旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話   作:何処でも行方不明

46 / 52
コンパス始めました。
天地乖離す開闢の星掃除機でまとめてヒーロー奈落に叩き落とすの楽しいです


天生輪廻のセカンドライフ
第45話 《本来のハルトマン家》


当方は今、久しぶりの我が家にいる。記憶がいまだ偽物のと本物のが混在してるので気分がぐちゃぐちゃだ。

懐かしいと思う反面、寂しいとも思う。わけがわからん。

そして、誰かに早く会いたいと思ってしまっている自分がいた。

誰のことかは見当すら付かない、顔を見たら思い出すのだろうか?

 

「どうした?入らないのか?」

 

当方の様子を訝しげに思ったゼノヴィアが顔を覗き込みそう言う。いや、距離が近い。明らかに白音に対抗意識を燃やしている。

 

「いや、入るが…」

 

懐かしいようなどこか遠い気配がする。

引き戸に手をかけガララと開ける。

 

「あら?リヴィにゼノヴィアちゃん、白音ちゃん、おかえりなさい」

「ただいまです、ニーナさん」

「…母さん、何か見知った気配がするんだが」

「気のせいじゃないわよ。哲也さんもあの子もいるんだし」

「あの子?」

 

記憶を探ろうにも、どうやら姉さんのところにいる時も年に数回は父や母の元に通っていたらしく、それが元々あった記憶と混濁している。なので、その時のことを言われると正直なところうろ覚えどころの話ではないのだ。

 

「まだ思い出せ切れてないの?」

「…思い出す?」

「私にとってはその方が都合いいんですけどね」

「白音ちゃんはそうでしょうね」

「……ええ、あーちゃんのことを覚えていないとなると私にとってもゼノヴィア先輩にとっても都合がいいですけどね」

「あーちゃん?誰だそれ?」

「何にせよ、会えばわかるわよ」

「?」

 

とりあえず家に入ることにした。

 

※※※

 

「ここはサッと手元を返すんです」

「……こう?」

「そうです。イリナさんは上手ですね」

「えへへ〜……リヴィくんに出せるまでには上達するかな?」

 

久々の我が家、母に厨房に通されたらさっき顔を思い出した割烹着を着た幼女と数ヶ月前に共闘した少女がエプロンをつけご飯を作っていた。

 

「あ、おかえりなさいリヴィくんにゼノヴィア」

「なぜイリナがここにいるんだ?」

「あれ?聞いてない?私もこの家にお世話になることにしたのよ」

「ミカエルくんからのお願いでね」

 

おっと?ミカエルさんも君付けで呼ぶのか母よ。

無礼講とかいうレベルじゃない……

 

「……にしても二人も増えたのか」

「………………」

「なんだ?」

「お母さん、腐れ兄さんがまだ私のことお思い出してません」

「え?お兄さん?」

「いやね。妹のことを忘れるなんてひどいじゃない」

「え?」

 

この女の子が?髪色……は確かに母譲りの白い髪に末端に当方の白部分と同じように黒いメッシュが入っている。

まるで当方の反転バージョンの髪色だ。

そして顔はソーナさんに似ている。まあ、写真で見せてもらった中学時代のソーナさんだけど。

 

「はぁ、自己紹介が必要ですね。私は彩南・A・ハルトマン。リヴィ兄さんの妹だよ。久しぶり、ざっと2年ぶりだね」

「……?」

 

……?

いや、兄妹……いたの?

初耳……だと思う。うん。

 

「あんなにドラマチックに私を助けてくれたのに忘れたんですか?」

「正直に言うと覚えてません」

「そこは嘘でも『覚えていた』という所じゃないですか?」

「本能が嘘は意味が無いと言っていたからな」

「むー……確かにそうですけど……」

 

ふーむ……少し寝た方がいいか?

