

普通の悪魔では絶命する一撃。

だが当方は本能でその一撃を甘んじて受け止めた。

死ぬわけにはいかない。

槍を即座に奪取、魂に取り込み治癒を始める。

 

「早すぎる……」

 

グリンガムさんはそう言うと飛び退き両手に赤い槍を出現させた。

その頃には心臓の治癒を終えていた。血は出続けているが……グリンガムさんが達人でよかった。最低限の動き、最低限の必殺しか放っていなかったからこそ心臓とその表面の治癒だけで命を繋ぎ止めることができた。

けれど、先程のをもう一度放たれると間違いなく絶命する。

変革が訪れなければ間違いなく死ぬ。

生まれてからの付き合いの騎士の力と龍神の力。

当方の神器、《騎士の誉》はすでに亜種になっておりその力は強奪と………なんだ?

強奪と……融合?連結?合体?

どれもちがう……

当方の神器の本懐……それは

 

「強奪と……昇華だ!」

 

魔力を束ねジュワユーズを昇華させる。柄に埋め込まれているロンギヌスの穂先をも取り込み新たな神器としてその力を増大させる。

神をも殺す一振りの聖剣。

すべてを断ち切る聖帝の剣。

 

「ガアアァァァァァァァッ!!」

 

完成させる。何としても。

龍神の魔力で暴れる魔力を抑え込みジュワユーズに昇華を施す。

荒れ狂う風とのたうち回る水。

その全てを1つの剣に集約させる。

人の世の常を超えて、ルールを壊し、有り得ざるものを作り出す。

全ての武器を繋げ新たな幻想を物語として確立させる。

本来は容認されない一品。

神がいないからこそ神が想定していない武具を昇華によって生成する。

風が止み、水は静けさを取り戻す。

その中心には一振りの輝くフランベルジェ。

 

「……《王勇指し示(ゲッターデメルング・エ)す黄昏の剣(クリプス・ジュワユーズ)》」

 

神々しい光を放つ剣を手に取り軽く振るう。

まるで重たい鈍器が振り回されるような音ともに重々しい風が発生した。

 

「至ったのかい?」

 

「……はい」

 

当方がグリンガムさん程の強者に勝とうと思うと生半可な覚悟では太刀打ちできない。

しかし、当方はこう考えた。

生き残ってやる。

そう純粋に。

生き残るためなら何であろうが利用する。

何があっても生き残ってやる。

そう考えた瞬間、何かがなだれ込むように当方の頭に入っていった。

当方の神器《騎士の誉(ナイト・オブ・オーナー)》の亜種禁手、その名も

 

「《彼方より繋がる幻想の物語(ファンタズマ・フィックスト・ミソロジー)》溜め込んだ神器を掛け合わせ禁手(バランスブレイカー)へと昇華させる禁手(バランスブレイカー)。有り得ないものを作り出す力。それが当方の目覚めた騎士の力」

 

きっかけは些細なことだった。

でもそれでいいんだ。人が変わるのなんていつも簡単でそして些細なことだったんだ。

当方が握ればそれがどんなものであろうと神をも殺す武具となる。

暴風と水流を操り神器を振るう半龍神の騎士。それが当方だ。

 

「……にしても特訓開始一日目で至るか……嬉しい誤算だな」

 

グリンガムさんはそう言うと槍をすべて消した。

 

「羽化寸前だったってことかな。これは今後の特訓メニューを見直さないとね……」

 

そこからは龍神の力に慣れつつ禁手を長時間維持させる訓練になった。

祐斗と同じ訓練になりつつあると感じた。

当方の禁手は発動にはそこまで時間を有するものではない。むしろ一瞬だ。

龍神としての力を解放したからかフィジカルなどもかなり上がって禁手を解放したままの状態だとすでに1日は持つようになった。……まあ、それ以外何もせずだが。

龍神の力も理解を深め前から使っていた水はもちろん、風も自在に操れるようになった。

一度気になったので禁手状態で完全解放を行ってみたが発動したのはなにもせずにいて3時間だけ。しかもごっそりと体力を持っていかれた。

それに龍神の力(治癒能力や風の力など)を振るうためにはいちいち片目を何らかの手段で潰すのが面倒だ。

目を潰すのはグリンガムさんに申告すると、頭の中でキーワードを思い浮かべると片目が潰れるようになった。

キーワードは《単眼解放》

これを唱えると左目に刻まれたルーン文字が反応し左目が破裂する。

なお、《両眼回帰》と唱えると治癒の力が目に集まり数秒で人間に戻れる。

……グリンガムさん曰く、半龍神になっている時は竜種と神性の特性を得てるからその手の武器に気をつけることと言われた。

 

※※※

 

「以上が当方の特訓の成果です」

 

当方は特訓内容をすべて報告し終える。ちなみに報告会はイッセーの部屋で行われている。

 