たしか睡眠は記憶を整理する効果があるはず……

 

「名前でも声でも姿でもダメ……はぁ、記憶喪失系主人公なんて今更流行りませんよ?」

「あーちゃん、最後の手段あるよね」

「そーですけどね。シロちゃん、あれは信憑性というかなんと言いますか……」

「やってみる価値あり」

「……ダメ元でやってみますか」

 

※※※

 

「というわけで私の手料理を兄さんに食べてもらいます」

「あ、はい」

「わざわざ陰キャ演出しなくていいですから」

「いやいや、当方はどう転がっても陰キャだろう。少なくとも陽キャは高校1年の半分を1人では過ごさない」

「はいはい。いいからさっさと食え」

「へ?」

 

ゼノヴィアに突然羽交い締めにされ白音が当方の口をこじ開ける。

 

「ひょんなことひなくてもたびぇるぞ(そんなことしなくても食べるぞ)!?」

「そうです。ゼノヴィアさん、シロちゃんやめて」

「兄妹漫才終わりそうになかったのでつい……」

「はぁ……」

 

2人から解放されスプーンを持つ。

というか、匂いとかの方が声よりも記憶に深く結びついているとはいえ……最終手段がこれでいいのか妹よ……

 

「美味しい……暖かくて……どことなく懐かしいけど……食べなれた味だ……」

 

小さい頃、誕生日は毎年家に帰って彩奈のご飯を食べたっけ……

……あ、なんだか頭の中にあった氷の塊が溶けてく感じが

 

「なにか私にいうことないですかー?」

「え、あ?あぁ……ただいま?」

「ふっふー。あとはあの人さえ帰ってきたら兄さんを好きな人が勢揃いー、ですね」

「え、まだリヴィに思いを寄せてる人いるのか?」

「それは……まあ。私の姉貴分の人が一人。3年前からの交流で……たしか今はヴァルキリーに就職してるはずです」

「ヴァルキリー……?そんな大層な知り合いは……え、まさかあの人?」

「兄さんが思い浮かべてる人で間違いないですよ」

 

何度か母さんのお弟子さんが家に来たことがある。

そのうちの年が近い一人として割と仲良くなった覚えがある。といっても彩南と同じく別の記憶が埋め込まれている間はあってないから会うとしても二年越しになる。

 

「ロスヴァイセさんも兄さんに会えるの心待ち……にしてるとおもいますよ?」

「なんで希望系?」

「二年で彼氏さんとかできてれば兄さんにかまけている余裕ないと思います」

「それもそうなんだが……」

「初恋、叶うかどうかはギャンブルですねぇ?」

「それ、ゼノヴィアと白音の前でいうことか?」

「大丈夫です。シロちゃんはそのこと知ってるし、ゼノヴィアさんは案の定フリーズしてますから」

「問題あるだろ……当方のプライベートは……私がこの家に帰ってきた時点でもうないですね」

「だろうな……彩南の耳の良さは異常だからな……」

「ふふん。これでも兄さんの巫女としてそれなりの英才教育のようなものは受けてますので」

 

巫女……龍神が神としての猛威を振るうのに必要不可欠な存在。ようは自分を神だと信じてくれる人のことだ。

龍神はもともと蛇神信仰が同一化したモノらしく神であることを誰かが信じてくれないと神としての力が失せるらしい。のでできうる限り存在が確立されている状態で巫女を用意しとかないと最悪消滅してしまうかもしれない。

まあ、身内ではあるが当方の巫女は彩南が請け負ってくれているので別に問題はない。

問題があるとすれば

龍神と巫女は基本的に夫婦関係になることがいいらしい。

ということぐらいである。

実妹にそういうことできるか?ときかれたらもちろんno。

だが、彩南はそんなこと知らないと言わんばかりに当方の巫女になったという。

別に昔の人らがやっていたしセーフというのは母さんと父さんの持論でさすがに当方は遠慮したい。

 

「とにかく、合宿気分も早速抜いて今度は父さんや私と龍神の力をコントロールする訓練ですよ。なんですかレーティングゲームのあの負けざま。それでもかのヒトツメノムラジの息子ですか?」

「仕方ないだろ……ふれたら負けだなんて装備を投入してくるなんて……」

「ソーナさん本気で勝ちに行ってましたからね。兄さんのことは人一倍高く評価してましたから弱点であるものをつくのは当たり前でしょう」

「え?毒って弱点なのか?」

「私はそうでもないですよ。ただ兄さんはまだ毒の遅延しかできないのでは弱点ですよ」

 

うーむ。なるほど。言ってることは正直彩南がフィーリングで話すからよくわからない。

とりあえず龍神の力の鍛錬を続けたら毒に対する耐性がつくということか?

 

「荷物おろしてからにしませんか?」

「ですね。シロちゃんのいう通りです。ついでにフリーズしてるゼノヴィアさんも連れてってください。そろそろ夕飯の仕込み始めるので」

 

※※※

 

そしてすこし時間が過ぎ夜の自室。

明日は久々の学校だ。夏休み明け早々遅刻なんてただでさえほぼ女子高の駒王学園で悪目立ちはしたくない。

なのでホットミルクを飲んでベットに入る。

のだが……

 

「ゼノヴィア、なにしてるんだ?」

「なんでもない。気にしないでくれ」

 

そこには妙にいじけているゼノヴィアがいた。しかも陣取っているのはよりにもよって当方のベットだ。

その腕にはいつ買ったのかYesと書かれた枕が抱きしめられている。

……なんだそれ?

 

「初恋の人……それにイリナに誰よりも付き合いが長いであろう後輩組の参入……むむぅ……」

「あー……確かにロスヴァイセさんは当方の初恋ではあるが、彩南のいう通り初恋が叶うとは限らない。そんなに悩むことか?」

「悩むことだ!夏休みではイッセー曰く男女が距離を縮めるイベントが多いと聞いた。だがふたを開けてみればどうだ?私とリヴィが一緒にいた時間は少なく距離が縮まったとは到底思えない!」

「……はぁ当方のファーストキスを奪っておいてよく言う」

「ん?何か言ったか?」

「なんで聞こえてないのだろうか……まあ、ゼノヴィアが思っているほど当方たちの距離は近い」

 

ゼノヴィアの隣に腰掛けそっと頬に手をやる。

 

「ほら、少し手を伸ばせばすぐにふれることができる」

「そういう話じゃないだろう」

「そうかもしれないが少なくともロスヴァイセさんよりも今はゼノヴィアのほうが魅力的に見える」

「そうか……そうか!」

 

そういうとゼノヴィアは布団を広げ寝っ転がった。

 

「……どうした?」

「ふふん。そういうのなら同衾でもするがいい。あわよくば襲ってくれても構わん」

「本人の同意がなければしない」

「なら同意する。襲ってくれないか?」

「ムードも減ったくれもない……明日は学校だ。別の機会にしてくれ」

「なるほど……翌日が学校ではない日だと問題ないと。言質とったぞ」

「別にかまわんよ。おやすみ」

「ふふ……そうかそうか。私の方が魅力的か……そうかそうか」

 

ゼノヴィアの満足げな声を聴きつつ当方は意識をまどろみの中に放り込んだ。




「他作品から参戦してしまったエターナルロリ。というかこれやばいよな?」
「では本日のゲストをお呼びしましょう」
「はあ!?何してんだよ!木場、言ってやれ」
「テレビのジョーン!!!!」
「意味ワカンねぇ」

次回
第46話《転校生、もはや集団疎開レベル》

「というわけで、最近作者と交流が増えていた《やまたむ》さんです」
「こんにちはー」
「あ、こんにちはです」
「今回からは僕もあとがきに参加しろと何処でもさんに言われたからよろしく」
「……次回予告って?」
「ああ!」
「イミワカンネェ」

ロスヴァイセさんとオリ主の関係。あり?

  • OK
  • ほかになかったのか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。