禁手(バランスブレイカー)に至ったか。まさか《生き残る》って単純な欲求だけで至るとは……リヴィ、お前もなかなかにおかしいぞ」

 

「そうなんですか?」

 

個人的にはイッセーの方がもっととんでもない理由で至りそうな気がする。

 

「それに、奪取した武器を融合し《禁手(バランスブレイカー)》として扱う《禁手(バランスブレイカー)》……規格外もいいところだな。色々試したんだろ?」

 

「ええ、まあ。銀の銃を禁手化(バランスブレイク)させてモノは光の弾丸ではなく、誘導式の光のビームを放つようになってましたし、威力や弾速も段違いでした。フラッシュグレネードは目を閉じ、腕でガードしていても網膜が焼き尽くされるほどの光を放ちました。使い所を間違えるとこちらにも被害が出ます」

 

「だが、それも教えこまれたんだろう?」

 

「ええ、まあ」

 

「なら大丈夫だな。次、イッセー」

 

そこで先生との会話も終わりイッセーの特訓を聞くことになった。

……ここではとりあえず、ほとんどのメンバーが軽く引くようなD4Cなものだったとしておく。

 

※※※

 

その日の夜。

就寝時間なのだが、当方は一時期家でしていたようにゼノヴィアと同衾することになっている。ゼノヴィアは広いベッドは落ち着かないらしく、当方の寝床に潜り込んでいる。

当方は左手を下にして眠る癖がある。そして、ゼノヴィアは右手を下にして眠るようにしている。

つまり、眠る時は向き合うことになる。

 

「……眠れないのか、リヴィ」

 

「そりゃ……女子と対面してると眠気より湧き出るものがある。それにゼノヴィアもなかなか寝付けないだろ?」

 

「……家の時に何回かして慣れたつもりでいたけど、男と寝るのはやっぱりまだ慣れないんだ。性的な意味でなくとも緊張する……」

 

思い切った言動なのにこういう所で奥手か。

……まあ、気持ちはわからなくもない。

 

「年頃の男女が同じ部屋で寝るというってことはそういうことなんだろ。イッセーは慣れていそうであるが」

 

「たしかに、イッセーは慣れているだろうね」

 

くくくと笑うゼノヴィア。そんなゼノヴィアにつられて当方も少し笑ってしまう。

笑い声が収まった頃にゼノヴィアが当方の顔を真っ直ぐ見つめ問いかける。

 

「なあ、リヴィ」

 

「ん?」

 

「リヴィは私のことをどう思っているんだ?」

 

「ゼノヴィアのこと……か」

 

同じ家に住んでいる修行仲間……なにか違うな。

眷属仲間と言うのも違う。どう答えればいいか……

 

「一番近くにいる異性かな。流石に子作りとは行かないが、多分恋人関係になるとしたら今のゼノヴィア並に距離が近い人になると思う」

 

当方はそう答えるとゼノヴィアの反応をみる。

 

「………」

 

ゼノヴィアは無言だったが口を少し開き、当方の唇と自身の唇を合わせる。

 

「ふふ、嬉しいことを言ってくれる。初めての口付けもこれからの口付けも全部リヴィに捧げたくなるよ」

 

「おまっ……」

 

こうして当方たちの夜は更けていった。




「はい、これリヴィの禁手(バランスブレイカー)の設定の一部ね」

「えっと、なになに?」

彼方より繋がる幻想の物語(ファンタズマ・フィックスト・ミソロジー)
騎士の誉(ナイト・オブ・オーナー)》の亜種禁手。
元々、《騎士の誉》になかった奪取した武器の昇華を禁手化したもの。
その昇華はどのような武器でも世界の流れに歯向かう意志の力《禁手(バランスブレイカー)》へと至らせる。
リヴィは作中ではジュワユーズとジュワユーズの柄頭に埋め込まれた神滅具の槍の穂先を融合、昇華し
現存する全ての聖剣をはるかに超える聖剣
王勇指し示(ゲッターデメルング・エ)す黄昏の剣(クリプス・ジュワユーズ)
を生み出している。
Fate風に言うなれば
奪取した武器をランクEX相当の宝具に昇華するようなもの。
なお、今後様々な禁手をリヴィは扱うようになる。

「なんだこの《ボクガカンガエタサイキョウノバランスブレイカ-》」

「ちなみに、この禁手は作者が《そういえば、ランスロットがパクった宝具って真名解放できるのかな?》という疑問から生まれてるよ」

「クソほどどーでもいい情報をありがとう」

次回
第41話 《黒猫と白猫》

「ちなみに、今回。本来ならゼノヴィア告白イベントを入れるつもりだったらしいよ」

「時期相応ではないと感じたので取りやめになったそうな。というか、それって初回プロットの話じゃ……」

「それじゃあ、アンケートとりまーす。

リヴィが一番初めにくっつくなら誰がいい?」

  • ゼノヴィア
  • 小猫
  • イリナ
  • ロスヴァイセ
  • ソーナ

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